仮面ライダーARTHUR 王の名を持つ仮面の騎士   作:名もなきA・弐

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 まず一言、戒君たちが絡むとやはりと言うか原作通りの展開にはなりません。よって、彼女たちのポロリや爽やかな百合が見たい場合は原作を買うことをお勧めします。
 本当に申し訳ありません。閃乱カグラとクロスしてはいますが根本はやはり仮面ライダー…本編を進めなければどうしようもありません。
 一応、EV編での日常編はANOTHER COMBO枠として投稿する予定です。それでは、どうぞ。


COMBO15 異常×夏

森林の奥深くで、フェニックスは目を瞑っていた。

仮面ライダー、もしくはその関係者が自分の落とした羽根に気づくはずだ…そこからの行動を考える。

そもそもフェニックスが羽根を落としたのは偶然でもミスでもない、ただ単純に自分の存在を気づかせるためにわざと置いたのだ。

これは自分の願望を叶えるための暗躍…それと同時にこれはゲーム。

そう、ゲームなのだ…救済を果たすために必要な試練でありエントリーするに値する最高の娯楽。

 

(ワンサイドゲームではつまらないですからね)

 

ゆっくりと目を開き、エラーカセットとある物をばら撒くとそこからゆっくりと何かがせり上がり、人の形を成していく。

彼は、その場から立ち去った。

 

 

 

 

 

「フェニックスの羽根、か……」

 

琴音から手渡された羽根を眺めながら、戒は呟いた。

自分たちと忍以外は存在しないこの空間で見つかった羽根に警戒の色を持つ…ウェルシュの結果待ちだがこれがフェニックス・エラーの羽根だった場合、相当に面倒なことになる。

丁度その時、ウェルシュの分析が終わる。

 

『…確認をした。間違いない、魔力の波長が一致している』

「つまり、良く似た別の生物の羽根じゃない…と」

 

彼のその言葉にため息が出そうになるが、今は琴音もいる。

それを堪えて目の前の景色に目を移した。

そこには、飛鳥たち半蔵学院のメンバーが水着に着替えておりこの世界の夏と海を満喫していた。

祭りのことはどうしたのやら、五人は楽しそうに遊んでいる。

 

「柳生ちゃんに貝殻のペンダント作ってあげる!」

「そ、そうか?ならそれを一生大事にする」

 

ピンクと白の可愛らしい水着を着用した雲雀と、黒い水着の柳生が貝殻を拾っている。

二人とも楽しそうだ。

 

「ほら、飛鳥!アタイが日焼け止めオイル塗ってやる、全身までくまなくっ!」

「じ、自分で塗るから大丈夫だよっ!かつ姉に頼むと変な触り方するんだもん!!」

 

青い水着を着た葛城と緑色の水着を身に着けた飛鳥が肌と肌と密着させている。

楽しそうに、そう…スタイルの良い美少女たちが遊んでいるのだ。

 

「……っ///」

「はい、カー君」

 

色とりどりの水着に身を包んだ飛鳥たちを見て顔を真っ赤にしてしまった戒に不機嫌な声で桜色の水着を着た琴音がシャーベット状になった水のペットボトルと濡れたタオルを渡す。

完全にお遊びムードの中、白いビキニを着た斑鳩が風紀委員として注意する。

 

「皆さん、少しはしゃぎ過ぎではないでしょうか…今は忍の盆踊りの真っ最中なのですよ?」

「でも、色々と不鮮明なことが多いですよね?…ヤグラの壊し合いで忍の道が開かれるって話も怪しいですし」

 

顔にタオルを巻いて顔の熱を冷ましている戒を横目に琴音は斑鳩の言葉に反応する。

彼女の言った通り、ルールはヤグラの破壊なのだがどうも分からないことが多すぎる…それは斑鳩自身も感じていたことだが「遊んでばかりでは」と言葉を濁す。

 

「…まさか、カグラとヤグラをかけているのか?」

「柳生ちゃん、するどーい!きっとそうだよ!!」

「「いや、上手くないし」」

「みんな、ゴメンね。ばっちゃんがわけの分からないことを言いだして……」

 

真面目な表情で洒落を言う柳生と、驚く雲雀に対して葛城と琴音が声を揃えてツッコム中、飛鳥が申し訳なさそうに謝罪する。

すると、タオルで顔を隠していた戒が全員に話しかける。

 

「ふぐごふほほ、ふぐぐふごふふふほふほ…」

「ゴメン、カー君。せめてタオル外して喋って」

「ぷは…少なくとも、すぐに動く必要はないと思いますよ?」

「どういうことですか?」

「ほら、あれですよ。無理に動くよりは様子を見た方が良いってことです」

 

斑鳩からの問いに戒は自分の考えを口にするとまた顔をタオルで巻く。

要約すると、闇雲に動くよりは良いと言うことでありその意見に柳生と斑鳩も賛成する。

自分の祖母が何をしようとしているのか飛鳥は疑問符を浮かべていたが、戒はゆっくりと起き上がりタオルを外すと飛鳥たちに背を向けた。

 

「戒君、何処行くの?」

「他の人たちの様子を見て回ってきます」

 

琴音に目配せすると、彼はそのまま立ち去った。

 

 

 

 

 

心臓に悪い……。

白いタオルで熱くなった頬を冷ましながら戒は白い砂浜の中を歩いていた。

夏と海で予感はしていたがまさか全員が露出の多い水着だとは思わなかった。

役得だとは思っているがあまりにも目に毒過ぎるしあの場所にいたら恐らく、顔から湯気を出して気絶していたであろう。

とことん、唯一の男子としては辛すぎる環境に自分の帰巣本能が働いている始末…そんな戒の様子を察したウェルシュは話題をフェニックスへと移す。

 

『飛鳥たちには伝えなくて良いのか?』

「琴音が何とかしてくれるってさ。昔からあいつはそう言ったフォローが得意だし、大丈夫だろ」

『なるほど…ならフェニックスの捜索かい?』

「一先ずは様子見。フェニックスの気配が感じない以上、下手に動くのは危険だ」

 

戒の考えに納得すると、ウェルシュはカグラ千年祭のことについて尋ねる。

 

『君は祭りには参加しないのかい?」

「ああ、この祭りは飛鳥さんたちじゃなきゃ成立しないよ」

『…まさか戒、もう……』

 

この祭りの真意が分かったのか……。

ウェルシュの言わんとしていることを察したのだろう、戒がいつもの笑みを見せる。

 

「そりゃあ、あんだけヒントを出してくれたら嫌でも気づくよ」

『…伝えなかったのは、飛鳥たちのためか?』

「いんや、俺はただの部外者。忍のための祭りなら俺は傍観者でいた方が良いだろ?」

 

そんな軽口を叩きながら、歩いていると見覚えのある人影が見えてきた。

間違いない、月閃のメンバーだ…真面目な印象のある彼女たちも開放的なロケーションに気分が高揚しているのか楽しそうな雰囲気を醸し出している。

戒が声を掛けようとした時だった。

 

「あ、門矢さん」

 

雪泉が彼の存在に気づき笑みを浮かべる。

彼女も例によって露出の多い水色の水着を着用しており白い肌が眩しく見えた。

全員が全員、目のやり場に困る格好で動き回って遊んでいた。

当然、彼女たちの揺れる胸にも目が行くわけで……。

 

「……きゅう///」

「か、門矢さんっ!?しっかりしてください!」

 

顔を赤くし目を回して気絶してしまった戒を雪泉たちが介抱するのだった。

数分後、湿らせたタオルで顔を隠した戒は彼女たちと談笑していた。

「タオル外したら」と四季に言われたが、断固として拒否したため顔にタオルを巻いた少年と、楽しそうに話す少女と言う奇妙な風景が出来上がっているが気にしたら負けだろう。

 

「しっかし、夜桜さんが楽しそうですね」

「ええ、私たちもあのようにはしゃぐ彼女を見たことがありません」

 

海の方では満面の笑みを浮かべて夜桜が美野里と遊んでおり、二人とも楽しそうである。

その際、何か言いたげな表情をしていたがすぐにいつもの表情に戻ると「それじゃ」とグループから離れて行った。

彼の言おうとした言葉に雪泉はしばらく考えていたが、この空間に来た時に感じた懐かしい気配を感じる。

 

「おじい様……」

 

戒のことも気になったが、懐かしくも自分が最も敬愛する人物『黒影』に対して雪泉は誰にも気づかれることなく呟いた。

 

 

 

 

 

「さーて、どうするかねー?」

『正直に話せば良かっただろ。どうして何も言わなかった』

「だって雪泉さん。別のことを考えているみたいだったから、『エラーがいます』なんて言えないと思って」

 

彼の言い分にウェルシュは上部のディスプレイで呆れた表情を見せると、自分たちが止まる予定のホテルに到着する。

テレビや雑誌でしか見たことないような豪勢なホテルに戒は感嘆の声をあげる。

 

「これが、魔力で出来ているなんて驚きだよなー」

『まったくだ。専門家が見たらあちこち解体されて終わりだろうけどね』

 

ホテルに入ろうした戒だったが、人の気配を感じたため近くに隠れる。

すると、巫女服を着た三人の姉妹…巫神楽三姉妹が何やら話をしており戒は黙ってそれに聞き耳を立てる。

薄い茶色の長髪を持つ蓮華とショートカットしたオレンジの髪を持つ、活発さと人懐っこい雰囲気を持つ華毘が会話を始める。

 

「…たく、何なんだよあいつら。忍の盆踊りを真面目にやる気ねーな」

「そうっすよねー、きっと小百合様はめっちゃ怒ってるっすよー」

「でも、私たちとしてはだらだら遊んでくれた方が助かるわ……その分、時間が稼げるもの」

 

二人の言葉に、愛想のないジト目が三女『華風流』が入ってくる。

その言葉に戒が疑問符を浮かべる…執行部である彼女たちからしたら時間が長引くことはあまり好ましくないはず。

しかし、目の前の少女たちはこの祭りが長引くことを望んでいるのだ。

怪訝な表情の戒に気づかず、三人は会話を続ける。

その後の会話だと、どうやら彼女たちにも何か理由があるらしい…しかも小百合にも独断で事を起こそうとしている。

その際、華毘が考えすぎたせいで起きた忍法の暴発によって服が若干焦げたが、動くと気づかれるため黙って戒は姿勢を維持する。

二人は彼女を考えさせないようにするが、根が真面目なのか再び考え込んだ華毘に対して華風流は蓮華に提案する。

 

「蓮華お姉ちゃん!いつものやって、このままじゃまた爆発しちゃう!」

「また『あれ』やるのか!?いつもいつも私じゃないか!」

「だって、蓮華お姉ちゃんの方が上手いし、私なんかじゃまだまだ無理だと思うの」

(……賢い子だ)

 

そこからは華風流の独壇場だった…あれよこれよと褒められた蓮華はすっかり乗り気になってしまい彼女たちが言う『あれ』の準備をする。

まずは上着を緩める蓮華。

 

(…っ!?///)

 

肌色が露出した彼女に頬を赤くするも、彼女は腹部に人の顔を描くとそのまま踊りを始めた…所謂『腹踊り』だ。

 

「こほん、行くわよ……ぽんぽこりん♪ぽんぽこりん♪お腹をぺろんとぽんぽこりん♪」

 

珍妙な歌と共に腹踊りを見せる蓮華…冷めた目で見つめる華風流とは対照的に華毘は腹を抱えて笑っている。

 

「ぷ、くく……」

『駄目だ、戒。笑うな、今笑っては、ふふ…』

 

あまりにも滑稽な踊りからくる笑いに戒とウェルシュは耐えきろうとするが……。

 

「『ぶはははははははははははっっ!!!』」

「はっ!?てやんでぇ、何もんだっ!!」

 

声を揃えて爆笑してしまった。

自分たちしかいないはずの場所から聞こえてくる笑い声に蓮華は自身の得物である太鼓のバチを笑い声のする方に向ける。

すると、笑いを堪えながら戒…最初に自分の攻撃を受け流した挙句祭りの際にも自分のことをスルーした少年が物陰から出てくる。

 

「あ、あんた…見てたのか……?」

「ち、ちょっと待って…ぽんぽこって、ぶふっ!!」

『笑うな戒、ここまで笑うのは流石に失礼…ぶっははっ!!!』

「うわあああああああああああっっ!!?やめろ思い出すな笑うなー!!///」

 

震え声で問いかけたが、戒とウェルシュは未だに爆笑している始末…それとは対照的に蓮華は顔を赤くして叫んだ。

身内ならまだ許せる…しかし、赤の他人はおろか異性に自分の腹踊りを見られたことに羞恥で顔を赤くするとその場でしゃがみ込む。

そんな長女を無視して華風流が警戒の籠った目で睨む。

 

「…何処まで聞いたの?」

「はは、んん!ごほん…ほんの少しですよ。具体的には『…たく、何なんだよあいつら』辺りからです」

「全部じゃないっすか!!」

 

咳払いをして、気を取り直した戒は普通のスタイルを持つ少女への質問に素直に答えるが華毘にツッコミを入れられる。

 

「それよりも、トイレって何処ですか?」

「何なのよあんたはあああああああああっっ!!!」

 

脈絡もないボケにシャウトする華風流に、「この子面白いな」と僅かにS心を目覚めさせた戒。

しかし、突然彼女と…赤面してしゃがんだままだった蓮華を抱き抱えるとその場から距離を取る。

「何を」といきなり抱きつかれたことと、異性に振られたことで顔を赤くした華風流が文句を言おうとしたが突如降ってきた鉄球とそれに生じた地割れで身をすくませる。

 

『くっはははははははっっ!!!破壊、破壊の時間だっ!今度は全てを破壊するっ!!』

 

好戦的な言葉と共に落下してきた鉛色の怪人…メタリック・エラーは獲物を威嚇するように鉄球を振り回す。

だが、メタリックは戒によって倒されたはず……ウェルシュが冷静に分析結果を口にする。

 

『戒っ!こいつの身体に人間がいないっ!!純粋な魔力のエネルギー態だ!』

「ようは、再生したボスキャラってことか!」

 

彼の助言に返すと、アーサードライバーをセットする…後ろに三姉妹がいるが今は状況を説明する時間も逃げる暇もない。

戒の闘志をバトルゲームアプリとして変化したドラゴンカセットを起動させてスロットに装填するとグリップのトリガーを引いた。

 

「変身っ!」

【RIDE UP! DRAGON! 牙の連撃!RED KNIGHT!!】

 

ドラゴンと牙をモチーフにした白いパーツがある赤い鎧を纏った騎士、アーサーへと変身する。

戒の変身した姿に驚く三姉妹たちに気にする様子もなく、アーサーはメタリックに対してキックを仕掛ける。

だが……。

 

「痛ってぇっ!!野郎っ!」

 

鉛色のボディによって逆に痛めてしまい、もう片方の脚で攻撃しようとするも逆にメタリックの拳をくらってしまう。

前より強くなっている……。

攻撃を中止し、距離を取ったアーサーに対してメタリックは得意げに語る。

 

『当然だっ!俺はレベルアップしたっ!もう貴様に破壊されない、仮面ライダー!!』

「っ!」

 

メタリックの攻撃を躱すと、ドラゴンカセットを抜き取り、マジシャンカセットを装填する。

 

【MAGISIAN!!】

【RIDE UP! MAGICIAN! 魔法、錬成!WHITE FANTASY!!】

『無駄だ無駄だぁっ!!』

 

マジシャンリンクへと姿を変えたアーサーに気にすることなくメタリックは鉄球を叩き込もうとするが、赤いボタンを押して腕力を強化したアーサーに防がれる。

「何!?」と驚愕する彼の鳩尾目掛けて殴る。

 

『がはっ!?』

「今度はこいつだっ!」

【MAGICAL ARTS! PRISMA PRISM…SHOW TIME!!】

 

足元に転がっていた石ころを拾うと上空へと投げる。

そして、落ちてくる石をタイミングよく殴ると巨大な矢へと変化した水晶が敵の顔面へと直撃したのを確認すると地面を殴って出現した水晶の柱で行動を制限させる。

 

「借りるよっ!」

「私の…」

 

救出する際に落とした華風流の武器…イルカを模した鉄砲を拾うと今度は杭状の水晶を生成して利き腕に纏わせると鉄球ごとメタリックのボディを貫いた。

衝撃によって吹き飛び地面へと転がったエラーから視線を外すことなくアーサーは必殺技発動へのシークエンスを行う。

 

【CRITICAL ARTS! COMBO BREAK! MAGICIAN!!】

「オラアアアアアアアアアアアッッ!!!」

『っ!!』

 

急降下しながら繰り出したマジシャンブレイクによる一撃を受けたメタリック・エラーは悲鳴を上げる暇なく爆散…やはりウェルシュの言う通り、融合者はいなかったがある物を発見する。

 

「これ……」

『携帯用の傀儡人形だ。なるほど、傀儡に今までの融合者たちのデータを埋め込んでエラーカセットと融合させたのか』

「だから、メタリックの能力と見た目が一致していたのか」

 

壊れた傀儡に一瞥するとアーサーは唖然としている蓮華たちを見る…いくら本人たちの性格や忍であろうと、見たこともない怪人と騎士を見れば無理もないだろう。

 

(……良いこと考えた♪)

 

何か思いついたアーサーは変身を解除して戒の姿に戻ると三人の元へと近寄ると、満面の笑みを見せた。

 

「取引してくれませんか?」

 

微笑みと共に言ったその言葉は、有無を言わせぬ迫力があった。

To be continued……。




 さて、恒例の再生怪人が登場しました。序盤はメタリック・エラー…防御力が強化されていましたが同じくパワーアップしていたアーサーによって粉砕されました。
 今までの話で伏線を張り忘れましたが、フェニックスの正体にもある程度推察が出来ると思います。もう気づかれたかな?
 カー君が提示した取引とは?ではでは。ノシ

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