仮面ライダーARTHUR 王の名を持つ仮面の騎士   作:名もなきA・弐

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 ようやく本腰を入れることが出来ました。投稿は遅いですが、失踪しないように頑張っていきたいと思います。
 それでは、仮面ライダーアーサーの始まりです。

 (※)実はさっき、誤って削除してしまいました。ごめんなさい!!


NORMAL COMBO 忍たちとの絆編
COMBOゼロ 忍×騎士


それは、午後七時半過ぎ、人気もなく街灯が照らす心許ない光の中、一人の…恐らく十七歳ぐらいの少女が早足で歩いていた。

容姿としては年相応の可愛らしさを備え、多くの女性が羨望と嫉妬の眼差しを送られるほどのスタイルをした美少女だった。

長い黒髪を結んだポニーテールは活発な印象を与え、上下には紺のブレザーとスカートの学生服を身に纏っている。

彼女の名は『飛鳥』…学生数は千人を超える、知る人ぞ知る名門マンモス学校『国立半蔵学院』……の裏の顔『内閣特務諜報部諜報一課付特殊機密諜報部員養成所』通称、『忍学科』に所属する選抜メンバーの生徒である。

現代に生きる忍である彼女に異変が起こったのは、帰路の途中でのことだった。

補修が思ったよりも手間が掛かってしまい、学校を出るころには辺りはすっかり暗くなっていたため、早足で寮にある自分の部屋へと向かっていた時、ふと気づく。

 

(周りが、見えない?)

 

周囲が暗くなっており、何も見えなくなっていたのだ。

真夜中だからではない、自分の姿しか見えないその場所は方向感覚を狂わせ、自分が今何処にいるのかすら、分からなくなっていた。

動揺を警戒を抱き始めた彼女をあざ笑うように、突如声が周囲に響く。

 

『へへへ…今夜の獲物が来たッスね~』

『ふむ、余計な肉こそついているが…まぁ良いだろう』

「…っ!誰!?」

 

飛鳥は懐から二振りの…一目で業物と分かる長短の脇差を構えながら声の方を向いた。

……そこには、異形の存在がいた。

左腰に金色のランプを吊るした簡素な黒いスーツの胸部にあるゲームパッド型ユニットに上には赤いマントを羽織っている。

のっぺりとした白い顔面の黒いモノアイが飛鳥を興味深そうに観察していた。

明らかに人間ではない…見たこともない怪人に飛鳥は警戒をしつつも問いかける。

 

「あなたは、何者…悪忍なの?それとも、妖魔?」

『貴様が何を言っているかは知らないが、生憎どちらでもない』

『いるッスよねぇ…自分の常識だけで判断しようとするバ~カ、が』

 

飛鳥からの質問に腕を組みクールに否定すると、今度は陽気な声でこちらを小バカにするように話してくる…まるで一つの身体に二つの人格があるかのような怪人に飛鳥は絶句していた。

しかし、それが命取りだった。

 

「っ!?しまっ…ぐっ!!」

 

怪人から放たれた鎖の付いた首輪に捕えられてしまい、首輪はまるで意思を持つかのように首を締め付けてくる。

 

『今度こそ、今度こそ今度こそ!きっと、彼女は生き返ってくれる…だが、その魂は必要ない』

 

そう呟くと、怪人は左腰に吊るしてあるランプに手にかけ飛鳥の方へと向けた。

恐らくただの道具ではないのだろう…何となく、彼女の直感がそう告げたのだ。

 

『この中で永遠に暮らしてもらうッスよ。連中と一緒に…ね』

(……ごめん、みんな……!!)

 

目に涙を溜め、大切な友達の笑顔が脳裏に浮かんだ。

しかし、風を切る音と共に、凄まじいスピードで飛んでくる物体が怪人の右肩を貫いた。

 

『ぎゃああああああああっっっ!!?』

「う、ゲホ、ゲホッ!!…え?」

 

自身の右肩を貫いた衝撃に悲鳴をあげる怪人から解放された飛鳥はその場で崩れ落ち、咳き込みながらも怪人を貫いた物体を見た。

それは、一振りの日本刀だった……。

通常の日本刀とは一回り小さく、どちらかと言えば刀身の長い小太刀と言った方がしっくりくるだろう。

柄・鍔と鞘の色は共に紅蓮に輝いておりその輝きは、飛鳥の中に宿った負の感情…絶望を振り払うには十分だった。

 

「か弱い女性を、しかもこんな可愛い女の子を襲うなんて、随分と趣味が悪いじゃないか、赤マントさん?」

『それとも、こう呼んだ方が良いかね?「ハイド・エラー」』

 

二つの声とともに現れたのは、一人の戦士だった。

ゲームパッドを模したバックルと赤いシルク製のベルトを腰に巻いた戦士は、黒と紫のスーツに全身を纏い、マスクにはバッタのような赤く丸い複眼がある。

その上には竜と荒々しさを連想させる牙を模した白いパーツがある赤い軽鎧とバイザーが被さるように装備され首元には赤いマフラーが風で靡いていた。

その姿はさながら……。

 

「仮面の……騎士」

『貴様、何者だっ!』

「うわーお、典型的な悪役のセリフ…俺はアーサー、『仮面ライダーアーサー』…覚えておいてもおかなくても、どっちでも良いぜ?」

 

そう呟いた飛鳥のことを気にも留めず、怪人…否『ハイド・エラー』は忌々しそうに睨みつけるも、仮面の騎士…仮面ライダーアーサーは余裕の態度で流す。

「さて」と左手をスナップすると、バックルのディスプレイを挟むように配置されている赤いボタンを押す。

 

【ATACK ARTS! SONIC BITE!!】

『なっ!?ど、何処に……!?』

「ここだよ、のろま」

「えっ、えぇっ!?」

 

電子音声と共に姿を消したアーサーを探すハイド、すると彼は飛鳥の目の前に…それは宛ら姫を守る騎士のように立っており、手には金色のランプが握られていた。

 

「…『ウェルシュ』、本当に…ほんっとーに、大丈夫なんだな」

『だから、ここに来る前から言っているだろ…きちんと調べた、問題はない』

 

アーサーはベルトに、確認を取る…すると、「ウェルシュ」と呼ばれた声の主はため息交じりに、先ほどと同じ答えを返す。

 

「よし言ったな?言質取ったからな?これで失敗したら洗剤塗れの洗濯機の中に入れてやるから…な!」

『や、やめ…』

 

先ほどの会話で、何をしようとしているのか、察したのだろう…ハイドは制止しようと手を伸ばしたが、アーサーは遠慮なくランプを地面に叩きつけて壊した。

すると、青白く光る球体が、まるで慌てて逃げ出すように飛び出していったのだ。

驚く飛鳥よりも、絶叫する存在がいた…ハイドだ。

 

『あああああああっ!!「魂」がっ!彼女のために用意した「器」にぃぃぃ……お前えええ…』

「うるさい」

 

激昂したハイドはランプを壊した本人に憎悪の言葉をぶつけるが、「黙れ」と言わんばかりに顔を蹴られ、肩に刺さっている日本刀を引き抜かれる。

そのまま、かえす刀で一閃…数メートル先へ吹き飛ばされるとアーサーは自身の得物を橙色のナックルガードがある赤い鞘へと納める。

 

『あ、ああ……器が、器が……』

『おいっ!何やってるッスか!?早く立ち上がるッス!!』

「……あーらら、お前の相棒、諦めたようだな」

 

立ち上がろうとせず、ぶつぶつと呟く相方に慌てて声を掛けるが、アーサーの言葉通り、彼はすっかり、戦意を喪失していた。

しかし、陽気な人格の方は身体の主導権を握り勢いよく立ち上がり、目の前で余裕な態度を取る忌々しい敵を睨む。

 

『こうなったら、アンタをぶっ潰してまた器を集めるだけッス!!』

「やれるもんならやってみな。お前の物語、ここで終わらせる!」

 

「ほざけッス!」とハイドは鉤爪を生やし、切り裂こうとするも鞘に納めた剣『グレンバーン』で防がれ、逆に打撃を叩き込まれる。

怯んだ隙を逃さず、アーサーは抜刀し強烈な居合で攻撃を仕掛け、ハイドにダメージを与えていく。

 

【MAGICAL ARTS! BOWA BOWA KACCHI-N!!】

「オラッ!オラッ!オラァッ!!」

『がっ、ぐほっ!?この…ブベッ!!』

 

緑色のボタンを押し、炎を纏ったキックを浴びせると今度は脚部に冷気を纏わせた膝蹴りを打ち込んでいく。

冷気の膝蹴りをまともに受けたハイドは蹴られた箇所から徐々に凍結していき、行動を制限されていき、そして……。

 

「ほらよっ!こいつで吹っ飛べ!!」

『ぎゃああああああああッス!!!』

 

アーサーは斬撃と鞘による打撃を織り交ぜた攻撃を行い、ハイドに背を見せると鳩尾に当てるように勢いよく納刀する。

その際に発生した衝撃に吹き飛ばされるハイド…しかし、それでも立ち上がろうとするがおぼつかない足取りをしていた。

 

『ぐぅぅぅ…あ、相棒がこんなじゃなかったら、アンタみたいな劣化品にぃぃぃ…』

「止めだ」

 

呻き声を無視し、アーサーはバックルにあるスロットからカセットテープ型のデバイス『ミラージュカセット』を外すと左腰にあるスロットに挿入し、バックルの赤いボタンを押す。

 

【CRITICAL ARTS! COMBO BREAK! DRAGON!!】

「はぁぁぁ……!!」

 

態勢を低くし、赤いエネルギーを両足に纏わせると凄まじいスピードから放たれる跳び蹴り『ドラゴンストライク』を掛け声と共に繰り出した。

 

『があああああっ!?……ゲ、GAME OVERッスウウウウウウウッッ!!!』

 

断末魔と共に、ハイド・エラーは爆散…黒いノイズが混じった身体から背の高い男性が排出されると、エラーのボディは粒子状に分解されアーサーの物とは違うカセットテープが音を立てて砕けた。

スマートフォンを取り出し、誰かへと電話を掛けると先ほどの戦闘を傍観していた飛鳥の元へと近寄る。

 

「…と、大丈夫か?しかし、災難だったな…次からは気を付けた方が良いぜ、特にお前みたいに可愛いとさ」

「か、かわっ!?///」

 

わざと心配しながらも、おどけるように言ったアーサーに飛鳥は頬を赤らめ動揺するも、自分の中に巣くっていた恐怖が薄れていることに気付いた。

その表情から大丈夫と判断したのか、背を向けこの場から立ち去ろうとするアーサーを飛鳥が慌てて呼び止める。

 

「ま、待って…あなたは何者なの、それにさっきの…えらー?って…」

「…知る必要はないよ。少なくとも、あいつらは俺と…ウェルシュが止める。そして、奴らのふざけた『ゲーム』も破壊する…それだけだ」

 

それだけ言うと、アーサーは赤いバイク…『ドライグハート』に跨った。

 

「…恩は返したぜ?」

「え?」

 

アーサーの言葉を飛鳥が聞き返そうとしたが、主を乗せたドライグハートは夜の闇へと消えて行った。

 

「……また、会えるのかな?」

 

伸ばした手は、無意識の内に胸の前まで持ってきていた。

それが、どんな感情なのかは分からない…ただ、不思議と暖かい感覚が彼女を満たしていた。

けれど、これは始まりの1ページ……。

少女たちは戦う、全てを脱ぎ捨ててでも、『守りたい物』のために。

少年は護る、自らを傷つけても『歪んだ希望』から全てを……。

 

『KAMEN RIDER ARTHUR……GAME START』




 てなわけで、プロローグです。思ったよりも長くなってしまいましたが、プロローグを分断するわけにはいかないと頑張った結果、こうなりました…申し訳ないです。
 今作に登場する怪人『エラー』については後々言及したり、設定集などに記載しますが、元々は普通の人間で「エラーカセット」と融合することで誕生します。怪人の共通点は『モノアイ(単眼)』と『胸部のゲームパッド型ユニット』です。
 ではでは。ノシ

ハイド・エラー CV白鳥哲
恋人を亡くした男性が融合変身した姿。簡素な黒いスーツの上には赤いマントを羽織り、黒いモノアイとのっぺりとした白い顔面が特徴。左腰には金色のランプを吊るしている。
鎖のついた首輪を飛ばす、対象を他から隠すように黒い結界を張る、金色のランプで魂を抜き取り保存するなど、トリッキーな能力の持ち主だが直接戦闘は心許ない。
亡くした恋人を蘇らせるための器を探すために魂を抜き取っていた。エラーの人格が陽気なのは、彼本来の人格を読み取ったからである。
ちなみに性格モチーフはジュウ○ウジャーに登場したゲスト怪人『ハ○バゴイ』

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