とある提督コンビ達と艦娘深海棲姫物語   作:ユージンアームストロング

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第2話 今後の方針

無事に試験運用作戦は終了し、正臣達は海軍本部に帰還。

その後に正臣は柴田の居る執務室に呼び出されていた。

 

 

柴田「今回の試験運用作戦は見事だったな。

まあ荒上君の開発した軍事技術だから素晴らしい活躍を今後も期待しているよ。」

 

正臣「お任せください。

必ず柴田元帥のご期待に応えてみせます。」

 

柴田「頼もしい限りだね。今後の新たな艦装の開発目処は立っているのかな?」

 

正臣「そうですね…今後は軽巡艦装、重巡艦装、軽空母艦装、戦艦艦装、正規空母艦装などといった艦装を開発していこうと思っています。」

 

柴田「なるほど。期待しているよ。」

 

正臣「了解!」

 

 

少し間を置いて柴田が口を開いた。

 

 

柴田「荒上君、『艦装システム』を今後、効率良く運用していくために、君には横須賀鎮守府の提督に就任してもらいたいんだ。」

 

正臣「鎮守府の提督…ですか。

具体的には何をすればよろしいでしょうか?」

 

柴田「鎮守府の提督といっても、『艦装システム』の開発は今まで通り続けてくれて構わないよ。

研究開発部門は横須賀鎮守府に移すように手配しよう。

提督業は主に艦隊の指揮、海軍本部に関わる事務処理及び書類関係の提出だよ。

後、『艦装システム』が新たに開発されたらそれを装備して出撃する人材をこちらで確保するから報告を頼むよ。」

 

正臣「了解です。」

 

柴田「それと…この任務は君に押し付けてしまうようで不本意ではあるんだが…

3ヶ月前に本土襲撃に遭った日本は壊滅的な打撃を受けた…

その時に小笠原諸島、硫黄島、沖縄列島、択捉島、歯舞諸島、色丹島、国後島など7箇所が深海棲姫達に占領されてしまった。

荒上君…君にはこの奪われた島を奪還してもらいたいんだ。」

 

正臣「わかりました。やってみましょう。」

 

柴田「この占領されてしまった7箇所の島にはどうやら深海棲姫の主力艦隊が駐留しているらしい。

まずはこちらの戦力の増強を図り、それから挑んだ方がいいと思うよ。

こんなことを私が言えた義理じゃないが…日本の平和を…国民の未来を…頼んだよ正臣。」

 

 

柴田は正臣を名前で呼び、深々と頭を下げた。

 

 

正臣「まさかこの執務室で貴方に名前で呼ばれる日が来るとは…余程切羽詰まっているということですね…教官…」

 

柴田「教官か…久しいね…その名で呼ばれるのは…」

 

 

正臣と柴田は元々海軍学校で生徒と担当教官という関係だった。

正臣が海軍学校を卒業した後、柴田も海軍本部に異動された。

そして3ヶ月前の深海棲姫の本土奇襲攻撃の時に、前任の元帥は深海棲姫の攻撃によって負傷。その怪我の影響で現役を退かざるを得ないことになってしまった。

柴田はその際に前任の元帥に代わって艦隊を指揮し、なんとか本土の防衛線を死守、その後、その功績を称えられ、元帥に昇格したのだった。

 

 

柴田「私は確かに本土の防衛線は死守したが…現実は失われた命も多いし、7箇所の島を占領されてしまったことも事実だしね…

正直達成感よりももっと早く指揮をとっていれば良かったという後悔の方が大きいよ…」

 

正臣「しかし、貴方が指揮をとった時には7箇所の島は既に深海棲姫に占領されていて、艦隊もかなりの戦力を失っていました。

そこから私達日本は貴方の指揮で防衛線を築き上げ、それを死守出来たのです。

貴方の功績があったからこそ、私もこうして『艦装システム』を開発出来たのです。

もっと胸をお張りください。貴方の背中は私が支えてみせます。」

 

柴田「変わらないね正臣。君は本当に頼りになる男だ。」

 

正臣「全ては教官、貴方の導きのおかげです。」

 

柴田「それを聞いて少し安心したよ。

長々と話してしまったね…そろそろ本題に戻ろうか。

荒上大佐!君を横須賀鎮守府の提督に任命する!

艦隊の指揮及び7箇所の領土の奪還を命ずる!」

 

正臣「了解!」

 

柴田「それではもう下がっていいよ。」

 

正臣「了解。失礼しました。」ガチャッ

 

 

正臣は元帥の執務室を出た。

 

 

柴田「頼んだよ…正臣…」

 

 

正臣が執務室を出てから柴田は静かに呟いた。

 

 

その頃…海軍本部の食堂では高槻と吹雪が食事をしていた。

 

 

高槻「予想はしてたけど『艦装システム』ってすげぇな!

機動性、操作性、攻撃力全てにおいて完璧だったぜ!

これなら深海棲姫の連中を1年もかからず、一掃出来そうだな!」

 

吹雪「純平君…あんまり浮かれちゃダメだよ…まだ私達は試験運用が終わったばかりなんだから…」

 

高槻「何言ってんだよ吹雪!吹雪もその身で『艦装システム』の性能を実感しただろ⁉︎

前から噂には聞いてたけどやっぱり荒上大佐は天才だよな!この戦争はもう勝ったも同然だぜ!」

 

吹雪「確かに『艦装システム』がすごいのはわかるし、荒上大佐も凄い人なんだってことはわかるんだけど…」

 

高槻「…?けどなんだよ?」

 

吹雪「この戦争ってそんなに簡単に終わるものなのかな…?

私にはどうしてもそうは思えないの…」

 

 

吹雪の言葉を聞いた高槻は少し怪訝な顔をして2人の間には沈黙が流れた。

 

 

正臣「確かに簡単には終わらないだろうな…」

 

高槻「⁉︎あ!荒上大佐!お疲れ様です!」

 

吹雪「お疲れ様です。」

 

正臣「吹雪伍長の言う通り、戦争は簡単には終わるものじゃない。

だが私は人類は現代に至るまで多くの災厄や危機に晒されながらもそれを退けて来た。何故だと思う?」

 

高槻「…やはりその時代の文明の力…じゃないですか?」

 

正臣「それも一理あるな。吹雪伍長は何故だと思う?」

 

吹雪「私はその時代を生きた人々が平和を願った想い…ではないでしょうか?」

 

正臣「2人ともなかなかいい答えを出すな…

人という生き物は1人では何も出来ない。だが、2人、3人、百人、一万人と、人々を結ぶ力がそれらを一つにした時、人は無限大の力を発揮する。

だから君達も忘れないでくれ。戦場に出でも仲間を思う気持ちを…決して1人で解決しようとは思うんじゃないぞ。」

 

高槻 吹雪「「了解!」」

 

正臣「後、横須賀鎮守府の提督を任される事になった。

今後は3カ月前に深海棲姫に占領された7箇所の島の奪還を目指し、艦隊を展開していく予定だ。

そこで高槻伍長、吹雪伍長の両名には今後の作戦の主力要員として横須賀鎮守府に同行してもらいたいんだが、頼めるか?」

 

高槻「試験運用作戦を成功させてからこの『艦装システム』を実践で試してくて武者震いが治まらないんです!

是非同行させていただきます!」

 

吹雪「私も一刻も早く日本を深海棲姫の脅威から救えればと思っています!

是非同行させてください!」

 

正臣「その言葉を聞けて嬉しいよ。

4日後の午前10時にに横須賀鎮守府に向けて出発する。今日はもうゆっくり休んで明日に備えてくれ。」

 

高槻 吹雪「「了解!」」

 

 

こうして正臣は横須賀鎮守府の提督として高槻らと共に配属されることとなった。

 

 

《続く》

 

 


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