スーパーロボット大戦V-希望を繋ぐ者   作:ナタタク

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第65話 決闘

-ヌーベルトキオシティ 中心部-

上空にナデシコBが浮かび、地上にはマイトガインが立つ。

もうすぐジョーが指定した時間になるころで、マイトガインを目撃した人々が集まっている。

「ったくよぉ、朝っぱらな上に、こんな町のど真ん中で…なんで決闘しなきゃならねーんだよ」

「衆人環視が集まる中で、マイトガインを叩き潰したいんだろうさ。まぁ、周囲に被害が発生しないようにはしてるけど」

今いる場所は都市部の中でも開けた場所であり、さらには攻撃によって人々や建物に被害が及ばないように、周囲には簡易的な陽電子リフレクターを設置している。

アルテミスやメサイヤのような豪勢なものではなく、あくまでも都市の一部を覆うだけで、なおかつ1度きりの使い捨ての装置ではあるが、それ故にそれらと比較すると小型かつ分散して設置ができるようになっている。

大出力のビームでも使わない限りは、こんなことで街に被害を及ぼすことはないだろう。

ナデシコBにはこの決闘の観戦を望む面々が集まっており、その中にはジョーの元上司であるグラハムや、舞人の師匠である万丈もいる。

「エースのジョーの動きをどう思います?グラハム少佐」

「確かにジョーは昔から派手なスタンドプレーを好んでいた。だが、今回は異常だといえる」

そうしたことでユニオンの上層部から顰蹙を買うことがあったが、それでも町や民間人に被害が及ばないように気配りする繊細さも持ち合わせていた。

軍脱走後のジョーの動きについて、スメラギに頼んでヴェーダで調べたが、その様子については変わりないようで安心した。

だが、今回は対策を施しているとはいえ、それでも下手なことをすると町や人々に被害を及ぼしかねない場所での決闘を望んでいる。

そして、マイトガインに対する敵対心もらしくないといえる。

「ジョーは任務や使命感ではなく、私情…それも私怨と呼ばれる類で戦っていると私には思える」

そう口にするグラハムだが、心の中では一体どの口が…となじる自分の存在を感じた。

グラハムもまた、ガンダムによって部下を失い、フラッグファイターとしての誇りを傷つけられたという理由で道を踏み外し、外道であるアロウスに、イノベイドの一味の手先に身を落とした過去を抱いているのだから。

「それって、舞人の兄ちゃんを憎んでるってこと?」

「悪党にとっては目の上のたん瘤かもしれないが、舞人はナイスガイだと思うぜ」

嫉妬やビジネスの理由ならともかく、舞人が人に恨まれるようなイメージを勝平もパトリックも抱いていない。

それに、今回の場合は舞人とジョーの接点も何一つわからない。

「ジョーが変わってしまったこと…私はどうしても信じたくない」

「ま、どうしてかは舞人が勝って、聞き出せばいいだけの話だろ」

「ソウジさん、なんでビールを持ってるんですか?」

「こういう観戦なら、これだろ?ノンアルコールならいいだろ」

「そうじゃなくて…はああ…」

野球観戦じゃないんだから、と言いたげなチトセが頭を抱える中、モニターに映るマイトガインの姿をナインはじっと見つめる。

無論、ジョーに負けるようなことはないとナインは信じている。

だが、なぜか今回の決闘について、胸騒ぎを感じていた。

計算上はマイトガインが勝利する可能性が高いというのはわかっているのに、この機械らしくないそれが何なのかがわからない。

(頑張ってください、ガインさん…)

「艦長!飛龍、エースのジョーが接近!」

「来ました…」

上空から飛行形態でやってきた飛龍がそのまま人型形態へと変形すると、マイトガインの目の前で着地する。

「緊張しているのか?ガイン」

「大丈夫だ、舞人」

舞人にはそう答えるガインだが、宇宙世紀世界を去る中で感じた疑問がなぜかこの場で浮かんでしまう。

AI仲間であるアルと別れのあいさつを交わした際、なぜかガインは彼と永遠に会えなくなるような錯覚を覚えた。

奇妙ではあるが、あくまでもバグなのだろうとその時は一蹴した。

だが、この決闘の話となり、この場に立ってから再びあの予感を感じてしまう。

(なんだ、この感じは…?だが、そんな嫌な予感など吹き飛ばしてやる!舞人と二人で)

「逃げ出さなかったことは褒めてやるぞ、旋風寺舞人」

「余計な言葉はいらない。ここでお前との決着をつける」

「望むところだ…!」

「ジョー、この決闘については条件を付けさせてもらうぞ。陽電子リフレクターで俺たちの周囲を包囲する。だが、下手な攻撃で街を壊したくない。だから、お互いに近接武器だけで勝負するぞ」

「ふっ…いいだろう、ならば…これで満足か!?」

腰部に取り付けられていたヒリュウブレイザーが地面に落ち、変わりに三節棍を手にした飛龍がマイトガインにそれを向ける。

対するマイトガインも動輪剣を手にし、剣先を向ける。

「陽電子リフレクター、展開。ハーリー君はリフレクターの維持時間及び耐久値の管理を」

「了解!陽電子リフレクター、展開」

ナデシコからの信号を受けたビル上や上空の端末から陽電子リフレクターが展開され、飛龍とマイトガインを包む。

2機による近接武器のみでの戦い。

あとは下手に動いて陽電子リフレクターを突破するような動きを見せなければ、被害を気にしなくて済む。

「いくぞ…!!」

まず先に動いたのはジョーで、三節棍を振るい、それを舞人が動輪剣で受ける。

時折距離を前後させつつ、棍と剣がぶつかり合う。

その戦いがしばらく続いていく。

 

「やるじゃねえか、舞人、ガイン!リーチが上の棍相手に無傷だ!」

当たったとしても、フェイズシフト装甲があるためダメージは抑えられるとはいえ、不利になることの多いこの状況でまともに戦えている様子にソウジは安心感を覚える。

あとは動きを見切れば、動輪剣で叩き折ることは容易だ。

「いや…これ、何かおかしいですよ…」

「どういうこと?浜田君」

「これまでの戦闘記録から、飛龍の武器はこれだけじゃない。ライフル以外では、トンファーやジャベリンといったものもあります。それに、フェイズシフト装甲があることはわかっているのに、ビームサーベルのような武器を使う様子もない」

フェイズシフト装甲の登場から、ビーム主体となった機動兵器同士の戦闘の中で、ビームサーベルとビームライフルの併用はスタンダードとなっている。

無論、例外といえる機体も存在し、その例がフォビドゥンとレイダーだ。

ただし、フォビドゥンの場合は主力武器がゲシュマイディッヒ・パンツァーを利用して軌道を曲げることが可能な大出力プラズマビームであり、それにエネルギーとトランスフェイズ装甲にエネルギーを回すためにそれ以外を実弾兵装にしており、レイダーについては高密度に圧縮した反発材で構成された金属球を装備しており、それがフェイズシフト装甲に対してもダメージを与えることができる大型の質量武器であることから問題とはしていない。

マイトガインも同じで、動輪剣はエネルギーを回すことでビームと実弾の両方と特性を併せ持つ剣になる。

それに対して、少なくとも現在使用している飛龍の近接武器の中では、そうした特性の武器が存在しない。

(油断するなよ、舞人…。この決闘、何かがある…)

 

「そこだ!!」

何合かのぶつかり合いで動きが見えた舞人が踏み込み、エネルギーを受けた動輪剣を振るう。

三節棍の分離部分にぶつけられたその一撃は棍を叩き折り、もうその武器は用済みと判断したジョーは迷うことなくそれをその場で放棄して距離をとる。

「なるほど…旋風寺舞人、お前の腕は認めてやる。俺が本気で認められる腕を持った奴と会ったのはこれで2人目だ」

虫唾が走る男ではあるが、それでもその腕は認めるほかない。

願わくば、もっと違う形で出会うことができれば、真の好敵手とみることができただろう。

「だが…先に宣言してやる。お前は…負ける」

「何?」

「見せてやる、飛龍の真の力を」

コックピット内にあるシフトレバーを操作すると、飛龍のバックパックに奇妙な動きが発生する。

パーツの一部が外れてその場に投棄され、現れたのは舞人達にとっては見覚えのあるコーンスラスターが露出する。

「あれは…」

「嘘、だろ…」

「GN…ドライヴ…!?」

無論、現在の連合軍やザフトが利用している疑似太陽炉であれば、別に驚く話ではないだろう。

だが、舞人達が驚いたのは飛龍に搭載されている太陽炉から放出されるGN粒子が赤やオレンジではなく、緑だということだ。

 

-ヌーベルトキオシティ ヴォルフガングのアジト-

「よしよし…動いた。動いてくれた。ワシの太陽炉が!!」

太陽炉を起動させた飛龍をモニターで見ているヴォルフガングが自信作の正常な動きに目を輝かせる。

デモ用とはいえ、エースパイロットを乗せたイナクトを一瞬で無力化したエクシアを見てから早3年。

ガンダムを超えるロボットを作るためにAEUを飛び出し、その結晶となった飛龍。

普通の科学者がそれに太陽炉を取り付けることを考えたなら、コスト面で優れており、なおかつ現在では安定的な供給が実現している疑似太陽炉で十分だっただろうが、ヴォルフガングにとってはそれでは不満足だ。

多少瞬間的な出力で劣ったとしても、無尽蔵にエネルギーを生み出すことのできるオリジナルの太陽炉こそがヴォルフガングにとっては理想だ。

そして、それを生み出すことを可能としたのが、ミスターXが提供したガンダムの残骸だ。

1年前の大戦の中で起こった月面での戦いの中で撃破されたというオーガンダムで、それには破壊されたオリジナルの太陽炉の残骸も存在した。

それをヴォルフガングが修復の上、飛龍とマッチするように調整した。

無尽蔵なエネルギーを生み出せる最大の要素であるTDブランケットについては完全に破壊されていることから修復できず、それについてはヴォルフガングの独自の理論で構成された新規のパーツで補っている。

これはただのソレスタルビーイングや地球連合などの後追いではない、ヴォルフガング特製の太陽炉と言える。

「さあ、ジョー!飛龍の真の力をみせるがいい!!」

 

-ヌーベルトキオシティ 中心部-

「まさか…飛龍にオリジナルの太陽炉が…」

「無論、それだけでは芸がないな…。貴様らに敗北を教えてやる!」

ギアを変えると同時に太陽炉の出力が上昇していき、粒子だけでなく、飛龍そのものが赤い光に包まれていく。

「トランザムも使えるのか!?」

「まずい…飛龍のスペックはマイトガインと互角。だけど…飛行能力だけでなく、トランザムまで使われたら一気に話が変わる!!」

単純な出力だけでも3倍となるトランザムにより、残像が生まれるほどのスピードを発揮する飛龍に対して、マイトガインは捉えることすらままならずに翻弄される。

同時に、GN粒子を手に入れた飛龍に対してもはやフェイズシフト装甲に実弾に対する防御力が意味をなさなくなる。

「逃げろ、舞人!」

勝てない、そう覚った浜田の叫びもむなしく、飛龍のトンファーとジャベリンによる高機動戦闘にさらされるマイトガインが傷ついていく。

動輪剣がひび割れていき、装甲が傷つき、捉えられない相手に舞人もガインも焦りを覚える。

「とどめだ、マイトガイン!!」

「うおおおお!!」

正面からジャベリンを手にした飛龍が突っ込んでいき、ボロボロの動輪剣を手にしたマイトガインと交差する。

地上へ降りた飛龍は手にしたジャベリンを地面に突き刺すと同時に、バキリと音を立てて折れた動輪剣の刃が地面に刺さる。

同時に胴体が両断されたマイトガインの上半身が地面に倒れ、緊急脱出装置が起動したことで口部分のコックピットが開き、そこから舞人が出てくる。

「俺の勝ちだ、マイトガイン…」

「くっ…!!」

「舞、人…」

胴体から分離したガインが元の姿に戻り、脱出した舞人を回収する。

「すまない、舞人…」

「ガ…イン…」

「相棒を連れて無様に逃げるがいい。敗者の姿に興味はない」

「くっ…!」

負傷しているであろう舞人をそのままにはできず、ガインはジョーの言葉に従うように後退していく。

舞人とガインの敗北にシンをはじめ、ナデシコで観戦している面々も衝撃を受けていた。

「負けた…舞人が…」

「舞人の兄ちゃん…」

「貴様らは良く戦った、マイトガイン。だが…これで分かっただろう。お前の信じる正義も、力の前では無力であることを」

「見事じゃ、ジョー!あのマイトガインを倒すとは!!さあ、すぐに下がれ!ワシの太陽炉、そしてトランザムのデータをすぐにでも回収したい」

「いいだろう、これから後退する」

トランザムを維持したまま飛龍が飛行形態となって陽電子リフレクターに向けて突撃する。

猛スピードで加速する飛龍がリフレクターにぶつかると、わずかな抵抗の後でそれを突破して離脱していく。

「ボンバーズとダイバーズの皆さまはマイトウィングとロコモライザーの回収を…」

陽電子リフレクターが解除され、出撃したスペースガードダイバーとバトルボンバーが撃破されたマイトウィングとロコモライザーを間近で見ることで、マイトガインの敗北をこれでもかと実感するしかなかった。

「まさか、こんなことが…」

「すぐに…回収。来る」

「何!?」

「機動兵器が複数接近!これは…DG同盟です!」

ナデシコBのモニターに映りだされるニンジャやメガソニック8823、フロマーシュ、ニオーの大群とそれを率いる日本の刀を握る緑色のニオー。

その中には今回の襲撃のリーダーとして祭り上げられたミフネの姿があった。

「うむ…見事なり、ジョー!マイトガインを倒すとは!あとは我らが…江戸を獲る!」

「陽電子リフレクターの再展開を」

「了解、陽電子リフレクター…そんな、ユニットが!?」

敵機が接近していないにも関わらず、損傷したユニットの信号がロストし、リフレクターの展開が不可能となる。

破壊されたユニットの近くに新たな反応があり、そこにはピンクの装甲のニンジャの姿があった。

「ちっくしょう!早く出撃しねーと!ザンボット3を取りに行くぞ!宇宙太、恵子!」

「ああ!!あいつら、こんな時に!」

今のナデシコBにはエステバリスとブラックサレナなどの一部の機体しかなく、整備を終えた機動兵器の多くが待機中のトレミーかマイトステーション内にある。

「こうなったら、時間稼ぎだ!行くぞ!!」

「ああ…」

「付き合うぜ、姐さん方!」

リョーコらが乗るエステバリス3機とサブロウタのスーパーエステバリスが発進し、その後でブラックサレナも続く。

「ヴァングレイもあってよかったぜ…最も、こんだけの数相手じゃあ骨が折れるがな!」

「マイトステーションにいる機動兵器も随時発進します!ソウジさん、チトセさん、お願いします!」

「おう、任せろよ。ハーリー君!叢雲総司、如月千歳、ヴァングレイで出る!」

ナデシコから発進するとともに、まずはユニットを破壊したピンクのニンジャを探す。

現状、部隊から離れているうえに一番近い距離にいるそれが現状では一番の脅威だ。

だが、ビーム砲で狙おうとすると同時にその機体が姿を消し、反応も消える。

「ソウジさん、ミラージュコロイドです!あんな小型機に…」

「前例があるんだ、驚くことじゃねえけどなぁ!」

下手な攻撃をしてはヌーベルトキオシティに被害が及ぶ。

幸い、直掩にはリョーコの部隊がまわっている。

今できることは前に出て、味方が出撃する時間を稼ぐことだった。

 

「ミフネ様、胡蝶が戻りました」

「うむ…」

ミラージュコロイドを解除したピンクのニンジャがミフネのニオーの前でひざまずく。

コックピットには忍装束で身を包んだルンナの姿があり、彼女はモニターに映るミフネの顔を直視できなかった。

その様子に対してミフネは一言も口を開くことはなく、その代わりにミフネの隣にいるニオーのパイロットが通信に入って口を開く。

「任務に失敗した貴様にできることは一つのみ。ナデシコを沈めよ。たとえ自爆したとしても。それで、今回の失敗については帳消しとする」

「…はい」

返事をしたルンナのニンジャが再び姿を消す。

「よろしいですな?ミフネ様」

「うむ…あれほどのくのいちを切り捨てるのは惜しいが…」

任務に失敗したとはいえ、彼女が得難いくのいちだという認識は今も変わらない。

だが、失敗の報告を確認する中にあった違和感が彼女の許すことができない。

ハニートラップを仕掛けようとしたくのいちが逆にターゲットに惚れて寝返ってしまうケースも珍しくないのだから。

 

-プラント アーモリーワン 格納庫-

1年前の戦争の始まりとなる、ファントムペインによる3機のガンダムの強奪事件が発生したプラントであるアーモリーワン。

その際に戦闘で大きな被害を受けたその地には今も爪痕が残っており、かつて住んでいた住民の多くは既に別のプラントに移住している。

そこの工房では、ミネルバを模した新たな戦艦が目覚めの時を待っており、その様子をラクスが身に来ていた。

「いかがですか?出航の準備は」

「少し、時を頂きますよ。ファクトリーから手配した物資がまだ到着していませんからね。それに、ソレスタルビーイングからも…」

タブレット端末で進捗を確認しているダコスタが答えている、戦艦に積まれているのは先日にマリューがキラ達への通信で伝えられたライジングフリーダムとイモータルジャスティス、そしてインパルスSPECⅡだ。

しかし、これらはあくまでもついでという意味合いが大きく、一番の目玉がまだアーモリーワンに到着していない。

「ジャスティスはともかく、フリーダムの近代化整備用のパーツまでも…か」

「それほどの脅威がある、ということですわ。私たちの世界にも、そして…2つの世界にも」

帰還したキラ達からの報告にあった2つの世界の話、そして始祖連合国の不穏な動き。

火星の後継者をはるかに上回る災厄の存在をラクスは認識せざるを得ない。

そして、それを収束するための力をかき集め、キラ達に届けなければならない。

「スーパーミネルバ級強襲揚陸艦…まったく、大仰というかなんというかだ」

ラクスに同行しているバルドフェルドは目の前の戦艦に苦笑いする。

かつての強敵であったミネルバの発展型というだけあって、若干の抵抗感はあるものの、これがあればエターナル以上の力になりうる。

「ミレニアム…か。こんなものを、まさかザフトが提供してくれるとはな」

「まぁ…厄介払いということでしょうね。これも…かわいそうな話ですよ」

現在のザフトでは連合と共同で軍縮が進められており、ナスカ級やローラシア級のような同型艦が存在しないミレニアムは艦隊編成のしづらい存在となった。

更には、連合から融和政策の一環としてこれまでされなかった疑似太陽炉の技術供与がされることとなり、それによってザフトも疑似太陽炉搭載型モビルスーツや戦艦が今後配備されていくことになるという。

現状の最新鋭機であるゲルググメナースやギャンシュトロームも疑似太陽炉搭載機だ。

そうなると長らくザフトで運用されてきた戦艦はともかく、オーバースペックな上に疑似太陽炉を搭載する余地がないミレニアムにはもはやザフトに居場所はないといえる。

ミネルバを超えるザフトの旗艦として誕生する可能性があった分、そんな扱いに落ちぶれることとなったミレニアムにダコスタは同情せずにはいられなかった。

「まぁ、だからこそ役立ってくれるさ。我らの姫君が構想した世界平和監視機構の旗艦としてな」

「ええ…。ですが、今は3つの世界のためにこの艦が必要なのです。早急に準備を」

「了解!」

作業が進められるミレニアムの前で、ラクスは帰ってきてもなお戦い続けているキラに思いをはせる。

アスランやシン、ルナマリアがいるとはいえ、戦い続けているキラの心身が疲れ果てていないはずがない。

スーパーコーディネイターと称されていたとしても、結局のところキラもまた一人の人間でしかないのだから。

(キラ…あなたとバイクデートができるのは、いつの日になるのでしょうか…)




機体名:飛龍(改修型)
建造:ヴォルフガングによるハンドメイド
武装:ヒリュウブレイザー、機銃、三節棍、ヒリュウジャベリン、ヒリュウトンファー、ヒリュウストライカー
主なパイロット:雷張ジョー

ヴォルフガングが開発した試作可変戦闘ロボ。
コックピットには脱出装置を兼ねた車両である隼号が搭載される形となっており、操縦は車両とハンドルやペダルといった車両の運転と同じ感覚でできるようにOSが調整されている。
元々は試作機であるため、データ収集を行ったうえで発展機であるメガソニック8823完成後は廃棄される予定だったものの、ジョーの技量や機体との相性に目を付けたヴォルフガングによって完全なジョー専用機として再調整されることとなった。
その際に新たに採用されたのがヴォルフガング製の太陽炉であり、元々がオーガンダムのものであったとはいえ、地球で製造された太陽炉であるにもかかわらず外部からの供給なしでの半永久的な動作が可能なものとなっている。
それ故にトランザムも使用可能となっており、互角な戦いを繰り広げてきたマイトガインを一方的に撃破することに成功している。
なお、太陽炉の情報を可能な限り秘匿するためという目的で、ダミーとして従来のバッテリーと推進剤による運用も外部パーツの取り付けによって可能となっているが、その場合はGNソード等特有に実弾とビームの特性の併用ができなくなっている。

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