スーパーロボット大戦V-希望を繋ぐ者   作:ナタタク

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第48話 理想と現実

-オーストラリア大陸 クックタウン-

「さあ、乗ってください。ネェル・アーガマへ輸送します」

「ま、まさか…自動操縦なうえに、しゃべる機械がハロ以外にも、あるなんてな…」

ダイバーズ達が撃破されたミデアやモビルスーツから負傷者の救出を行い、バトルボンバーがサルベージを行う。

それをミスリルやソレスタルビーイングなどが作業用機体を出して手伝っている。

ミデアの乗組員の大半は既に命を落としており、その中でほんのわずかでも救出を行うことができたのは幸いだ。

ガインも彼らの手伝いを行う中、既に死に体であるこの町がこの戦闘で更に踏みつけられる現状に胸を痛める。

ヤマトなどの艦隊は既にネェル・アーガマと合流していて、ヤマトは現在、バトルボンバーがサルベージした資材を使用して補修パーツなどの準備を行っている。

ジオンは後退しているとはいえ、まだ戦力が残っている状態である以上、またここに来る可能性も残っている。

それに、もうすぐ到着するであろうルオ商会の潜水艦を待つ必要もある。

「ここまで壊してもなお、終わらないというのか…この世界の戦争というのは」

「歯止めが効かないんだよ。連邦も…ジオンも…」

プトレマイオスからワークローダーを借り、救助作業を行うキラの表情が曇る。

そして、3年前に戦った男、ラウ・ル・クルーゼが頭をよぎる。

彼はとある人物が仲たがいした妻の息子の代わりに己の後継者とするために生み出した、自らのクローン人間だ。

その男はアル・ダ・フラガで、キラの仲間であり、今はオーブで過ごしている男、ムウ・ラ・フラガの実の父親だ。

フラガ家は代々資産家で、ナチュラルであるにも関わらず高度な空間認識能力を持っている家系で、ムウもクルーゼもその血を持っていることからドラグーンなどの誘導兵器を使用することができる。

だが、能力を持つことと人柄は比例しない。

ムウから聞いたアルの印象は最悪で、傲慢で横暴なうえに疑り深いとのことで、彼自身もアルのことを非常に嫌っていた。

アルも妻の影響を受けたムウを嫌っていたことから距離を置き、それゆえにクルーゼを生み出すことを思いついた。

そこで目を付けたのは当時、コロニーメンデルでスーパーコーディネイター研究を行っていたユーレン・ヒビキだ。

コーディネイター作成禁止法下で不正にコーディネイターを制作していたG.A.R.M.R&D社に妻のヴィア・ヒビキと共に勤務しており、そのユーレンにアルは多額の投資を行うことと引き換えに、自らの素質を100%引き継いだクローン作りを依頼した。

その金のおかげで、ユーレンはスーパーコーディネイター創造のための人工子宮を開発できた。

そして、ヴィアの胎内に宿っていた二卵性双生児の受精卵から男児の方を実験台にした。

他にも、多くの胎児を人工子宮の生体サンプルとして使い捨てていき、ついに男児をスーパーコーディネイターとして生み出すことに成功した。

そして、アルとの約定を守り、クルーゼというクローンを生み出した。

だが、反コーディネイターの気運が活発化していた時代にそのような研究がされていたという話をブルーコスモスが無視するはずがなかった。

男児とその双子の女児が誕生した直後、コロニーメンデルはブルーコスモスの襲撃を受けることになり、混乱の中でユーレンは死亡し、ヴィアは行方不明となった。

子供は生き延び、男児はヴィアの妹であるカリダ・ヤマトに託されてキラ・ヤマトとなり、女児は交友関係にあったウズミ・ナラ・アスハに引き取られて、カガリ・ユラ・アスハとなった。

ヴィア本人の消息は最近までわからなかったが、地球連合軍がソレスタルビーイングとの密約で管理することとなったヴェーダで調べた結果、ようやくキラとカガリは木連が管理するコロニーでヴィアと再会することができた。

再会した彼女は施設で保護されており、長い逃亡生活と子供と離れ離れになった心労によって廃人同然になっていた。

キラとカガリの必死の呼びかけによって、ほんのわずかに意識を取り戻し、2人の名前を呼んだ。

現在はオーブに移送され、そこで治療を受けているが、意識を取り戻せるかどうかは不透明だ。

その悲劇の中で生まれたクルーゼもまた、悲劇をはらむしかなかった。

生まれたクルーゼはアルに引き取られると、厳しく徹底した英才教育を叩き込まれた。

かじりつき、必死についてきたクルーゼだが、彼には大きな欠陥があった。

体細胞クローンである彼はテロメア遺伝子の現象短縮問題を抱えており、早期に老化を引き起こすもので、それを知ったアルはクルーゼを失敗作として捨て、やむなくムウを改めて後継者としようとした。

そのことに憎悪したクルーゼはアルとその妻を殺害したが、自分のような存在を生み出し、導くことすらしなかった人類への憎しみは収まらず、それからの彼は人類を滅ぼすべく活動した。

その結果、3年前の大戦で人類滅亡の一歩手前まで世界が追い詰められた。

その西暦世界のような、人類を滅ぼす所業がこの世界でも起こるというのか。

ガレキをどかしながら、キラはそのことに悲しみを覚える。

「キラ…」

親友の悲しい様子をワークローダーに乗った状態で見たアスランは言葉をかけることができない。

3年前に地球を焼こうとした罪深き男の1人が己の父親なのだから。

物思いにふけるアスランの考えに水を差すように、ガラガラと激しい物音が聞こえてくる。

「うひょーーーー!!すっげーーー!」

先日意識を取り戻し、完全復活を果たしたであろうヴィヴィアンの声で、何が起こったのかを理解したアスランは額に手を置く。

ミスリルに雇用される形となっているアルゼナルのメイルライダー達はダナンに搭載されているカエルのような頭をしたグレーのアーム・スレイブ、サベージでガレキを片付けている。

アーバレストやガーンズバックと比較すると、電子戦装備がお粗末で、性能も低いが、コストパフォーマンスについてはかなり優れている。

また、短時間の訓練で扱えるようになり、信頼性も圧倒的にほかの機体よりも優れていることから評価が高く、整備コストも安く済むことから様々な傭兵や組織が運用している。

実際、ミスリルも多数のサベージを運用しており、ミスリルに雇用されたからという理由でメイルライダー達も宗介から基本的な運用法は学んでいる。

最初はパラメイルとは違う機体に戸惑った面々だが、信頼性もサバイバリティも上回るサベージに今では慣れている。

ガラガラと崩れて生まれたガレキの山の中からヴィヴィアンが乗っているであろうサベージが出て来て、サリアの乗るサベージが腕を伸ばす。

「ヴィヴィアン、ふざけていないで仕事をしなさい」

「…ごめんちゃい」

そんな空気の中、ネェル・アーガマから降りたダグザがやってくる。

「あなたは…?」

「ダグザ・マックール中佐です。友軍の救助及びサルベージのご助力、感謝します。ヤマト准将、ザラ二佐」

敬礼し、感謝の言葉を口にするダグザにキラとアスランも敬礼で答えるも、はるかに年上である彼から敬語を使われていることに違和感を抱く。

確かに、オーブではキラは准将であり、アスランは二佐であることは確かだ。

身内人事かと疑ったものの、2人とも2度の大戦の中で中核を担い、実際に戦果も挙げており、更には現オーブ首長であるカガリの関係者として信頼も得ていたことから軍からの支持を受けることができた。

そのことは十分理解していて、実際オーブではこのようなことは当たり前のようになっているが、それでもキラもアスランも全く慣れていない。

「我々はロンド・ベルの一員というわけではありません。故に、もうすぐ部下と共にネェル・アーガマを離れることになりますので、そのご挨拶を」

「別世界の私たちにあいさつを…?」

「うわあ、この人怖い顔なのに実は優しい人とか!?」

「ヴィヴィちゃん、駄目よ!そんなことを言っちゃ…」

おまけにマイクで周りに聞こえている。

悪気はないだろうが、それはまずいとヴィヴィアンを制止しようとするエルシャが乗るサベージが申し訳なさそうに頭を下げる。

「いや、気にしなくていい。…これも、連邦の汚れ仕事をやってきた因果というものだ」

平和を守るためとはいえ、許されざることをいくつもしてきたことはダグザも自覚している。

そのために民間人に銃を向ける、もしくはそれを巻き込んだ戦いをも繰り広げてきた。

それ故に連邦軍の中でもエコーズはティターンズに並んで嫌われ者の立場に甘んじている。

長らくエコーズに所属していたダグザも、そのことから人並みの幸せをあきらめており、家族を持っていない。

「本題を聞かせてくれ。それだけが理由で来たわけではないんだろう?」

「刹那…」

(刹那…君も、警戒しているな)

イノベイターである刹那とイノベイドであるティエリアの視線がダグザに向けられる。

その眼を見たダグザはこれまでの疑いの視線とは違うものを感じた。

色眼鏡をかけたものではない、ただまっすぐな目で隠しているものを見ようとしている。

この長い戦いで、一体どれだけの人がその眼を忘れてしまったのだろう。

そんなことを考えながら、ダグザは隠していたものを開く。

「では、率直に問おう。君たちも我々と来ないか?」

「君たち…というのは、別世界の住民である僕たち、ですよね?」

「そうだ。連邦軍は君たちを保護し、元の世界へ戻るための手助けをしてくれるだろう」

エコーズは連邦の特殊部隊であり、Gハウンドほどではないが、司令部にも顔が利く。

ダグザなら、司令部に口添えすることで、連邦軍を動かすこともできるだろう。

だが、何事もただでできるというわけではない。

「その見返りとして、連邦軍の一員として戦争に参加しろというのか?」

「まぁ、当然といえば当然よね。世の中、無償なんてものはそう簡単に存在しないから」

「君たちの力があれば、早期に地球からジオンを追い出すことができるだろう。それに、ジオンに協力している謎の組織のこともある」

秘密裏にではあるが、部下には既にヤマトをはじめとした異世界の機動兵器や戦艦の情報をつかませている。

解析不能なものや現行の連邦やジオンの技術では再現が不可能なものもあるが、一つ言えることは、それを囲い込むことができれば、連邦にとって大きな戦力になることだ。

それを見ないふりでいることなど、ダグザにはできない。

連邦の体制とその中で生きている人々を守るためには、その力を手に入れる必要がある。

「それは、我々だけで判断できるものではない」

「そういった話は僕たちではなく、沖田艦長やスメラギさん相手にすべきではないでしょうか?」

今は行動を共にしているが、実態は様々な組織や軍、個人による寄せ集めの集団。

この面々の中で、軍の階級では一番上のキラも、ここでは一モビルスーツパイロット。

指揮官である沖田やスメラギ、ルリに話すべき内容だ。

そのことは長年軍にいるダグザも分かっているだろう。

「私は…君たち個人の意見を聞きたいのだ」

異世界から来た人間から見て、この世界がどう映るのか。

ただ目をそらすのか、それとも他人事とせずに戦うのか?

指揮官に話すだけでは、下でわだかまりが残る。

「今は…答えられません」

「まだこの世界の状況のすべてを理解しているわけではありません。ですので、考える時間をください」

テレサからこの世界のことをあらかた説明されているとはいえ、それでもこの世界のすべてを理解したわけではない。

キラとサリアの返答は論理的だ。

「そうか…だが、残された時間は少ない。それだけは理解してもらうぞ」

それが分かっているダグザは無理強いすることはしない。

表情一つ変えることなく、ネェル・アーガマへと戻っていく。

「ふああああ…びっくりしたぁ。いきなり銃を抜いてくるかと思ったよぉ!」

「すごい迫力でした…」

ヴィヴィアンはともかく、こうした強面の軍人と会ったことのないモモカにとってはダグザは恐ろしい人物だった。

こうした殺伐とした世界ではそうした軍人が多いのかと感じてしまう。

「けれど、本当に切羽詰まった状況みたいね」

「ネオ・ジオンと連邦の戦争ってのはだいたい分かった…。けれど、聞いた話ではどっちもどっちって感じね」

「確かにな…主義主張のぶつかり合いや領土争いではなく、もう完全に感情のぶつけ合いになってるっぽい」

まさに、3年前の戦争の最終局面そのものだが、それでもジェネシスや核ミサイルが堂々と使われていないだけましだろう。

だが、そうした紛争程、根が深い。

武力介入をして、その場の戦闘を止めることができたとしても、時が来たら再び銃を手にする。

どこかで妥協点を見つける政治家が仕事をして、公的に引き留める手段を得なければ、永遠に終わらないだろう。

「そうやって、憎みあうことを続けていたら、戦いは終わらないのに…」

「きれいごとを言うのはやめな。所詮は殺し合いなんだから」

ヒルダにとっては連邦もジオンもどうでもよかった。

ドラゴンと殺しあってきた彼女にとって、その戦いが人間同士になっただけのこと。

お互いに相いれない、殺しあうしかないのであれば、それが一番手っ取り早い。

もしかしたら、テレサがいっていた最後の戦いで共倒れになれば、すっきりするんじゃないか。

「でも、だからって…」

「ぐだぐだ言ってないで、現実を見つめなよ。殺さなきゃ殺される世界に、あたし達も踏み込んじまったんだから」

おびえたり、少しでも戸惑えば殺される。

この世界でロザリーとクリスが殺されるような事があってはならない。

そうならないためにも、たとえ人間でも迷わず殺す。

それくらいの覚悟はして、ヒルダは行動を共にしている。

そんな彼女にとって、臆病なキラはたとえ最強のスーパーコーディネイターであったとしても、邪魔者でしかない。

言い返す素振りを見せないキラをかばうようにシンが歩き出す。

「そのきれいごとを忘れてしまったら、いつまでたっても世界は変わらない」

「シン…」

「ここにも、現実が見えてない馬鹿がいたよ」

キラとわだかまりを抱えるシンがかばったのはアスランにとって意外だった。

また何か文句を言おうとしているのかと邪魔者が増えたヒルダはシンをにらむ。

「確かに、現実は戦いを避けては通れない。でも、理想とか信念とか、根っこのようなものを忘れてはいけないと俺は思うんだ」

宇宙に進出し、ニュータイプやコーディネイターというものが生まれてもなお、戦いを断ち切ることはできなかった。

ほころびが生まれ、食い物にする人間が生まれる限り、戦いは続くだろう。

だが、宇宙へ出たのも、コーディネイターが生まれたのも、戦いを起こすためじゃない。

増えすぎた人類によって食い尽くされる前に地球を保全するため、人類の可能性を最大限に引き出すため。

人がもっとより良い方向へ行けるようにするためにそれらは始まったはずだ。

そのことを忘れてしまったから、悲惨な戦争が起こってしまった。

そして、その戦争で両親は死んでしまい、妹は苦しむことになった。

自らもその当事者になってしまった以上、そのことから目を背けることはできない。

「ありがとう、シン…それに、ヒルダも」

「え…?」

「ヒルダは僕のことを心配して、あんな風に言ってくれたんだね」

「へえ、優しいんだ…」

「そ、そんなわけないだろ!?」

キラと煽るアンジュのせいで、完全に調子が狂ったヒルダはまだやることがあると言って逃げるようにその場を離れていく。

持ち場に戻る途中で、うっかり乗っていたサベージがガレキに躓いて転んでしまい、ナオミのサベージに助けられる始末で、その有様にアンジュはざまあ見ろと笑った。

「キラさん…」

「ナイスフォローだったぞ、シン。おかげでキラが助かった」

「俺は…持論を言っただけですから」

キラやアスランの影響を受けたこともある。

だが、それ以上に、あの戦いの中で、ひどい痛みが伴う経験をした中で学んだことであることが大きい。

だからこそ、今は共に戦っている。

もう2度と、自分のような戦争で親を失う子供が増えないように。

ステラのような悲しい少女を生み出さないように。

「その持論というものを…言い換えれば、信念というものを捨ててはならぬぞ」

「沖田艦長!!」

ヤマトの艦長室で待機しているとばかり思っていた沖田が現れたことに気付き、アンジュ以外のその場の面々が自機から降りると、彼に向けて敬礼しようとする。

「ああ、そのままでいい…。かしこまらんでくれ。ワシも、この目で状況を確認しに来ただけだ」

最も、佐渡からは止められたがと、しかりつけてくる彼の顔を思い出す。

自分を気遣ってくれることはうれしいが、それでも自分の足で歩き、自分の目で見なければ感じることができないものもある。

それを大切にしてきたから、長年軍人を務めながらも、生き抜くことができた。

優しい目で語り掛ける姿に、不意にシンはトダカ一佐のことを思い出す。

トダカは両親を失ったときにシンとマユを救ってくれたオーブの軍人で、オーブ残留を拒む彼のために2人がプラントに移住できるように働きかけてくれた。

いつか再会し、その時の恩を返したいと思っていたシンは戦後、オーブへ出向した際に彼の行方を捜し、その中で彼が戦死したことを知った。

そして、その原因が自分が彼が乗る艦であるタケミカヅチを討ってしまったためだということも。

1年前の大戦時、オーブは一時的にセイラン家に権力を掌握され、彼らの方針によって連合に従属していた時期がある。

その中で、クレタ沖でミネルバと交戦し、トダカも戦場にいた。

かつての恩を仇で返す結果となってしまったことを知ったシンはトダカの墓へ向かい、遺族にも謝罪している。

戦争だから仕方がない、ミネルバを守るためにはしょうがなかったことだと付き添ってくれたルナマリアからも遺族からも言われたが、それでも自分自身が許せなかった。

「赤い海と破壊された街…この世界も、本当にひどいものですね…」

「そうだな…」

「そちらの世界も似たようなものだったと聞きますけど…」

ソウジらから新正暦世界の地球の状況を聞いているアンジュは古代と沖田に別世界の地球を気遣う余裕がまだ残っていることに驚いていた。

この世界にいる間でも、1年というタイムリミットが迫っているというのに。

ヤマトの乗組員の大半は地球やまだ生き残っているコロニー、そして避難先となっている火星で家族や親しい人を残しているのに。

「確かにな…。だが、地球が人類同士の戦いで滅ぶのだとしたら、それは悲しいことだ」

実際、新正暦世界では110年前の第2次ネオ・ジオン抗争において、宇宙世紀世界では1年前のネオ・ジオン抗争で、ネオ・ジオン総帥であるシャア・アズナブルがアクシズを地球へ落とそうとしていた。

その目的が地球連邦のモグラを粛正するため、人類を地球から無理やりにでも追い出して宇宙へ進出させることで地球を守ろうとするためだったともいわれているが、それでも彼のやったことは地球を死の星へと変えてしまうこと。

人類のエゴで地球が滅びるような事態を二度と起こしてはならない。

たとえそれが別の世界の地球であったとしても。

「沖田艦長はそうならないためにも、戦争に介入すべきだとお考えでしょうか?」

この世界を他人事とできないうえに、既にガミラスが介入している。

ガミラスがどのような行動をとるかは不透明だが、それがどのような結果になるかは既に知っている。

アスランも決めかねてはいるが、少なくともガミラスを放置するわけにはいかないとは考えている。

「我々と同じ異星人であるガミラスが戦争を加速させることは止めねばならんと考えている…。だが、それ以上のことは使命や義務感ではない…。個人の信念の問題だろう」

「信念…」

「先ほどのダグザ中佐も、それを忘れていないことを願う…」

長く軍人をやっている中で、かつて抱いていた信念を捨てた、もしくは捨てざるを得なかった軍人を山ほど見てきた沖田には、彼がどのような未来をたどるかはわからない。

せめて、そんな現実に負けた軍人にならないことだけを願うしかない。

自分よりも若く、頑丈なはずの人間の死を見るのはたくさんなのだから。

「艦長、全員に帰還要請が出ています。連邦軍がこちらに接触しようとしています」

古代の言葉に沖田の恐れていた未来が頭に浮かぶ。

おそらく、それはダグザの接触していた面々全員が感じていることだった。

同時に、要請された内容の中には異世界の機動兵器のうち、ネェル・アーガマに搭載可能なものはすべて乗せるようにというものもあった。

「古代…もうしばらくワシと付き合ってくれ…」

「え…?」

 

-ネェル・アーガマ 格納庫-

「よし…そのモビルスーツはここでいい。配置しろ」

コンロイの命令を元にエコーズの隊員の誘導によって、ヴァングレイやストライクフリーダム、ヴィルキスなどが次々と格納庫に並べられる。

元々搭載されていたデルタプラスやジェガン、リゼルなどは逆に運び出され、ネェル・アーガマの前に置かれていく。

「コンロイ少佐、これは一体どういうことだ!?」

艦橋にいるオットーからの放送が聞こえ、コンロイの脳裏にオットーの困惑した表情が浮かぶ。

「別世界の機動兵器とパイロットをここへ集めたことについては、確認のためです。どの組織にも所属していない戦力なので、正確に把握する必要があります」

ネェル・アーガマに搭載しきれないものについては所属艦に戻させており、他のエコーズの隊員たちが監視している。

「おいおい、別れの挨拶にしては物騒じゃないか?」

ヴァングレイから降りたソウジはエコーズが握っているライフルに目を向ける。

おそらく、抵抗したらパイロットを殺すことも選択肢に入れているのだろう。

最悪の場合は機体だけでも確保するつもりでいる。

「ソウジさん…」

「チトセちゃん、出てくるなよ。ナイン、そっちはどうなんだ?」

「キャップ、ボディはヤマトに隠してあります。最悪の場合は、こちらからヴァングレイを遠隔操縦することも可能です」

「そいつは良かった…」

ナインは最悪の場合、ボディを捨て、ネットワークを通じてヴァングレイに戻ることができるだろう。

何かあった場合はヴァングレイを起動して、どうにか抵抗することだけはできるだろう。

だが、ヴァングレイ1機だけではこの状況を打開することはできない。

それに、抑えているのがエコーズだけとは限らない。

(エコーズめ…いよいよ動き出すか。まあいい…。ユニコーンは少なくとも、このバナージが動かせることが分かっている。あとは立ち去るだけでいい…)

ダグザから極秘裏に話を聞いていたアルベルトは比較的冷静だ。

ユニコーンもνガンダムをはじめとしたロンド・ベルのガンダムタイプ共々、ネェル・アーガマにある。

エコーズがバナージ諸共接収したとしても、そこから情報をもらうことで目的は果たせる。

問題はこれから起こるであろう火の粉からどう逃れるかだ。

「これは…艦長、シムルグが接近してきます」

「Gハウンドの母艦か…」

直掩のリゼルやジェガン、そしてジェガンがより重装甲な姿になったといえる様相のモビルスーツであるグスタフ・カールとそれを乗せているミサイルランチャーを下部に2門搭載した黒いサブフライトシステム、ケッサリアに守られ、クックタウンにシムルグがネェル・アーガマらと対峙するように姿を現す。

「巨大な輸送機…!?」

「ガルダだよ、連邦のデカイ輸送機さ」

大気圏内で飛行可能な戦艦や輸送機を西暦世界で数多く見てきた舞人にはそれを上回る巨大なシムルグの姿に驚愕していた。

核融合炉やファンネル、そしてガルダ級。

ZZやΞガンダム、アーバレストを見て分かっていたことだが、改めて宇宙世紀世界の西暦世界とは違う技術力の高さに驚くしかなかった。

「Gハウンド…これは、面倒なことになりそうだぜ。おい、そこのお前」

「何です…?」

ナイジェル共々、異世界のパイロットやガンダムチームとは別に格納庫の出入り口付近に固まった状態で移動させられていたヨナはいきなり声をかけられたことに動揺する。

「頼みたいことがある…」

 

-シムルグ 艦橋-

「ふん…これが異世界の機動兵器。モビルスーツもあるようだが、様相も技術もまるで違う…」

艦長席で、タブレット端末でヴァングレイなどの機体データを見るケネスはこれから接収することになっているそれらの機動兵器の技術に興味を抱く。

太陽炉に核分裂炉、宇宙世紀世界の核融合炉とは違う動力源やエステバリスのようなエンジンを必要としない機動兵器。

情報によると、パイロットの技量もかなりのものとのことだ。

ぜひ技術や機体操縦についての話をしてみたいとは思うが、今回の命令から判断すると、それは難しくなるだろう。

「ただちに異世界の戦艦と機動兵器、パイロットの確保…。抵抗する場合は破壊もやむなし、か…」

おそらく、エコーズが送った情報を元に総司令部が判断したのだろう。

元の世界ではどうかは知らないが、この世界ではあくまでも無所属の軍事力でしかない。

ジオンと交戦したようだが、それでもその刃が連邦軍に向かわないとは限らない。

司令部が気に入らないのは彼らがロンド・ベルに協力していることだろう。

司令部から見ても、ロンド・ベルのジオンへの態度は消極的だ。

それ故に今回の件はロンド・ベルの力をそぎ落とし、Gハウンドの戦力を伸ばすチャンスになる。

最も、最新鋭の量産型モビルスーツであるグスタフ・カールを最優先で配備されるなど、数々の便宜が図られている時点でやりすぎではあるが。

「ケネス大佐」

「オープンチャンネルで頼む。穏便に済むに越したことはないが…」

ここにブライトがいたなら苦戦したが、肝心のブライトはラー・カイラムはここにおらず、現地にいる最高階級の人物はオットー。

最悪の場合はエコーズが掌握するシナリオとなっているが、彼らに恩を着せるようなことはしたくないというのがケネスの本音だ。

「こちら地球連邦軍所属Gハウンドの司令官、ケネス・スレッグ大佐だ。司令部からの命令により、これよりロンド・ベルは地球連邦軍総司令の指揮下に入ってもらう」

「何だって!?そんなこと聞いてないぞ!?誰が好き好んでGハウンドなんかに!」

ケネスの通信でロンド・ベルの隊員たちの間に動揺が走る。

副長のレイアムが混乱を沈める中、オットーもオープンチャンネルで返事をする。

「こちら、ロンド・ベル所属ネェル・アーガマ艦長のオットー・ミタス中佐です。その命令についてはブライト大佐の承認を得ているのですか?」

独立部隊として認められているロンド・ベルは司令部によって独自行動も認められている。

仮に指揮下に入る場合があるとするなら、司令官であるブライトの許可を得なければならないと規定されている。

「貴官も戦況を理解しているはずだ。今は戦力を集中する必要があると総司令部が判断した」

「その集中させた戦力で不毛な殲滅戦を仕掛けるというならば、我々は断固として拒否する」

(やはり、そう答えるだろうな…)

ロンド・ベルの構成員や志願する兵士の大半が今の連邦とネオ・ジオンの戦争について疑問を抱いている兵士だ。

故に全面戦争を避ける声が大きく、司令官であるブライトたちも同じ考えだ。

ネオ・ジオンの殲滅によってすべてを終わらせるという考えのGハウンドとは水と油だ。

「了解だ。この件については引き続き話し合うこととしよう。しかし、行動を共にしているイレギュラーについてはロンド・ベルやミスリルの指揮下に入っているわけではない。故に、我々に引き渡してもらう」

やはり狙いはそれか、オットーの額に冷たい汗が流れる。

残念なことに、ソウジ達異世界の部隊にはロンド・ベルと同じ権限が与えられているわけがない。

そして、今彼らが最も欲しているのは未知の技術を持つそれらの、特に兵器化できるものだろう。

それを1年前に起こったような隕石落としやコロニー落としの報復として使うこともあり得る。

だが、彼らはジュドー達を助け、ネェル・アーガマのモビルスーツ部隊を助けてくれた恩人。

はい、そうですかと差し出すつもりはない。

「引き渡すと言われても、彼らは連邦軍に所属していない以上はその命令に服する義務はありませんぞ」

「この非常時に現れたイレギュラー…。先日、似たようなイレギュラーによって連邦の部隊が壊滅したという情報もある。仮にそのイレギュラーと関係を持っていた場合、背中から撃たれる可能性もある。そのような可能性はたとえ微々たるものだとしても放置するわけにはいかない。それが総司令部の判断だ」

「コンロイ少佐…彼らを集めたのはそのためか?」

「はい…」

「だからと言って、こんなやり方があるのか!?善意の協力者である彼らをその意思を確かめずに引き渡せるか!?」

仮に背中から撃つつもりなら、既に彼らは行動を起こしている。

無理やり周囲の機動兵器を起動させ、攻撃を仕掛けているはずだ。

それをしていないし、2度もこちらの世界の軍人を助けている。

話によれば、その別のイレギュラーであるガミラスとは敵対関係にある。

そのことを考えると、今後裏切る可能性は限りなく0と言える。

「貴官はそのようにお考えか?貴官が言う民間人を巻き込む不毛な殲滅戦も、この泥沼の戦争を早期終結するための必要悪だ」

「そんなものは必要ない。これまで同様、速やかに敵中枢を叩けば、戦争を終わらせることができます。現に、そうしてきたはずです」

ハマーン・カーンもシャア・アズナブルもそうして倒したことでネオ・ジオンの戦闘行為を終わらせてきた。

確かに散発的な戦いはあるが、大規模な戦闘になることだけは防ぐことができている。

「確かに、それを成し遂げたロンド・ベルの諸君の功績は素直に認めよう。だが、それでは根本的な解決にならない。再び神輿を用意して、ネオ・ジオンは再び立ち上がる」

「だから、コロニーを攻撃して、スペースノイドを屈服させるというのですか!?グリプス戦役、ティターンズの過ちを忘れたのですか!?」

グリプス戦役でティターンズが使用したコロニーレーザー、グリプス2を試射としてサイド2の18バンチコロニーを攻撃し、住民全員を虐殺する暴挙に出た。

そのコロニーはグリプス戦役では中立を保っていて、避暑地として設計されたことから裕福な階級の人々に愛されていた。

ダカール演説によってティターンズの求心力が急落する中で、スペースノイドを屈服させたという証を手に入れようとしていたようだが、この行動が逆にスペースノイドのさらなる反感を買うことになり、地球への物資供給を停止するコロニーが増えることになった。

一年戦争とゲッター汚染、セカンドインパクトから十数年かけて復興してきた地球だが、荒廃したその大地で生きていくためにはコロニーからの物資供給が必要不可欠で、コロニーに見捨てられたことで地球の住民が苦しみ、その原因を作ったティターンズに怨嗟の声を上げるようになった。

この荒れ果てた地球を守るにはスペースノイドの協力も不可欠だ。

「ジオンとて、アクシズ落としやコロニー落とし、都市部への攻撃も行っている。そのための報復措置は必要なことだ」

「それを繰り返すと、本当に地球も人類も終わるのですぞ!?総司令部は分かっているのか!?そうなれば先に地球が力尽きるのですぞ!?」

力で押さえつけ続けても、スペースノイドは決して地球に頭を下げない。

最後まで戦い続け、過激なテロや戦争を起こす。

そして、衰退している地球は滅びる。

Gハウンドと総司令部の行動は地球を守るためと言いながら、地球を滅ぼしているのだ。

「…どうやら、どこまでも平行線となるようだ」

「当然です。彼らの意思をこちらで確かめ、結果は報告させてもらいます」

「…すまないが、その時間は残されていない」

 

-ネェル・アーガマ 格納庫-

「全員、動くな!!動いたら、射殺する」

ケネスとオットーの交渉が決裂したと同時に、エコーズの隊員たちは安全装置を外したライフルをソウジ達に向ける。

ネェル・アーガマにいる面々は武器を持っておらず、手を挙げることしかできない。

「どうやら…ロンド・ベルのメンバーではない僕たちを何があろうと接収するつもりだろう」

「そして、行きつく先は市民をも巻き込み、コロニーを破壊する殲滅戦。それでは、コロニーを落としたジオンと何も変わらないぞ…!」

「既にネェル・アーガマ及び他の戦艦はエコーズが掌握している。抵抗するならば、外の仲間にも危害が及ぶぞ!」

「ダグザ中佐…これは!!」

アスランの視線が彼らの指揮をしているコンロイ、そしてダグザに向けられる。

「悪く思うな。これが俺たちの任務だ」

「おっちゃん達はネェル・アーガマをスパイしていたってのかよ!?」

「ユニコーンの監視も兼ねてな…。おとなしくこちらの指示に従ってくれ」

「ふざけんなよ!汚い真似をして!それでも、軍人かよ!!」

頭に血が上り、ダグザに食い掛ろうとする勝平をエコーズの隊員が取り押さえる。

うつ伏せにされた勝平に恵子と宇宙太が駆け寄ろうとするが、他の隊員に阻まれる。

「やめてください!こんなやり方が正しいはずがないでしょう!?」

「…総司令部の決定だ。我々は、それに従うだけだ」

ボロボロになった地球に秩序をもたらし、人々を守っているのは地球連邦軍と地球連邦政府。

それを守るための判断なら、たとえ非道なものであっても遂行する。

エコーズは常にそうして、連邦の歯車として人々を守って来た。

たとえ後ろ指をさされ、守ってきた人々に唾を吐きかけられることになっても。

「あのさ…今の自分の顔、鏡で見たら?」

「何?」

「あなた…今の自分の顔、どういう感じになってるか分かってる?軍人は市民を、国民を守るために戦う…。あなた、こんなやり方をしていることを守るべき人に胸を張って言えるの?」

アンジュの知っている軍人、アンジュリーゼであった時のミスルギ皇国で銃を持っていた軍人たちは全員がミスルギ皇国と皇族、そして国民を守るために鍛錬を積み、そのことに誇りを持っていた。

だから、国民はそんな軍人を尊敬していた。

ダグザ達のやっていることはその真逆。

強面の彼の表情が若干険しいものになっていることから、彼の中の動揺がアンジュにはわかる。

「戦争を終わらせるためだ…やむを得ないことだろう」

「目的のためなら手段を選ばない。その気持ち…分からなくはないわ。だけどね…人としてやってはいけないことに手を出したら、もう二度と人間には戻れないのよ!」

「…お前に、何が分かる…!」

アンジュの言葉が図星だったのか、わずかに震えた声で答え、険しい視線をアンジュに向ける。

まだ16歳の子供に、宇宙世紀世界で生きてきたわけでもない、過酷な戦争と破壊が続く地球で生きてきて、それに巻き込まれて死にゆく人々を見てきたわけでもない彼女にわかるはずがない。

「分かるよ…。だって、私ももう、戻れないから」

「アンジュリーゼ様…」

たとえ、モモカが何度も彼女をアンジュリーゼと呼んだとしても、ノーマとなり、メイルライダーとしてドラゴンを殺し続けるアンジュはもう戻れない。

何も知らない無垢なアンジュリーゼには戻れない。

だが、ダグザはまだ引き返せるところにいると信じたい。

「我々は軍人だ…。軍人は命令に従って、行動するまでだ!」

「じゃが…果たしてそれが、最善の道であるかな?」

「何!?」

急に沖田の声が艦内に響き渡り、エコーズに動揺が走る。

ヤマトもエコーズが掌握し、既に第一艦橋も抑えているはずなのに。

格納庫に備え付けられているモニターが起動し、そこには艦長席に座る沖田の姿が映る。

「ダグザ中佐…ワシはヤマトの館長を務める沖田十三宙将だ。すまないが、艦は取り戻させてもらったぞ」

「何…?」

「ようやく出番が回って来た、といったところか」

第一艦橋の隅には気絶したエコーズの隊員たちが山のように集められていて、ちょうど鉄也がもう1人の倒したエコーズ隊員をその山に放り込んでいるところだった。

「さて…竜馬。うっぷん晴らしのあまりにやりすぎるなよ…」

 

-ヤマト 医務室-

「まったく、厄介なことだ。そんな物騒なものを見せられたら、酒がまずくなるというものじゃわい」

エコーズの兵士によって出入り口を封鎖され、原田とトビア、そして治療中のトビアとヒルダ共々監禁される形となったにもかかわらず、佐渡は愛飲している清酒『美伊』を飲む。

なお、ヒルダはガミラス人であり、肌の色も人間と全く異なることから見つかるわけにはいかず、奥に隠れてもらっている。

「貴様らの中に、ヤマトに置かれている、損傷したガンダムを操縦しているパイロットがいるはずだ。名乗り出ろ!」

(X3のことか…。それに、エコーズは…)

「トビア…」

「ああ、分かってる。キンケドゥさん達はネェル・アーガマにいる。あの人なら大丈夫だと思うけど…」

問題はここをどう切り抜けるかだ。

傷がある程度治っているトビアだが、丸腰で訓練された軍人複数人と白兵戦を挑むわけにはいかない。

万が一、ベルナデッドらが人質にされるとさらに状況が悪くなる。

動けない中で急に医務室のドアが激しい音を立てて開く。

「何だ!?侵入…」

「うおらぁ!!」

振り返り、銃を向けたエコーズ隊員に大きな何かと飛び込んできて、それにぶつかったことで気を失う。

中に入ってきた男を見て、トビア達の表情が和らぐ。

「竜馬さん!」

「よぉ、元気そうじゃねえか、トビア。こちとら、ようやく出番が回ったところだからな。第一艦橋はもう鉄也の野郎が取り戻した」

気絶した隊員からライフルを奪った竜馬の耳に、こちらへやってくるエコーズ隊員の足音が聞こえてくる。

急いで医務室を出た竜馬は服に隠していたグレネードランチャーを手にする。

「オラオラぁ!!死にたくねえなら道を開けろぉ!!」

次の瞬間、ドゴォンと爆発音が響き渡り、耳をふさいだトビア達は竜馬のまさかの行動に困惑する。

「か…仮にも味方の艦の中でグレネードランチャーを使う!?それに、いつの間にそんなものを…」

 

-ナデシコB 艦橋-

「…!」

アキトが木連式・柔でエコーズ隊員を投げ倒し、持っているピストルで離れている隊員のライフルを狙い撃つ。

「くそ!やむを得ん!この男を殺せ!」

バイザーと黒衣の男は危険だと判断したエコーズ隊員がアサルトライフルを発射する。

だが、銃弾は彼に命中する寸前のところで何かに阻まれたかのように動きを鈍られ、次々と床に落ちていく。

「銃が効かないだと!?どういう手品なんだ!?」

携帯型ディストーションフィールド発生装置の存在など知るはずもなく、ましてや銃弾を弾くバリアの存在など見たことも聞いたこともないエコーズ隊員は困惑する。

艦内へのダメージを最小限に抑えるため、ライフルしか持たされていない彼らは接近戦を仕掛けようにも、近づいたらどうなるかはアキトの後ろに倒れているエコーズ隊員たちが教えてくれている。

「おとなしくしろ、お前たちでは…俺には勝てない」

「く、う…!」

気絶した隊員の中で、かろうじて意識を取り戻そうとしている隊員がいて、彼は腰にあるホルスターにある拳銃を抜く。

もしかしたら、後ろからなら殺せるはずだと考え、引き金を引こうとするが、ゴンと頭に強い衝撃が走り、再び意識を闇へと落とした。

「はふぅ…」

「おとなしくしてて…」

先ほどの隊員の頭をライフルで叩いたココは間に合ったことに安堵してその場に座り込み、警戒するミランダは相手がやってこないことを願いながら銃を構える。

そして、エコーズの動きを封じた中でアキトらに守られたルリが艦長席に座る。

「それでは、皆さん…。少しだけおとなしくしていてください…オモイカネ」

「何!?うわあああああ!!」

急にエコーズ隊員たちの体をバチバチとはじける痛みが襲い掛かり、白目をむいてバタバタと気絶していく。

オモイカネを介してナデシコBの艦内防衛機能を起動させ、艦橋のちょうどルリから見て前にいる彼らに対してスタンガンレベルの電気ショックを加えた。

「ルリちゃん…頼むよ」

「はい、それでは…いきます。ナイン、アルさん」

「はい、行きます…!」

「了解」

ヤマトにあるソウジの部屋で待機していたナイン、そしてダナンに待機しているアルがルリの通信に応える。

確かにエコーズの隊員たちは一般の軍人よりも練度がはるかに高く、数も上回る。

鉄也や竜馬、舞人らも肉弾戦ができるが、数が多いうえにそれが難しい人員を守りながらでは明らかに分が悪い。

そして、超AIを搭載しているガイン達については手際よく拘束具をつけたことについては評価はできる。

しかし、誤算があるとするならルリとナイン、そしてアルがいることだ。

 

-ネェル・アーガマ 格納庫-

「なんだ!?動き出したぞ!?」

「オートパイロット機能か!?だが、それはロックしたはず…うわあああ!!」

急に動き出したヴァングレイやスカルハートなどがエコーズ隊員たちをマニピュレーターでつかんで拘束していく。

ネェル・アーガマだけでなく、他の艦の格納庫の機動兵器も動き出していて、それらがエコーズ隊員たちを次々と捕縛していく。

「おい、どうした!?B班応答しろ!おい!!」

コンロイが他の部隊の状況を確かめるべく、通信をつなげようとするが、雑音が響き渡るだけで返事がない。

「作戦成功だな、ナイン」

「この程度なら、ルリさんと一緒なら朝飯前です。船外にあるモビルスーツもついでに動かして、彼らを拘束しています」

ルリの力でオモイカネを介して味方機動兵器やワークローダー、プチモビをハッキングする。

さすがのルリでも現状のナデシコBのセンサーやシステムを使っても、複数機を一気に使うのならば大雑把な命令しか出すことができないが、ナインとアルが持つ機体制御機能を借りることで精密な動きを可能にしている。

ナインもアルも個人の機能ではそれぞれ個別の機体しか制御できないが、オモイカネとルリのハッキングによってほかの機体への出入り口と操縦システムを確保してくれるおかげで活路が開ける。

訓練されたとしても、人間であることには変わりないエコーズ隊員に無人のはずの機動兵器たちによる奇襲攻撃は効果があり、次々と拘束していく。

「ダグザ中佐…」

「…」

次々と捕まる隊員たちをどうにか解放しようと銃を手に取るダグザの手が止まる。

「君は命令に従って行動している。軍人として、それは当然のこと…正しい行いだ。だが、軍人であっても、一人の人間として行動しなくてはならん時がある」

「一人の人間として…」

「人は間違いを犯す。もし、それが命令だったとしても、間違っていると思うならば、立ち止まり、自分を貫く勇気も必要だ」

もし、命令に従って行動するだけならば『軍』であっても、『人』ではないだろう。

何かに従うだけなら人でなくてもできることだ。

だとしたら、なぜ『軍人』でなければならないのか。

時に暴走や不幸な未来を呼び寄せる命令に対して、最後に抵抗できるのは人しかいない。

「なら…我々は、私は…そうすればいいのです?」

叶うなら、もっと良い方法があるのなら。

こんな汚れ仕事をせずともいいのなら、それを迷わず選びたい。

だが、血塗られた自覚の有るダグザにはその手段が思いつかない。

「答えは既に出ておる。少しだけ、周囲に耳を傾けることができるのなら、それに気づくことができるはずだ」

「ダグザ中佐!!」

タタタと格納庫に走ってくる音が聞こえて来て、名前を呼ばれたダグザがその方向に目を向ける。

声を上げたのはバナージ、インダストリアル7でダグザ達が救った少年少女の中の一人だ。

「バナージ・リンクス…」

「貴様…!部屋に待機を命令されていたはずだ!」

まだ捕まっていない隊員が威嚇のために銃を向けようとする。

だが、その銃をダグザの右手が遮った。

「隊長…!?」

「ダグザ中佐…インダストリアル7で俺たちを救ってくれたあなたがこんなことを…!?」

「市民を守るために行動するのが軍人だ。それに従っただけだ」

「誰かを守るために戦えるはずのダグザさんが…こんなことをするなんておかしいですよ!」

「やむを得ないことだ…。今、こうしている間にもネオ・ジオンが攻撃を仕掛け、人々が死んでいっている。もうこれ以上の犠牲を増やすわけにはいかん。そのためにも、ネオ・ジオンを叩くためにも力が必要なのだ」

「そんな方法に…それに囚われているから戦いは終わらないんです!それに、戦争を終わらせる方法はほかにあります!!」

「何…!?」

「1年前のアクシズ・ショックを…あの光を見たことがあるでしょう!?あの時、何も感じなかったんですか!?」

アクシズ・ショックが起こったとき、ダグザのチームは地上で軍上層部の避難活動を行う中で、バナージはインダストリアル7のテレビでその光を見た。

サイコフレームのことは知らず、どうしてその光が生まれたのかはわからなかった。

だが、その光は自分たちの心に何かを訴えていて、光が広がる中、連邦もネオ・ジオンも戦闘を止めて、その光に魅了されていた。

「バナージ…」

「あの場にいた人たちはアクシズが落ちるのを止めようとしたって聞きます!連邦もジオンも関係なく!」

確かに、あの光を生み出したサイコフレームはνガンダムが生み出したかもしれない。

だが、バナージはあの光を生み出すきっかけになったのはアムロだけではなく、その地球を守ろうとした人々全員の力だったと考えている。

全員がほんのわずかでも地球を救える可能性があるならと命を顧みることなくアクシズを押し、その中で死んでいった人もいる。

連邦とジオンが一つになれる可能性が示された。

「可能性があるんですよ!みんなが分かり合えるって!」

「…そのような世迷言に付き合う余裕は、連邦軍には…」

「俺はそれでも、信じます…。人の可能性を」

「…」

直視できないほどのまっすぐで純粋に信じる心。

長い間ずっと忘れていたもの、理屈ではない大きな何かを、捨てた気でいたものを思い出してしまう。

「俺もです」

「俺も信じるぜ!バナージ兄ちゃんが言う可能性って奴を!痛て…分かってくれる人って、案外たくさんいるもん、だからな!」

舞人の手を借りてどうにか立ち上がった勝平は痛みに笑って耐えながら鼻をこする。

ガイゾックの戦いはあまりにも孤独で、守っていた人々に責められることもあった。

けれども、ほんのわずかでもわかってくれる人がいると信じて、自分たちの力で守れる人がいることを信じて戦い続けて、その中で自分たちを理解してくれる人が増えていった。

もしその人たちがいなければ、コンピュータドール第8号が言っていたように、人間は滅びても仕方のない生き物だったかもしれない。

「おっちゃん…ネオ・ジオンって奴らを完全に滅ぼして、その先に本当に地球に未来って残ってるのか?」

「…」

勝平の問いにダグザは答えることができない。

一年戦争の影響が大きすぎて、ジオンがいなくなった後の未来を想像することができなくなっていた。

ジオンがいなくなれば、平和な時代が戻ってくるのか?

というよりも、自分たちはこの複雑怪奇な戦乱の時代の原因のはけ口としてジオンの名前を口にしているだけではないのか?

ナチスやヒトラーの名前を引き合いに出して、議論に勝ったように見えるが、実際はそれを引き合いに出した方が負けているだけというゴドウィンの法則と同じように。

「夢だというなら、それを現実にするためにできることをやる!」

「そうやって僕たちは…世界は一歩ずつでも前へ進むはずです!」

「ダグザさん…俺は…俺たちはそのために戦います!」

「…」

ようやく気付いたか、自分の中からそう聞いてくる自分を感じる。

銃を手にして、戦い続けて、その中でダグザは疑問を抱き続けていた。

この行動は、この命令は、この作戦は正しいのか?

それによってよりよい未来を勝ち取っているのかと。

だが、何事にも慣れるもの。

次第に仕事や命令と割り切り、その疑問に蓋をしてきた。

いや、目を背け続けてきた。

そんなやり方をしても、平和な未来が来るはずがないと知りながら。

大人たちがなくした未来の可能性を信じる心。

ずっとあきらめたものをもう一度見ることができるとは。

「…どうやら、我々の完全な敗北のようだ。全員、抵抗を辞めろ。この作戦は…失敗だ」

「ダグザ指令…。了解しました、生きている奴はみな、武装を外せ!作戦中止、中止だ!」

コンロイが通信機で隊員たちに伝え、解放された隊員たちは手元にある銃や手りゅう弾を捨てる。

「ダグザさん…」

「俺は…軍人失格だな」

「そうではない。もう、見えたはずじゃ…。自分のなすべきことを…」

「俺の…なすべきこと。それは…」

 

-オーストラリア クックタウン-

「エコーズからの作戦終了報告はなし…。手間取っているのか」

シムルグの艦橋で報告を待つケネスはこの長すぎる待機時間に違和感を抱き始めていた。

エコーズの中でも技量の高いダグザの部隊ならば、たとえイレギュラーが入ったとしてももっと短い時間で接収を完了することができるはずだ。

応援が必要なら、その旨の連絡が来るはずだが。

まさかとは思うが、あのエコーズがロンド・ベルにしてやられた可能性もよぎる。

「念のために、偵察を送るべきか…」

武装のあるケッサリアよりもドダイ改を自動操縦で飛ばして、様子を探ることを選択肢に入れる中で、ダグザからの通信が入る。

受話器を手にしたケネスは黙って彼の言葉を待つ。

「ケネス大佐、申し訳ありません。作戦は失敗、異世界の機動兵器や戦艦を確保することはできませんでした」

「エコーズとしては珍しい話だな、ダグザ中佐。だとしたら、Gハウンドが実力行使でロンド・ベル及びイレギュラーを確保するしかないな」

「お待ちください。今、連邦軍同士で争ってはそれこそネオ・ジオンに最終決戦を起こす隙を与えます」

「そうは言うが…総司令部の命令に従わないロンド・ベルは反乱分子とされてしまう。それに、エコーズが制圧されたとなれば、その救援に動かざるを得ない。その意味は君にもわかるはずだろう?」

「…分かりました」

通信が切れる音が聞こえ、受話器を降ろしたケネスはニヤリと笑い、モニターに映るイレギュラーとロンド・ベルを見る。

外に放り出された機動兵器たちが戻されていくのが見える。

果たして、ロンド・ベルとダグザはうまく動いてくれるか。

「Gハウンドに伝達!これより、我々はロンド・ベルに実力行使を行い、確保する。各機、戦闘態勢へ移行せよ!」

 

-ネェル・アーガマ 格納庫-

「隊長、やはり…」

「ああ…。やはり俺の言葉だけではGハウンドを止めることはできない…」

止めることができないとしても、この場だけは見逃してもらうだけでもできたらと思って通信したが、それを許すはずがなかった。

おまけに相手はGハウンド総司令のケネスであり、彼が乗るシムルグとこれから相手をしなければならなくなる。

(我々にこの状況を出し抜けというのか…?)

通信の中で、彼は実力行使をすると言っていた。

やろうと思えばタイミングを伝えることなく、そのまますぐに攻撃することもできたはずだ。

口にはしていないが、おそらくは出し抜いて見せろというのだろうか。

総司令部直属であるGハウンドは命令に従う手前、邪魔はするが。

(だが…面子を優先する総司令部を出し抜くならば…)

ここになってようやく目を背けていた真実を認める気になった。

総司令部にとって、エコーズもGハウンドも自らの面子を守るための駒に過ぎなかった。

歯車としての価値すらないとみていた。

そんなことを認めず、平和のため、市民のためとのたまって来た自分を殴りたくなる。

 

-ヤマト 第一艦橋-

「オットー艦長、エコーズは止まってくれたが…」

「ええ。Gハウンドが動き出しましたな。厄介なことだ」

ダグザとは顔を合わせ、話せばわかる可能性があったから、沖田はそれに賭けることができた。

だが、Gハウンドは何のためらいもなく動いてくる。

「艦長!Gハウンドの機動兵器の接近を確認!照合の結果、ケッサリアとグスタフ・カールが中心となっております!」

「オットー艦長、ネェル・アーガマに搭載されているロンド・ベル以外の機体を降ろしてくれ」

「沖田艦長、何を!?」

「我々はこれより、Gハウンドと交戦する。自らの信念に従い、彼らの暴力に抵抗するつもりだ。だが、ロンド・ベルを巻き込むわけにはいかぬ。我々が戦闘を行っている間に…」

「そんなこと…できるわけないでしょう!?」

言い終わる前にバンとオットーの拳をたたきつける音が響く。

これほどの剣幕で怒るオットーを見たのは珍しく、レイアムをはじめとしたクルーの視線が集中するが、今のオットーにはそのようなことは気にならない。

「彼らは同じ状況でジュドー達を保護し、先の戦闘ではGハウンドや我々のモビルスーツ部隊を守ってくれた!恩を仇で返すような真似をしたら、我々は軍人である前に人間でなくなってしまう!」

「では…」

「ああ…ブライト大佐も理解してくれるだろう。ロンド・ベル各機!出撃準備だ!!我々の権利を侵害するGハウンドの連中に従う必要はない!」

「オットー艦長…感謝しますぞ。あなたは真の軍人です」

「そうまで買いかぶられると、期待に応えたくなりますな。各機、Gハウンドとは正面切って戦う必要はない!近づいてくる敵機を仕留め、ここを離脱する!!」

 

-ネェル・アーガマ 格納庫-

「さっすがオットー艦長、しびれたぜ!!」

「僕たちも同じ気持ちです。だから…」

「ああ…そうだな。ロンド・ベル各機!これよりGハウンドより母艦を死守する!」

ロンド・ベルとソウジ達はそれぞれの愛機に乗り込み、次々とネェル・アーガマから発進していく。

一方、エコーズの全隊員はダグザを中心に集まる。

「先ほどの通り…俺はこれより、Gハウンドと交戦する。これから連邦総司令部に弓を引くことになる。だが、お前たちまで巻き込むつもりはない。お前たちの中には、帰りを待つ家族や友人、恋人がいる者もいるだろう。これを悪、軍人としての義務に反すると考えるなら、すぐにここを離れ、シムルグへ向かってくれ!」

ケネスであれば、快く受け入れてくれるはずだ。

自分のこれから行うことは賭けであり、一歩間違えると修羅の道を進むことになるだろう。

これはエコーズが発足し、想定すらされていなかったこと。

多くの離脱者が出たとしても、致し方ないこと。

そう考えるダグザだが、目の前にいるコンロイをはじめとする部下は全員ダグザに敬礼する。

「ふっ…どうやら、我々も隊長と同じく、彼らの夢物語に伝染したようですな」

「フッ…」

「我々はマンハンター部隊と言われている部隊です。こうしたくらいで、あのことが許されるとは思いませんが…」

エコーズの古参の隊員たちにとって、今でも忘れられない任務。

シャアの反乱がおこる前、不穏な動きを見せるコロニー、スウィートウォーターに潜伏していると思われるジオンのテロリストを暗殺する任務で、エコーズとしてはこれが初の任務だった。

確かにそこでテロリストを暗殺することに成功したが、銃撃戦に発展してしまい、そこで多数の児童が巻き込まれて死傷してしまった。

その日からエコーズはマンハンター部隊として同じ連邦からも嫌われる存在となり、スウィートウォーターにいる住民たちからは人でなしとののしられ、彼らがのちにシャアの反乱に加担する遠因となった。

罪のない児童を大勢殺し、傷つけてしまったショックからPTSDとなる者、退役を選ぶ隊員が続出した任務で、この事件はダグザの心にも重くのしかかった。

それからも任務の過程で多くの住民や隊員が犠牲となる中、それでも市民を守るために戦うと自分に言い聞かせてきた。

だが、これからもその道を歩んだとしても市民を守ることに繋がらないというならば、もう迷いはない。

贖罪にはならないかもしれないが、彼らの夢物語を実現するための歯車となって、地獄で閻魔の罰を受ける覚悟が彼らにはあった。

「感謝する…。我々も出撃し、ロンド・ベルを援護する!準備を急げ!」

「了解!!」

隊員たちが散らばり、エコーズ仕様のジェガンや茶色い小型戦車というべき形状で待機している、この時代では珍しい小型可変モビルスーツであるロトに次々と乗り込んでいく。

ジェガンのシートに座り、ハッチを閉めたダグザは愛機をカタパルトに乗せる。

(我々は…目を背けていたのかもしれない。この現実を飲み込むことでしか、やってこれなかった…)

だが、バナージ達はそんな現実を飲み込めず、より良い形に変えようとあがいている。

今思うと、彼らの方が現実を見ていて、向き合おうとしていた。

あきらめてしまっていた自分とは違って。

「(俺たちにどこまでのことができるかはわからない…。だが、少しでも可能性があるというなら…マンハンターの俺にまだ、心が…希望が残っているというなら…)ダグザ・マックール!ジェガンで出るぞ!」

射出されたダグザのジェガンが廃墟の街へと飛び出していき、ネェル・アーガマをはじめとした戦艦が浮上を始めた。




機体名:グスタフ・カール
形式番号:FD-03
建造:アナハイム・エレクトロニクス社
全高:22.0メートル
全備重量:60.0トン
武装:頭部バルカン、ビームライフル、90mmショートマシンガン、ビームサーベル、グレネードランチャー、フレキシブルシールド
主なパイロット:Gハウンド一般兵

連邦のRGM計画の延長線として存在する汎用モビルスーツ。
同時期に開発されたジェスタとは別ラインで開発されており、汎用性を損なわずに機体の大型化と重装甲化を図っており、機体重量の増加に対して大出力ジェネレーターを搭載する事で対応するとともに、機体各所に多数のスラスター、姿勢制御バーニアを配置する事で機動性・運動性を確保している。
運用性を重視していることから、固定装備を極力排除した設計となっており、基本スペックではジェガンを上回る。
宇宙世紀世界においては、ネオ・ジオン戦争後も地上で戦闘を行うジオンに対抗すべく、生産を前倒しされており、特に連邦総司令部直属部隊であるGハウンドに新型SFSであるケッサリアと共に配備されることが多い。
同じ理由から、将来的にはエコーズに対しても指揮官機として少数配備される予定だった模様。

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