-ヌーベルトキオシティ 市街地付近-
「ちっ!!いい加減当たれよ!」
ソウジとアキトの周囲を飛び回る六連にガトリング砲を発射し続けるが、一向に当たる気配がなく、いずれも当たるか当たらないかのぎりぎりのところで、最低限スラスターをふかす形で回避している。
バッタとマジンはすでに撃破しているが、この6機の六連は無人兵器やほかの機動兵器と格が違う。
伊達にほかの兵士から恐れられているわけではないということだ。
「キャップ、ガトリング弾切れです」
「くそ…!こんなんじゃあ、ポジトロンカノンでも駄目だろうな!」
デッドウェイトとなるガトリング砲を強制排除し、両腕のビーム砲での攻撃に切り替える。
相手はディストーションフィールドを展開できる機動兵器であるため、ビーム兵器はあまり有効ではないが、距離を離すことだけはできる。
「フフフ、天河アキト。その程度の技量で我々に挑むとはな」
「お前なぞ、あのお方の手を煩わせる価値はない。われらの手で始末してくれる」
「くっ…!」
ハンドキャノンの残弾がつき、アンカークローとディストーションアタックを交わされ続けるアキトは怒りで歯ぎしりする。
ついに六連がミサイルポッドを発射し、ミサイルをブラックサレナの堅牢な外部装甲が受け止める。
「もらった…!」
ミサイルを発射した六連の動きがわずかに止まるのが見えたアキトはその六連に向けてディストーションアタックを放つ。
どんなに機動力の高い相手でも、こうした攻撃をするときは少しでも動きを止めざるを得ない。
このまま正面から六連をバラバラに消し飛ばすつもりだった。
「…跳躍!」
だが、六連が急に透明な粒子を展開し、ブラックサレナの前から姿を消す。
そして、背後に再び姿を見せると、錫杖を手放して両手を使ってマジックアンカーをアンカークローを引きちぎった。
「おいおい、何だよ今のは!?瞬間移動か!?うおおお!!」
他の六連から飛んでくるミサイルをフェイズシフト装甲で受け止めたソウジは先ほどのアキトの攻撃をかわした六連の動きに驚きを隠せなかった。
ワープそのものはヤマトやガミラスの戦艦などで見たことがあるものの、そうしたものをワープさせるためには膨大なエネルギーが必要であり、現にソウジ達がいた地球では波動エンジンのような膨大なエネルギーを生み出すエンジンがなければ、ワープすることなんてできない。
しかし、六連は何か母艦からエネルギー供給を受けたわけでもないにもかかわらず、短距離ではあるが、こうしてワープしている。
もしかしたら、この世界ではワープの技術が自分たちよりも進んでいるのではないかと予想してしまう。
「あれはボソンジャンプです。ボース粒子という特殊な粒子を増大させることで、瞬間移動しているんです。それを制御するユニットがジャンプ終了と同時にパージされています」
横にモニターに六連のジャンプ前とジャンプ後の姿が表示される。
背中についていたユニットがジャンプ後になって、外されてた。
そのユニットがボソンジャンプを可能にしているということは、一度しか使えないということになる。
「戦艦の接近を確認」
「戦艦!?まさか、ヤマト…なわけないよな?」
この状況はソウジとアキトにとって、かなりピンチな状態だ。
そんな時に颯爽と探していたヤマトが現れ、沖田艦長の見事な策によって逆転勝利、のようなアニメやゲームのようなどんでん返しなんてあるはずがないというのはソウジには分かっている。
となると、この世界で日本の近くにいる戦艦が来るということになる。
だが、ナインの報告では、それがあの三度笠の仲間たちのものか、それとも地球連合の者なのかがはっきりしない。
ナインの報告から数分経過しないうちに灰色がベースのヤマトとは対照的に真っ白で先端が青くペイントされている、木馬の前足のような2つのパーツが取り付けられた戦艦が現れる。
その戦艦を見たソウジは1年戦争でニュータイプ部隊の母艦となった、木馬というあだ名がつけられたペガサス級、ホワイトベースの写真を軍の教科書で見たことを思い出した。
また、その戦艦の後に続くように、3機の勇者特急隊も姿を見せる。
「勇者特急隊!?」
「ソウジさん、遅くなりました!サリーちゃんは無事です!」
「こちらが援護します!!」
ガードダイバーが両肩のハイドロキャノンを六連に向けて発射する。
長距離からの消火活動も念頭に入れられているためか、発射された水は十分ソウジ達のところに届いており、水流によって吹き飛ばされる可能性を考慮した六連が距離を取る。
「ちぃ!!」
「そこだ…!」
ガードダイバーに気を取られた六連に向けて、再びブラックサレナがディストーションアタックを放つ。
既に外部ユニットを強制排除した六連であり、反応が遅れてしまったため、六連以上の機動力と加速力を持つブラックサレナの攻撃をよけることができず、側面から受けることになる。
「ぐおおおおおお!?」
三度笠の男もろとも、六連は粉々に吹き飛んでいった。
「ちっ…!」
死亡した同僚のいた場所を見た三度笠の男の1人が舌打ちする。
あの程度の攻撃に気を取られ、アキト程度の男にやられたことをふがいないと思っていた。
決して、仲間の死を悼んでいるわけではない。
「よし!まずは1機仕留めたぜ!!」
「そちらのモビルスーツのパイロットの方、聞こえますか?」
通信用モニターに薄紫のツインテールで、白いケープを上着とした連邦軍の制服姿の少女が表示される。
「ん…?ああ、君は…?」
「初めまして。こちらは地球連合軍所属、独立ナデシコ部隊のナデシコB艦長の星野ルリ少佐です」
ポーカーフェイスのまま、ルリはソウジに挨拶をする。
「こっちの軍隊の戦艦って、前の連邦軍みたいに派手なんだな」
ヤマトやキリシマなど、クラップを除いたソウジが見てきた戦艦は派手さのない、無骨という言葉が似合うようなデザインのものばかりだった。
そのため、ナデシコBのような真っ白な戦艦がとても新鮮に感じられた。
おまけに、その戦艦の艦長が可憐な美少女となると、もう何も言うことはない。
容姿だけを見ると、明らかに中学生くらいの年齢で、いきなり自分が艦長だなんて言われても信じられないが、なぜかソウジはそれをすんなり信じられた。
古代のような自分よりも若い戦術長、そしてメルダのような美少女パイロットとトビアのような若きニュータイプ兼エースパイロットを見た影響もあるかもしれない。
「キャップ、姉さんに言いつけますよ?」
「さすがに戦闘中にそんな話はしないって…怒るなよ」
ナイン専用のモニターに映る彼女の表情はムッとしている。
彼女がOSであり、おまけに彼女無しでは戦闘に支障をきたしてしまうことを考えると、本当に機嫌を損ねてしまったら、彼女が言っていた最悪のケース、撃墜というシャレにならない展開が起こりかねない。
あんまり彼女を怒らせないように、少なくとも戦闘中に女性をそういう目で見るのはやめようと決心した。
「これより、勇者特急隊と協力して、テロリストグループを鎮圧します。リョーコさんと三郎太さんは発進をお願いします」
ナデシコBの下部についているハッチが開き、赤と青の機動兵器が発進する。
灰色のフレームの上にそれぞれ青と赤の装甲を直接取り付けたような、10mにも満たない小型の人型兵器で、青い機体の方は両肩に連装キャノンを搭載した重攻撃型となっている。
「これって…エステバリスか!?」
図書館にある記録映像の中にあった、それらの機体そっくりな人型兵器のことを思い出す。
それらはナデシコに配備され、木連との戦いで活躍した、モビルスーツとはベクトルの異なる進化を果たした機動兵器だ。
ナデシコBから発進したその2機は細部が若干異なって見えるものの、エステバリス系列のものとみて間違いないだろう。
「にしても、プロスペクター氏の顔の広さには驚くね。まさか、旋風寺コンツェルンの超極秘プロジェクトに渡りをつけるとは」
出力と武装が強化された青いエステバリス、スーパーエステバリスに乗り、レールガンで六連に向けて攻撃を行う、赤いメッシュの入った金髪ロン毛で青いネルガル製のノーマルスーツを着用したパイロットであり、ナデシコB副長である高杉三郎太はネルガル重工の従業員の中でも謎の多い人物であるプロスペクターの面識の広さに感服する。
旋風寺コンツェルンでもトップシークレットであり、今でも正体が知られていない勇者特急隊の正体を突き止め、彼らとの協力体制を築くことに成功しており、かつてのナデシコのクルーやパイロットも彼がかき集めたと聞いている。
人と組織を見る目は確かなのだが、それ故に彼のことを不気味にも感じられた。
ナデシコBに配備され、ネルガル重工やプロスペクターと関係の近い人物と行動を共にするようになってからも、会長である曉ナガレのことはともかく、プロスペクターについてはほとんど情報を得ることができなかった。
本名も経歴も一切不明で、かつての戦争では軍人と格闘術や銃で渡り合うことができた上に、ハッカーとしての実力もある上においしいラーメンも作る。
どんな人生を送れば、5:5のセンター分けでちょび髭の、明らかに普通のサラリーマンに見間違えて仕方のない顔立ちのその男がそれほどの面識と技術を得ることができるのか。
「ネルガルと旋風寺コンツェルン…二つの超大型企業の業務提携とも言えますね」
ナデシコBの通信席に座る、黒いオールバック気味な髪をした小学生と中学生の中間と言える背丈と幼い容姿の少年、真備ハリがつぶやく。
ネルガル重工は木連との戦争が終わった後、そこにあったボソンジャンプをはじめとした古代火星文明の技術独占に失敗し、戦後に木連と地球による合同事業として行われるボソンジャンプネットワークであるヒサゴプランの整備事業が地球圏では第2位の軍事企業クリムゾングループに取られてしまったことで、衰退している。
エステバリス系列の機動兵器の配備についても一部にとどまっており、現在はそれを含めて、連合軍からモビルスーツのパーツなどの下請けをしている始末だ。
そのためか、会長であるナガレは表向きには行方をくらましており、会長秘書であるエリナ・キンジョウ・ウォンが会長代理を務めている。
そのため、かつては肩を並べる存在だった旋風寺コンツェルン、正確に言えばその前身であった旋風寺流通グループと旋風寺鉄道の2つの企業に対しても後手に回っているのが現状だ。
「そんなことよりも!!」
三郎太の疑問、そしてハリのつぶやきを重力波コントロールの増設によって高い出力を獲得した赤いエステバリス、エステバリスカスタムのパイロットであり、青がかった黒の短髪の助成である昴リョーコが吹き飛ばす。
ラピッドライフルを連射し、六連から発射されるミサイルを撃ち落としながらブラックサレナの装甲に左手を当てる。
ソウジがいた世界でも、こちらの世界でも共通して存在する、Nジャマーやミノフスキー粒子、GN粒子が散布されている状況下でも確実に通信可能な、通称お肌のふれあい会話だ。
「アキト!!それに乗っているのはアキト、お前なんだろう!?」
リョーコが耳栓をつけたくなるくらいの大声をあげてアキトに通信を送る。
リアクトシステムにより、自分の肩の触れられている感覚があるうえ、リョーコの声はちゃんと聞こえているアキトだが、彼女からの通信に応える気配はない。
「おい!!何とか言えよ!!アキト!!」
「リョーコさん、今は戦闘中です。あの人のことは後回しにしましょう」
「そうは言っても…うわあ!?」
ちぎられて、わずかに残ったマジックアンカーを振り回し、接触したエステバリスカスタムが吹き飛ばされる。
同時にリョーコがいた場所にはミサイルが直撃コースで飛んできていた。
仮にアキトに助けられなかったら、リョーコはそのミサイルの餌食になっていただろう。
「リョーコさん、これは…命令です」
「ちっくしょう!!アキト!戦いが終わるまでそこから逃げるなよ!!」
吹き飛ばされ、地面に落下した自分の愛機のダメージチェックを行う。
フレームへのダメージはなく、装甲にわずかなダメージが確認できる程度で、戦闘の続行は可能だ。
再び浮上したエステバリスカスタムは六連に向けてラピッドライフルを連射する。
(あの黒づくめの男…いろいろと複雑な事情があるみたいだな)
レールガンを撃ち、残り5機の六連と戦いながら、ソウジはブラックサレナとアキトのことを考える。
顔に出ていたナノマシンによる光のラインと、ブラックサレナ。
彼が強化人間のようなろくでもないことをされたことは薄々とだが、感じられた。
「テロリストめ!これ以上ヌーベルトキオシティで好きにはさせないぞ!」
マイトガインがシグナルビームとマイティバルカンで上空の六連を攻撃する。
更に、トライボンバーは頭部バルカンであるボンバースクリーマーで攻撃を仕掛ける。
立て続けに表れた1隻の戦艦、そして5機の機動兵器の登場により、形勢が逆転する。
「おのれ…!あと少しで天河アキトを抹殺し、あの男を捕まえることができたものを!!」
かつて、木連に地球への攻撃をことごとく邪魔をし、熱血クーデターのきっかけを作った忌むべき戦艦、ナデシコに怒りを覚える。
怒りによって注意力がわずかに乱れたことで、レールキャノンが六連の右腕を撃ち抜き、錫杖ごと吹き飛ばす。
「ぐおおお!?」
「よくやった、三郎太!てめえ…よくもアキトとユリカの幸せをぶち壊しやがったなぁ!!」
弾切れとなったラピッドライフルを投げ捨て、右拳を前に出し、ディストーションフィールドを展開したエステバリスカスタムが右腕を失った六連に向けて突撃する。
「く…!!」
せめてコックピットは守ろうと、ディストーションフィールドを展開させた六連。
両者のディストーションフィールドがぶつかり合い、やがてエステバリスカスタムが押し始める。
「何!?奴の機体は3年前の旧型のはず…!」
「残念だったな!こっちのエステバリスはバージョンアップを繰り返した、特別製だぜぇ!」
出力で上回ったエステバリスカスタムに貫かれ、六連がまた1機爆散する。
「おのれぇ…!」
「もうよい、ここでの役割は終わりだ」
残った六連の近くにボース粒子が発生し、エステバリスと同じ程度の小さな赤い人型機動兵器が出現する。
「またボソンジャンプ…。あの三度笠野郎の仲間か!?」
「邪魔だ」
赤い人型機動兵器が各部に搭載されているブースターを使ってヴァングレイに急接近し、至近距離からミサイルを発射する。
ミサイルを受けたヴァングレイはビーム砲とレールガンが破壊され、衝撃で地面に墜落する。
「キャップ!?」
「痛て…大丈夫だ。だが…」
「ふん…。今は貴様に用はない。用があるのは…天河アキト、貴様だ」
赤い機動兵器に乗る、白い甲冑を身にまとった、片目が赤い義眼となっている男がブラックサレナをモニター越しに見て、不敵な笑みを浮かべる。
一方、相手をモニターから見たアキトは怒りをあらわにし、同時に顔中のナノマシンが発光する。
「北辰…」
赤い機動兵器のパイロットの、憎むべき敵の名前を口にする。
スピーカー越しにその声を聞いた北辰はほくそ笑む。
「われらが仇敵である白い艦、そして黒き復讐者…。だが、貴様らでは届かぬ。すべては…無駄なのだ!」
「貴様は…!」
ブラックサレナがディストーションフィールドを展開し、北辰に向けて体当たりしようとする。
しかし、北信の機動兵器の周囲に集まった六連たちが邪魔をする。
「北辰様。北辰衆2人、やられました」
「構わん。替えが利くからな。それよりも、全機。我が夜天光から離れるな」
「了解…」
「跳躍!」
北辰の義眼が赤く光ると同時に、夜天光と六連がボース粒子に包まれ、姿を消していく。
「ソウジさん、大丈夫ですか!?」
ヴァングレイが墜落した場所にマイトガインがやってきて、右手を使い、起こすのを助ける。
ブラックサレナは夜天光が消えた場所を見た後、視線を西へ向け、スラスターに火を入れる。
「アキト!!」
「待っていろ…ユリカ」
リョーコの声を聞くことなく、最大戦速でその場を後にしていく。
追いかけようと思うリョーコだが、ブラックサレナとエステバリスカスタムでは速度に違いがありすぎて、おまけに例のこともあって、追いかけることができない。
悔し気に壁に拳を叩きつけた。
(アキトさん…)
ナデシコBの艦長席からブラックサレナが遠ざかっていくのを見たルリは静かに彼の名前をつぶやいた。
「これは…艦長!ナデシコに何者かから、暗号データが送られてきました!発信者は…OTIKA?」
「あの人からです」
アキトのローマ字を逆にしただけの、きわめてシンプルな発信名。
そして、ブラックサレナという機動兵器を見ても、送り主が誰なのかははっきりわかった。
この暗号データには何が入っているのかも。
「ハーリー君、暗号データの解析を…」
「待ってください、艦長!司令部から連絡です!」
「司令部から…?」
「コロニー・シラヒメからテロリストグループが声明を発表するそうです!」
「ついに彼らが表に出てきますか…」
ナデシコBが追いかけていた敵。
ずっと日陰であり、1年以上かけて探し回った、おそらくアキトにも関係する敵がついに影の中から出てきた。
そして、そこから新しい、というよりも隠されていた戦いも表に出ることもルリは感じていた。
-コロニー・シラヒメ 発令室-
発令室に置かれているマイクの前に、面長でほっそりとした目つきをした、中年の日本人がソウジ達が見た例の制服姿で立っている。
じっと目の前のカメラを見つめた後で、その男は口を開く。
「…この放送をご覧の皆さま、私は元木連軍中将、草壁春樹であります」
3年前の熱血クーデターの後、失踪していた男の名前が再び世間にさらされる。
そのクーデターの後、地球連合軍は草壁の身柄を確保するために行動を起こしていたものの、今まで足取りを全くつかむことができなかった。
死亡説までささやかれるようになったこの時期に本人が姿を現したとなると、上層部に動揺が広がるのは明白だ。
「現時点をもって、太陽系内ボソンジャンプネットワーク計画、いわゆるヒザゴプランはわれら、火星の後継者が占拠させていただきます」
ヒサゴプランが掌握された、ということは草壁ら火星の後継者が自由にボソンジャンプを使えるようになったということになる。
少数の戦力であったとしても、ボソンジャンプを使って地球連合軍の重要拠点に奇襲をかけることができるうえ、仮に攻撃されたとしても、ボソンジャンプで次々と拠点を変えることもできる。
「我々の賛同者は各方面に及び、既に連合軍の三分の一が、この計画の同志となってくれました」
さらなる草壁から投じられた爆弾。
連合軍内に3分の1もの裏切者がいることが真実なのか、嘘なのかはわからない。
だが、これが連合軍内に与える影響は大きい。
疑心暗鬼にかられ、連携が乱れるのは明白だ。
3年前にようやく築き上げた地球連合政府という地球統合のシンボルをぶち壊しかねない。
「私はかねてより、ボソンジャンプの危険性と重要性を説いてきました。が、連合政府はそれに耳を貸さず、ボソンジャンプを独占し、自らの利益にのみそれを使おうとしているのです。ボソンジャンプの意味を分からぬ輩にその技術と、それによる新しい社会を任せるわけにはいきません!ゆえに、我々は立ったのです!ボソンジャンプを管理し、新しい社会を構築するために!」
拳に力を籠め、力強く言葉を並べる。
ボソンジャンプに関する研究はその起源である火星の古代文明に精通している木連の方が大きく進んでいる。
ボソンジャンプの詳しい中身については悪用されることへの危険性からあまり一般公開されていない。
連合政府の重役たちは知っていると思われ、そうだとしたら、草壁の言葉はある程度説得力があるだろう。
テロリストであることを除いては。
「そのための技術を我々は手にしています!我々は火星の後継者!新たな世界、新たな秩序の担い手です!」
その言葉を最後に、カメラは停止した。
-??? 格納庫-
「はあ、はあ、はあ…」
ブラックサレナが格納され、コックピットからアキトがフラフラとし、頭を右手で抑えながら出てくる。
バッタを模した整備ロボットがブラックサレナの整備を開始し、アキトの元へ薄紫のロングヘアーで金色の瞳をした少女がやってくる。
「アキト…大丈夫?」
「ああ…。少し休めば、どうにかなるよ…ラピス。それよりも…これが今回のデータだ…」
アキトはブラックサレナのコックピットにつけていたUSBメモリをラピスに手渡す。
その中には今回の戦闘データが入っている。
「これを使って、リアクトシステムの最適化を…。今のままでは、奴らに勝てない。それから、ユーチャリスは例の場所へ…」
アキトは壁に手を当て、ゆっくりと歩いて格納庫から出ていく。
ラピスは彼の後姿を見つめ、USBメモリをぎゅっと握りしめた。
-ナデシコB ブリッジ-
ルリらナデシコBのクルー、そして収容されたソウジ達はそこで草壁の演説を見た。
「一体…何なんだよ、こいつら」
「草壁春樹、元木連軍中将…。木連も実質的な指導者で、3年前の戦争では最後まで徹底抗戦を唱え続けていました」
「もっとも、あの戦争はナデシコが古代火星文明の遺跡から演算ユニットを取り出して、ナデシコごとどこかへ放り出したんで、うやむやに終わったけどな」
「演算ユニット?なんだそりゃ?」
「ボソンジャンプの中核となるユニットです。いつ、どこでボソンジャンプが起きても、時間と空間を飛び越えてそれがすべて処理し、コントロールすることができます」
3年前の戦争で、ボソンジャンプが戦争の大きなカギになることを知った木連と連合軍はそれを制御できる演算ユニットを手に入れようとしていた。
プラントと同盟を組んだとはいえ、地球と比較すると国力で大きな差のある木連にとっては演算ユニットは重要拠点へのピンポイントでの奇襲攻撃を行うには必要不可欠なもので、地球連合にとっても、それを防ぐためにはどうしても必要な、まさに天王山のような存在だった。
最終的にはASAに所属し、一時的に連合軍から脱走していたナデシコ隊が演算ユニットを火星から誰の手にも届かない場所へボソンジャンプを利用して飛ばしてしまった。
また、木連側は熱血クーデターの発生によって穏健派が実権を握り、連合軍は第2次ヤキン・ドゥーエ攻防戦によって戦力の大部分を失ったことで戦争続行が不可能となり、三郎太の言う通り、うやむやになる形で終戦を迎えることになった。
「で、ついでに自己紹介。俺は高杉三郎太大尉、このナデシコBの副長だ。ほれ、ハーリー。お前もちゃんと挨拶をしろ」
「言われなくてもやりますよ。僕は真備ハリ少尉、ナデシコBの副長補佐を務めています」
「2人とも…子供じゃねえか…」
ルリについてはヴァングレイへの通信であらかじめ知っていたが、まさかオペレーターが彼女よりも年下の少年だとは思いもよらなかった。
通信についてはある程度教育を受けていないとできない。
このような子供がやろうと思うと、幼稚園の頃から教育を積んでいないといけないくらいだ。
「僕と艦長はネルガルで遺伝子調整を受けて生まれたコーディネイターなんです。しっかり勉強もしましたので、この仕事では誰にも負けない自信があります」
「コーディネイターねぇ…。かなりすごいんだな」
若干14歳で館長を務めるルリと11歳で副長補佐を務めるハーリー。
そんな2人のコーディネイターを見ていると、ナチュラルとの能力的な隔たりがどれだけ大きいのか、そしてナチュラルとコーディネイターによる泥沼の戦争が起こってしまうこともよくわかる。
しかし、遺伝子調整は必ずしもいいことばかりではない。
そのせいで先天的な障害を持って生まれてしまうケースがナチュラルよりも多く、おまけに第三世代以降のコーディネイターの出生率が、遺伝子を改良した故の弊害によって急速に低下するという致命的な問題まではらんでいる。
そのため、現在は廃止されているが、プラントでは相性の良いコーディネイター同士しか結婚できないという法律までできてしまった。
「それにしても、このナデシコBって艦。蜉蝣戦争を終わらせたナデシコの後継艦なんですね」
「ええ…。その縁で、先代ナデシコのオペレーターだった私が艦長を務めています。っといっても、同型艦がないので、艦隊編成に組み込まれることはありませんが…」
ナデシコは地球連合軍ではなく、ネルガル重工が単独で開発した戦艦だ。
終戦後はナデシコの戦果を利用して、同型艦の量産を行うことが計画されていたものの、ネルガル重工の衰退によってそれは頓挫した。
ナデシコBはネルガル重工が連合軍に対してある程度影響力を保持するために開発し、売り込んだ戦艦だ。
性能はかつての名艦であるアークエンジェルやミネルバをしのぐらしい。
当初はナデシコBの納入を拒否しようとしていた地球連合軍だったが、蜉蝣戦争を終わらせた艦という大きなブランドのあるナデシコの木連の過激派への影響力を考え、しぶしぶと納入することとなった。
なお、ナデシコのクルーはネルガル重工が自ら選んでおり、地球連合軍はほとんど関与していない。
そのため、ルリが艦長になった際はネルガル重工のコネがささやかれることもあった。
「何をおっしゃるんですか!?艦長が艦長なのは実力ですよ!」
ナデシコBで、ルリと共に戦い続けたハーリーは彼女の実力を理解している。
そんな彼女がコネではなく、実力でこの地位を勝ち取り、活躍していることを理解されにくいことを悔しく思っていた。
「ありがとう、ハーリー君」
まるで弟を見るような眼で、笑みを浮かべたルリはハーリーに礼を言う。
「ま…火星の後継者にとって、ナデシコは我慢ならない存在だろうな」
「彼らはボソンジャンプを使って、社会を支配しようとしている…。だけど、ボソンジャンプはまだ未解明な部分の多い技術だと聞いています」
旋風寺コンツェルンも、ヒサゴプランとボソンジャンプに関する情報を持っている。
鉄道による物流に力を入れている彼にとっても、ワープ技術の一種であるボソンジャンプは魅力的で、特に宇宙空間での移動においては革命的な影響を与えてもおかしくない。
しかし、草壁の言うボソンジャンプの危険性という言葉が引っかかる。
演説の中で、彼がボソンジャンプのどのような点に危険性があるのか、明言していないことが大きい。
そして、それをコントロールする技術を火星の後継者が持っているという言葉も。
「草壁春樹のボソンジャンプをコントロールする技術を持っているという話…それは真実なのでしょうか?」
舞人の質問に、ボソンジャンプなども火星古代文明や木連と近い位置にあったルリ達は答えることができない。
コントロールする最大の要素といえる演算ユニットは自分たちがどこかへ飛ばしてしまっており、それ以外でそれをコントロールすることができるとしたら…。
「ユリカだ…」
リョーコの脳裏に1人の仲間の名前が浮かぶ。
「ユリカ?」
「先代ナデシコの艦長だった、御統ユリカさん…」
「ああ…!!その名前、図書館で調べた記事の中にあったぜ!確か、新婚旅行中にシャトルの事…あ、悪い…」
ソウジが思い出した記事は彼らにとっては決して明るく言うことのできないものだ。
ちょうど、3年前のヤキン・ドゥーエ戦役が終わってから1年が経過したころ、彼女は幼馴染であるとある青年と結婚し、彼と新婚旅行へ向かうことになった。
しかし、乗っていたシャトルの爆発事故に巻き込まれ、乗員乗客が全員死亡という惨事となった。
遺体は今でも見つかっていない。
「んで、ユリカの旦那がアキトだ」
「ということは、あの事件って火星の後継者が一枚かんでるってことになるな。…だが、なんでそのユリカって人がボソンジャンプのコントロールにつながるんだ?」
「ユリカさんは演算ユニットにイメージ伝達ができる人間、A級ジャンパーだからです」
「A級ジャンパー…あいつらが言ってた…」
「ついでに言っておくと、アキトもユリカと同じA級ジャンパーだ」
ボソンジャンプは演算ユニットにイメージを送信できる人物、ジャンパーがいなければ生身の人間には使うことができないというのは今のこの世界では常識の話だ。
仮にジャンパーなしでボソンジャンプしてしまった場合、生身の体は維持できず、消滅してしまう。
イレギュラーな出来事として、蜉蝣戦争中に木連軍のボソンジャンプに巻き込まれ、MIAとなったにもかかわらず、1年後に生還した風間イツキ曹長がいる。
彼女の登場は地球だけでなく、ボソンジャンプの研究が最も進んだ木連でも大きな衝撃を与える事件となった。
ただ、ボソンジャンプに巻き込まれてからの1年間どこで何をしていたのか、全く記憶にないとのこと。
余談ではあるが、その風間イツキが生還したニュースが流れた1週間後にこのシャトルの爆発事故が発生している。
ジャンパーにはA級とB級がいて、後天的に遺伝子調整を受けることで人工的にジャンパーになることができる。
その場合はどうしてもB級のみとなる。
そして、B級ジャンパーはボソンジャンプは可能であるものの、A級ジャンパーとは違って六連のようなボソンジャンプのための装備が施されたものに乗らなければボソンジャンプできず、更に距離についてもA級ジャンパーに劣っている。
そして、A級ジャンパーは火星開拓の際に使用されたナノマシンの影響を受けた、火星生まれの人間だけがなることができる。
しかし、ナノマシンの影響を受けたこと、火星で生まれたという条件がそろったからと言って、A級ジャンパーになれるかどうかは運しだいで、かなりのレアケースだ。
木連では、ナノマシンとDNAの相性、ナノマシンの影響の強弱、性別など、様々な観点からそれについて研究しているが、結論はいまだに出ていない。
「ということは、ユリカさんは死亡したのではなく、火星の後継者に誘拐された…ですね?」
「そうなります。そして、その目的はおそらく、演算ユニットをA級ジャンパーの力で制御するため」
「蜉蝣戦争で飛ばされた演算ユニットも…火星の後継者の手の中と?」
「可能性としては、あり得ます。ボソンジャンプで飛ばしたからとはいえ、消滅したわけではありませんから」
蜉蝣戦争終了後、演算ユニットは行方不明になったものの、それでもそれを手に入れようと秘密裏に動く勢力やトレジャーハンターもどきがいた。
しかし、たいていの場合は砂漠の中からコンタクトレンズを探すよりも難しいその宝探しに挫折してしまった。
そのまま見つからなければ平和につながる。
だが、火星の後継者の口ぶりからすると、演算ユニットが彼らの手にわたってしまったと考えざるを得ない。
「短距離ワープの怖さはさっき見たぜ…。1発だけならまだしも、それを連続して、どこでも行われるうえに長距離でも可能となっちゃあ…」
「A級ジャンパーは演算ユニットに直接アクセスすることができるとのことです。といっても、過去の事例からの推測であり、実際に試した記録はありませんが…」
「だから…今度はもう1人のA級ジャンパーのアキトを狙ってるってわけか…」
火星の後継者にとって、A級ジャンパーは手元に1人あればいいし、ほかにも演算ユニットとアクセスできるA級ジャンパーがいると邪魔になる。
だから、そのA級ジャンパーであるアキトの命を狙っているのだろう。
リョーコは彼らと孤軍奮闘する彼の身を案じた。
「彼女は昴リョーコさん。先代ナデシコのエステバリス隊の一員でした。私たちは火星の後継者を追っていたのですが…そこで彼らの攻撃を受け、部隊が壊滅状態になったリョーコさんと再会しました」
その時、リョーコはライオンスシックスと呼ばれるエステバリス隊の隊長として、ヒサゴプランの一環で建造されたコロニーの警備にあたっていた。
そこで火星の後継者による攻撃を受け、自分以外の機体はすべて撃破されてしまった上に部下たちは全員死亡、もしくは病院送りとなってしまった。
攻撃してきたのは北辰衆で、彼らの恐ろしさはいやでも覚えている。
「そして、アキトさんとも…その時に再会しました」
「あの黒い機体に乗ったグラサン男か…」
「グラサン男って、あんた!アキトと会ったのか!?」
ソウジの言葉に食いついたリョーコは詰問する。
彼女の知るアキトは黒い機体に乗り、グラサンをつけるような陰気な男ではない。
死んだと思っていた彼がなぜ自分たちに助けを求めず、一人で戦い続けているのか、もしかしたらその理由がそこにあるのかもしれない。
「あいつ、元気だったか!?どんな感じだった!?なんでもいいから教えてくれ!!頼むから!!」
必死に頼みながら、バンバンソウジの胸を叩く。
胸に感じる痛みが彼女がどれだけ彼を心配しているのかを教えてくれる。
「どんなって言われても、会話らしい会話はほとんどできなかった。大きなグラサンのようなバイザーをつけてて、押し殺したようなしゃべり方をしてたってことしか覚えてない」
会ったとはいえ、あまりにも短時間であったため、詳しいことを話すことができなかった。
「嘘だろ…?あのアキトが…そんなふうに…」
その言葉で、リョーコはどれだけ自分の知るアキトが変わってしまったのかがわかり、呆然とする。
話を聞いていたルリは表情を変えていないものの、拳に力が入っていた。
「そのアキトさんという方も先代ナデシコのクルーだったんですね」
「はい…。アキトさんの行動から、ユリカさんが火星の後継者に囚われていることがわかりました。あのシャトルの事故の後の経緯はいまだにわかりませんが…。A級ジャンパーである彼が無事ですんだとは思えません…。そして、確かなことはアキトさんはユリカさんを助けるため、1人で戦っているということです」
「愛する女を救い出すために、かつての仲間に背を向けて…か…」
愛する人を救うために行動をすることについては否定しないし、できない。
だが、なぜかつての仲間に助けを求めないのかがわからない。
北辰という男との戦いに巻き込まないためなのか、それともそれ以上に重要なことがあるのか。
(あいつとは…もしかしたら再び会う時が来るかもしれないな。その時に聞けばいいか)
「そういえば、叢雲総司さん。あなたは火星の後継者に狙われていましたが、火星出身者ですか?」
「ん…?いや、俺はいうなれば、地球生まれのナチュラルだ。火星出身でも何でもない」
「ではなぜ、火星の後継者に目をつけられたのか、分かりますか?」
火星の後継者はソウジをA級ジャンパーと誤認している。
どうやって彼に関する情報を手に入れたのかはわからないが、ソウジの身に何かがあり、それが原因でそう思われたと考えるのが自然だ。
実際、ソウジにはそのように誤認されることについて思い当たる節がある。
「俺が…転移者だからかもな」
「転移者?」
「それについて、話すと長くなるぜ?だから、どこかの喫茶店でお茶を飲みながら二人っきりで…痛!?」
急に右足の小指当たりに誰かから踏まれた痛みが発し、ソウジは涙目になりながらそこに目を向ける。
怒った表情を見せているハーリーが見事にソウジの右足を踏んでいた。
「艦長。天河アキトさんと思われる人物からのデータの暗号解析終わりました」
「オモイカネ…正面モニターに投影を」
ナデシコBの中枢をつかさどる成長型コンピュータ、オモイカネにルリはリンクする。
艦の航行や攻撃・防御などの主だったシステムを統括するオモイカネがあるおかげで、ナデシコは少人数でも問題なく運用することができる。
先代ナデシコに搭載されたものがそのまま移植されており、付き合いが長く、クラッキングなどのハッカーとしての能力の高いコーディネイターであるルリとの同調率が一番高い。
ルリが艦長に選ばれた理由の1つがそれであり、もう1つは歴代最年少の艦長という広告塔としての役割で、それについてはルリも承知している。
ハーリーが実力があると言ってくれているが、自分が目標としているユリカの人徳・統率力には及ばないと感じているからだ。
オモイカネによって、正面モニターにとある宙域の光景が映し出される。
「火星の後継者の部隊か…」
バッタやマジン、そして先ほど戦った夜天光の量産型と言えるグレーの機動兵器、積尸気が何かを囲んでいるように三郎太には見えた。
画像が不明瞭で、細かいところは分からない。
しかし、先ほど戦った相手の機動兵器の特徴から、そう判断できた。
そして、彼らが囲んでいるものをみたソウジの眼が大きく開く。
「あれは…!」
「ソウジさん、まさか!!」
それについて、あらかじてソウジから話を聞いていた舞人もソウジに目を向ける。
見間違えるはずがない、滅亡寸前の自分たちの地球を救うために共に戦い、次元震によって離れ離れになってしまった戦艦、ソウジ達と地球の最後の希望。
「間違えっこない…。あれは…あれはヤマト。俺の乗っていた艦だ」
機体名:ナデシコB
分類:ナデシコ級第2世代宇宙戦艦
建造:ネルガル重工
型式番号:NS955B
全高:300メートル
武装:グラビティブラスト、ミサイル ディストーションフィールド
主なパイロット:星野ルリ
地球連合軍に所属する戦艦であり、3年前の蜉蝣戦争を終わらせた戦艦であるナデシコの後継艦。
先代ナデシコから受け継がれた中枢成長型コンピュータであるオモイカネにより、主だったシステムが総括されているため、それと同調することができる艦長1人だけでも理論上は運用することができる。
先代ナデシコと比較すると艦体先端部に装備されていた2門のレーザー砲がなくなったものの、エステバリスなどの重力波アンテナ搭載の機動兵器へのエネルギー供給を行う重力波ビーム発射から供給完了までのタイムラグが短縮され、格納庫についてもモビルスーツの運用も想定されたことで大型化され、整備運用システムも拡張されている。
グラビティブラストとディストーションフィールドにより、先代ナデシコ同様、従来の戦艦を上回る攻撃力と防御力を持ち、カタログスペックでは1年前の戦争で活躍したアークエンジェルやミネルバをしのぐ性能を持つとのこと。
しかし、同型艦が存在しないことから互換性の無さや取り回しの悪さが問題視されており、艦隊編成に組み込まれていないため、常に単艦運用されている。
このような、軍にとっては扱いづらい艦が採用されたのは地球連合軍に影響力を残したいネルガル重工の思惑と、暗躍している火星の後継者をはじめとした過激派の木連へのカウンターという点が大きい。