4月、新年度を迎えた千歌と曜の通う学校-浦の星女学院-に転校生がやってきた。
始業式を終え、早めの帰宅となった千歌と曜はその帰り道、転校生の話で盛り上がっていた。
美人で、髪が綺麗で、大人っぽくて、まさに都会の女性。
どうしてこんな田舎に越してきたのだろう。住んでいたという東京ではどんな友達がいたのだろう。
本人しかわかるはずのない疑問を抱きながら歩みを進めた。
キイイイイイイイイイイイイイイイイン
突然、千歌が歩みを止めた。
それは、いつも突然聞こえてくる。
あいつらがいることを示す、甲高い音。
千歌は近くの鏡を探し始める。
曜も千歌の反応から状況を察し、一つの物置小屋を指示す。
建物のガラス窓が反射し、鏡面が浮かび上がっていた。
「千歌ちゃん!あそこなら人目につかない!」
その言葉に力強く頷くと、千歌はすぐに物置へと駆け寄る。
スクールバッグからカードデッキを取り出し、鏡面へとかざした。
腰にベルトが現れる。
「変身!」
叫びながらバックルへカードデッキを差し込み、千歌は白銀の戦士へと姿を変える。
「しゃっ!」と意気込み、千歌は鏡の中へと消えていった。
鏡の中で戦う千歌を見守りながら、曜は千歌の話を思い出していた。
怪物が現れるとき、決まって甲高い音が聞こえる。
怪物が成長すると、鏡の中からこちらの世界へ出現し、人を襲うようになる。
それを防ぐため、千歌は変身して戦っている、らしい。
何度も現場に遭遇するうちに、これが現実だと受け止めることができるようにはなったが、今でも夢なのではないかと疑ってしまう。
今も目の前で戦っているのだからと、自分に言い聞かせ千歌を再び視界に入れる。
その異変に、曜はすぐ気付いた。
「紅色の・・・鎧?」
千歌は困惑していた。
自分以外の人物がここにいることに。敵か味方か判断できないことに。
そも、本当に人なのかさえ。
鎧の戦士は千歌の視線に気付きながら、しかし目の前の敵への攻撃はやめなかった。
『ファイナルベント』
無機質な機械音が、その空間に響き渡った。
「あなたは誰?!」
我ながら、なんと頭の悪い質問だろう。
千歌は自分の語彙を恨む。しかし、それ以外に言葉は見つからない。
紅の鎧の戦士は、それに答えるように変身を解いた。
仮面の下の素顔があらわになる。
その顔を見た千歌には、その人物に心当たりが確かにあった。
「あなたは・・・転校生の・・・」
事の成り行きを見守っていた曜も、自身の鼓動が早くなっていることを感じていた。
「桜内・・・梨子さん・・・?」
長い髪が風に揺れる。
その少女は、静かに微笑んだ。
こんにちは。
初めての更新作品を読んでくれる方がいる、それがとてもうれしかったです。
ありがとうございます。
なので、自分のわがまま、少しずつ、頭の中にあるものを、出していきます。よろしくお願いします。
梨子ちゃん登場です。前回のラストにちらっと、今回もちらっと。罪な女です。
あと、サブタイトル付けることにしました。
龍騎か、サンシャインか、どちらかが元ネタのタイトル付けです。
ではまた。