Aqours☆HEROES   作:ルイボス茶

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知らない情熱

鞠莉が話していた通り、外で曜が待っていた。

心身ともに疲れ、乱れた呼吸を整える。

「曜ちゃん。」

呼びかけに反応し、曜が千歌の方を向いた。

「千歌ちゃん、来てくれたんだね。」

「でも、二人を止められたら・・・。」

「今の千歌ちゃんじゃ止められないと思う。」

 

予想していなかった言葉。

わかっていたことではあるが、まさか曜の口からその言葉が出るとは思っていなかった。

思わず、千歌は言葉が詰まった。

 

「ごめんね千歌ちゃん、でも、事態は思っているより深刻らしいんだ。」

「深刻って、どういうこと?」

再会した時から険しかった曜の顔がさらに険しくなる。

「千歌ちゃん、この戦いを終わらせるって思いは変わらない?」

「うん、もちろんだよ。」

「この先、きっと今日以上に悔しい思いをするよ、それでも?」

「うん、決めたことだから。」

千歌はじっと、曜を見ていた。

「わかった。わたしも、千歌ちゃんの助けになりたいと思う。」

「曜ちゃん・・・!」

「だから、いまから話すことをよく聞いて。鞠莉さんから聞いた話、それから、今までに知った情報とを合わせて、私の予想を今から千歌ちゃんに伝えようと思う。」

 

地を照らしていた太陽が、雲に隠れ始めた。

 

「まずは、今戦ってる二人からかな。千歌ちゃんはどこまで知ってるの?」

「果南ちゃんがアビスって呼ばれていることと、アビスはこの戦いの参加ライダーじゃない、ってことぐらいかな。あと・・・モンスターを連れてる。」

千歌の脳内にあの時の悲惨な様が浮かぶ。

「鞠莉さんは?」

「全然。蝙蝠みたいなライダーに変身したってことぐらいしか。ていうか、初めて話したぐらいだし。」

「そっか。ありがとう。じゃあ、まず鞠莉さんのことから。あれはナイトってライダーなの。本人が言ってた。」

「そういえばそんなこと言ってた気が・・・。って、会ったの!?」

「うん。あのメールはこのためだったの。ていうか、じゃなきゃ鞠莉さんも千歌ちゃんに言わないでしょ、私が外にいるって。」

千歌が納得したと頷く。

「でね、鞠莉さんと会った時にいろいろなことを聞いたの。果南ちゃんとダイヤさんと部活やってたってこととか。」

「え、そうなの?」

「うん、知らなかったよね。まあ、その話は置いておくとして。その時に、三つの壊れたカードデッキを見たの。」

「壊れたって・・・。」

「そう、そして、破壊したライダーが、アビス。果南ちゃんだって。そう言ってた。」

 

戦いをためらわない果南の表情を思い出す。

 

「果南ちゃんが、三人のライダーを・・・。」

「私も耳を疑った。でも、デッキは本物だった。」

「でも、果南ちゃん、アビスはこの戦いには・・・。」

「うん。参加ライダーじゃない。それに、千歌ちゃんが話してた、アビスが連れているモンスター。他のライダーとは明らかに違うよね。」

「果南ちゃんに何が起こってるの?」

「一つだけ言えることは、果南ちゃんがこの戦いに大きく関わってるってこと。それ以外は、想像がつかない。」

 

果南がアビスだと察した時から、少なからず何かがある予感はしていた。

ならば尚更、果南ともう一度話をしなくては。

 

「果南ちゃんからこの戦いについて聞き出すことができれば、これを終わらせる手がかりがつかめると思うんだ。」

「でも、アビスにはあのモンスターが・・・。」

「うん。そのモンスターを倒さない限り、ただでさえ勝てないのにチャンスすら生まれない。だから千歌ちゃん。まずはそのモンスターを倒すことを目的にしていこう。」

「そうだね、どうせいつかは戦わなければいけないんだ。でも、四人でも敵わなかったのにどうやって・・・。」

「四人でダメなら、五人。」

「え?」

「私ね、もう一つこの戦いについての予想があるの。ここまで、現れたライダーはアビスを除いて六人。その六人全員、浦女の生徒だったよね。前に話していたこと、覚えてる?」

「ライダーがもしかしたらみんな浦女の生徒なんじゃないか・・・。」

「その予想は当たりだと思う。壊された三つが誰に渡っていたのかわからないから、確かだとは言えないけど。」

「でもそれが、どう関係するの?」

「ここからが私の予想。今変身しているライダーはみんなどこかで繋がっていると思うんだ。」

「浦女の学生、ってことじゃなくて?」

「じゃなくてね。例えば、私たちと果南ちゃんは幼馴染でしょ?で、果南ちゃんはダイヤさんと鞠莉さんとも友達だよね?てことは、私たちと鞠莉さんたちは果南ちゃんを通してつながりがあるって言えない?」

「ああ、確かに。」

「残り変身者がわからないデッキは二つ。そのうち一つが誰か、いまの考え方で導き出せると思うんだ。」

「そのうち一つがだれか・・・?」

「千歌ちゃん、残り千歌ちゃんが知ってて名前が出ていないのは?」

「花丸ちゃんと・・・善子ちゃん。」

「学年は?」

「一年生って言ってた気がする。」

「私たち、この戦いが始まってから、他に出会わなかった?戦いに関係しそうな一年生に。」

「そんな子・・・。あっ。」

 

千歌は思い出した。

龍騎のデッキを差し出した人物の存在を。

確かに、その子がいれば人間関係が繋がる。

そうだ、確かあの子は1年生だった。

答え合わせをするように、千歌がその名を告げる。

 

「黒澤・・・ルビィちゃん。」

 

曜が頷く。

 

「ルビィちゃんにも戦力になってもらおう。今まで千歌ちゃんは一人で戦ってきたけれど、ここからはチームプレイだよ。」

千歌も力強く頷いた。

「行こう。黒澤家へ。」

 

 

答えは出た。

 

とりあえず目指すべき道も見えた。

 

まずはそれをクリアしていこう。

 

今度こそ、戦いを終わらせると千歌は自分に言い聞かせた。

 

 

 

 

一つの疑問を新たに抱きながら。

 

花丸と善子とはミラーワールドが初対面だったはず。

 

どうして、曜は二人のことを知っているのだろう。




 いつもありがとうございます。
内容のお話。
そして場面はルビィへ・・・。
同じく善子と花丸もルビィの元へ向かっているので、黒澤家の人口密度が一気に上がりそうです。
そして1年生編クライマックスへと向かっていきます。
2年生の時はライダー対ライダーだったのが、1年生編ではライダーたち対モンスターになります。仮面ライダーぽいのは後者ですね。
予定ではそのまま3年生編に入る予定です。その前に入るお話はありますが・・・。

それではまた。

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