Aqours☆HEROES   作:ルイボス茶

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ライダー集結

 すべて倒しきるまでに時間はかからなかった。

苦労しない、というわけではない。

それでも、戦う時の倒しやすい戦法だったりは少なからず生まれている。

それが二人ならば尚更。

改めて、千歌は梨子の存在に感謝していた。

 

 敵の全滅を確認し、白いライダーの元へ。

その当人は、目の前で起こった出来事にただ唖然としていた。

一つは、二人の戦士が共闘して敵を倒したこと。

そしてもう一つは・・・。

 

「大丈夫だった?」

ライアが問う。

 

もう一つは、それがこの前の紅色だということ。

 

問いかけに、慌てながら答える。

「あ、えっと、大丈夫。ありがとう、助かりました・・・。てか!!!あなたあの時の紅色!!!銀色と戦ってた紅色!!!私とも戦う気なの!?の、望むところよ!あ、でも待って!ちょ、た、タンマ!」

「落ち着いて!梨子ちゃんはあなたと戦ったりしないから!」

慌てた千歌と梨子が変身を解き、攻撃の意志がないことを示す。

「へ?」

つられて白いライダーも変身を解除した。

現れたのは、自分たちと同じ制服を着た少女。

リボンの色から、1年生だとわかる。

姫カットと頭の右側に作られたシニヨンが特徴的なその少女は、整った顔立ちに似合わないほど間抜けな表情を向けている。

「いや、タンマって・・・。今も使うんだ・・・。」

梨子がため息交じりに呟く。

ため息をつく回数が増えた気がする、と少しだけ心の中で憂いた。

「というか、あなたもあの時あそこにいたの!?」

「あなたも、って、あなたもいたの!?」

質問に質問を返す会話。

先に進まないと感じ、間に梨子が割って入る。

「いた、というよりこの子と私があの時戦っていたのよ。」

シニヨンの少女の表情が二転三転する。

「ええ!?」

「そうだよね、驚くよね。梨子ちゃん、この子にちゃんと説明しよう。」

「そうね、あなたのことも聞きたいし。」

シニヨンの少女も、戸惑いながらそれに了承した。

ふと、思い出したように千歌が話す。

「そういえば、私たちお互いの名前まだ言ってなかったよね。私は高海千歌。こっちは桜内梨子ちゃん。あなたの名前は?」

 

 

その振りにシニヨンの少女の目が変わる。

少女は漫画やアニメで見かけるような大げさなポーズをとって謳いあげた。

「ふふ、私の名前?私は堕天使。堕天使のヨハネよ。地獄からのフォーリンエンジェル。わかったかしら、リトルデーモン?」

 

 

決まったらしい。自分をヨハネだと言った少女は満足そうな顔をしている。

あれだけすらすらと言えたのだから、おそらくこの少女の常套句なのだろう。

「ヨハネ・・・?なんかわかんないけど、かっこいい名前だね!」

千歌は目を輝かせていた。

一方の梨子は頭を抱えた。

予想外の展開。この子は、痛い子だった・・・。

 

 

 

 

 

 

 

 千歌に代わって梨子が今までのことを伝えた。

同時に、ヨハネと名乗った少女は「津島善子」という名前だということもわかった。

梨子の笑顔に何かを察し、言わなければと思ったらしい。

また、善子も自身の経緯について話した。

カードデッキを雑貨屋の店主からもらったこと。家の全身鏡にかざしてみたらあの姿になったこと。その後ミラーワールドに入りタイガとライアの戦闘に遭遇したこと。

ライダーバトルに関しての知識は、梨子と出会う前の千歌と同じぐらいだった。

戦うことができた千歌の方が幾分かましなほど。

梨子は善子に、その力がファムと呼ばれるライダーの力だと教えた。

必死に話を理解しようとする善子の姿に梨子は少しの安心感を覚えた。

痛い子ではあるが、悪い子ではない。

千歌も、それを感じていた。

少なからず、千歌は自分と似たところがあるのではないかと考えた。

であれば、この子も協力してくれるかもしれない。

希望に心が舞い踊る。

 

 

大方、話の整理と説明が終わったところで千歌が異変に気付いた。

「梨子ちゃん、あれ!」

指差す先に、モンスターの群れ。

先に倒した数より明らかに増えていた。

「また・・・!」

 

 

しかし、千歌が変身しようとしたところで、群れの中で小さな爆発が起きた。

 

 

直後、背後で機械音が鳴り響く。

 

 

『ファイナルベント』

 

 

小さな爆発は数を増し、激しさを増し、威力を増す。

それが背後から発射されたミサイルやレーザーに起因していることに気付いたとき、敵は既に全滅していた。

 

三人が振り返る。

 

視線の先には緑色のライダー。

 

牛とロボを組み合わせたような姿をしたミラーモンスターを従えている。

 

「梨子ちゃん、あれって・・・。」

「ええ・・・。あの姿は、仮面ライダー・・・。名はきっと、ゾルダ。」

 

突如現れた新しいライダー。

二人に緊張が走る。

 

 

「ふう・・・。大丈夫だったずら?」

 

 

ゾルダは変身を解除しながら、千歌たちに話しかけてきた。

 

「・・・ずら?」

 

その独特な口調とあらわになった顔に善子が目を見開く。

 

「ず、ずら丸!?」

「って、善子ちゃん!?」

 

 

思いがけない再会、望まない運命。

想いが、入り混じる。




いつもありがとうございます。
よっちゃんがいればこんな暗いお話も明るくできる気がしてきました。
そんな、「よっちゃんに教えよう!」の回です。
そして、マルちゃん登場です。
活躍してもらいますよ!エンドオブワールド!

善子が変身するのはファムです。
これはすぐ決まりました。
個人的にすごくしっくり来ているのですがどうでしょう。

次回はなにかありそうなあの子!
それではまた。

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