転生したら海の悪霊?   作:ヨシフ書記長

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疲れ…た…
やっと時間が空いた…。
もう12月だよ…読者の皆さん待たせたすぎたよ…
もう死んだって思われてるよ…もう顔向け出来ねぇよ
この前なんか運営さんに粛清されたと思われたよ

何とか年末には連続投稿出来たらええなぁ…

本文には四肢欠損やグロなどが今回は珍しく混じっておりますので注意

それでは、今回は長めにしてありますのでどうぞ!



ビッグニュース!

燭台にある蝋燭がチロチロと揺れる…。

 

アン女王の復讐号の船長室へと連れてこられたドンキホーテ兄弟は椅子に座らされた。彼らの目の前には机があり、真ん中にジョーンズが椅子に、その横にはロウとブラックスカルが立っていた。

 

「どうだ?この船はいい船だろう?」

 

ジョーンズはニヤつくと、わざとらしく手を広げてドフラミンゴにそう言った。ドフラミンゴは黙ったままジョーンズの顔を睨みつけていた。

 

「船長…こいつらは一体何なんだ?この島のやつにしてはエラくお高くとまってやがる」

 

ロウはドフラミンゴとロシナンテの顔を値踏みする様に見るとそう言った。ジョーンズはニヤつきながらこう言った。

 

「こいつらな?ロウ?下界に降りてきた連中だ…。普段は()()()()にしかいないはずのな!」

 

ジョーンズがそう言うと、スカルは仮面の奥の目を大きく開きながらこう言った。

 

「まさか…天竜人?」

「ああ…。その通りだ」

 

ジョーンズは椅子にもたれかかると愉快そうに目を細めてそう言った。ドフラミンゴは怒りに身を震わせながら俯いていた。さらにジョーンズはこう続けた。

 

「こいつらの父親は天竜人の地位や権限を全て捨てて…普通の人間になろうとしたんだよ…。だが…!悲しいがなぁ…!世の中はそう甘くはない!天竜人や世界政府がこの世にどれだけの事をしているのか…!それによって…どれだけの人間や島が消えていったのか…!わかっちゃァ…いないんだァ…!」

 

ジョーンズはそう言うとラム酒を煽り、乱暴に瓶を机に叩きつけるとびびったコラソンは小さく悲鳴をあげた。ジョーンズの話を聞いていたドフラミンゴはついに我慢出来なくなったのかこう漏らした。

 

(うるさいえ…)

「ん?何か言ったか?小僧?」

 

俯いて震えているドフラミンゴに対し、ジョーンズは馬鹿したように身を乗り出しながらそう言った。すると、ドフラミンゴは顔を上げるとジョーンズを睨みつけ叫んだ!

 

「うるさいと言ったんだえ!我らは選ばれた者だえ!お前ら人間とは違うのだえ!我らこそ神と同じなのだえ!お前ら人間とは違うのだ!」

「ふふふ…くっ!ハハハハ!」

 

ドフラミンゴの啖呵にジョーンズは腹を抱えて笑い出した。

 

「自分…達が!選ばれた者だと!?お前らが神と同じ?人間ではない?ナハハハハハ!最高に笑える冗談だ!」

 

不気味に大声を出しながらジョーンズは笑っていたが…。急に笑うのをやめると、左腕のカニ爪でドフラミンゴの首に掴みかかった!

 

「ぐ…え…!」

 

ドフラミンゴは呻き声をあげながら、カニ爪をはずそうともがいたが…。悲しい事にカニ爪が外れる事はなく…ジョーンズは嗜虐的に笑いながら苦しむ様子を眺めていた。

 

「ぐぅ…え!かっ…はっ…ん!」

 

口元に白い泡が出始め…徐々に動きが弱くなっていくドフラミンゴを眺めながら、ジョーンズはまるで音楽でも聴いているかの様に目を閉じて顔を指揮棒のように揺らしながらこう言った。

 

「ん〜。いい呻き声だ…。流石は選ばれた者だなぁ?呻き声がまるでオペラを聞いているようだ…いい心地だ」

 

少しジョーンズはカニ爪の力を緩めた。

 

「カハッ!ケボっ!ゴホッ!」

 

やっと息を吸えたドフラミンゴは咳き込みながらもジョーンズを睨みつけた。

 

「どうだ?小僧?首を絞められた後の新鮮な空気を吸う気分は?生き返る様な気分だろう?どうだ?それでもお前は俺ら…人間とは違うのかな?」

 

ジョーンズはドフラミンゴを見つめながらそう言う。

 

「お…お前ら…人間とは…ち…がうえ…!」

「何が違うと言いきれる?お前ら…天竜人と俺らとで?その皮の中には血と臓物と糞が詰まってるんだろう?俺らと変わらんじゃないか…。ただ…唯一俺らと天竜人の違う点は一つだけ…!それは何をせずに得た権力だ!

権力があれば…お前らの様に人を見下す事も好き勝手に武力を使う事も出来るんだろう…!だがなぁ?」

 

ドフラミンゴの顔をグイッと近づけるとジョーンズはこう言った。

 

「その身勝手で…奪われた者たちの怨念を見るがいい…」

 

ジョーンズは立ち上がると、ドフラミンゴの襟をしっかり掴んだまま歩き出した。

 

「離せ!どこへ行く気だえ!」

「あ…兄上…!」

 

ロシナンテは怯えながらもドフラミンゴを目で追いながらそう言った。

 

「ロウ!そこの小僧も連れてこい!」

「了解だ」

 

ロウはそう言うとロシナンテの襟を掴み、持ち上げた

 

「ひ…ヒィ…」

「大人しくしてろよ?根暗坊主?じゃねぇとお前を溶かしちまうぞ?」

 

歯を剥き出しにしながら笑うとジョーンズの後を追うのだった。

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

〜聖地・マリージョア〜

 

パンゲア城にあるCP長官室…。ベケットは窓から景色を眺めながら、後ろのソファーに不機嫌そうに座るサラザールに向かってこう言った。

 

「何を不服そうにされておるのですかな?サラザール大将閣下…?」

 

ベケットはゆっくりと後ろを向くと自分のデスクに腰掛けた。サラザールはきっと睨みつけるとこう言った。

 

「この私を聖地にまで呼びつけて話したい事とは何だ?ベケット長官?私は一刻でも早く海のゴミ共を掃除しに行きたいんだがなぁ?」

サラザールは立ち上がるとベケットに歩み寄った。しかし、ベケットは顔色一つ変えずに、引き出しから装飾された小箱を取り出すと、蓋を開けてサラザールに向けた。

 

「この前の…()()()()()()ご苦労でした。これはそれに対する我ら政府からの褒章になります」

 

スっと出された勲章を見つめながら、サラザールは冷たい笑みを浮かべながらこう言った。

 

「この前の()()()()だと?護衛任務が失敗した私に対する嫌味のつもりか?ベケット?」

「はて?何の事でしょう?私が頼んだのはトルトゥーガに集まる海賊共の討伐任務だけですが?」

 

目が笑っていない笑みを浮かべるとベケットはそう言った。サラザールは笑みを浮かべたままこう返した。

 

「元から護衛任務はなかった様にするつもりの様だな?ベケット?

余程…あの小僧を()()に奪われたのが癪か?まぁ…いい。

それならば…こんな褒章など要らん…。ただ海のゴミを掃除しただけだ…褒められるものでは無い」

 

サラザールは勲章をベケットに突き返すと部屋を出るために後ろを向いて歩き出した。しかし、後ろからベケットの声が響いた。

 

「この前の任務の際に…。我が船も多大な被害を受けたが…。奴はあの子を奪うのだけが目的ではなかったようだ…」

 

その言葉にサラザールはピタリと歩みを止めた。

 

「この私がエンデヴァー号に積み込み保管していた…。資料や宝…更には盗聴電伝虫などに至るまで盗まれてしまった…」

 

ベケットは話しながら机を指でなぞるとこう続けた。

 

「奴の手にはどれも余る物…。アレらは我々…世界政府が管理し、運用せねばならない…」

 

言い終えると背を向けているサラザールに向かってこう言った。

 

「サラザール大将…。貴方は"古代兵器"という物を知っておいでですか?」

 

その言葉にサラザールは振り返るとベケットを睨みながらこう言った。

 

「"古代兵器"…。"ウラヌス"…"ポセイドン"…そして、"プルトン"…。ただ一つだけでもあれば…世界の覇権を取れると言われるものだろう?」

 

サラザールの言葉に、ベケットは指先を合わせながら上を見上げこういった。

 

「その通り…"古代兵器"という物は決して…。個人が持ってはいけない力…それをどうやらやつは狙っているようです…」

「何だと?」

 

サラザールはベケットの言葉に1歩前に進むと顔を顰めながらこう言った。

 

「あのゴミが狙っているというのか!あの"古代兵器"を!」

 

「確証は得ていませんが…確かに狙っているのは確かでしょう…。事実…奴の船には"古代文字"を解読出来る者が居るようだ…。

奪われた物の中には、あの"歴史の本文"写しの1部があった…」

 

ベケットは椅子から立ち上がるとサラザールを見てこういった。

 

「サラザール大将…。貴方にはあの男…デイヴィー・ジョーンズを始末して頂きたい…。奴がもしも"古代兵器"を手にしたら、世界は破滅へと向かうでしょう…」

 

ベケットはそう言いながら、ある羊皮紙を取り出すとサラザールに向かって歩き出した。

 

「サラザール大将にはそれの見返りとして…コレの情報をお譲りしましょう」

 

ベケットはいやらしい笑みを浮かべながら、その羊皮紙をサラザールに手渡した。

 

「これは何だ?」

 

サラザールは羊皮紙を見つめるとベケットはこう続けた。

 

「閣下の言っておられた"古代兵器"。()()()を守る為に作られたとされる物の一つ…。最強の槍…その名は"ポセイドンの槍"…。この槍は海を自在に操り、支配する事が出来るという…。どうですかな?閣下?これがあれば…貴方の夢を叶えることが、出来ると思いませんかな?」

 

サラザールはただ静かに羊皮紙を見つめるとボソッと呟いた。

 

「奴はどこに現れるかわからんぞ…それはどうする?」

「それの心配には及びませんよ…。大将閣下…。マーサー君…あれを」

「はっ!こちらに…」

 

ベケットが合図をすると、マーサーが何処からとも無く現れサラザール達に布に包まれたあるものを取りだした。

 

「これは?」

「貴方が切り落とした奴の腕だ…。これを使ってビブルカードを作れば奴を追うことが出来るだろう…」

 

ベケットの言葉にサラザールはジョーンズの腕をガシッと掴むと笑いだした!

 

「フッフッフッフッ…!お前に死が迫っているぞ…!ジョーンズ!

次会った時がお前の首が飛ぶ時だ!フハハハ!」

 

サラザールの笑い声がパンゲア城に響き渡るのだった。

 

 

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〜ジョーンズside〜

 

ジョーンズ達が甲板に出ると港が何やら騒がしくなっていた。

 

「うん…?何の騒ぎだぁ?マッカス!」

 

ジョーンズはドフラミンゴを掴みながら船縁に向かうとマッカスを呼んだ。

 

「アイ、船長ォ…」

 

マッカスは返事をしながら人混みより現れると、ジョーンズを見上げた。

 

「何の騒ぎだ?甲板長?」

「何やら…船長に会わせろと騒ぐ野郎を捕まえたんでさぁ…」

「何だと?そいつは海兵か?それともCPか?」

「いやぁ…新聞屋と名乗ってます」

「新聞屋ァ…?」

 

怪訝そうな表情を浮かべながらジョーンズは人だかりを見つめた…。そこには乗組員達に囲まれた一人の男が叫んでいた!

 

「私は決して怪しいものでは無い!世界経済新聞社のモルガンズという者だ!君達の船長と少し話をさせて欲しいだけだ!何も悪い事はしない!」

 

そう騒ぐモルガンズは肩にカモメを乗せながら写真を撮りつつそう言った。モルガンズを見たロウはジョーンズにこう呟いた。

 

「あいつは世界経済新聞社社長のモルガンズだな…?聞いた事があるぜ!スクープの為なら命をかける変わった野郎だ」

「ほぉ…記者ってことか?ロウ?」

「おお、その通りだ」

 

ジョーンズはにぃッと笑うとこう言った。

 

「いい事を思いついたぞ…!おい!野郎共!そいつを通してやれ!」

 

ジョーンズの言葉に乗組員達はゆっくりと道を開け始めた。モルガンズは目を輝かせながら言った。

 

「…!おおお!話題の"海の悪霊"に会えるとは!わざわざ…北の海(ノース・ブルー)の辺境まで来たかいがあった!」

 

興奮気味にタラップを慌てて駆け上がるとジョーンズ達の前に立った。そして、深々とお辞儀するとこう言った。

 

「取材を受けて頂き誠にありがとうございます。Mr.ジョーンズ!君は話題の星なのに誰もインタビュー出来なかった!会ってくれて感謝する!」

 

モルガンズはそう言うとジョーンズの前に手を差し出した。ジョーンズは少し固まった後…ゆっくりと握手をした。

 

「まずは聞きたい事が山ほどあるんだ!Mr.ジョーンズ!大将灰蛇もとい…!サラザール大将との戦いについてどうだったのかが知りたい!そして…!」

 

モルガンズはメモ帳を取り出しながら興奮気味にそう言ったが…ジョーンズはゆっくりとこう返した。

 

「そう慌てる事は無いだろう?モルガンズくぅん?俺は何もインタビューを受けるとは一言も言ってないぞ?俺の所までは来ていいとだけしか言ってない…。よく喋る口だな?まるでキツツキ(ウッドペッカー)だ」

「な…何を?」

 

詰め寄るジョーンズにモルガンズは冷や汗を流した。

すると、ジョーンズは何気も無しにモルガンズの肩にいたカモメを掴むとモルガンズに押し当てた!

 

「少し…お前の特徴通りの姿にしてやろうと思ってな?一体化(Integration)

 

カモメは金切り声を上げながらモルガンズの体へと混ぜこまれ始めた!モルガンズはその様子を興奮しながらこう言った!

 

「これが"海の悪霊"の力!こ…これは!ビッグニュースだ!ハハハハハー!」

 

後にモルガンズはこう語る

『自分自身で体験した事こそがビッグニュースなのだ!』っと…。

 

瞬く間にモルガンズの体からは白い羽毛が生え始め、口には黄色の嘴が生えた。

 

「どうだ?少しはそのお喋りの特徴とおなじ様になれただろう?」

 

ドフラミンゴ達は目の前に立っているモルガンズのあまりの変わりように目を見開いた。先程までのモルガンズは、ただのシルクハットを被り、肩にカモメを乗せた不思議な男だった…。しかし、今のモルガンズは人間大の大きさの鳥に変化していた!

 

モルガンズは息を切らしながらも興奮気味にこう言った。

 

「噂には聞いていた…"悪霊の力"!私自身に使ってくれるとは!まさにビッグ・ニュース!こんな貴重な体験は他にはない!鳥になれるとは思わなかった!Mr.ジョーンズ!有難う!こんな素敵な事は他には無い!」

 

モルガンズはまたジョーンズに握手を求め、ジョーンズもそれに応じた。

 

「それをされて絶望しない奴は初めてだ…」

「とんでもない!絶望どころか希望に満ち溢れているよ!」

 

握手した手をブンブンと振りながらモルガンズはそう言った。ジョーンズは少し笑いながらこう言った。

 

「先程のインタビューの件だが…受けないと言ったのは水に流そう…。その代わりに条件がある」

「ほ…本当か!条件は何でも飲もう!君のインタビューが出来るのなら!」

 

ジョーンズはモルガンズについてくるようにと、言うとドフラミンゴ達を引き摺りながら船倉へと降りていった。

 

薄暗い船倉の中には消毒液やら血の匂い…。ある所では叫び声が響き、中では元奴隷達が忙しく怪我をした元奴隷をみていた。

 

「彼らは奴隷かい?ジョーンズ?」

「あぁ…その通りだ。モルガンズ…コイツらは俺が奴隷船を襲わなければ一生奴隷だったヤツらだ…」

 

ジョーンズ達はゆっくりと奥へ歩みを進め始めた。

 

「知ってるか?モルガンズ?

世界政府の連中が言う世界ってのは…。一部の連中の理想と汚ぇ欲望で塗り固めた世界だ。そんな理想の中に入れねぇ奴は物みてぇに売買されるか…滅ぼされるしかねぇ!」

 

ジョーンズの言葉に元奴隷達は黙ってジョーンズを見つめた。

 

「弱い連中は世界政府という大きな壁をどうすることも出来ねぇ!」

 

ジョーンズは抱えていたドフラミンゴを暗い闇の中に投げた!

 

「うわ!」

 

ドフラミンゴはハンモックに受け止められると、そのまま床に落ちた。

 

「いっっ……」

 

おでこを摩りながら辺りを見渡すと、こちらを見る何者かの視線を感じた。

 

「だ…誰だえ!」

 

ドフラミンゴの見つめる先には、寝そべった状態でこちらを見るガイコツの様に痩せた男の姿があった。男は作った様な笑みを浮かべるとモゾモゾと動き始めた!

 

「ち…近づくなえ!く…来るなだえ!」

 

ドフラミンゴは近くに立てかけてあったモップを構えて男の方に向けた!男は更に笑みを深めると笑い声を上げた!

 

「アハハ!アハハ!アハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハ!」

 

男はまるで蛇が鎌首をもたげるように体を起こすと、ドフラミンゴに向かって飛び上がった!

 

「うわ!」

 

男はドフラミンゴを押し倒した。

 

「離せだえ!くっそ…!ん?」

 

モップで応戦していたドフラミンゴの目が…徐々に漆黒の闇に慣れ始めた…。

 

そして、ドフラミンゴはある不自然な点に気づいた…。

何故この男は…モップで殴っているのに手で防御しないのだろう?足で走ればもっと自分を捕まえやすいのにと…。

ドフラミンゴはゆっくりと目の前の男に目を向けた…。

そして、恐ろしい事に気づいてしまった!

 

「う、うわぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!」

 

自分の前にいる男には両手両足が無いのだ!男はまるで芋虫…いやナメクジのようにはって動いているのだ!

 

その男はドフラミンゴに顔を向けるとこう言った。

 

「君の両手と両足…ちょうだいィィィィ!?」

「うわぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!」

 

ドフラミンゴは慌ててその男から離れようと走り出した!外へ出ようと必死に!しかし、悲しい事に出口は中々見つからない。

 

「ハァハァ…」

 

走り疲れたドフラミンゴは少し立ち止まって休憩していると…。顔にまるで氷のような冷たさの手が触れた!

 

「だ!誰だえ!」

 

ドフラミンゴがモップを構えた先には長い髪の女性が佇んでいた。ゆっくりと女性はドフラミンゴに近づく…

 

「来るなだえ!近づくと殴り飛ばすえ!」

 

しかし、女性は制止も聞かず歩みを止めない。

 

「来るなと言ってるだ…え?」

 

ドフラミンゴはまた顔を見た…。女性の顔には傷一つない…しかし、目と口と耳は糸で縫合されていた!口からはヒューヒューと息が漏れていた。

 

「うわぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!」

 

のっぺらぼうのような女性はドフラミンゴに向かってゆっくりと歩みを進めてくる。ドフラミンゴが悲鳴をあげていると襟首を何者かに掴まれ押し倒された!

 

「うわぁ!」

「うるさい…。坊やねぇ…」

 

しわがれた声の主はドフラミンゴを優しく抱きしめる。

 

「離せだえ!こんな化物がいる所には居たくないえ!」

「あらァ…酷い事の言うわね…。私達は…化物じゃないわよ…坊や

私達は人間よ…」

 

しわがれた声の主はドフラミンゴの背中に胸を押し付けながらそう言う。ドフラミンゴは恐怖におののきながらこう言った。

 

「お前はアイツらを見なかったのかえ!あれは明らかに人間じゃないえ!」

「アイツ…?あー…ルイスの事かい?あの子は…少しシャイなだけさ」

「あの化物に名前があるのかえ?他にも両手両足の無い男もいたえ!あ…」

 

興奮気味に喋っていたドフラミンゴは急に喋るのを止めた。何故なら、何やら体に巻きついてきているからだ。ドフラミンゴは勇気を振り絞ってそれを触ってみた。

 

それはひんやりとしていて…鱗が沢山並んでいた!

 

ドフラミンゴは慌てて立ち上がろうとするが立ち上がれない!

 

「どうしたの?坊や…もう少しお話しましょ」

 

ゆっくりとドフラミンゴの体を絞める蛇の尻尾がドフラミンゴの横顔をつつっとなぞる。

 

「美しいでしょ?私の…足は?前の足は…動かなかったから…ジョーンズ様がくれたのよ」

 

ドフラミンゴはブルブルと震えていると、ジョーンズの声が響き渡って来た。

 

「目が欲しいか?新しい足が欲しいか?新しい腕が欲しいか?

こんな体にした連中が憎いか?この世に復讐がしたいか?

ならば、俺ともにこい…!復讐する力をくれてやる…!

その恨みを必ず晴らしてやる…!俺は一緒に来るものは一切拒まない!この不条理な世界に対して共に復讐しようじゃないか?」

 

ジョーンズの言葉に至る所から声が上がる!

ドフラミンゴはそんな中で意識を手放した…。

 

「なぁんだ?失神しちまったのか?」

 

ロウは横にコラソンを抱えながら現れた。ドフラミンゴの顔を覗き込むとにぃッと笑う。

 

「兄上!兄上ぇ!」

 

コラソンは涙や鼻水を止めどなく出しながら失神してるドフラミンゴを見て叫ぶ。そんなコラソンにロウはこう言う。

 

「うるせぇぞ!何も死んじゃいねぇよ!気を失ってるだけだ!」

 

ロウはドフラミンゴに近づくと、巻きついている女を見るとこう言った。

 

「ラミア!面倒をかけて済まなかったな!」

「いいわよ…。丁度…退屈してた所だったから…」

 

ラミアはドフラミンゴから離れるとロウを見て笑った。ロウはドフラミンゴを担ぎ上げるとこう言った。

 

「もし、他に足がねぇ奴や腕のねぇ奴が居るんなら…後で船長室に来るように言っといてくれ…。今は客が来てるから後でな?」

 

ロウがそう言うとラミアは笑いながら頷き、暗い船内の奥へと去っていった。

 

「うっし、甲板に出るか」

 

ロウはドンキホーテ兄弟を抱えながら甲板上へと出ていくのだった。

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

「実にいい取材をさせてもらった!有難う!Mr.ジョーンズ!」

 

港で固い握手をジョーンズはモルガンズと交わした。

 

「取材の条件はちゃんと果たしてくれよ?」

「分かってるとも!これを同封すればいいんだろう?」

 

モルガンズは白い紙を取り出すとジョーンズに見せた。

 

「あぁ…。それを入れてくれればいい」

「まさかこの白紙に…この様に水をかければ!」

 

モルガンズは白紙に小瓶からの水をかけると…みるみるうちに文字が浮き上がり始めた。

 

そこには船員募集と書かれており、この島の場所と日時が書かれていた。

 

「こんな文字が出るとは!今回の新聞はよく売れそうだよ!実にビッグニュース!」

「水が身近にある仕事と言えば、船乗りだからな?これをすれば、船員が集まりそうだしな」

「確かに!これはビッグニュースになるぞ!」

 

モルガンズはにこりと笑うと会釈をしながらこういった。

 

「それでは、また取材をさせてくれ!Mr.ジョーンズ!」

「無論だ」

 

そうして、モルガンズは去っていった。

 

ロウはそれを待ってたかのようにジョーンズに近づいて言った

 

「なぁ?船長?こいつらどうする?」

「お灸を据えすぎたか?まぁいい…。食料の詰まった鞄でも持たして家に帰らせろ。親が心配してるだろうしな?あとこの紙を同封してな」

 

ロウに何やら書かれた紙を渡すとジョーンズは船へと戻って行った。

 

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〜次の日〜

 

世界経済新聞に大きな見出しが載せられた!

『海の悪霊の真実!市民の敵か?味方か?』

『本誌独占スクープ!悪霊に突撃インタビュー!』

『海の悪霊は弱きを助ける者?』

 

その新聞ともに手配書が3枚入っていた。

 

"海の悪霊"デイヴィー・ジョーンズ

8億8000万ベリー

"溶解"ジョン・ロウ

3億2000ベリー

"黒面"ブラックスカル

5000万ベリー

 

そして、()()()()…。

それは、各地にいる化物たちの目に止まったのだった。

 

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〜???〜

 

ある街

ある男が一輪車に乗りながらあの紙を見つめる。

 

「キリキリ…。悪霊が船員募集してるようですねぇ…」

 

男は白紙を見つめながらそう言った。

 

「とても楽しそうですねぇ…私もこのパレードに入れてもらいましょうカ!」

 

男は楽しそうにジャグリングしながらそう言った。

 

またある島

 

ある男が暗い路地であの紙を見ていた。

 

「悪霊が…船員募集ぅ〜?キーッ!シッシッシッシッシッ!」

 

男の周りにはコウモリのようなものが沢山羽ばたいていた。

 

「面白そうじゃねぇか!キーッ!シッシッシッシッシッ!」

 

またある国

 

「ひょっほー!イイ波やー!」

 

男は波に乗りながらそう言った。そして、海水で濡れた紙を見つめるとこう言った。

 

「あの話題の男が船員募集しとるんかいな!こりゃ、おもろそうやんけー!」

 

またある所では

雪が降り積る中…敵に囲まれながら男はこう言った。

 

「ブルッ!寒い…。やはり冬島になんか来るんではなかったか…」

「何言ってやがんだ!てめぇ!」

「早くやっちまおう!」

「死ねやぁ!」

 

敵は男に斬りかかったが…!男はゆっくりと剣を抜くと一閃した!

 

敵の血飛沫で男はずぶ濡れになるとあの紙を見つめる

 

「ほう…船員募集か…」

 

ある研究所

 

「まずい!試作品が盗まれたぞ!」

「誰かやつを止めろ!」

 

慌てる男達を他所に男女は笑った。

 

「俺の速さに着いてこれる訳ねぇだろ!ビリリリリ!」

「そっちは違うって!そっち外じゃないって!」

 

男におぶられた女は方向指さしながらそう言う。

 

「んで、次何やるよ?もう盗みは飽きたぜ!」

「んなら、こんな面白そうなのがあったって!」

 

女は男の目の前にあの紙を見せる。

 

「へぇ?海賊かぁ〜?面白そうだな!いっちょやってみっか!」

「そうだねだって!」

 

2人は笑いながら走り抜けるのだった。

 

ある森…。

 

「ふわぁ…眠いの〜」

 

欠伸をしながら女の子はあの紙を見つめる。

 

「へぇ〜面白そうなの〜?」

 

女の子はテディベアを持ちながらフラフラと立ち上がる。

 

ある建物

 

「もっと捻っていい?捻っていいよねぇ?」

 

薄暗い一室で男は興奮しながら沢山の人間の首を捻り始めた。

 

「そうそう!もっと!もっともっと!捻じろうねぇ!」

 

耐えきれなくなった人間の首が捻じ切れた!

血飛沫を浴びながら男は悦に浸っていると、あの紙に文字が浮き上がる。男はそれを見ると嫌らしく笑うのだった。

 

ある屋敷

 

「とぉりゃんせ〜とぉりゃんせ〜ここは何処の細道じゃあ〜。天神様の細道じゃあ〜」

 

花魁は歌いながら紙を見つめ、目の前の池に放った。

池の水に触れ、また文字が浮きでる…。

花魁はそれを見て妖艶に笑う。

 

ある劇場

 

「これを見てくれ!ピエロ君!」

「なんだい?ライオン君?」

 

一人の男が操り人形を弄んでいた。

 

「悪霊が船員を募集してるんだってさ!」

「それは本当かい?ライオン君?」

 

『だったら、会いにいかなくちゃ!』

 

男はニヤリと笑う。

 

ある工場

 

「それで兄弟?」

「なんや兄弟?」

 

男二人は喋りながら、タンクの底にいる男達を見つめる

 

「今日の新聞読んだけ?」

「おう、見たぞ」

「この紙もか?」

「ん?なんやそれ」

 

男の一人は手からドロドロの液体をタンクの底にいる男達にかけ始めた。

 

「船員募集やとよ」

「ほうけ?次はこれやって見るべ」

「せやな」

 

男達は立ち去ろうと歩き出した…。男の一人が煙草に火をつけると紙にも燃え移らせてタンクへと投げた。その瞬間!タンクから大きな炎が上がった!

 

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〜2日後〜

 

誰もが寝静まる夜更けにジョーンズはある物見ていた。それはルチアーノが解読した暗号文だった。

 

「ポセイドン…魚人島…。それを守る為の槍か…」

 

熱心にそれを読んでいると、何処からとも無く一陣の風が吹いた!

 

「ぬぉっ!」

 

慌ててジョーンズは目の前にある暗号文を飛ばないように抑えた。中々目を開けれなかったが、風がぱったりと止み目をゆっくりと開けた。

 

「こんな時に珍しい風だな」

 

ジョーンズは開いていた窓を閉めに立ち上がった。

しかし、窓を閉めて振り返った瞬間…!目の前に黒いローブを纏った少年が立っていた!

 

「何の用だぁ?小僧ぉ!」

 

ジョーンズがカニ爪で襲いかかろうとした瞬間!少年はジョーンズに()()()を見せた。ジョーンズはピタっと止まるとこう言った。

 

「俺の船に乗りたいのか?小僧?」

 

少年は黙ってうなづいた。ジョーンズは椅子に戻るとゆっくりと座り、少年に目の前に座るように指図した。ジョーンズはパイプに火を灯すと、紫煙をたぐらせながらこう言った。

 

「それで?お前の名前はなんて言うんだ?小僧」

 

ジョーンズの言葉に少年は沈黙しつつもこう答えた

 

「ドラゴン…。モンキー・D・ドラゴン」

 

 




今回はドラゴンさんと影男さんがアップを始めました。
なんかあれだな…新キャラ出すって言ったけどちゃんと出なかったな

うちのドフラミンゴ、ヘタレスギィ!だって、悪のカリスマがタコ恐怖症とかやったり、お化け嫌いとか素敵やん?トラウマを増やしていくスタイル(作者は心を折るのが好き)

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