ラブホの中。そこで、とりあえず入浴を終えて食事を済ませ、俺と大和は何となく待機していた。えーっと、これどうしたら良いんだろうか。まずは俺に下心が無いことを弁明すべきだよな。身体目的で付き合ってたとか思われたく無いし。
「大和」
「つ、ついにこの時が………は、はい!」
「俺、お前の身体に一切興味ないから」
「………は?」
「エロい事目的でここに来たんじゃないから。服濡れてこのままじゃ風邪引くから仕方なくだから。何ならエロい事しないから。そこんとこわかってるんだろうね?」
「……………」
言うと、大和は落胆したようにため息をついた。で、「ですよね、うちの提督だもんね……」と呟いた後、俺を見た。少し悩んだ後、むんっと覚悟を決めたように鼻を鳴らし、ベッドに腰をかけてる俺の唇に唇を押し当てながら、俺を押し倒した。
「ッ⁉︎」
「んっ……れろっ」
し、舌がペネトレイトして来た⁉︎そのまま口の中を舌でペロペロと弄られる。そのままの状態で10秒ほど経過した。俺はといえば、なす術なくされるがままにされていた。
ようやく、大和は口を離した。つぅーっと俺と大和の口を涎が繋いでいる。
「んっ、糸引いてる……」
その涎を手で切った後、口の中に入れた。え、この人本気で何してんの……?ちょっと、僕の理解の範疇を超えてるんですが。
「………提督」
「…………な、なんだよっ……?」
「これが、大和の気持ちです」
「は、はぁ………?」
「大和は、もう何ヶ月も前から、我慢してました」
「何を?」
「性欲」
「っ」
ストレートに聞けば怯むと思ったが、全然怯まない。それどころか、なんかバスローブに手をかけ始めたんだが………。
「お、落ち着け大和……!こ、こんな勢いやノリだけで……!」
「違います」
「だって、たまたまプールに来て、たまたまその帰りに雨が降って、たまたまその近くにラブホがあったってだけだろ?こんなたまたまづくしな状態で俺のたまたまを搾り取るつもりか?」
「それだけ『たまたま』が続いたら、それは最早必然かと思いますけど?」
「……………」
「きっと、神様が言ってるんです。『お前ら、さっさとゴールしろ』と」
「いやいやいや!俺は無神論者だから!ていうか神様そんなに俺達の事ばっか見てないから!世界で何人の人を見守らないといけないと思ってんの⁉︎見守ってくれてたらグ○ブルのガチャでとっくにバハムート引いてるはずだから!」
「日頃の行いが悪いからです。今日、何回大和のことプールに落としましたか?」
「………結局、28回くらい」
「56回です」
マジかよ………さすがにやり過ぎたな。
「いや待てよ?これはつまり、大和にチョッカイ出すのを我慢すればバハムートが出るって事か!」
「そうやって論点をずらして話題を逸らすの、やめて下さい」
「………………」
バレバレですか、そうですか。
どう逃れようか考えてると、大和が泣きそうな顔で質問してきた。
「それとも、提督は大和とエッチなことするの、嫌ですか………?」
「……………」
その質問とその顔はズルいだろ………。
別に嫌じゃ無い。ただ、一応戦争中だ。そういう事をして、戦場で支障が出たら沈むのは大和の方だ。それだけは避けなければならない。
でも、そんな顔されたら断れないのは、俺の甘さだろうか。
「大和、約束しろ」
「?」
「明日から一週間、お前は出撃無し。こっそり隠れて出撃したらキン肉バスターかけるから」
「はい」
「あと、俺童貞だから。そこんとこよろしく」
「…………台無しです。そういう事は言わなくても良いんです」
大和は言いながら目線を逸らして頬を染めた。
「………や、大和も初めて、ですし……提督にされるなら、何でも良いですから………」
………何でそういう恥ずかしいことをこいつは……。
大和は自分のバスローブを脱ぎ捨てると、胸と股間を手で隠した。
「………あれ?おまえパンツとブラジャーは?」
「こ、この時のために脱いでおいたんです!言わせないでください!」
「なーんだ、ヤる気満々だったんだ」
「う、うるさいです!て、提督こそ!さっきから、固いのが当たってますよ?」
「や、そりゃまぁオレも男だし……」
「提督。あの、お願いがあるんですけど………」
「? なに?」
「あの、漫画にあった……ウロボロスっていうのを、試してみたくて………」
「アレ、女同士なんだけど」
「い、いいんです!さ、提督も早く脱いでください!」
「お前が邪魔で脱げねーんだよ」
「じ、じゃあ……脱がします、ね………?」
「…………おう」
ここから先はご想像にお任せします。
++++
朝。俺と大和は一緒に備え付けの風呂に入っていた。結局、朝までヤった。最後の方なんてほとんど逆レイプ状態でした。
「んふふっ♪痒いところはありませんかー?」
やけに元気な大和は、俺の頭を洗っていた。
「………ねぇよ」
「っはぁー!提督が射精した時の顔、可愛かったなぁー」
「やめてくれませんかマジで……」
ホント、死にたくなるから。気持ちよかったけど、ヤったあとの謎の後悔は何なんだろうな………。
「あと、一生懸命腰振ってる提督も可愛かったですよ?」
「お前黙れマジで。殺すよホント」
「お?照れてるんですかー?」
「どんだけ上機嫌になってんの……」
「そりゃそうですよー。ずーっと我慢してたんですから」
………こいつ、わりとエロい奴なんだな……。いや、元からどスケベな体はしてるとは思ってたけどよ」
「声に出てますよ?しゃぶっても良いですよ?」
「しゃぶらねぇよ!」
キャラ変わり過ぎだろおま。おっぱいやスカートの中見られて恥ずかしがってた時代が懐かしいわ。
「………でも、大和」
「なんですか?授乳ですか?」
「俺、恥じらいのないおんなは嫌いだから」
「…………気をつけます」
ま、今は事後だからテンション上がってるだけだと思うけどね。早くて鎮守府に帰ったら恥ずかしくて死んでそうだ。
お互いに体を洗い終えて、湯船に浸かった。
「ふー……これから鎮守府に帰んのかー……」
「面倒臭いですか?」
「ああ……。お前は休みだが、俺は仕事なんだよ」
「お休みをくれたのは提督じゃないですか」
「もし、何かお前の身体に異変が起きてて、そのまま出撃させたらマズイだろ。俺は出撃しないから良いけど」
「じゃあ、明日は提督のお手伝いですね」
「いや、いいよ別に」
「わたしはお休みよりも、提督と一緒にいる時間の方が欲しいんですよ」
「や、足手まといだからいらない」
「提督?最近、大和は新しいお仕置きの仕方を覚えたんですよ?」
「だから恥じらいのない女は………」
「一緒にお風呂入ってる時点で恥じらいもへったくれもないと思います」
「………大和」
「冗談です」
まぁ、笑って見過ごしてやるけどよ……。こんなやり取りも悪く無い。
「………帰るか」
「そうですね」
俺と大和は湯船から上がった。こんな生活が、いつまでも続けば良いなと本当に思う。そのためにも、戦争はさっさと終わらせたいと切実に思う。
………いや、まぁたくさんセ○クスしたいという意味じゃ無いが。