「サルキ・メドロネス・ブラッド…?」
俺はその名前に違和感を覚えた
それもそのはず。
何故ならサルキは俺達にサルキ・ミドラーシュと名乗っていたからだ
「あれぇ~…サルキってそんな名前でしたっけ?」
月光が俺が言おうとしたことを口に出す
「あぁ、あれね。偽名に決まってるじゃないの。何?信じてたの?」
そうサルキがロボット上部から俺達に言ってくる
てかさ、一ついい?
「…お前の名前はどうでもいいがこの鉄の塊は何だ?玩具か?だとしたら随分でかいな」
俺はサルキが乗っている(?)ロボットについてサルキに聞く
名前も、何故偽名を使っていたのかとか色々気になるが、今はこのロボットについて聞くのが良いだろう
「玩具…玩具ねぇ…えぇ、そうね。玩具であながち間違ってないわよ?」
うっそだぁ
「そんなデカイ玩具に私は吹っ飛ばされたってことか…」
そう言いながら此方に接近してくるのは、先ほどロボットに吹っ飛ばされた金髪幼女ことヴァルキリーである
「やってくれたなぁ…」
ヴァルキリーは怒りを隠さず此方に歩いてくる
「やっぱり生きてるよね~…まっ、あれで死んだら面白くないしちょうどいいわ」
そんなヴァルキリーを嬉々とした眼で見つめるのはサルキだ
「サルキ・メドロネス・ブラッド…貴女は…いえ、貴女も我々の討伐対象となっています…覚悟はよろしくて?」
アテナがそう言うと、サルキに槍を向ける
槍を向けられたサルキは驚かず、むしろより眼を輝かした
「ちょっと待ちなさいよ」
そんな今にも殺し合いが始まりそうな中、待ったを唱えるものがいた。
「…どうした?」
俺が待ったを唱えた本人…麒麟に聞く
「まだ聞いてないことがある。貴女は何故偽名を使っていたのかしら?」
…忘れてた
「貴様らは知らずにこいつに手を貸していたのか?」
「…疑問に思わなかった」
「…ハァ…」
いや、ヴァルキリーさん?そんなため息吐かれてもね?疑問に思わなかったのは事実だし…
「んー何故って言われるとそうだねぇ…身を隠すため、それと私の望みを叶えるためかな?」
サルキは顎に手をやり、考える素振りを見せながらそう麒麟に返した
「望み?」
麒麟はそこが気になったのか、そう呟く。
その呟きをサルキは聞いていたらしく、ロボットの上部から俺達に演説をするかのように言い放った
「そう!私の望みは神も!魔王軍も!人間も!勇者も!この世のありとあらゆるものを!私の、この私の下にひれ伏させることだ!」
「…」
俺はその迫力に驚いた
「成る程…その為に貴様は前国王を暗殺しエルフの女王となったわけか…」
ヴァルキリーがそう呟くが、その声は俺達の耳に充分に届いた
「そうだ!私の望み…野望を叶えるためにはまず駒が必要だった。そりゃそうだ。私が一人で勇者や魔王軍、神に戦いを挑んだとしても返り討ちにされるかそもそも相手にされないかのどちらかだからな。だから私に忠誠を誓い、決して裏切らない馬鹿が必要だった。そしてその馬鹿は案外早く見つかった。それがここの民だ。あいつらは国王に熱い信頼を寄せていた。そして国王もまた、民を信頼していた。私はこれを見て思ったよ。『これは使える』ってな!」
そう語るサルキの顔は狂喜に満ちている笑顔だった
「そして私は国王を暗殺することにした。国王を暗殺すれば当然民は怒り、復讐するだろう。私は暗殺を計画する内にこう思った『その復讐を利用して私が女王になれる』とね。そこからは私の思い描いたシナリオ通りに事が運んだ」
サルキの笑顔がさらに狂喜に染まる
「国王を暗殺、さらに国王の一族、側近、国のお偉いさん方、すべて、すべて殺した。そして適当に連れてきたエルフの男数人を縛り、民の前に連れ出し、『こいつらが我らが偉大なる国王、及びその一族、側近、その他諸々の政府閣僚を殺害した者達だ』と、一言添えた。するとどうだろうか!民達はやってないと泣き叫ぶ男達に対して石を、棒を、羊の糞を投げる者‼国王の敵といって鍬や素手で殴る者‼殺せ‼殺せと叫ぶ者‼多種多様の反応を示した!そして私が『私は国王の隠し子…ミドラーシュ。サルキ・ミドラーシュです。只今より亡き父上…前国王ネレストス・ミドラーシュの跡を継ぎ、私がこの国を納めます…異論はありますか?』と言うと民達は皆口を揃えて【意義なし‼】と。そう言ったさ。私が女王となってまずやったことは目の前の私が適当に連れてきた無実の男達の公開処刑だった…」
サルキの本性でござる。
2日連続投稿とか…明日は雷か⁉
はい
感想、批判等々受け付けております。
それではまた、さよならーーーーー