クリスマス狂想曲   作:神納 一哉

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6 12月23日 遭遇

――――――――――

 

(お姉様!お姉様!)シュンッ シュンッ

 

バス停の時刻表を確認し、目標がショッピングモール方面のバスに乗ったと判断して、自らの能力を最大限に利用して進んでいく。

 

(ショッピングモールならまだ先回りできるですの。とりあえずお姉様の後ろに回りこんで、お姉様と一緒に類人猿から離れた場所に飛べば)シュンッ シュンッ

 

考えながら瞬間移動を続けていると、前の方から親愛なる第三位の超電磁砲が一人で歩いてくるのが目に入って、慌ててその場に停止する。

 

「お、お姉様がお一人で…。ああ、颯爽とした凛々しいお姿」ハアハア

 

―――きっと、類人猿を追い払って寮に戻る途中ですのね。みなまで言わなくてもわかりますわ。今、お側に参りますの!

 

そして、ツインテールの少女は、前から歩いてくる少女の背後に瞬間移動した。

 

「お・ね・え・さ・まああああ!!」ダキツキ

 

「敵襲!?とミサカは冷静に相手の腕を掴み、電撃を放ちます!」ビリビリ

 

「ああああああんっ!!愛の鞭ですのおおおおおおっっ!!」ビクビク

 

『緊急事態発生。こちらはミサカ一三五七七号。第七学区を探索中にお姉さまの知り合いと遭遇。ミサカはミサカネットワークに情報の提示を要請します』

 

『ミサカ一〇〇三二号より、ミサカ一三五七七号へ。対象の身体的特徴、着衣、行動などから判断して、ミサカは対象をお姉さまのルームメイト、白井黒子と断定します』

 

『ミサカ一九〇九〇号より、ミサカ一三五七七号へ。風紀委員で空間移動の大能力者。と、ミサカは白井黒子の個人情報を提示します』

 

『ミサカ一〇〇三九号より、ミサカ一三五七七号へ。なぜ一三五七七号は外にいるのですか?と、ミサカは同じ病院内にいるはずの一三五七七号に質問します』

 

『ミサカ一九〇九〇号より、ミサカ一〇〇三九号へ。そんなことは後で聞けと、ミサカは一〇〇三九号に突っ込みを入れます』

 

「…う…ん」

 

『ミサカ一三五七七号より、対象が意識を取り戻したので、言葉遣いを緊急用《御坂美琴モード》に変更します』

 

『ミサカ一〇〇三二号より、ミサカ一三五七七号へ。可及的速やかに撤退することをミサカは推奨します』

 

『ミサカ一三五七七号より、ミサカ一〇〇三二号へ。了解。ミサカはこれより撤退作戦を開始します』「…まったく、急に抱きついてくるんじゃないわよ」『と、ミサカは不満そうに言い放ちます』

 

「ただのスキンシップですの!そんなことよりもお姉様!!あの類人猿に変なことされていませんよね?」

 

『ミサカ一〇〇三二号より、ミサカ一三五七七号へ。類人猿とは上条当麻のことで、お姉さまはそう呼んでいることを快くは思っていません。と、ミサカは補足します』

 

「アンタ、誰のことを言ってるのよ?」『と、ミサカは語気を荒くして言い放ちます』

 

『ミサカ一〇〇三二号より、ミサカ一三五七七号へ。もっと見下すように冷たく言い放っても良い。と、ミサカは提案します』

 

『ミサカ一九〇九〇号より、ミサカ一〇〇三二号へ。私情が混じっている。と、ミサカは一〇〇三二号に突っ込みます』

 

「そんなことよりも、お姉様、頭に何を付けているのですの?御髪が乱れてしまいますの」

 

『あっさり流しやがった。と、ミサカは毒づきます』

 

『ミサカ一〇〇三九号より、ミサカ一三五七七号へ。白井黒子がゴーグルのことを言っているのであれば、それを何らかの実験装置として装着しているということにすれば良い。と、ミサカは提案します』

 

「…実験の計測装置よ。ってか、わたし、今、実験中だからアンタと喋ってると色々とマズいのよねー」『と、ミサカは一〇〇三九号の案に乗ります』

 

「そんな雑な装着の仕方をするなんて…その実験の責任者に文句を言うべきですの!淑女の扱いがなっていないですの!」

 

「ああ、これ、一応秘密だから、アンタはわたしに会っていないし、わたしもアンタに会っていないってことで」『と、ミサカは白井黒子の文句を流し返します』

 

そのとき、一陣の風が少女たちの間をすり抜ける。ツインテールの少女は当然のようにスカートをおさえ、ショートカットの少女もまた、当然のように何もしなかった。

 

ふわりと、ショートカットの少女のスカートがツインテールの少女の目の前で捲れあがる。

 

「ふおおおおおおお!?楽園はこんなところにあったですの!!」(し、縞パンですのっっ!)

 

「なにわけわからないこと言ってるのよ、アンタ」『と、ミサカは白井黒子から迸る変なオーラに本能的な恐怖を感じながら後ずさります』

 

「…」ハッ(お姉様のクローゼットであのような縞パンを見た覚えはないですの。バス停での目撃情報、類人猿、一人で戻ってきたお姉様…)ワナワナ

 

~~~~~~

 

薄汚れた学生寮の一室で身支度を整える少女。

 

お姉様「もう。汚れちゃったじゃない。…さすがにコレは履いて帰れないわね」///

 

類人猿「スマン。でも、これ用意しといたから」

 

お姉様「な、なんでこんなの持ってるのよ!」///

 

類人猿「お前が感じやすいって知ってるから、コンビニで買っといたんだよ」///

 

お姉様「…アンタ、こういうの、好き…なの?」

 

類人猿「ま、短パンやゲコ太プリントよりは似合うと思うぜ」

 

お姉様「ば、馬鹿」///

 

~~~~~~

 

「ぐへへへへ…。じゃなくてっ!!そんなことになっていたら…でも、まさか、いや、しかし…」ガクガクブルブル

 

『今すぐこの場から立ち去りたい。と、ミサカは目の前で百面相をする白井黒子から距離を置くために歩き出します』

 

『ミサカ一〇〇三九号より、ミサカ一三五七七号へ。いったい何が起きた?と、ミサカは一三五七七号に説明を求めます』

 

『ミサカにはわかりません。と、ミサカは戸惑いながら報告します』

 

「お姉様!!」ガシッ!!

 

「馬鹿っ!実験中だって言っているでしょう!」『やばい、捕まった。と、ミサカは逃走方法を模索中です』

 

「ごめんなさいお姉様。黒子は、黒子は、どうしてもお姉様にお聞きしたいことがありますの!」ウルウル

 

「な、なによ…」『なんだこいつ?と、ミサカは涙目の白井黒子を気味悪く思っています』

 

「あの類人…いえ、上条…さんと、短パンについてですの」

 

「えっと…」『短パンってなんのことですか?と、ミサカは緊急に情報を求めます』

 

『ミサカ一〇〇三九号より、ミサカ一三五七七号へ。短パンとはショートパンツのこと。と、ミサカは一般論を報告します』

 

『ミサカ一〇〇三二号より、ミサカ一三五七七号へ。お姉さまは普段、スカートの下に短パンを装着しています。と、ミサカは一三五七七号に報告します』

 

『なるほど。先ほど風でスカートが捲れあがったのを見て、短パンを履いていないことに違和感を感じたということですか?と、ミサカは質問します』

 

『ミサカ一九〇九〇号より、ミサカ一三五七七号へ。おいおい、そんなことがあったのかよ。と、ミサカは一三五七七号に突っ込みを入れます』

 

「…なぜ答えてくださらないのですの?」

 

『ミサカ一〇〇三二号より、ミサカ一三五七七号へ。とりあえず、あの人のためということにしておけば問題ない。と、ミサカは一三五七七号に進言します』

 

「…あー。アイツ、短パン嫌いなんだよねー」『こんな感じでいいでしょうか?と、ミサカは一〇〇三二号に確認します』

 

「…だから…ですの?」ハァ

 

『ミサカ一〇〇三二号より、ミサカ一三五七七号へ。グッジョブ。と、ミサカは一三五七七号を称えます』

 

『ミサカ一〇〇三九号より、ミサカ一〇〇三二号へ。おいおい本当か?と、ミサカは一〇〇三二号に確認します』

 

「そのショーツも…上条…さんの趣味ですの?」ハァ

 

「そ、そうね。…もういいかしら?」『と、ミサカはどす黒いオーラを纏い始めた白井黒子に恐怖を感じています』

 

「いやああああああああああああっっ!!お姉様がっ、お姉様がっ、穢れてしまったですのおおおおおおおおお」シュンッ

 

「!?」『想定外。と、ミサカは混乱を隠せずに姿を消した白井黒子に言い知れぬ不安を感じます』

 

『ミサカ一〇〇三二号より、ミサカ一三五七七号へ。とりあえず早急に病院へ戻るように。と、ミサカは一三五七七号に進言します』

 

『ミサカ一〇〇三九号より、白井黒子は大丈夫でしょうか?と、ミサカは不安を感じていることを報告します』

 

『ミサカ一九〇九〇号より、監視カメラのデータから、白井黒子はお姉さまのいるショッピングモール方面へ向かったのでお姉さまにお任せすれば良い。と、ミサカは提案します』

 

『ミサカ一三五七七号より、撤退開始。と、ミサカは帰院することを宣言します』

 

病院の一室で、一人の少女がベッドの上に腰を下ろしながらそっと呟いた。

 

「お姉さまとあの人の邪魔をしてしまったかもしれませんね」ニヤリ


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