咲-Saki-もし1年後に夢乃マホが飛び級して清澄高校に入学したら 作:神奈木直人
遂に決勝です!
五位決定戦が終わった。決勝戦を控えた4校の選手達は、控え室に入り五位決定戦を見ていた。
~臨海女子控え室~
「あれ、千里山が勝ったんだ。ネリーは有珠山か姫松が勝つと思ってた!」
「私も有珠山が勝つと思ってました。」
「いや、この勝負は千里山が有利だったよ。特に大将戦はな。」
「私も千里山が勝つと思ってたデース!というか、藤崎心音さんが勝つと思ってたデース!」
「やはりシアンも思っていたか。」
「まぁ、あの人と対局すれば分かるデスよ。あの人は強いデスよ。」
「あぁ、藤崎心音は永水大将やシアンみたいに、自分以外にも影響をもたらすタイプは苦手だが、今回はその影響が殆ど無かったからな。」
「そうデスね。縁さんの言うとおりデース!」
「成る程、確かにそうかもしれませんね。」
「だから副将戦が終了した時に点差が酷すぎ無かったから千里山が勝ちだなとその時既に思っていたよ。」
「流石ユカリだね!」
「流石です。」
「ありがとう、しかし今はそれよりも、もうすぐ始まる決勝戦に集中しなければだな。」
「そういえば縁さんはそろそろ出番ですね。」
「あぁ、西園寺麻衣との対局、楽しみだ。」
「そういえばさっき皆さんが集まってよろしくお願いしますって挨拶した時に、西園寺さんと夢乃マホさんが凄く睨み合っていたんですが・・・あれは何だってんでしょう?直接対局する訳ではないのに。」
「あぁ、私も同じ事を思っていた。しかし西園寺麻衣の方はどちらかというと楽しげにしていたように見えたが・・・」
「あー、あの二人デスね。私知ってるデス!」
「ん?シアン、何を知っているんだ?」
「実は私見ちゃったんデス!あの二人はデスね、この決勝が終わったら対局するんデスよ!」
「・・・それは、個人戦で対局、という事か?」
「いや、夢乃マホさんは個人戦に出てないんデスよ。」
「そうなのか!?知らなかった。」
「つまり、宮永咲さんと冬室氷華さんの他にもう一人、強い人がいるって事デース!」
「そうだったのか、それは楽しみだな。」
「はい!えっと、話を戻しますと、西園寺さんと夢乃マホさんが言い争いをしていたデス。残念ながら会話の内容はよく聞こえなかったデスけど。それで、決着を麻雀でつけようって話になって、それぞれが勝った時の条件を出したんデスよ。」
「賭けをするって事か?」
「そういう事デス。それで、西園寺さんが出した条件がなんと、夢乃マホさんが清澄高校を辞めて白糸台高校に入学する事だったんデスよ!」
「そんな事出来るのか!?」
「西園寺さんの親御さんが白糸台高校の理事長らしくて、情報操作すれば一発だって言ってたデース!」
「職権濫用じゃないか!?犯罪だぞ!?」
「怖いデスねー、西園寺さん。」
「そうか、今から親御さんに犯罪をさせようとしている輩と対局するのか・・・」
「まぁ、対局中に悪い事をする人では無いでしょうから大丈夫だと思いますよ?」
「いやいや、問題はそこじゃないだろう・・・」
「心配無いデスよ縁さん!私の見立てだと、十中八九夢乃マホさんが勝ちますから。」
「そうなのか?個人的にはどちらが勝ってもおかしくないように見えたが。」
「これまでの夢乃マホさんだったら良い勝負が出来たかもしれませんけど、今日見た夢乃マホさんは全然違いました。あれはきっと勝てないデス。西園寺さんの他に誰が相手をするのかによりますけど。」
「そうなのか。じゃあそろそろ時間だから行くとするよ。」
「頑張ってユカリ~!」
「頑張って下さいデース!」
「頑張って下さい!」
「ああ。行ってくる。」
~清澄高校控え室~
「強そうな人がいっぱいいたじぇ!」
「そうですね。」
「でも、マホちゃんがいれば大丈夫だよね?」
「・・・」
「ま、マホちゃん?どうしたの?」
「えっ!?あ、はい!頑張ります!」
「マホちゃん、いつになく強気だじぇ!」
「えっ、マホ、変な事言っちゃいました?」
「マホちゃん、どうしたの?ボーっとしてたけど・・・」
「いや、何でも無いですよ?今日も頑張ります!」
「そういやマホ、さっきずっと白糸台の先鋒見とったな。なんかあったんか?」
「えっ!?いや!何も無いです!」
「そうか?ならええんじゃけど。」
「マホちゃんが中堅戦で調子悪くならなければ良いけど・・・」
「あ、それは大丈夫です。絶対に負けないんで。」
「おおう、本当に強気だじぇ。」
「凄い自信だね。」
「だって、負ける要素が無いですから。」
「ど、どうしたのマホちゃん?なんか、いつにも増して強気だけど。」
「この決勝戦は、負けられないんです・・・!」
「確かに、この決勝戦は負けられないもんね!私も頑張るよ!」
「はい、頑張りましょう!」
「じゃあ、そろそろ行ってくるじぇ!」
「頑張って下さい優希!」
「任せろ!」
~白糸台高校控え室~
「いやー、決勝戦楽しみだな~!」
「そうなのか?良かったじゃないか。」
「はい、やっぱり臨海の四季縁さんは楽しみですよ!速く対局したいです!」
「どうせあんたが負けるでしょ。」
「そういう淡先輩も宮永咲さんとか臨海の大将さんとかに負けそうですよね。」
「はぁ?絶っっっ対に負けないし!速く行けし!」
「はいはい、行ってきますよ~。」
「あっ、麻衣!頑張れ!」
「ありがとうございます部長。行ってきます!」
~阿知賀女子控え室~
「うわぁぁぁぁぁ!決勝戦だぁぁぁぁぁ!」
「ちょっ、シズうるさい!」
「玄さん!頑張って下さい!」
「ありがとう穏乃ちゃん。じゃあ行ってくるよ!」
「頑張って下さい先輩。」
「うぉぉぉぉぉ!!!!」
「シズ、ちょっと黙って・・・」
『さぁ!遂に!運命の決勝戦が始まってしまいます!実況は私、福与恒子です!』
『・・・あっ、解説の小鍛冶健夜です。』
『ちょっと~、ノリ悪いよ~!』
『ごめん・・・じゃあ、選手紹介しよっか。』
『任せて!じゃあまずは白糸台高校から!白糸台高校の先鋒、宮永照選手が引退して衰退していくかと思われましたがこの選手が入ったお陰でまた絶対王者の風格を取り戻しつつあります!今年は白糸台高校が王座を奪還するのか!?西園寺麻衣選手!』
『西園寺選手がどれだけ稼げるかで白糸台高校が優位に立てるかどうかが決まってきますね。』
『おぉ、やはり辛口ですね。まぁでも確かに、清澄高校の夢乃マホ選手などなど怖い選手はいっぱいいますからね。』
『そうですね。』
『では続いて、清澄高校です。清澄高校は今年も後が怖い!ですが、この選手の東場は他の選手にも負けず劣らず強いです!清澄先鋒の片岡優希選手!』
『彼女がこの決勝戦で稼ぐ事はかなり難しいかもしれませんが、一発が怖い選手ではありますね。』
『やっぱり辛口だぁ!さて、続いて臨海女子です。臨海女子も先鋒と副将が引退してしまい、かなり戦力が落ちてしまったかと思われましたが、まさかこんな隠し玉を用意していたとは!臨海女子先鋒の四季縁選手!』
『彼女は西園寺選手をどのように攻略していくかでどれだけ稼げるかが左右すると思います。』
『今回の先鋒戦はそこが見所ですね!では最後に阿知賀女子!去年突如現れて決勝戦まで勝ち残ったダークホースです!今年も波乱を起こしてくれるのか!?阿知賀女子先鋒、松実玄選手!』
『彼女も稼ぐ事はかなり難しいかもしれませんが彼女にも爆発力がありますから何が起こるか分かりません。』
『成る程、では遂に!決勝戦の先鋒前半戦を開始致します!』
~場決め結果~
片岡優希:東
西園寺麻衣:南
松実玄:西
四季縁:北
~東一局~ 親:片岡優希
清澄 100000
白糸台 100000
阿知賀 100000
臨海 100000
(さて、始まった。まずは最初にサクッと和了っと来ますか。)
(ここは和了らなくてはな。)
~5巡目~
(索子が余ったじぇ。でも、まだ大丈夫なはずだじぇ!)
「親、リーチだじぇ!」
(リーチ、速いな!流石清澄の東場の鬼。)
「ロン。清一一通。16000。」
(くそ、やられたじぇ・・・)
(うわっ、この人、もう聴牌してたのか!?ヤバいなこれ、回収じゃなきゃ和了れない可能性があるな・・・)
『最初に和了ったのは臨海女子の四季選手です。』
『四季選手はかなりポテンシャルが高いですからここでかなりリードを広げられそうですね。』
~東二局~ 親:西園寺麻衣
臨海 116000
白糸台 100000
阿知賀 100000
清澄 84000
(早速和了られてしまったじぇ・・・しかも次は倍満以上が来るから怖いじょ・・・)
~2巡目~
「ポン。」
(2ピンをポン?何をするつもりだ?)
(よし、これで1向聴だじぇ!)
「ロン。タンヤオ清一対々。16000。」
(うわ、また倍満直撃だじぇ・・・)
(臨海、完全に清澄を潰そうとしてる。これは危ないな。歯止めをつけなければ。)
『2連続で片岡選手に倍満を直撃しました!』
『これは、かなり上手い戦い方をしていますね。』
『これは白糸台、厳しいかもしれないね!』
『いや、まだ分かりません。ここからいくらでもなんとかなりますよ。どの高校も。』
『確かにそうですね。』
~東三局~ 親:松実玄
臨海 132000
白糸台 100000
阿知賀 100000
清澄 68000
~6巡目~
(このままだとヤバいな。この点差で1個も回収が出来ないなんて・・・)
「ツモ。混一一通ツモ。3000・6000。」
(これ、やっばいなぁ・・・)
『三連続和了ぁぁぁ!!!!誰も臨海の勢いを止められない!』
『ここからですね。』
~東四局~ 親:四季縁
臨海 144000
白糸台 97000
阿知賀 94000
清澄 65000
(この局は絶対に臨海が和了らないから安心して和了れるわ。)
「リーチだじぇ!」
(うわっ、清澄・・・まだ3巡目なのに、速い・・・)
「ツモ!リーチ一発ツモ純チャン三色。4000・8000だじぇ!」
(くそ、まさかこの人に和了られてしまうとは・・・回収を使ってないとは言え、和了りを目指した私から和了るとは・・・それくらいのレベルって事だよね。)
(白糸台と東場の片岡さんなら、片岡さんに軍配が上がるのか。)
~南一局~ 親:片岡優希
臨海 136000
白糸台 93000
阿知賀 93000
清澄 83000
(ここはとりあえず最初に喰らった3000の回収からするか。)
~4巡目~
「ロン。6400。」
(やはり、とられた分の二倍を盗られるのか・・・結構厄介だな。)
~南二局~ 親:西園寺麻衣
臨海 129600
白糸台 99400
阿知賀 93000
清澄 83000
~4巡目~
「ポン。」
(だから速いって!って、今回は字牌だ。これはヤバい・・・)
(まだ大丈夫だよね・・・)
「ロン。大三元。32000。」
(阿知賀に役満を直撃した!?)
(うわぁぁぁぁ!やっちゃったぁ!)
(これが、今年の臨海最強か・・・)
『いきなり決勝卓で役満が炸裂だぁぁぁぁ!!!!!』
『決勝でもちゃんとこの火力を出せるのは流石ですね。』
『誰も四季選手を止める事が出来ないのか!?』
~南三局~ 親:松実玄
臨海 161600
白糸台 99400
清澄 83000
阿知賀 61000
(今回は清澄の回収と行きますか。)
(今回は清澄にお返しをするだろうから和了れないだろうな。)
~5巡目~
「ロン。タンピン三色一盃口。8000。」
(やっぱりさっき和了ったのに対してお返しが来たじぇ・・・)
(やっぱりこれ、強すぎる。西園寺さんも臨海の四季さんも強すぎる・・・私なんかじゃ絶対に勝てないよぉ・・・)
~南四局~ 親:四季縁
臨海 161600
白糸台 107400
清澄 75000
阿知賀 61000
(オーラス、この局は東場でもないし臨海も何もしてこないはず。今回こそ和了れる。)
(今回は西園寺麻衣が和了るだろうな・・・)
(どうしよう、これで和了れなかったら一度も和了れてない事になる・・・どうしよう・・・)
~8巡目~
「ツモ。タンヤオ清一で4000・8000!これで前半戦は終了ですね!」
「ふぅ、お疲れ様。」
「お疲れ様だじぇ・・・」
「お疲れ様でした!」
『先鋒前半戦終了!1位は臨海女子で白糸台高校が2位です!さぁ、東京のエース対決はどちらが制すのでしょうか!それとも他2校が巻き返しを図るのか!後半戦に続きます!』
~先鋒前半戦結果~
臨海 153600
白糸台 123400
清澄 71000
阿知賀 57000