咲-Saki-もし1年後に夢乃マホが飛び級して清澄高校に入学したら 作:神奈木直人
千里山女子控え室で、大将の藤崎心音が考え事をしていた。
(3位かー、新道寺との点差が5万くらいで有珠山との点差が3万5千くらいやな。まぁ、新道寺は他の2校に比べたら大丈夫そうやな。問題は有珠山やな。あのカムイの力があるのに3万5千の差は厳しいな。有珠山が何のカムイ使うのか読んで上手い感じに和了らせへんようにすればまだ勝つ可能性はあるな。はぁ、結構キッツいな・・・本来やったら二階堂先輩がかなり稼いでくれるはずやのに、今回の中堅、ヤバい奴らばっかりやったから維持するのでやっとやったって所もあるやろな・・・二階堂先輩が副将とかにした方が良かったんか?いや、そんな事したら中堅が酷い事になっとったやろうな。やっぱりウチらのチームではこれが限界やったんかな・・・)
「ただいま。」
(あ、部長帰って来た。)
「お疲れ様です部長。」
「舟Qお疲れ。」
「いやぁ、やっぱり有珠山は強かったわ。」
「有珠山半端ないって!」
「あいつ半端ないって!あいつ左手使っとらんのにめっちゃ和了ってくるもん!そんなん出来ひんやん普通。そんなん出来る?言うといてや出来るんやったら!」
「またまたまたまた左手やし!右手にさせとけば良かった!」
((決まった!))
「なんか打ち合わせしてました!?」
「舟久保先輩と二階堂先輩、何してんですか・・・」
「そらもうあれやろ、おおさ」
「先輩!それ以上はちょっと言わん方が・・・」
「え、何でや?」
「いや、何となく・・・」
「???まぁええわ。それより心音、3位になったけど、いけそうか?」
「有珠山は大将が強いですからね・・・」
「有珠山半端ないって!」
「もうそれはいいですよ!」
「あいつ半端ないって!」
「だからそれはもういいですから!って、それより有珠山ですよ!」
「心音、有珠山には勝てそうなんか?」
「うーん、どうやろうな。上手く有珠山の和了りをズラしたり速攻で和了ったり出来たらまだ可能性はあるかもしれへんけど、めっちゃ高火力なのに速いから絶対勝てるっていう自信はないな。それに、姫松も強いからな・・・」
「姫松半端な」
「だからもういいですって!何回やるんですか!」
「まぁ、心音なら大丈夫やろ。」
「おぉ、急に冷静にならんといて下さい。びっくりするやないですか。」
「え、やって欲しかったんか?」
「いや、そういう訳やないですけど、時間も無いですし。」
「せやな、時間無いしな、頑張ってこい。」
「はい。全力で!」
~有珠山高校控え室~
「ただいま帰りました。」
「おー、お疲れ~。相変わらずの強さだったな~ユキは!」
「とても素敵でした!」
「ありがとうございます。揺杏先輩も最後、頑張ってください。」
「任せろ~。今回は惜しみ無く使えるから余裕っしょ。」
「油断は禁物ですよ。」
「わかってるって。私を誰だと思ってるんだよ。」
「・・・テキトーに生きてる先輩、ですかね?」
「うわ、手厳しい事言うなー、間違ってないから良いけど。」
「速く行ったらどうですか?時間ないですよ?」
「酷い事言ってくれるね!流石の私も傷つきそうだよ。間違ってないから行くけど!」
「頑張ってください。」
「間違ってないから頑張るよ!」
「忙しい人ですね・・・」
~姫松高校控え室~
「ただいま、有珠山の真屋さん、めっちゃ強かったわ。」
「有珠山半端ないって!」
「・・・え?」
「どないしたん?有紗。」
「え、あんたらあれ知らんのか?」
「いや、知っとるけど・・・」
「いやいや、なんであたしがスベったみたいになっとるんや!」
「あ、なんかごめんな、上手く返事出来んくて。」
「いや、謝る必要とか無いから。逆に傷付くから・・・」
「あー、うん、つ、次は漫ちゃんだね!」
「あ、うん、せやな。」
「頑張ってな!」
「頑張る!」
~新道寺女子控え室~
「ただいまです。何とか1位守れたとです。」
「すばらです!このまま1位を走り続ければ5位になれますね!」
「ばってん、有珠山と姫松、千里山も強い。うち達が勝つんは難しかかもしれん。」
「大丈夫だよ!姫子なら!」
「花田、ありがとう。それじゃあ、行ってくる。」
「頑張ってください!」
「部長、頑張ってください!」
「あぁ。」
『さぁ、五位決定戦も大詰め、遂に大将戦が始まろうとしています。それでは各校の大将を紹介します。まずは中堅戦からトップを走る新道寺女子の部長、鶴田姫子選手です。彼女についてはどう思われますか?』
『んー、そうだねぇ、今ある点差を上手く抑えられたら勝てるかもねぇ。』
『そうですか、では、続いて現在2位の有珠山高校の岩舘揺杏選手です。彼女についてはどう思っていますか?』
『強いんだろうけど、準決勝の時にちょっと微妙だったからねぇ。まぁあれは温存するためだったけどねぇ。』
『温存・・・?よく分かりませんけど、それで決勝に行けないんだったら本末転倒じゃないですか?』
『はははっ、確かにねぇ!アナウンサーもかなり手厳しい事言うね~。』
『あ、いや、別に岩舘選手の事を悪く言った訳では無いですから!』
『まぁ、皆分かってるから大丈夫だと思うよ。』
『なら良いんですが・・・コホン、では、気を取り直しまして、続いて現在3位の千里山女子の事を藤崎心音選手です。彼女に関してはどのようにお考えでしょう?』
『あいつはねぇ、ちょっと不安定だからなんとも言えないかなぁ。まぁでも、一つだけ言える事と言われれば、2回戦や準決勝とは違ってあいつの邪魔をする奴が居なくなったからもしかしたら凄い事が起こるかもって所かな。』
『そうなんですか。では藤崎選手がこの大将戦のキーパーソンになるという事でしょうか?』
『まぁ、そんな感じだねぇ。』
『成る程、では最後に姫松高校の上重漫選手です。彼女の事はどのように考えていますか?』
『そうだねぇ、めちゃくちゃ良い時もあれば悪い時もあるんだよねぇ。まぁ、今回は良い感じになりそうだね。』
『という事は姫松の大逆転勝利もあり得るという事でしょうか?』
『そもそも麻雀は何が起こるか分かんないから何処だって勝つ可能性あるからねぇ。』
『そうかもしれませんけど、勝てる確率は上がりそうじゃないですか?』
『まぁ、確かにそうだねぇ。』
『それでは、対局室に選手達が出揃いましたので、運命の大将戦を開始致します!』
~場決め結果~
上重漫:東
岩舘揺杏:南
鶴田姫子:西
藤崎心音:北
~東一局~ 親:上重漫
新道寺 134700
有珠山 118300
千里山 83200
姫松 75800
(始まった。やっぱりこの点差を巻き返すんはキツいな。とりあえず色々根回ししつつやってみるか。)
(うーん、まだカムイとかは使わなくて良いかな。とりあえずは様子見って感じで。)
「ポン。」
(いきなり千里山が鳴いてきた。こいつ、確か人の心が読めるとかって噂されてたな。って事は、今私がラーメン食べたいって事も分かってるのか!?)
(いや、ラーメンて・・・対局に集中してくださいよ。こっちまでラーメン食べたくなってきたやないですか!)
~5巡目~
「チー。」
(よし、これで次に新道寺が5ピンを出せばオッケー。お、来た来た。)
「ロン。タンヤオ三色ドラ2。7700。」
「・・・はい。」
(いきなり直撃・・・千里山の1年大将。侮れんわ!)
(すらすらと和了ってったなー。やっぱ心読んでるのか。だとしたらカムイ使ってもバレるからやべーじゃん!超ウケる。いや、笑えない。)
(そうですよ。貴女のカムイと雲の力を全て無駄にして見せますよ。)
~東二局~ 親:岩舘揺杏
新道寺 127000
有珠山 118300
千里山 90900
姫松 75800
(よし、今の手を形に出来たんはかなり幸先がええわ。この調子で有珠山と新道寺を捲るで!)
~4巡目~
「ポン。」
(また千里山が鳴いた。)
(千里山、舟Qとかが大将やと思っとったのにまさか1年を大将にするなんてって思ってたけど、やっぱり大将にするだけあって強いわ。これは、速く導火線付けんと勝てへんな。)
~7巡目~
(おっと、有珠山が出すの待ってたらツモっちゃったわ。)
「ツモ。タンヤオ三暗刻対々ドラ3。4000・8000。」
(うわ、倍満とか、やべー。こいつ強いな。次は雲使うか。)
(倍満か・・・どんどんうちが離されてく・・・)
~東三局~ 親:鶴田姫子
新道寺 123000
有珠山 110300
千里山 106900
姫松 71800
(よし、それじゃあ、雲使っちゃうか。赤いの!)
(うわ、確か赤い雲は字牌が来なくなる奴やったな。自分以外の全員にやっとったから岩舘さん以外に字牌が来ないって事か。ほんなら、岩舘さんに字牌ばっか行って役満和了られるかもしれへんやん!?マジか、今回はあんまし良い手やないから辛いわ・・・とりあえず和了らんと。)
「チー。」
(千里山がまた鳴いた。でも、今回はちょっと苦しそうな顔だね。これは、行けるんじゃない?)
(くそ、まだ4巡目なのに字一色2向聴とかふざけとんのか!くそ、どないしたらええねん・・・)
「ポン!」
(よし、これで聴牌や。でも、この待ちだと有珠山を止められん。ウチの和了り牌ツモってくれへんかな?)
(良いの来い!って、これはいらねーわ。)
「ロン!タンヤオ三色ドラ1。3900。」
(うっわー、捲られたし。っつーか雲無駄にしたし!)
(千里山が三連続和了!?このままじゃ、うちらも抜かされる!)
(あっ、なんか、火、付いたわ。)
(やっと親やってのにここで来るんか姫松!)
~東四局~ 親:藤崎心音
新道寺 123000
千里山 110800
有珠山 106400
姫松 71800
(やっぱり、この手牌なら行けそうやな!)
(うわ、姫松の手牌ヤバいわ。それに比べてウチの手牌は最悪やわ。ウチは人の心読めても配牌とかは普通やからな。今回は無理そうやな・・・)
~5巡目~
「ツモ。純チャン三色。3000・6000。」
(5巡目とか、速すぎやろ・・・)
(やっぱり火が付いてたのか。これは、結構厳しいな。)
~南一局~ 親:上重漫
新道寺 120000
千里山 104800
有珠山 103400
姫松 83800
(よし、また良い感じ。)
(くそ、姫松の勢いが強すぎて全然止められへんわ・・・)
(姫松の勢いが無くなってからカムイ使った方が成功しそうだな。ここはまだ使わないでおくか。)
(有珠山は今回何も使わないのか。じゃあ敵は姫松だけやな。)
~6巡目~
「リーチ。」
(うわ、速いわ!こんなん無理やろ・・・)
(一発消し出来るな。一発ツモで三倍満とかこられたらヤバいよな。姫松親だし。一発消ししておくか。)
「ポン。」
(あ、有珠山の人、やっちゃったな・・・)
(よし、これで少しはマシになったでしょ。)
「ロン。リーチ純チャン三色平和一盃口。24000です。」
(は?うわ、マジかよ。親倍とか、笑えねぇ・・・)
(姫松に捲られた・・・)
『姫松高校、今の和了りで一気に2位に浮上しました!これでトップがかなり近付きました!』
『しかも今ので2位だった有珠山が一気にラスだねぇ。いやぁ、良い感じになってきたねぇ。』
~南一局一本場~ 親:上重漫
新道寺 120000
姫松 107800
千里山 104800
有珠山 79400
(一気にラスになったわ。でも、こいつの勢いが止まんねーからカムイ使っても失敗しそうなんだよな。本当にこれ使い所ムズいわ。)
「ポン。」
(千里山が鳴いた。こいつ、姫松の連荘阻止しようと必死になってる。なら、今回ばっかりは手伝うわ。これ以上姫松に連荘されても困るし。)
「ロン。混一対々。7700の一本場で8000です。」
「はい。」
(有珠山がわざとウチに振り込んだ。これは、ヤバそうやな・・・)
~南二局~ 親:岩舘揺杏
新道寺 120000
千里山 112800
姫松 107800
有珠山 71400
(うわ、自風の東と場風の南が対子な上に西と北が1つづつある。これは、フリカムイを使ってくださいって言ってるようなもんじゃん!フリカムイ!)
(これは、有珠山がヤバい!)
~6巡目~
(マジでオタ風どんどん来るわ。小四和聴牌した。東か南が来れば48000点で一気に1位になれる!)
(ヤバいヤバい!ウチだけやなくて他の誰も東と南持ってへん。これ、ツモられる可能性が高いやん・・・)
~8巡目~
(来た!)
「ツモ!小四和!16000オール!」
(やられた・・・)
(はぁ?マジかいな!)
『な、なんと、有珠山高校の岩舘選手がまさかの小四和を和了り、ラスから一気にトップに浮上しました!何という事でしょう!』
『すげー!これだから麻雀は辞められないね!』
『さて、ここからどうなってしまうのでしょうか!』
~南二局一本場~ 親:岩舘揺杏
有珠山 119400
新道寺 104000
千里山 96800
姫松 91800
(これは、ホンマにヤバいわ。ここに来て役満とかあり得へんやろ・・・)
(とりあえずここは何としてでも連荘を止めんと!)
「ポン。」
(また千里山か。でもまだやれる!)
~7巡目~
(よし、良い感じに聴牌した。これで連荘して勝利を確実にする!)
「リーチ。」
(残念、それはウチの和了り牌や。)
「ロン。タンヤオ清一。12300!」
(うわ、こいつ、やっぱり私の邪魔してくるな!というか普通に上手いな!流石名門校の大将だな!)
~南三局~ 親:鶴田姫子
千里山 108800
有珠山 107400
新道寺 104000
姫松 91800
(千里山が強いな。このままだとやられちゃうな。ここは強引にでも和了りに行くか。)
(ここで和了らんと負ける。配牌は悪くなってないから頑張って和了る!)
~6巡目~
(よし、来た!)
「ツモ。純チャン三色。3000・6000。」
(うわ、姫松にも和了られた!?ヤバい。このままだと負ける。)
~南四局~ 親:藤崎心音
千里山 105800
有珠山 104400
姫松 103800
新道寺 98000
(これ、全員が1位狙える位置にいるな。)
(ここを和了ってトップに立つ!)
(カムイも雲も無くなっちゃったけどここで和了らなきゃ何処で和了るって話だよ!)
(最後に和了る!)
~8巡目~
「ツモ。」
最後に和了ったのは・・・心音だった。
「タンヤオのみ。1000オール!」
(うわっ、負けた!)
(マジか・・・千里山、やっぱり強かったな・・・)
(よっしゃ!1位や!)
『大将戦終了です!最後に和了した千里山女子が1位にで終了しました!』
~五位決定戦結果~
千里山 108800
有珠山 103400
姫松 102800
新道寺 97000