咲-Saki-もし1年後に夢乃マホが飛び級して清澄高校に入学したら   作:神奈木直人

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第7話 合宿

清澄高校麻雀部の合宿が始まった。合宿は三泊四日で行われる。バスに乗って合宿場に着いた。そこにはある人がお出迎えをしてくれていた。それは去年、清澄高校麻雀部の部長を勤めていた竹井久元部長だった。

「皆、久し振り~。」

「部長!一年振りだじぇ!」

「部長、こんにちは。」

「竹井先輩、お久しぶりです。」

「おい!今の部長はわしじゃ!」

「そうよ、二人とも和を見習いなさい。」

「ほうじゃ、和はちゃんとわしの事部長って呼んどるよ。」

「そりゃあ、世代交代して新体制になったのに未だに部長って呼んでるなんて、なんか変じゃないですか。」

「ほうじゃほうじゃ。和の言う通りじゃ。」

「でも、なんか私的に部長は竹井先輩のイメージなんですよね。」

「それは少しだけ分かりますが、このまま部長って呼んでるといつまでも先輩に頼りっきりで自立が出来ないような気がするんです。」

和の発言に一同が驚きの表情を見せる。

「どうして皆さん驚いているんですか?」

「いや、そこまで考えとるとは思わんかったわ。」

「そうね、私もまこが今の部長なんだからまこを部長って呼ぶべきだとしか思ってなかったわ。」

「のどちゃんは生真面目すぎるんだじぇ。」

「はいはい、そんなことで話し合っても意味無いから早く合宿場の中に入っちゃいましょう。」

「分かりました。」

「はい。」

「合宿開始だじぇ!」

合宿場に入り、清澄高校麻雀部の合宿が始まった。

 

「合宿開始する前に、まずは温泉じゃー!」

久がまこの発言を聞いて思わず苦笑いした。

「咲ちゃん、今の染谷ブチョーの発言聞いたか?」

「うん、完璧に部長のパクりだったよね。これまでは部長に似せてるなって感じるくらいだったけど今回のはもろパクりだったね。」

「やっぱり咲ちゃんも同じ事考えてたか。」

「おいそこ!丸聞こえじゃ!あと、ブチョーじゃのぉて部長じゃ!」

長引きそうになった為、久が仲裁に入った。

「ほらほら、一応後輩なんだからまこの事いじめないであげて。」

「一応ってあんた・・・」

「はーい、分かったじぇ。」

「ごめんなさい、染谷部長。」

「まぁ、分かればいいんじゃ。ほれ、温泉じゃ。」

「はい。」

麻雀部員達は温泉に入った。温泉には露天風呂もあった為、咲達はそっちに入る事にした。

「今年、勝てるのかな。」

咲が和に話しかけた。

「どうしてですか?」

「だって、去年の県予選決勝、衣ちゃん・・・じゃなくて、衣さんが途中で風越の池田先輩を飛ばしてたら、私達はその時点で敗北だった。その衣さんとまた戦わなきゃいけないし、しかも私達は去年勝ってるから集中的に狙われるかもしれない。更に言うと去年も戦った人達がたくさん出てくるから私達の手の内も知られてる訳だから心配で仕方ないんだよ。」

「ははっ、心配事が多いのぉ。」

隣で聞いていたまこが会話に入った。

「心配な事を言っていたらきりがありません。だったらもっと安心出来ることを考えましょう。例えば、そうですね・・・さっきの私達の手の内が知られてるっていう心配ですが、手の内を知っているのは相手だけでは無いです。」

「あ、そうだね。」

「はい、私達も皆さんの打ち方は知ってます。ならその心配は要りません。それに、今年はマホちゃんがいます。マホちゃんの打ち方は誰にも知られてないはずなのでそこは有利になると思います。」

「成る程、確かに。」

「はい!マホ、頑張ります!」

「あ、でも、マホちゃんの打ち方を知られない為には決勝まで隠さなきゃいけないよね。どうしよう・・・」

「ふっふっふっ。話は聞かせて貰ったじぇ!それなら安心だじょ。私が先鋒戦で飛ばしちゃえばいいんだじぇ!」

「そんな事出来るの?」

「去年全国の先鋒相手にあそこまで戦えたなら大丈夫だじぇ。」

優希が調子に乗っていると、一人が口を挟んだ。

「全然大丈夫じゃないわよ。」

口を挟んだのは久だった。

「全然大丈夫じゃないわよ、確かに優希は去年、全国の先鋒と戦っていいところまで戦えてた。でもそれじゃあ全っ然駄目よ。」

「どうしてだじょ。」

「忘れたの?団体戦は合計100000点。それを半荘一回で削るのに今の優希じゃ無理ね。」

「な、なら、どうすればいいんだじょ。」

「その言葉を待ってたのよ!」

久が突然立ち上がった。他の人は驚いて久の方を呆然と見ていた。

「ほえ?」

「そう、今なら優希は飛び終了出来ない。ならどうするか、もう分かるわよね?私達は今どこにいると思ってるの?」

「あ!合宿でもっと強く。」

「そうよ。優希、貴方は2回戦の先鋒戦で誰かを飛ばすくらいの火力がつくように特訓よ。」

「えっ?1回戦じゃなくて2回戦なんですか?」

「えぇ、だって私達は去年全国優勝してるのよ?それなのにシードじゃないわけ無いじゃない。」

「あぁ、確かにそうですね。」

「じゃ、早速上がって特訓よ。」

「特打ちだじぇ。」

全員が露天風呂から上がり、部屋へ戻った。すると、早めに着替えを済まして帰って来ていた久が待ち構えていた。

「という訳で、とりあえず最初は優希と須賀君、ムロちゃん、和の4人で打ってちょうだい。そして、残った私、咲、マホちゃん、まこの4人で打つ。そして、私と和と優希、あとたまにまこをローテーションして打ってちょうだい。」

今の久の発言に、咲が動揺を見せる。

「え、私はローテーションしないんですか?」

「えぇそうよ。咲とマホちゃんは必ず一緒の卓について貰うわ。」

「えぇぇぇ!?そんなぁ・・・」

「咲はマホちゃんと打ってメンタル面を強化して欲しいと思ってるの。咲は相手が少しでも変な行動を取ると怯んじゃって本来の貴方の実力が出せなくなる。だから変な打ち方ばっかりするマホちゃんと一緒に打ってたらその怯みも無くなるんじゃないかって思ってね。」

「そうですか・・・」

「あれ、なんかマホ、今酷い事言われた気がするです。」

「あの、部ちょ、じゃなくて竹井先輩、どうして俺とムロもローテーション無しなんですか?」

「貴方達は結構打てるようにはなってきてるけどまだ自分の打ち方を確立してないのよ。だから咲やマホちゃんと一緒に打ってたら、変な癖が付いちゃうんじゃないかと思ってね。」

「成る程。」

「はい、じゃあ皆卓について、特訓開始よ!」

「はい!」

8人は4日間の合宿を乗りきった。合宿を終えて県予選まで最終調整ををして、遂に県予選当日になった。マホが待ちに待ったインターハイが始まる。




次回から遂に県予選が始まります。インターハイでの勝負はこれまでよりも丁寧に場を運びたいので投稿が遅くなるかと思います。ご了承下さい。

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