咲-Saki-もし1年後に夢乃マホが飛び級して清澄高校に入学したら 作:神奈木直人
休憩が終わり、大将後半戦が始まろうとしていた。
「宮永さん!宮永咲さん!」
「え?はい、なんですか?」
「さっきのオーラスの数え役満、カッコ良かったデース!」
「あぁ、ありがとうございます。でもシアンさんも凄かったですよ。」
「そうデスか?宮永さんにそう言って貰えると嬉しいデース!ありがとうございます!」
そう言うと、シアンが咲に抱きついた。
「え、ちょ、何?」
「私、宮永さんのファンになっちゃいました!宮永さん大好きデース!」
「ありがとう、う、嬉しいけど、苦しい!」
(シアンさんの胸が大きいせいで顔が埋まっちゃったよ!)
「ごめんなさいデース!日本ではハグの風習は無いんでしたよね。」
「え、確か中国もフランスもハグの風習は無かった気が・・・」
「おぉ!よく知ってますね~宮永さん!流石デス!」
「じゃあなんでハグしたの!?」
「宮永さんにハグしたかっただけデース!」
「えぇ・・・」
「さ、さぁ、後半戦を始めるデース!」
「あ、はぐらかした・・・」
「えぇ・・・」
~場決め結果~
鶴田姫子:東
向麻美:南
宮永咲:西
藤崎心音:北
~東一局~ 親:鶴田姫子
清澄 152000
臨海 124600
千里山 88300
新道寺 53900
「宮永さんは大好きデスけど勝負は容赦しないデスよ?」
「それは勿論、こちらこそだよ。」
「それでこそ宮永さんデース!」
(よし、シアンさんに負けないように頑張らなきゃ!)
~8巡目~
「リーチデース!」
(臨海がリーチした!?また直撃されるんか!いや、臨海の和了り牌は清澄も持っとる。という事はまさか・・・)
「ロンデース!リーチ一発七対子ドラドラ。12000デース!」
(やっぱり、清澄を狙い打ちした!)
(この眠くなる感じ、シアンさんのせいなんだよね。マホちゃんも言ってたし。でもこれ、どうやったら防げるんだろう・・・)
『また宮永選手が一発で振り込みましたね。』
『今のところ臨海がリーチしたら全部一発で和了ってるねぇ。』
『2回戦まではこんな和了りしてませんでしたよね?』
『まぁ、奥の手を温存させるはどの学校もしてるけどねぇ。』
『確かにそうですね・・・しかし、これは宮永選手も勝つのは厳しいかもしれませんね。』
『まぁ、まだなんとも言えないかなぁ。この世界は何が起こるか分からないからねぇ。』
~東二局~ 親:向麻美
清澄 140000
臨海 136600
千里山 88300
新道寺 53900
(臨海の親番、ここで連荘されたらヤバいな。なら即効やな!)
「ポン!」
(このまま行くで!)
~9巡目~
(来た!)
「カン!」
(まさか、また嶺上開花デスか!?)
「ツモ!嶺上開花のみ。300・500。」
(はぁ、ただのゴミ手でしたか。ビックリしたデース。)
(でも、あんたの親番を流せたんだからこの和了には価値があるわ。いつまでもあんたの好きにはさせんで!)
~東三局~ 親:宮永咲
清澄 139700
臨海 136100
千里山 89400
新道寺 53600
(さっきまで臨海ばっか気にしとったけど、清澄の親番も危ないな。ここも出来るだけ最善手を選ぶで!)
~7巡目~
(よし、これなら行けるわ!)
「リーチ!」
「ポンデース!」
(分かっとったで。でも、今回はちゃんと対策済みやで。あんたの副露牌はウチの和了り牌なんやで!)
「ツモ!リーチツモタンピン三色。3000・6000!」
(まさか、破られるとは・・・まぁ、それくらいじゃないとここまで来れないデスよね。)
~東四局~ 親:藤崎心音
清澄 133700
臨海 133100
千里山 101400
新道寺 50600
(2回も藤崎さんに邪魔されたデース。ここはアレを!・・・いや、これは四季さんにまだダメって言われてたデス。ならやっぱりリーチするデス!)
~7巡目~
「リーチデース!」
(またリーチした、これ、どうすれば・・・・・・)
「ロンデース!リーチ一発清一七対子ドラドラ。24000デース!」
(うわわっ!三倍満・・・どうしよう、このままだとシアンさんに勝てないよ・・・)
『臨海のシアン選手が三倍満を直撃しました!これで清澄を捲って更に点差もかなり付けました!』
『あいつ面白いねぇ、あの宮永咲をここまで苦しめたのは数える位しかいないんじゃね~?』
『そうですね、シアン選手はもしかしたら決勝で波乱を起こしてくれるかもしれませんね!』
『いやいや、まだ臨海が決勝行くとは決まってないだろ~。』
『あ、そうでした。申し訳ありません。』
~南一局~ 親:鶴田姫子
臨海 157700
清澄 109100
千里山 101400
新道寺 50600
(もう南一局、なのに全然勝てる位置やないわ。見た目は逆転出来そうな点差やけど、清澄がそう易々と2位を譲ってくれるとも思えんからな・・・)
(ここで和了って1位を確実の物にするデース!)
~4巡目~
「ツモのみ。300・500です。」
(え、清澄?)
(何故宮永さんがそんな安手を・・・しかもこんな点差があるのに・・・謎デス。)
『み、宮永選手、ここで何故点数を下げて安い手を和了ったのでしょうか・・・』
『ふふ、始まるだろうねぇ、宮永咲のイリュージョンショーが。』
『え、イリュージョンショー???』
『まぁ、見てれば分かるよ。知らんけど。』
『はあ、そうですか・・・』
~南二局~ 親:向麻美
臨海 157400
清澄 110200
千里山 101100
新道寺 50100
(お、ドラが2つある。役が無いけど、ドラ来たら鳴いてくで!)
~5巡目~
(あ、清澄がドラ出した!)
「ポン!」
(もう1枚ドラがあればって思ったけど、嶺上牌の2枚目だからカンは出来なさそうやな。)
「カン!」
(宮永咲がカンした!?ヤバい!・・・ってあれ?和了らんのかいな。どうしたんや?と思ったら暗子が重なったわ。しかも今のカンドラもさっきポンした牌やわ。これって、やっぱり臨海が決勝に来て欲しくないからやんな。全部宮永咲の掌の中やったんかな・・・でも、決勝に行けるなら構わんわ!決勝でこいつを上回れば良いだけの話や!)
「カン!」
ドラ表示牌はまたしても同じだった。
「もいっこカンや!」
(ドラ12!?もしこれでツモ和了なんてされたら・・・)
「ツモ!嶺上開花ドラ12。8000・16000!」
(やっぱり、これが乱数調整ってやつデスか・・・)
『千里山女子の藤崎選手が役満を和了りました!そして昨年度優勝校の清澄高校がまさかの3位になってしまいました!』
『ふぅん、これは、宮永はどうするつもりなんだろうねぇ。』
~南三局~ 親:宮永咲
臨海 141400
千里山 133100
清澄 102200
新道寺 42100
「リーチです。」
(はぁ?ダブリー!?)
(宮永さん、最後の親番で本気を出して来ましたか。これは流石に追い付けないデスね。)
「カン!・・・ツモ。ダブリーツモ嶺上開花ドラ16。16000オールです。」
(うわ、嘘やろ・・・宮永咲、やっぱりおかしすぎやろ・・・)
(これは・・・流石は宮永さんデース!カッコいいデース!)
『うわ~!流石だねぇ!やっぱり見せてくれるねぇ!宮永咲は。』
『これが、世界レベルの力ですか・・・』
『本当に、清澄は強いねぇ~。』
~南三局一本場~ 親:宮永咲
清澄 150200
臨海 125400
千里山 117100
新道寺 26100
(お、配牌がええ感じや。もしかしたらこれも宮永咲のお陰なんかもしれへんな。)
(もうアレを・・・でも四季さんの言う事は絶対デス!守り抜くデース!)
~6巡目~
「リーチ。」
(あれ、清澄がリーチ?なんでや・・・まぁそんなん関係あらへんわ。次に新道寺がウチの和了り牌を出すからそれを直撃したら2位浮上で見事決勝進出やな!)
「ロン。純チャン三色一盃口。12300です!」
(よし、これで見事2位浮上や!)
(これは、決勝に行けないかもしれないデスね・・・)
~南四局~ 親:藤崎心音
清澄 149200
千里山 129400
臨海 125400
新道寺 13800
(親番、ここで和了って、宮永咲の手助け無しでも勝てたって証明するわ!)
~8巡目~
(聴牌したわ。けど、臨海がまた七対子を聴牌しとるわ。待ちは5索か。このままリーチしたら和了られるな。でも、本当に5索か分からんな・・・)
(赤ドラ来てくれたら良いデスね~。5ピン、じゃなくて5索の。)
(おっ!?今、ボロが出たんや無いか!?待ちは5ピンやろ!しかも5索の赤はもう出とる。絶対そうや!これなら行けるで!)
「リーチや!」
「ふふふふふふふ、期待通りデース!」
「え・・・」
「ロンデース!タンピン清一二盃口。24000デース!」
(はぁ!?こいつ、バラバラの七対子やったはずやろ!?なんでこんな事になっとるんや・・・)
「藤崎さん、こんな単純な罠に引っ掛かるなんて、凄い正直者なんデスね。いや、バカなんデスかね?もしくは両方デスか?」
(くそっ!何も言い返せへん!)
「・・・ウチの、完敗や・・・」
「ありがとうございましたデース!」
『準決勝終了ぉぉぉ!!!!!なんと、最後の最後で臨海が清澄を僅かながら捲って臨海がトップで終わらせました!』
『まさか清澄が2位抜けになるとはねぇ・・・こりゃあ決勝が楽しみだねぇ。』
~準決勝結果~
臨海 149400 決勝進出
清澄 149200 決勝進出
千里山 105400
新道寺 13800
「宮永さん、決勝こそは本気出して下さいね?私も決勝では手加減しないデスから。」
(え、臨海、手加減しとったんか!?)
「・・・やっぱり、最後にリーチをしなかったのは手加減だったんだね。」
(あっ!言われてみればそうや!あいつがリーチしとったらリーチ一発がついて役満、しかも強制的に和了らせられるから確実にそっちの方が良かったはずやわ。という事は、本当に手加減されとったって事か・・・)
「そうデース!流石宮永さんデース!でも、宮永さんにはがっかりデース。今の私に負けるようじゃ、決勝も私に勝てないデスよ?」
「そう、かもしれないね・・・」
「まぁでも、決勝では本気の対局をしましょうね?」
「うん、今日は負けちゃったけど、決勝では負けないよ!」
「私も負ける気がしないデース!頑張りましょうデース!」
「うん。」
咲が対局室を出て控え室に戻った。
「ただいま・・・」
「宮永先輩・・・」
「咲さん・・・」
「咲ちゃん・・・」
「咲・・・」
「皆さん、すいませんでした。私が不甲斐ないばかりに・・・」
「頭を上げて下さい宮永先輩!宮永先輩は悪くないですよ!」
「南三局一本場で欲張ってリーチなんてしなければ・・・いや、してなかったら役満和了られてたよね・・・やっぱり、全部私が悪いよ。」
「宮永先輩・・・」
「咲さん、調子が悪い事なんて誰にでもあります!咲さんは強いんですから自信を持って下さい!そんな気持ちのままだと、勝てる試合も勝てなくなってしまいますよ!」
「うん、そうだね・・・ありがとう和ちゃん。決勝では私、絶対シアンさんを倒すよ。」
「その意気です!」
「うん、皆のお陰で少しだけ元気が出たよ。決勝では絶対に負けないように頑張らなきゃ!」
「なら、マホが手伝います!」
「私もご一緒します。」
「私もやるじぇ!」
「ありがとう、皆・・・」
こうして咲は決勝で負けない為の練習が始まり、準決勝が終わった。
次回は準決勝終了から5位決定戦開始までになると思います。
最初の方で言及した風習はちょっと調べただけなので間違っていたとしてもスルーして頂くと嬉しいです。