咲-Saki-もし1年後に夢乃マホが飛び級して清澄高校に入学したら 作:神奈木直人
副将戦が終わり、選手達が控え室に戻っていた。
「ただいま帰りました。」
「あ、和ちゃんお疲れ様。」
「和先輩、後半戦の最初の役満凄かったです!」
「ありがとうございます。それにしても、あんな偶然、本当にあるんですね。」
「あれは和先輩の実力ですよ~!」
(マホ、あんたの引き金じゃろうに・・・)
「そうなんでしょうか?まぁ、良い結果になったので深く考えない事にします。」
「そ、そういえば次は宮永先輩の出番ですね!」
(あ、話題変えよった・・・)
「え?あぁ、そうだね。」
「頑張って下さいです!」
「う、うん。頑張るよ!」
「頑張って下さい、咲さん。」
「ありがとう和ちゃん!」
「宮永先輩なら点差もありますし楽勝ですよ~!あ、でもでも、さっきも言いましたけど臨海の大将さんには気を付けて下さいです!」
「分かったよ。ありがとうマホちゃん。じゃあ、行ってきます。」
~千里山女子控え室~
「帰ったで。なんとかプラスで終わらせて来たわ。誰かさんが稼がんかったから。」
「まだ言っとるんか!過去の事はもうええやろ!」
「まぁ、せやな。心音、臨海の大将はチェックしときや。」
「分かってます。任せて下さい。」
「それにしても、臨海の、向麻美って奴、日本人なんか?今年の臨海は日本人2人なんか?」
「それ、ムカイマミやなくてシアンマーメイって読むらしいで。れっきとした外国人や。まぁでも、今の国籍は日本らしいけどな。」
「へー、そうなんか。で、そいつは強いんか?」
「まだ分からんな。ヴィルサラーゼが副将になるくらいやからかなり強いんやろうけど、今のところ目立った動きはしとらんな。」
「まぁ、これまでの臨海はネリーさんが暴れてましたからね。」
「せやな、まぁでも心音なら何考えとるか分かるやろ。多分2位抜けは出来るやろ。」
「そうですね。頑張って来ます!」
~臨海女子控え室~
「ただいま~、まさか最後に直撃されるとは思わなかったよ!」
「お疲れ様。まぁ、あれは仕方ないだろう。とりあえず今はシアンに頑張ってもらう他無いだろう。」
「大将譲ってあげたんだから絶対勝ってよね!」
「お任せあれデース!」
「・・・シアンって中国人だよね?」
「そうデスよ!中国生まれデース!でもフランス育ちデース!」
「で、国籍は?」
「今はジャパンデース!」
「はは、色々と込み入ってるよね・・・シアンって。」
「そうデスか?」
「確かにな。でも、どこ住みだろうがどこ国籍だろうが対局中は関係ない。皆驚くだろうな。シアンの圧倒的強さに!」
「ネリーもシアンのあれにはいつもやられちゃうよ!あれズルいよね!」
「確かに、あれは強いな。私もたまに防げない時があるな。まぁ、そういう事だから、見せつけてこいシアン!お前の実力を!」
「任せるデース!」
『さぁ、副将戦が終わり、遂に大将戦になってしまいました。この半荘二回で決勝進出する2校が決まってしまいます!では選手紹介をしていきます。まずはトップの清澄高校2年、去年のインターハイ個人2位の宮永咲選手!三尋木プロ、彼女についてはどう思いますか?』
『そうだねぇ、奴は夢乃マホと違ってバンバン和了るタイプじゃないからねぇ。そこまででもないって思われがちだけど、奴が夢乃マホみたいなタイプだったらMVPになるのはほぼ100%奴だと思うよ。』
『そんなに凄いんですね・・・』
『まぁねぇ、個人2位は伊達じゃないよ。』
『そうですか。では続いて臨海女子1年の向麻美選手。彼女についてはどう思いますか?』
『んー、まだよく分かんねぇかな。あのネリーヴィルサラーゼを副将にしちまう程の実力はあるんだろうねぇ。それに、あいつは去年のU15世界大会で優勝してるらしいしねぇ。』
『そうなんですよね。そういえば彼女と対局した人にインタビューしたんですけど、その全員が生きてる気がしなかったって言ってました。しかも全国大会でベスト8になった方々がですよ?』
『へぇ~、それは期待出来そうだねぇ!』
『シアン選手が決勝の鍵になりそうですね。では続いて千里山女子、こちらも1年の藤崎心音選手。彼女についてはどう思いますか?』
『んー、そうだねぇ。とりあえず波乱を起こしてくれそうだとは思ってるよ。』
『な、成る程、こちらも大将戦の鍵になりそうですね。では最後に新道寺女子3年の鶴田姫子選手。彼女についてはどう思いますか?』
『まぁ、皆思う事は同じだろうねぇ。コンボが無いから去年より脅威では無いって。確かにそうかもしんないけど、だからと言って油断してたらやられるだろうねぇ。あいつは素の実力も確かだからねぇ。』
『そうですか。ありがとうございます。では、対局室に選手達が集まってきましたので、大将前半戦を開始致します!』
~場決め結果~
宮永咲:東
藤崎心音:南
鶴田姫子:西
向麻美:北
~東一局~ 親:宮永咲
清澄 166300
臨海 95000
千里山 93600
新道寺 61900
(2回戦で気付いた事がある。宮永咲は基本的に干渉する立場を取る。でも、自分の立場が脅かされた時に和了りに来る。せやからそれまでは宮永咲を気にせず自由に和了れる!対策はその後で良い。それに今回に関しては、2位終了でも構わない。なら敵は臨海だけや。まだよく分かっとらんけど、確実に攻略してここで終わりにしたるわ!)
~8巡目~
「ツモ!タンヤオ七対子ドラドラ。3000・6000!」
(新道寺!?そうか、コンボが無いとはいえ、実力は確かやもんな。敵は臨海一人やないって事か。)
(新道寺、コンボが無いのに和了れるんデスね。これは少し楽しめそうデース!)
~東二局~ 親:藤崎心音
清澄 160300
臨海 92000
千里山 90600
新道寺 73900
(親番やし、ここで稼がんと臨海が何してくるか分からんからな。)
~7巡目~
(おっ、来たわ。これで終わりや!)
「カン!」
(!?千里山の人がカンした・・・という事はまさか・・・)
「ツモ。嶺上開花ダブ東・・・あら、カンドラが北やなかったら4000オールやったのに、運が良いみたいですわ。ドラ4!8000オール!」
(やっぱりまた嶺上開花!?千里山の人、やっぱり凄いよ・・・)
(へぇ、夢乃マホさんみたいに真似出来る訳では無いだろうけど、凄いデスねこの人!)
『嶺上開花は宮永選手が和了ると思っていましたが、まさか藤崎選手が和了るとは・・・』
『え、2回戦でも嶺上開花和了ってたよ?あいつ。』
『いや、あれは偶然かと思いまして・・・』
『まぁ、あいつは同じ卓に宮永がいないと嶺上開花出来ないと思うけどねぇ。』
『え、なんて言ったんですか?』
『んや、なんでもねーよ。』
『そうですか・・・』
~東二局一本場~ 親:藤崎心音
清澄 152300
千里山 114600
臨海 84000
新道寺 65900
(調子良さげやな。それに今回も、宮永咲を利用して和了れそうやな・・・)
~7巡目~
「リーチ。」
「ポン。」
(よし、清澄がポンした。これで次の巡目に宮永咲がカンしたら終わりや!)
「カン。」
「ロン。リーチ槍槓タンピン三色で18300。」
(槍槓!?また、また千里山の人に邪魔された・・・やっぱりこの人恐いよ・・・)
(へぇ~、人の心が読めるってやっぱり凄いんデスね~!)
『藤崎選手、今度は宮永選手に槍槓を決めました!』
『もう清澄をほぼ捲っちゃったねぇ。大将戦は2位決定戦だと思ってたけど、もしかしたら清澄が落ちる事もあり得るかも・・・いや、まだ分かんねぇかな。』
『でも、あの宮永選手が何もしないとは思えませんけどね。』
『だよね~。』
~東二局二本場~ 親:藤崎心音
清澄 136000
千里山 132900
臨海 84000
新道寺 65900
(よし、もう少しで清澄を捲れる!このまま攻めるで!)
~8巡目~
「リーチデース!」
(臨海が動き出した!タンピン三色ドラ1か、一発でツモるかドラが乗ってツモれば倍満の手か。普通の奴ならここで降りるやろうけどウチは待ちが5,8索やって分かっとるからこの赤5ピンだって当然のように捨てられるんやで!)
「ロンデース!リーチ一発タンピン三色ドラ2。16600デース!」
(えっ!?5,8索待ちやなくて5,8ピン待ち!?なんでや!?)
(ビックリしてますね。今の局、私は筒子を索子、索子を筒子だと思ってたんデスよ。人間が考えてる事が全て正しい訳じゃ無いんデース!)
(くそ、まんまとやられたわ・・・成る程、この対応力がこいつの武器なんやな。でももう騙されへん!流石に種類を違う物に考えられるとはいえ数字を違う物には考えられんはずや。少し出来たとしても何処かでボロが出るはずや。それならまだやれる!)
~東三局~ 親:鶴田姫子
清澄 136000
千里山 116300
臨海 100600
新道寺 65900
~9巡目~
(今度は七対子ドラ単騎か。)
「リーチデース。」
(今回は流石に振り込まへんはずや。このドラは流局するまで押さえる!これなら臨海が和了れる訳が・・・・・・)
「ロンデース!リーチ一発七対子ドラドラ。12000デース!」
(はっ!?今、何が起きたんや!?急に眠くなって、起きたらこいつに振り込んどった・・・一体どうなっとるんや・・・)
『藤崎選手が2連続で放銃です!しかし、藤崎選手はあまり振り込まない選手なはずなのにどうしたのでしょうか。』
『いやぁ、これは、臨海もヤバいのを大将に持ってきたねぇ。』
『え、どういう事なんですか?』
『この勝負、面白くなりそうだよ。』
『そ、そうですか・・・』
~東四局~ 親:向麻美
清澄 136000
臨海 112600
千里山 104300
新道寺 65900
(これは、ヤバいわ・・・こいつ、ただ者やない!このままやと負けは避けられん。とにかく稼がんと!)
~8巡目~
「カン!・・・ツモ!嶺上開花清一。4000・8000!」 (よし、なんとか臨海を連荘させずに行けた。このまま耐える!)
『また千里山が嶺上開花を和了りました!』
『これは意地と意地とのぶつかり合いになりそうだねぇ。』
~南一局~ 親:宮永咲
清澄 132000
千里山 120300
臨海 104600
新道寺 61900
(親番で和了れなかったデスからここは和了らせてもらいます!)
~7巡目~
「リーチデース!」
(くそ、間に合わなかったわ!また・・・・・・)
「ロンデース!リーチ一発七対子ドラドラ。12000デース!」
(また意識が飛んだ。こいつ、マジでヤバいわ!永水の姫様とは違うヤバさがあるわ。でも、こいつのがヤバいわ・・・)
~南二局~ 親:藤崎心音
清澄 132000
臨海 116600
千里山 108300
新道寺 61900
~6巡目~
(聴牌した。臨海は七対子1向聴か。そういえばさっきから七対子ばっかやな。ま、関係ないけど。それより、リーチ掛けたらどうなるんやろうな。まさかチョンボになるとは考えられんけど。まぁ、物は試しや!)
「リーチ。」
「ポンデース。」
(ポン?リーチっていう必殺技がありながらポン、というか、七対子1向聴を崩して対々2向聴にするって、普通に効率悪いやろ。血迷ったんか?流石に一発は無いか。しかも臨海が鳴ける牌やん。)
「ポンデース。」
(これであいつも1向聴か。はぁ!?また臨海が鳴ける牌が来た!?もしかして、これもなんか・・・)
「ポンデース!」
(嘘やろ・・・)
「ロンデース!タンヤオ対々ドラ3。12000デース!」
(こいつ、リーチしなきゃ意識飛ばさせて強制的に和了る癖にリーチしても鳴いて対々にして直撃するんか・・・せやから七対子が多いんか。というか、それやったら逃げ場が無いやん!なんやこいつ、強すぎやろ・・・)
『千里山の藤崎選手、これは運が無かったですね・・・』
『いやぁ、これは、運だけでは片付けられないでしょ。臨海の、こんなのも隠してたのか・・・これは強いね。』
『さっきから何を言っているのかよく分かりませんけど、あれが必然だったって事なんですか?』
『いやぁ、どうだろうねぇ。』
『もう、さっきから何なんですか・・・』
~南三局~ 親:鶴田姫子
清澄 132000
臨海 128600
千里山 96300
新道寺 61900
~7巡目~
(聴牌した。しかも今回は臨海が鳴けへん牌や。これなら行けるはずや!)
「リーチ。」
(よし、通ったわ。)
「リーチデース!」
(臨海もリーチしてきた!もしかしてチョンボになるんか!?って、流石にそれは無いか。ならなんでリーチなんて・・・まさか清澄!?)
「ロンデース!リーチ一発タンヤオ七対子ドラ1。12000デース!」
(清澄まで捲りやがった・・・こいつ、支配しようとしとる、この対局を。でも、そんな事したら・・・)
(臨海に捲られちゃった・・・今回は何もしないつもりだったけど、やっちゃおう。)
(やっぱり、次、清澄が来る・・・!)
~南四局~ 親:向麻美
臨海 140600
清澄 120000
千里山 96300
新道寺 61900
~2巡目~
「カン。」
(え、2巡目にカン!?)
(清澄、やっぱりヤバすぎやわ。ドラカンしてカンドラもモロ乗りや・・・)
「ツモ!嶺上開花ツモ清一ドラ8。8000・16000です!」
(こんなん無理やわ・・・)
(これが、宮永咲さん・・・凄いデス!凄過ぎデース!さっきまで千里山の人がやってた紛い物とは全然違います!これが、本物の実力デスか・・・カッコいいデス!)
「ありがとうございました。」
「お疲れ様です。」
「お疲れ様デース!」
「お疲れ様です。」
(でも、後半戦では、勝つデース!)
~大将前半戦結果~
清澄 152000
臨海 124600
千里山 88300
新道寺 53900