咲-Saki-もし1年後に夢乃マホが飛び級して清澄高校に入学したら 作:神奈木直人
先鋒戦が終わり、各校の選手が控え室に戻った。
「ただいま帰ったじぇ・・・」
「お帰りなさい優希。」
「お帰り、優希ちゃん。」
「片岡先輩お疲れ様です!」
「お疲れさん。」
「はぁ、二回戦の時見たいにプラスで終わらせられなかったじぇ・・・」
「いやいや、四季さんはとっても強いですからマイナスになるのも仕方ないですよ。逆に失点を2万以下に抑えられた事は凄いと思います!」
「確かにあの臨海の方は強かったですね。あの速さであれほどの打点の高さを出せるのは本当に凄いと思います。流石は臨海の先鋒ですね。」
「確かにあれは強敵だったじぇ・・・でも決勝に行ったら白糸台の先鋒にも当たっちゃうじぇ。もし臨海が決勝に来ちゃったらちょっとヤバいかもしれないじょ・・・」
「その時はその時ですよ、まずはこの準決勝に集中しなければいけません。」
「和先輩の言うとおりです!まずは準決勝を頑張りましょう!」
「うん、そうだじぇ!部長、頑張れ!」
「おう、任せとけ。」
~臨海女子控え室~
「ただいま。」
「お帰りユカリ~。今日も圧倒的だったね。」
「いや、そうでもないさ。私は清澄を飛ばすつもりでこの準決勝に臨んでいたのに、飛ばすどころか2万点すら削れなかった。皆すまない、清澄が決勝進出するかもしれない・・・」
「いや、まだ分からないよ。ネリー達が清澄を落としてあげるよ。」
「それは心強いな。では期待しているよネリー。あっ、でもその前に次はハオだったな。頑張ってくれ。」
「善処します。」
「頑張って~。」
「頑張って下さい。」
「はい、では行ってきます。」
~千里山女子控え室~
「た、ただいま帰りました・・・」
「・・・」
「・・・」
「・・・」
「・・・」
「あの、無視するんやめてくれませんか!?確かに私が悪かったですけど!」
「次泉やで。」
「・・・あ、はい。じゃあ行ってきます。」
「おー、頑張れ~。」
「あの、ですから無視しないでくれませんか!?」
「舟Q、今回の中堅戦の相手ってどんな感じやったっけ?」
「あぁ、中堅は確か・・・」
「すんませんでした!私が全部悪かったです!だから無視しないで下さい!」
「はぁ、決勝で見逃ししたらしばくからな!」
「はい、すいませんでした・・・」
「なんで見逃しなんてしたん?」
「いや、あの時はポンされると思わなくて・・・」
「新道寺がポンって言った瞬間ロンって言えば良かったやないか。」
「いや、なんか、一回鳴かれたとしても和了れるから大丈夫やろって思ってしまって・・・」
「はぁ・・・決勝ではすんなよ!」
「はい、反省してます・・・」
「ほな、泉に頑張ってもらうしかないな。ちゃんと応援せな。」
「はい・・・」
~新道寺女子控え室~
「ただいまです。いや~、今回も悲惨でした。」
「お疲れ様です花田先輩。」
「後は私達に任せちょって下さい!」
「あぁ、花田、後は私達がなんとかする。だから安心し。」
「うん、皆さん頑張ってください!」
「はい。」
『さぁ、休憩が終わり次鋒戦が始まります。まずは現在圧倒的な大差でトップを走る臨海女子から2年の郝慧宇選手が登場します!三尋木プロ、彼女についてはどう思いますか?』
『うーん、安定して和了れるんだけどねぇ、やっぱり中国麻雀だと強いんだろうけど、日本のルールだから点数が稼げないのがもったいないよねぇ。』
『成る程、では続いて2位の清澄高校の部長で3年の染谷まこ選手はどう思いますか?』
『そうだねぇ、あんまり振り込まないし勝負手の染め手が出来たらガンガン和了るし、結構強いんじゃないかな~。』
『そうですか、流石は前年度優勝校のメンバーと言ったところでしょうか?』
『いや~、清澄は夢乃マホとか宮永咲が異常だから目立ってないけど、全員実力は確かだと思うよ。』
『そうなんですね、では続いて3位の千里山女子から出場する2年の二条泉選手についてはどうでしょうか?』
『ん~、何が悪いって訳じゃないけど取り上げるような物も無いね~、弱くは無いけど強くないって感じかいね。』
『成る程、そうですか・・・では最下位になってしまった新道寺の2年で安河内美子選手の妹の安河内優子(やすこうちゆうこ)選手についてはどう思われますか?』
『そうだねぇ、姉みたいに準決勝から安手ばっかり和了るようになるってのはあるかもしれないねぇ。』
『確かに、そこは期待ですね。さて、選手が対局室に出揃いました。次鋒前半戦開始です!』
~場決め結果~
染谷まこ:東
安河内優子:南
二条泉:西
郝慧宇:北
~東一局~ 親:染谷まこ
臨海 198200
清澄 82500
千里山 74600
新道寺 44700
(いきなり親番か・・・嬉しいような辛いような、複雑な気持ちじゃな。)
~8巡目~
「リーチです。」
(新道寺がリーチを掛けた。なら一発消しとくか。)
「チー。」
(千里山が一発消しをした。でも似たようなシーンを見た事がある。これは・・・)
「ツモです。リーチツモタンピン三色、3000・6000です。」
(うわっ、いきなり跳満親被りか、キツいわ・・・)
(去年相手にした安河内さんは確か安手を連打してたはず、今回偶然高くなったんか高いのを和了るタイプなんかこれから見極めんとあかんな。)
『次鋒戦最初の和了りは新道寺女子安河内選手です。』
『うーん、こっからだねぇ。』
~東二局~ 親:安河内優子
臨海 195200
清澄 76500
千里山 71600
新道寺 56700
~7巡目~
(新道寺の親、点差的にそこまで心配せんでもええかもしれんけど油断は禁物やな。ここは最善手で攻める!)
「リーチ!」
「フー・・・」
(!?臨海の郝慧宇がフーって言った時は確か和了られる・・・)
「ロン。3900。」
(また変な和了り方じゃな。中国麻雀はよう分からんからわしには変な和了りをしたようにしか見えんわ・・・)
(中国麻雀と同じように打ってそれでいて強いってやっぱり強いな・・・流石は臨海のメンバーやな。)
『臨海のハオ選手の今の和了り、私には些か勿体ないように見えたんですけど・・・』
『まぁ、あいつにはあいつなりのやり方ってもんがあるからねぇ、あいつには中国麻雀が染み付いてるのさ。』
『はぁ、でもせめてリーチくらいはして良かったんじゃないですか?』
『それじゃあダメなんだよねぇ・・・』
『どういう意味ですか?』
『んー、何でもねーよ。』
『はあ、そうですか・・・』
~東三局~ 親:二条泉
臨海 199100
清澄 76500
千里山 67700
新道寺 56700
(臨海が調子を出してきたな。このままやられたらここで和了られるだけじゃなくて連荘される。それは防がんとな・・・)
「フー・・・」
(はぁ?もう和了るんか!?まだ5巡目やぞ!?)
「ツモ。1300・2600。」
(また意味分からん感じに点数下げとる・・・でもこのままだと連荘で更に持ってかれるわ・・・)
(どうにかせんとな・・・)
~東四局~ 親:郝慧宇
臨海 204300
清澄 75200
千里山 65100
新道寺 55400
(この臨海の親番は連荘させんようにせんとあかんな。でもどうすれば・・・)
~3巡目~
「ポン。」
(清澄は鳴いて速攻で和了る気なんかな・・・)
~5巡目~
「ポン。」
(また清澄が鳴いた・・・清澄も中堅が厄介やからな。和了らせる訳にはいかんわ。行っとこか・・・)
「リーチ!」
(よし、これで清澄に追い付いたで!)
「ポン。」
(清澄が3副露・・・何をする気なんや・・・)
(似たシーンを見た事がある・・・)
「ロン!メンタンピン三色ドラ1。12000。」
(それが当たるだろうって事は十分分かっとった。けど、臨海の親番を終わらせるか点数が減るかじゃったら減る方を選ぶ。マホに『0点でも良いので中堅に繋げて下さい!』って言われたからの。今回はプライドを捨ててでもマホの言う事に従うわ・・・)
『清澄高校染谷選手がまさかの放銃です!』
『んー、今のはどちらかというと差し込みって感じだけどねぇ・・・臨海の親番を終わらせるためにね。』
『ですけど、いくら臨海の親を流したいからと言って、普通は跳満なんか振り込みませんよ。』
『んー、じゃあ誰かに指示されたりしてるんじゃないの~?』
『そうなんですかね・・・?さて、東場が終わり南入です。』
~南一局~ 親:染谷まこ
臨海 204300
千里山 77100
清澄 63200
新道寺 55400
~7巡目~
(よし、調子良いわ、また攻める!)
「リーチ!」
「ロンです。タンピン三色、7700です。」
(え、新道寺!?しかもまたそこそこ高めの和了りを・・・)
(親被りじゃなかっただけよしとするか・・・)
(他が早くて何も出来ないですね・・・)
『今の安河内選手の和了りで臨海以外の三校がほぼ平らになりましたね。』
『うん、結構良い対局してるねぇ。』
~南二局~ 親:安河内優子
臨海 204300
千里山 69400
清澄 63200
新道寺 63100
(新道寺の親は連荘させたらめんどくさそうやな・・・速攻で和了ったる!)
「ポン。」
(よし、ええ感じや・・・)
~7巡目~
(よし、聴牌した。これなら行けるで!)
「フー・・・」
(なっ!?今度は臨海かいな!)
「ツモ。300・500です。」
(うわっ、またそんな勿体ない安手で・・・)
(臨海が和了ってくる上に新道寺も早くに和了っとる。これは厳しいかもしれんの・・・)
~南三局~ 親:二条泉
臨海 205400
千里山 69100
清澄 62900
新道寺 62600
~6巡目~
「リーチです。」
(新道寺がリーチしてきた。早すぎやろ・・・ヤバイわ・・・)
(これはやられたな・・・)
「ツモ。リーチ一発ツモドラドラ。2000・4000です。」
(満貫か、辛いわ・・・)
(親被り・・・)
『今の和了りで新道寺女子が最下位から一気に2位に浮上しました。』
『新道寺はやっぱり強いね~。欲しいところで欲しい和了をしてくれる。』
『そうですね。さて、オーラスです!この次鋒前半戦はどうなるのでしょうか。』
~南四局~ 親:郝慧宇
臨海 203400
新道寺 70600
千里山 65100
清澄 60900
(最下位転落・・・それにまだ今日の対局で一度も和了っとらんわ。なら、ちょっと無理してでも攻める!)
~7巡目~
(臨海はリーチを掛けないから聴牌しとるんか分からんし新道寺もあまりリーチ掛けちょらんかったからどうなっとるんかは分からんからいつもならここは降りじゃった。けど、今回は攻める!)
「リーチじゃ!」
(うわっ、清澄があんなところ切るなんて・・・というかどっちにも当たっとらんのか。それにしても、舟久保先輩が清澄の次鋒がリーチを掛けたら注意って言われとったな・・・)
「ツモ!リーチ一発ツモ混一。3000・6000じゃ!これで2位浮上じゃ、お疲れさん!」
「お疲れ様でした。」
「お疲れ様です。」
「お疲れ様でした・・・」
『次鋒前半戦、終了!最後は清澄が跳満和了で2位に浮上して終わらせました。流石は前年度優勝校ですね。』
『確かにそうだねぇ、リーチの時に二人に当たるかもしれないあの牌を切れるってのはかなり強い証だと思うね~。あれがなかったら何処かに和了られてただろうしねぇ。』
『清澄高校は強いですね・・・さて、10分間の休憩の後に次鋒後半戦を開始致します。』
~次鋒前半戦結果~
臨海 197400
清澄 72900
新道寺 67600
千里山 57900