咲-Saki-もし1年後に夢乃マホが飛び級して清澄高校に入学したら 作:神奈木直人
阿知賀女子らの準決勝が終わり、清澄高校らの準決勝が始まろうとしていた。各校が各々の控え室に行き、準決勝の対策をしていた。
「よし、タコスぢからフルチャージだじぇ!」
「片岡先輩、昨日言った事、気をつけて下さいね。」
「分かってるじぇ。臨海の先鋒に気をつけてばいいんだろ?任せるじぇ!東場で引き離せばいいんだじょ!」
「優希ちゃん頑張ってね!」
「頑張って下さい優希!」
「任せろ!じゃあ、行ってくるじぇ!」
~千里山高校控え室~
「今回の先鋒戦で一番厄介な臨海の先鋒、四季縁(しきゆかり)やな。」
「でもあいつ、たまにめちゃくちゃ配牌悪い時あるやん?あれはなんなん?」
「そこら辺なんかも含めて四季縁のデータを集めました。」
「おぉ!流石舟Qやな。で、どんな感じなん?」
「簡単に言うと、東一局と南一局は春、東二局と南二局は夏、東三局と南三局は秋、東四局と南四局は冬、と言った感じですかね。」
「名前のまんまやな。」
「そうです、四季折々の手が出来ますね。まさに四季縁ですね。」
「悪い、全っ然訳が分からんわ。春夏秋冬が何なのかも分からん。」
「まぁまぁ、それを今から言うから。春は芽吹きの季節、索子の清一の手が出来ます。そして夏は高温の季節、倍満以上の高火力の手が出来ます。続いて秋は紅葉の季節、中と萬子の混一の手が出来ます。最後に冬は冬眠の季節、絶対に和了れない代わりに絶対に振り込まない。こういった感じです。」
「なんか夏だけ極端に適当な気がするんやけど・・・」
「いや、せやけど本当にこんな感じやからそんな事言われても困るわ。」
「まぁ、せやな。」
「せやから望にはラス親になった時に頑張って貰いたいんや。」
「どうしてですか?」
「四季縁は正直めっちゃ強い。だから春と夏と秋は望の能力的に分が悪い。だから四季縁が絶対に和了らない東四局と南四局で頑張るんや。そしたらもしかしたらトップで決勝進出するかもしれんしな。」
「確かに、頑張ります!」
「おー、気張りや~。」
「はい!行ってきます!」
~臨海女子控え室~
「ユカリ頑張れ~!」
「あぁ、では行くとするか。」
「それにしても、千里山の先鋒の人、もし縁さんが冬の時に親番だったら危ないんじゃないですか?」
「いや、大丈夫だよ、それまでにはかなり点差があるだろうから2位で決勝には行ける。」
「え、もしかして縁さん、千里山の先鋒の人を自由に和了らせちゃうんですか!?」
「私はそれでも構わないと思っている。清澄高校を決勝に進ませずに済むのなら。」
「あぁ、夢乃マホさんですか。」
「そうだ。清澄高校は中堅まで回ってしまったら勝てない可能性が高い。だから準決勝で千里山に負けるとしても、清澄を落とせるなら、私はその結果を受け入れるつもりだよ。」
「まぁ、縁さんがそう言うなら私達はそれに従います。」
「確かに清澄より千里山が来た方が圧倒的に優勝出来そうだもんね。」
「そういう事だ、じゃあ私は先鋒戦に行ってくるよ。」
「頑張って下さい!」
「頑張れ~!」
「あぁ。」
『本日は準決勝のBブロックの試合をお届けします。実況は私、針生えり、そしてもはや解説になっていなくてただいるだけのマスコットと化している三尋木プロです。』
『はっはっはっ!面白い事言うね~!』
『いやいや、貴女、プロなのにここまで言われて何も思わないんですか?』
『えー、だって実際そうだし、今回もそんな感じにするつもりだし。』
『ちゃんと解説して下さい!』
『はいはい、分かったから、選手紹介行っちゃって。』
『なんで私が悪いみたいな感じにしてるんですか!まぁ、選手紹介にいきますか。まずは前年度優勝校の清澄高校、先鋒の片岡優希選手です。彼女についてはどう思いますか?』
『わっかんねぃぃいいいてててててて!痛い!分かったから耳つねるの止めて!』
『ちゃんと解説して下さいって言ったじゃないですか!』
『分かったから・・・』
『じゃあもう一度聞きます、片岡選手についてはどう思いますか?』
『わっかんねぇ!あぁ!耳つねろうとしないで!分かったから!』
『今の、わざとですよね・・・?これ以上ふざけたら、分かってますね・・・?』
『ひぃぃぃ!分かったから!もう分かんねぇとか言わないから!だから耳つねろうとしないで!』
『じゃあ三度目の正直ですよ、清澄高校の片岡選手はどうですか?』
『東場、めっちゃ強い、南場、失速する。東場の点、守れるか、重要。』
『なんでカタコトになってるんですか・・・別にわかんねぇとかさえ言わなければ怒りませんよ。じゃあ次、臨海女子高校の先鋒、四季縁選手。彼女についてはどう思いますか?』
『そーだねぇ、東四局と南四局に和了れないって所を除けばかなり良いんじゃないかな。』
『え、そうなんですか?』
『うん、あれ?知らなかった?』
『分からなかったですね。というか、そういうのちゃんと把握してるならちゃんと解説もして下さいよ・・・』
『はいはい。』
『まったくもう、じゃあ次です。千里山女子高校の先鋒、上野望選手です。』
『この子はもう言わずもがななんじゃないかねぇ、あのカウントダウンみたいなやつやられたら誰も勝てないよねぇ。』
『確かに、どうしてああなるのかは分からないですけど凄いですよね。あれは防ぎようが無いですよね。』
『まぁ、せめて4向聴くらいには止めないとやられちゃうよねぇ。』
『そうですね、じゃあ最後に新道寺女子高校の先鋒、花田煌選手はどう思いますか?』
『うーん、守るのは得意だと思うんだけどねぇ・・・』
『そうですか、では選手が対局室に集まりましたので、先鋒戦を開始致します。』
優希が対局室に着いた。そこには望がいた。
「あ、清澄の片岡さん、今回もよろしくです。」
「おう、よろしくな!」
「おや、片岡さんじゃないですか!」
「あっ、花田先輩!お久しぶりだじぇ!」
「まさか片岡さんとまた対局する事が出来るなんて、しかもこんな大舞台で。すばらです!」
「私も驚きだじぇ!」
「今回は片岡さんと言えど手加減はしませんよ!」
「私も先輩だからって遠慮はしないじぇ!全力で花田先輩を倒すじぇ!」
「お互いに頑張りましょうね。私も負けませんよ~!」
煌と優希が話していると、縁が対局室に現れた。
(あれが、マホちゃんと咲ちゃんが言ってた四季縁だじぇ・・・)
「おや、四季さん、今日こそは負けませんよ!」
「そうですか、それは楽しみにしています。そして上野望さん、今日はよろしくお願いします。」
「よろしくです。」
「じゃあ早速始めましょうか。」
~場決め結果~
片岡優希:東
上野望:南
花田煌:西
四季縁:北
~東一局~ 親:片岡優希
清澄 100000
千里山 100000
新道寺 100000
臨海 100000
(ラス親になってしまいましたか・・・これでは最高で6回しか和了出来ない。ならばその6回を確実に・・・)
~5巡目~
(やっと聴牌出来たじぇ。まずは一撃かますじぇ!)
「親リーチ、行っくじぇ!」
「ロン。清一一通。16000です。」
(ふぇ!?いきなり倍満!?そういえばマホちゃんが東一局と南一局は索子に注意して下さいって言ってたじぇ。でもまだ5巡目なのにこんなのが出来てるなんて、誰も思わないじょ・・・)
『準決勝最初の和了りはやはり臨海女子の四季選手です!』
『早い上に手も高い。申し分ないねぇ。』
~東二局~ 親:上野望
臨海 116000
千里山 100000
新道寺 100000
清澄 84000
~3巡目~
「ポン。」
(臨海が中を鳴いた。マホちゃんが言ってた。二局の時は倍満以上がくる。特に字牌を鳴いた時は役満に注意だって・・・じゃあこれは大三元が来るかもしれないって事か!?怖すぎだじぇ、ならこの白は切れないじぇ、ならこっちで。)
「ロン。小三元混一対々。16000です。」
(また~!?しかも、あのまま白を出してたら本当に大三元だったじぇ!というか、安目を見逃して大三元を目指すとか、やって欲しかったじぇ・・・)
『清澄高校片岡選手、2連続で臨海に倍満を直撃されてしまいました。』
『うわー、臨海強いねぇ!もはや清澄が可哀想だねぇ。』
『この後はどうなってしまうのでしょう!?』
~東三局~ 親:花田煌
臨海 132000
千里山 100000
新道寺 100000
清澄 68000
(これは、あからさまに片岡さんを狙い撃ちしていますね。このまま行くと片岡さんが飛ばされてしまうかもしれませんね。)
(清澄、いくら夢乃マホがヤバいからってちょっと可哀想やな。まぁ、私は6向聴やから何も助ける事出来んけどな・・・)
(このままだと、ヤバいじぇ・・・)
~5巡目~
「リーチ。」
(もう出来上がったんか!?一発でツモられたりしたら面倒やな。ずらすか・・・)
「チー。」
(あら、鳴かれてしまいましたか。でも良いです。打点は下がってしまいますけど、和了出来れば十分なので。)
「ツモ。リーチツモ中混一ドラ1。3000・6000です。」
(一発ツモだったらまた倍満だったのか・・・こわこわだじぇ・・・)
(この人、本当にヤバいな・・・)
「これは、また四季さんにやられてしまいそうですね。)
『三連想倍満は流石にありませんでしたね。』
『まぁ、それでも跳満は和了られちゃってるけどねぇ。』
『そうですね。でも次の局は確か四季選手は和了らないんですよね?』
『まぁ、和了らないけど、その局は放銃もしないんだよねぇ。和了らない代わりに放銃しないって感じかいね。』
『そうですか、これくらい安定して和了れるなら放銃しないっていうのはかなり戦い易いですね。』
『そうだねぇ。』
(なんだ、この人、やっぱりちゃんと解説出来てる!脅す前からこうして欲しかったけど、このままの調子で言ってくれればとても有意義な時間になりそう。)
~東四局~ 親:四季縁
臨海 144000
千里山 97000
新道寺 94000
清澄 65000
(この局は四季縁が何もしないって舟久保先輩が言っとった。ここで和了ってカウントダウンやれば行ける!)
(この局で和了らないと、部長やマホちゃんに負担が掛かっちゃうじぇ・・・でもまだ東場だじょ。まだまだ行けるじぇ!)
~6巡目~
「リーチだじぇ!」
(やっぱり、四季さんが来なくなると、東場ですし片岡さんが来ますよね。これは一発で和了られちゃうかな~。)
(まだ3向聴やからそういうリーチとか止めて欲しいんやけど・・・)
「ツモだじぇ!リーチ一発ツモタンピン三色ドラ1。4000・8000だじぇ!」
(やはり和了られましたか・・・片岡さん、すばらです!)
『一人沈み状態だった片岡選手が倍満ツモで持ち返しました!』
『おぉ、やるねぇ。やっぱり東場は和了っとかないと南場で和了れないからねぇ。』
『そうですね。』
~南一局~ 親:片岡優希
臨海 136000
千里山 93000
新道寺 90000
清澄 81000
(さて、冬が終わってまた春が来た。また冬が来るまで点を蓄えなければな。)
~7巡目~
「ツモ。一盃口清一。4000・8000です。」
(もはや当たり前のように倍満和了ってくるんやな・・・)
(この人、どうにか止められないんですかね・・・)
(このままじゃ、本当にヤバいじぇ・・・)
~観戦室~
観戦室ではマホの噂を聞き付けて、マホの対局を見ようと様々な人がこの準決勝を見に来ていた。
「ねぇ爽、あの臨海の人、まるで爽みたいよね。」
「あぁ、確かにあれは私の雲とかカムイの力に似てるな。特に索子の清一とか中と萬子の混一とか。まぁ、私のアッコロは自分の手牌だけじゃなくて裏ドラも相手の不要牌も萬子になるから圧倒的に私の方が強いけどな!」
「あぁそう、勝手に言ってなさい・・・」
~南二局~ 親:上野望
臨海 152000
千里山 89000
新道寺 86000
清澄 73000
「リーチ。」
(はっ!?ダブリー!?)
(ヤバすぎやろ・・・)
(こんなの、当たったら事故だってーの!)
「ロン。ダブリー一発純チャン三色。16000です。」
「すばら!?」
(もはや付け入る隙がない・・・これが今年の臨海のエースの実力なんか・・・)
(花田先輩、最下位になっちゃったじぇ・・・)
~南三局~ 親:花田煌
臨海 168000
千里山 89000
清澄 73000
新道寺 70000
(次は確か、萬子と中の混一。萬子を出さなければ放銃する事はまずないはず。)
(流石に2連続ダブリーはしてこないか・・・)
~6巡目~
「ツモ。混一中ドラ1。3000・6000です。」
(だから当たり前のようにそんな高い手を和了るな!なんなんやこの化け物は・・・)
(どんどん引き離されていくじぇ・・・)
~南四局~ 親:四季縁
臨海 180000
千里山 86000
清澄 70000
新道寺 64000
(さて、ここは踏ん張り時ですね。四季さんは和了らないですし片岡さんは南場なので失速しています。それに千里山の方はもう親番が無いからでしょうか?全く和了る気がしないですね。これは大チャンスですよ!ゆっくりとすばらな手を作ります!)
~11巡目~
「リーチ!」
(花田先輩がリーチしたじぇ。)
(うわぁ、変な捨て牌やわ、何出して良いか分からんわ。とりあえずスジで・・・)
「ロン!リーチ一発三色同刻三暗刻対々。16000です!」
(ツモなら役満でしたけど、流局しそうでしたし、仕方ないですね。でも何にせよ、見事2位浮上です!すばら!)
『先鋒前半戦終了!最後に新道寺の花田選手が倍満を和了り、一気に2位に浮上しました。』
『今回の先鋒戦は凄いねぇ、半荘一回で6回も倍満が出るなんて。』
『本当にそうですね。これは後半戦も期待ですね!』
~先鋒前半戦結果~
臨海 180000
新道寺 80000
清澄 70000
千里山 70000