咲-Saki-もし1年後に夢乃マホが飛び級して清澄高校に入学したら 作:神奈木直人
マホ達が準決勝を観戦していた。
「マホちゃん、この準決勝は何処の学校が残りそうだと思う?」
「そうですね、難しい所ですね。姫松の上重さんと有珠山の岩舘さんは高火力なのでいつでも逆転出来そうですよね。白糸台の大星さんもマホがいつも使ってますけどやっぱり使い勝手が良いですから強いですよね。阿知賀の高鴨さんは白糸台に勝っていますし、点差もありますから勝てる可能性は十分にあります。なので何処が勝つかは正直難しいですね。」
「やっぱりマホちゃんも私と同じ事考えてたんだね。それより、有珠山の岩舘さんって高火力なんだ。どんな感じなのかな?」
「それは見てのお楽しみです。」
「えぇ、またそれ?マホちゃんの意地悪~。」
「あっ、いや、そんなつもりじゃ・・・えっと、じゃあ教えます。」
「ホント?ありがとう。」
「はい、岩舘さんは去年宮永先輩が対局した獅子原爽さんと同じでカムイや雲の力を使った能力です。」
「えっ、あの人と同じなの?」
「はい、そうですね。」
「えっ、でも去年はあんなの使ってなかったよ?」
「多分ですが、去年まではまだその力を持っていなかったけど、今年になってから手に入れたのでは無いでしょうか?」
「そうなんだ、獅子原さんと同じ能力か・・・それは凄い対局になりそうだね・・・」
「そうですね。」
同時刻、臨海女子高校のメンバーが準決勝を観戦していた。
「ねーユカリ?」
「ん?どうしたんだネリー。」
「この4校だったら何処が来て欲しい?」
「そうだな、白糸台以外なら何処が来てくれても良い。白糸台と清澄以外は臨海の敵では無いよ。」
「ふーん、そっか。」
「まぁ、清澄と白糸台が決勝に来たとしても、私とネリー、そしてあいつの3人なら2校とも攻略出来るだろう。」
「まぁ、確かにあいつは強いよね。ネリーも安心して後を任せられるよ。」
「あれ?二人とも、もしかして私の話してたの?」
「おっ、来てたのか。あぁ、そうだよ。」
「まぁ、話は全部聞いてたんだけどね。大丈夫だよ。今年の臨海はどこにも負けないよ。」
「そうだな、今年のインターハイを制するのは私達臨海女子だ!」
準決勝の会場では、大将戦が始まろうとしていた。
『さて、10分間の休憩が終わり、各校の大将が対局室に移動し始めました。それじゃあ選手紹介いっちゃおうか!』
『うん、こっち見なくてもいいから続けて。』
『じゃあまずはトップを走る阿知賀女子からは高鴨穩乃選手!』
『高鴨選手は去年大星選手に勝っていますからね。点差もありますから今年も決勝に進出出来るかもしれませんね。』
『これは期待大ですね。では次に2位の姫松高校からは上重漫選手。』
『上重選手はたまに高い手が入る時があるので、それが来たら決勝進出もあると思います。』
『そうですか、では次です。3位になってしまった白糸台高校からは大星淡選手が登場します。』
『大星選手は火力も申し分無いですし、相手を軒並み悪い配牌にしてしまいますからね。いつでもトップにはなれるのでは無いでしょうか。』
『そして最後に有珠山高校から、岩舘揺杏選手。』
『彼女は今の所目立った活躍がありませんから分からないです。もしかしたら何かを隠している可能性もありますけど、今の所は何も言えません。』
『成る程、ではこの大将戦でどうなるかって感じですね。さて、対局室に選手が揃いました。準決勝、大将戦、その前半戦を開始します!』
~場決め結果~
高鴨穩乃:東
上重漫:南
岩舘揺杏:西
大星淡:北
~東一局~ 親:高鴨穩乃
阿知賀 131200
姫松 91500
白糸台 91500
有珠山 85800
(白糸台が3位とか、あり得ないでしょ!)
「リーチ。」
(まずは挨拶がわりに一発いっちゃおうか!)
『大星選手、ダブルリーチ!今年もこのダブルリーチに苦しめられてしまうのでしょうか!』
『去年はこのダブルリーチを5回止めていましたけど、今年は何回止められるかで勝敗が決まってくるのでは無いでしょうか。』
~11巡目~
「カン。」
(早速決めてくるんかいな・・・)
(この後跳満以上を和了られちゃう・・・)
「ツモ。ダブリードラ4。3000・6000。」
(やっぱりカン裏が4枚乗っとる・・・)
(これは厳しいかもなー。)
(このままどんどんいっちゃおう!)
~東二局~ 親:上重漫
阿知賀 125200
白糸台 103500
姫松 88500
有珠山 82800
「リーチ。」
(またダブリー!?やっぱりこいつ、化け物やな・・・)
(大星さん、今年も手強い。けどこっちも負けられない!)
~8巡目~
(よし、これで聴牌。大星さんはリーチ掛けてるからこっちも掛ける!)
「リーチ!」
(高鴨穩乃、またこいつが邪魔するのか・・・でも次でカン出来るし、大丈夫・・・ってあれ?カン出来ない、これ、もしかしてまたなの・・・)
「ロン。リーチ一発タンピン三色。12000です。」
(嘘でしょ・・・)
『阿知賀女子高鴨選手、いきなり大星選手の和了りを阻止しました!』
『流石ですね。これは今年も大星選手は高鴨選手に苦しめられそうですね。』
『阿知賀女子が詰められていた点差を引き離しました。今回も準決勝は阿知賀女子が制してしまうのか、それとも白糸台が王者の実力を発揮するのか。はたまた他の2校が逆転大勝利するのか!』
『白糸台は一応、元王者だよ。今の王者は清澄高校だから。』
『あっ、そうでした。すいません。』
『まったく、そういうの気にしてるだろうからちゃんと気を付けてよね。』
『はい、気を付けます。』
~東三局~ 親:岩舘揺杏
阿知賀 137200
白糸台 91500
姫松 88500
有珠山 82800
(一回破られたからってまた破れるとは限らない。まだまだ行けるでしょ!)
「リーチ。」
(うわぁ、親番だってのにダブリーとかマジで勘弁して欲しいんだけどな。)
(もうどんだけダブリーすんねん!こんなん嫌やわ。それに配牌も最悪やし・・・)
~10巡目~
「カン。」
(ほら、今回は上手くいった。このまま和了る!)
(これはヤバいな・・・安牌が無い。親被り以前に直撃されるかもな。)
「ロン。ダブリードラ4。12000。」
(やっぱりか・・・)
~東四局~ 親:大星淡
阿知賀 137200
白糸台 103500
姫松 88500
有珠山 70800
(大星淡の親番は連荘させる訳にはいかないな。それじゃあ使っちゃうか。ホヤウ!)
(あれ、ダブリー出来ない・・・まさかまた高鴨穩乃が!?いや、でも高鴨穩乃はなんか霧みたいなのがかかる感じなんだけど今回はそれがない・・・姫松はそんな事出来ないだろうし、もしかして有珠山?)
(あれ、ダブリーしてこないの?あぁ、ホヤウのお陰で私が悪い配牌じゃないからその影響が大星淡にも出てるって感じかな?ははっドンマイ。ならこっちも攻めてくか。アッコロ!)
~9巡目~
「リーチ。」
(やっぱり有珠山、こいつが何か仕掛けてたんだな!)
(さてと、これは不要牌が萬子になってるだろうから出そうだね。と思ったら阿知賀が出してくれたよ!)
「ロン!リーチ一発混一一通中ドラ2裏3。32000!」
(うわっ、数え役満!?)
(この感じ、なんか見覚えあると思ったら、もしかしてこいつ去年の獅子原爽と同じ能力なんじゃない?まぁ、そうだとしても余裕だけどね。)
(いやぁ、パコロカムイも使おうかと思ったんだけどまさか阿知賀が一発で出してくれるとは思わなかったな。ラッキー!)
『な、なんと、有珠山の岩舘選手が役満を和了って3位に浮上!そしてトップを独走していた阿知賀女子をほぼ原点まで引きずり下ろしました!』
『これは、去年の獅子原爽選手と似たような和了りですね。』
『確かに、これは有珠山もトップを狙えるのでは無いでしょうか?』
『ええ、今みたいな和了が出来れば可能性はありますね。』
~南一局~ 親:高鴨穩乃
阿知賀 105200
白糸台 103500
有珠山 102800
姫松 88500
(まだホヤウが付いてくれてるお陰で大星淡はダブリー出来ないだろうな。それにしても、爽といつも一緒にいたから私にもカムイが助けてくれるようになったとか、マジウケる。いや、笑えない。)
(あっ、なんか良さげな配牌・・・これ、もしかして導火線付いたんちゃうか?)
~姫松高校控え室~
「おっ!漫がええ感じの配牌になっとる!」
「爆発しましたね。」
「何故か分からんけど大星淡がダブリーしてへん間に攻めろ!」
~7巡目~
「ツモ。平和純チャン三色一盃口。4000・8000です。」
(えっ、有珠山じゃなくて姫松・・・?)
(うわっ、危なっ、雲無駄にするところだった。爽もこんな感じに戦ってたのかな?これ、意外と使いどころがムズいよな。)
『なんと、今の上重選手の和了で姫松が一気にトップに浮上!そして親被りの阿知賀女子は一気に最下位に落ちてしまいました!』
『これは、凄い対局ですね・・・』
『目まぐるしい点数移動を制する高校は一体何処なんだ!?』
~南二局~ 親:上重漫
姫松 104500
白糸台 99500
有珠山 98800
阿知賀 97200
(点数がほぼ横並びになった。それに多分、ホヤウがいてくれるのもこの局が最後になるかもしれない。ここは攻めるか。じゃあ白いの!)
(なんでまたダブリー出来ないの!おかしい!こんなのおかしいよ!)
~5巡目~
「リーチ。」
(姫松が5巡目にリーチ!?絶対安全圏も効いてないし。どうなってんのよ!)
「じゃあこっちもリーチで。」
(はぁ?有珠山もリーチ!?なら・・・)
「ポン!」
(鳴いてでもこいつらの和了りを阻止してやる!)
(ごめんね大星淡さん、来ちゃったよ。)
「ツモ。リーチツモ清一。4000・8000!」
『有珠山高校の岩舘選手、今度は索子の清一です!』
『去年の獅子原選手もこのような和了をしていましたね。』
『今度は有珠山がトップに浮上!去年ベスト4だった阿知賀と白糸台が3位と4位になってしまいました!』
『ですが、まだ点差はそこまで大きくありませんから分かりませんよ。』
『これは目が離せない展開になってきた!そして次の局は有珠山の親番だ!』
『この親番をどう切り抜けるかが重要ですね。』
~南三局~ 親:岩舘揺杏
有珠山 115800
姫松 95500
白糸台 95500
阿知賀 93200
(ホヤウが帰ってしまった。まぁかなり良いところまで持ってきたから雲は温存しておこう。いまは大星淡に和了らせとくか。)
(おっ!ダブリー出来んじゃん!)
「リーチ!」
(大星さんがダブルリーチしてきた。)
(これ、もしかして有珠山がよう分からんけど大星淡を止めとったんかな?だとしたらまた大星淡が和了ってくるって事なんか!?)
~12巡目~
「カン。」
(有珠山のよく分かんない奴が終わった今、このスーパーアルティメット淡ちゃんを止められる者は誰一人存在しない!)
「ツモ。ダブリーツモドラ4。3000・6000。」
(うわぁ、親被りかぁ、ちょっとキツいな。でもまだトップだから大丈夫だろ。)
『今度は大星選手のダブリードラ4が炸裂したぁ!さぁ、面白くなってきました!』
『そして次は大星選手の親番ですね。』
『おぉ、これはまた何か波乱が起きそうですね!』
~南四局~ 親:大星淡
有珠山 109800
白糸台 107500
姫松 92500
阿知賀 90200
(あれ、またダブリー出来ない!?いや、でも今回は去年と同じ感覚、やっぱり今年も来るか、高鴨穩乃!)
(おっ、大星淡がダブルリーチしてこない。これはこっちも攻めていこうか。でも勿体無いからまだカムイと雲は使わないでいこう。)
(爆発はしてくれてるはず。せやけど大星淡の配牌5向聴と高鴨穩乃の能力消し的な奴のせいで全く和了れる気がせんわ・・・)
(やっと聴牌・・・)
「リーチ。」
(大星淡がリーチしてきた。でも安牌はあるからこれを切っていけば行けるでしょ。これは通るはず。)
「ロンです。8000。」
(えっ、白糸台じゃなくて阿知賀・・・?)
(高鴨穩乃、また邪魔してきた!やっぱりこいつムカつく!)
『た、大将前半戦終了!今の阿知賀の和了りで有珠山が2位に転落してしまった為、トップは白糸台高校!次いで2位が有珠山高校、そして3位は阿知賀女子、4位は姫松高校という結果になりました。』
『どの高校もトップを狙える実力を持っていて、何処がトップになってもおかしくない対局ですね。目が離せません。』
『興奮覚めやまぬ中ですが、10分間の休憩の後に遂に最終決戦、大将後半戦が始まります!』
~大将前半戦結果~
白糸台 106500
有珠山 101800
阿知賀 99200
姫松 92500
次が準決勝の最終決戦です。決勝に進出するのはどの高校になるのか・・・