咲-Saki-もし1年後に夢乃マホが飛び級して清澄高校に入学したら   作:神奈木直人

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今日はバレンタインですね。元々渡す予定も貰う予定も無い私には365分の1に過ぎない日ですが・・・


《番外編》 バレンタイン

2月14日の朝6時、マホが目を覚ました。マホは起き上がると、その状況に違和感を感じた。

(あれ?ここ、うちじゃないです。でも、何故か見覚えがありますね。デジャブでしょうか?あっ、思い出しました!ここ、宮永先輩のお家です!麻雀部の皆さんと遊びに来た時に見たんでした。でも、どうしてマホが宮永先輩の家のベッドで寝ていたんでしょうか?昨日は普通に自分の部屋で寝ていたはずなんですけど・・・マホ、宮永先輩の家に泊まってたんでしょうか?うーん、そんな事はない気がするのですが・・・取り敢えずリビングに行けば宮永先輩がいるはずです!行ってみます。)

マホが2階からリビングに行くと、そこには咲の父親がいた。

「おはよう咲、今日は少し遅いんじゃないか?」

(・・・えっ?宮永先輩のお父さんがマホに向かって『咲』って呼んでますけど、これってもしかして・・・)

マホが何も喋らず、足早に洗面所へと向かう。そして鏡を見てみると、そこにはマホが尊敬している咲の体が写っていた。

(えっ!?は?ちょっ、どういう事でしょうか?マホが、マホが宮永先輩になってます!えっ、ちょっと待って下さい、これってもしかして、巷で話題の『入れ替わってる~!』ってやつでしょうか!?だとしたらマホは今宮永先輩になっているのでしょうか?じゃあ、確認の為にもマホの家に電話してみましょう。)

マホが受話器に向かう。そしてマホの家の電話番号に電話を掛けた。

「はい、もしもし?」

(あっ、お母さんだ。)

「もしもし、お母・・・じゃなくて、夢乃さんのお宅でしょうか?」

「はい、そうですけど・・・」

「あの、マホ・・・ちゃんに代わって頂けませんか?」

「あの、どちら様でしょうか?」

「あっ、マ、わ、私は、宮永咲です。」

「あぁ!マホの先輩の宮永さんね?あの子いつも宮永さんの話するのよ。宮永先輩は凄いんです~って。」

「そ、そうなんですか。」

(知ってるよ、いつもお母さんに話しているから・・・)

「じゃあ、マホに代わりますね。」

「あ、はい。お願いします。」

マホの母がマホに電話を渡した。

「あの、もしもし・・・」

「あっ、宮永先輩ですか?」

「えっ、あっ、そうだけど・・・もしかしてマホちゃん?」

「そうです!マホ達、入れ替わってるみたいなんです!」

「そうみたいだね。こんな本の中のお話みたいな事起きるんだね。」

「本当にそうですね。それじゃあ、学校もありますし、マホが宮永先輩の所に向かうので宮永先輩はマホの家で待っていて下さい。」

「分かった。あっ、ちょっと待って、冷蔵庫に私が作ったチョコが入ってるんだけどそれ持ってきてくれない?ほら、バレンタインだから部の皆に配ろうと思ってて。」

「宮永先輩手作りなんですか!?凄いです!あっ、マホも手作りじゃないですけど冷蔵庫に入れてあるのでお願いします。」

「ありがとう、分かった。じゃあ、また後で。」

「はい、失礼します。」

マホが電話を切った。そして冷蔵庫に向かい、冷やしていたチョコを取り出した。咲が作った手作りチョコはピンクの小さい袋に赤いリボンがしてあった。

(宮永先輩の手作りチョコ、入れ物もとっても可愛いです!よし、じゃあ宮永先輩の所に行きましょう!)

マホは、咲がいるマホの家に向かった。そして、マホがマホの家に着き、インターホンを鳴らして咲を呼んだ。するとマホの体の咲が姿を現した。しかし、マホがいつもしているサイドテールを咲はしていなかった。

「あっ、宮永先輩、サイドテールして下さい!でないと、皆さんがマホの事分からなくなっちゃいます。」

「あぁ、ごめん、サイドテールなんてした事無かったから。でも、サイドテールをしなかったからってマホちゃんが認識されないって事はないと思うよ?」

「そんな事は無いです!マホ、小学生くらいの頃に気まぐれに髪型をストレートにして学校に行ったんですけど、何かある度に『マホどこ~?』って言われてたんです!だから皆さんはマホの事をサイドテールで認識しているんです!」

「えっと、それは、おふざけで言ってたんじゃないかな?目の前にいるのにマホちゃんがどこにいるか探してたって事でしょ?」

「そうです。マホが『ここにいるよ~!』って言うと気付いてくれて、その後は普通に接してくれるんですけど。」

「それは多分マホちゃんがストレートにしたのが面白くていじってただけだよ。」

「そうだったんですか!?」

「うん。多分そうだと思う。まぁでも、とりあえずサイドテールにしてくるよ。」

「あっ、宮永先輩!あの、チョーカーとヘアピンもして欲しいです。」

「あぁ、和ちゃんと優希ちゃんがくれたヘアピンと氷華ちゃんがくれたチョーカーだよね?」

「はい、そうです。」

「分かった。今準備してくるね。」

「はい。」

咲が準備をしてマホの所へ行き、二人は学校に向かった。

「さっき準備する時に思ったんだけど、マホちゃん凄くチョーカー大事にしてるよね?」

「えっ!?どうして分かったんですか?」

「なんかチョーカーだけが1つの棚に置いてあったから、マホちゃんが大事にしてるんだなぁって思って。」

「あぁ、それでですか・・・」

「マホちゃん、氷華ちゃんの事本当に好きなんだね。」

「はい、氷華大好きです!えへへ~。」

「じゃあ1つだけ特別そうだったチョコも氷華ちゃんにあげるの?」

「あっ、そうです・・・あの、それは、他の人には内緒にお願いします!」

「分かった。それに私も、和ちゃんのとマホちゃんのはちょっと特別だから・・・」

「えっ、マホのも特別なんですか!?」

「うん。マホちゃんは夏の大会でかなりお世話になったからね。」

「いやいや!マホの方が宮永先輩にお世話になりっぱなしでしたよ!それなのにマホは宮永先輩のも他の人と同じような物を選んでしまいました・・・」

「いや、全然気にしてないよ。私がマホちゃんに特別なのを渡したかっただけでマホちゃんが特別にしなきゃいけない訳じゃないしね。」

「うぅ、でも、なんだか申し訳ないです・・・」

「うーん、じゃあ、マホちゃんが作った私のチョコ、マホちゃんが食べさせてくれない?」

「えっ!?いや、あの、その・・・分かりました。」

「ありがとう、それなら特別になるよね。」

「は、はいぃ・・・」

(宮永先輩はたまに大胆なのでドキドキします・・・)

「じゃあ、今日はお昼一緒に食べよ?」

「分かりました。」

マホが咲と昼食の約束をした刹那、聞き覚えのある声がした。

「マホちゃんに咲ちゃん!おはようだじぇ!」

「あっ!優希せ、ちゃん。おはよう。」

「ゆ、優希先輩おはようございます!」

「じょ?二人ともなんだか元気無さそうだけど大丈夫か?」

「だ、大丈夫だよ。」

「はい、平気です。」

「そっか、それにしても、二人が一緒に登校なんて珍しいじぇ。確か二人の家はそんなに近くじゃなかったような気がするじょ。」

「えっと、それは・・・」

「マホちゃ、宮永先輩がマホの家に遊びに来てたんですよ。」

「そうだったのか!?それはしらなかったじぇ。」

「あ、あはは・・・」

「は、はは・・・」

(これは、大変な1日になりそうだよ・・・)

(これは、大変な1日になりそうです・・・)

 

 

学校に着いて3人は各々の教室に向かい、授業を受けた。午前中の授業が終わり、昼休みになった。咲とマホが2人で中庭に行き、昼食を食べた。

「そういえば、私は大丈夫だったけど、マホちゃんは私の授業着いていけなかったんじゃない?大丈夫だった?」

「はい、今のところはマホが飛び級の為に勉強した時にやった内容だったので。」

「えっ、凄い!マホちゃん高二の内容がもう分かるの?」

「まぁ、はい、そうですね。」

「凄いな、数学とか、私でも着いていけなくなりそうになるのに、マホちゃんは分かるんだね。」

「まぁ、宮永先輩達と麻雀したくて、いっぱい勉強しましたから。」

「本当に凄いなマホちゃん。本当に偉いよ。」

「ありがとうございます。」

咲とマホが喋りながら昼食を食べ終えた。

「それじゃあ、チョコ食べよっか。」

「はい。」

咲とマホがバッグを交換して、各々が用意していたチョコを取り出した。

「はいマホちゃん、ハッピーバレンタイン。」

「ありがとうございます!じゃあこっちも、ハッピーバレンタインです!」

「ありがとう。それじゃあ、私のチョコ食べてみて?」

「はい!いただきます!・・・うわぁ!とっても甘くて美味しいです!ありがとうございます!」

「そう?ありがとう。それじゃあ約束通り、マホちゃんのチョコ、食べさせて?」

「は、はい・・・えと、あーん。」

「あーん・・・うん。とっても甘い。」

「み、宮永先輩!これ、恥ずかしいです・・・!」

「そ、そうだね、今のは私もちょっと恥ずかしかったよ。やっぱり私が自分で食べるね。」

「あっ、いや、でも、それだとやっぱりマホが特別じゃないチョコを渡した事になっちゃいます!やっぱり続けます!」

「そ、そう?別に、マホちゃんが良いなら良いんだけど・・・」

「そ、それじゃあ行きます!あーん。」

「あーん・・・ふふっ、マホちゃんが恥ずかしがってる顔、凄く可愛い。」

「えっ!?そんな!あの、宮永先輩の方が、その、か、可愛い、です・・・」

「えっ!?私が可愛い?そんな、それは今マホちゃんの体になってるからじゃない?」

「宮永先輩は今日だけじゃなくていつも可愛いです!後輩なのに可愛いなんて失礼かもしれませんけど・・・」

「えっ、私なんて、全然可愛くなんか・・・」

「宮永先輩は凄く可愛いです!自信を持って下さい!」

「そ、そうかな?」

「はい!」

「えっと、ありがとう。マホちゃんも可愛いよ。」

「ありがとうございます・・・」

咲とマホは胸焼けがするくらい甘ったるい昼休みを過ごした。

 

 

放課後になり、部活が始まった。しかし、その日の対局では全ての和了りが咲とマホによるものだった。

「うぅ、全く和了れないじぇ!二人とも今日は容赦無さすぎだじょ!」

「私が、一回も和了れないなんて・・・」

「今日のマホちゃんと咲ちゃんはなんだか変だじぇ!」

「そ、そんな事無いですよ。」

「もう今日は多分何回打っても駄目だじぇ・・・」

「それじゃあ、時間も時間ですし、帰りますか。」

「あっ、和ちゃん!それに優希ちゃんも、これ、バレンタインチョコ。」

「おぉ!咲ちゃん、これってもしかして手作りか?」

「うん、そうだよ。」

「凄いじょ咲ちゃん!」

「流石咲さんですね。これ、お返しでは無いですけど私も咲さんにバレンタインチョコです。」

「ありがとう和ちゃん!とっても美味しそう。」

「食べても良いですよ?」

「あっ、和ちゃんのは家でじっくり食べたいんだよ。」

「咲さん・・・なら私も、これは食べずに家でじっくりいただきます。」

「あの、わた、マホもチョコあります!どうぞ!」

「マホちゃんもくれるのか!ありがとうだじぇ!」

「ありがとうございます。」

チョコ交換が終わり、帰りも二人で一緒に帰っていた。

「そういえば、今日の部活の対局でどうして宮永先輩は積極的に和了ってたんですか?もしかしてマホを意識してたんですか?」

「いや、マホちゃんのコピー能力が楽しくなっちゃって・・・ごめんね。」

「いや、マホも同じです。何回でも嶺上開花出来るので楽しくなっちゃいました!」

「他の皆、凄まじい顔してたよね・・・」

「悪い事しちゃいましたね・・・」

「それにしても、マホちゃん私の真似、途中からかなり完璧にやってたよね。凄かったよ。」

「まぁ、マホは模倣は得意中の得意なので!」

「あはは、そうだね。」

「あの、宮永先輩、そういえば氷華のチョコなんですけど、申し訳ないんですけど風越まで一緒に行くので渡しに行ってもらっても良いでしょうか?」

「ごめん、それは出来ないかも・・・」

「そう、ですよね。宮永先輩は忙しいですよね・・・ごめんなさい。」

「いや、そうじゃないの。今この体はマホちゃんだけど、私には氷華ちゃんにどう渡していいのか分からない。それに、マホちゃんの特別なチョコなんだし、心も体もマホちゃんに戻った時に渡すべきだと思うな。喩えバレンタインを過ぎたとしても。」

「宮永先輩・・・そうですね!そうします!じゃあ今日は宮永先輩が持っていて下さい!もし明日治ってたらマホ本人が氷華に渡しに行きます!」

「うん。じゃあこれはちゃんと保管しておくね。」

「お願いします!」

2人はその後、各々の家に帰り、次の日に目が覚めると2人は元に戻っていた。マホはその日のうちに氷華にチョコを渡しに行った。

こうして、マホと咲の不思議で甘~いバレンタインが終わった。




これまでこの作品を書いてて、いつか咲マホの話を書きたいと思っていました。これまでの話で色濃く滲み出てたとは思いますけど、咲とマホの絡みがめちゃくちゃ好きなんですよ!なので今回は完全に私の自己満足になってしまいました・・・
世の中に咲マホ推しが一人でも多く増えればと思っています。

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