咲-Saki-もし1年後に夢乃マホが飛び級して清澄高校に入学したら   作:神奈木直人

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咲実写の映画見てきました。演出がかなり格好良かったです。遠出して雪のせいで遅延したり寒い中20分くらい待たされたりしましたけど無事に生還出来て良かったです。


第50話《阿知賀編⑫》 中堅前半戦

灼が次鋒戦を終えて、控え室に戻ってきた。

「ただいま。」

「お疲れ様、灼ちゃん!」

「灼さん凄いですね!白糸台との点差を6万近くまでしてくださるとは!」

「流石部長さんです!」

「まぁ、少しでも白が戦いやすくなるようにしたくて、それに、これまで白にばっかり頼ってたから。」

「部長さん、ありがとうございます!」

「白も頑張って。」

「はい、任せて下さい。白糸台を喰ってきますよ。」

「白、頑張れ!」

「今の白ならいけるはずだ。頑張ってきな。」

「はい、先生。では、行ってきます!」

「頑張って!」

「白ちゃん頑張れ!」

「はい!」

~白糸台高校控え室~

「すまん麻衣、私が不甲斐ないばっかりに。」

「いや、あれは仕方ないですよ。まさか阿知賀の部長があんなに強いとは思いませんでしたし。」

「しかし、かなり点差を縮めてしまったし、次の阿知賀はかなり強いんだろ?」

「まぁ、連風の時だけですけど。それに、連荘したら渋谷先輩のハーベストタイムの餌食になるだけでしょうし。」

「そういえば次は渋谷の出番だな。」

「うん。」

「頑張って下さい、渋谷先輩。」

「頑張れ!」

「頑張れたかみー!」

「行ってきます。」

~有珠山高校控え室~

「本内先輩が稼いでくれたのにマイナスになってしまって申し訳ありません。」

「いや、しゃーないでしょ、あれは。」

「かなり強かったですしね。」

「はい、すみませんでした。」

「それはそれとして、なんで私が白糸台に振り込むなって言ったのに振り込んだのか、説明して?」

「ひっ!えっと、それは、高い手だったから和了りたくて・・・」

「あんとき阿知賀が流してくれなかったらうちらが飛んで終わってたかもしれないんだぞ!」

「ひぃ!すみませんでした!」

「まったく、次は気を付けろよ!」

「はいぃ・・・」

「まぁ、去年の私よりも悪くないから許す!」

「何ですかその変な理由は・・・」

「というか次は花音の番だな。」

「頑張れ~。」

「頑張って下さい。」

「はい、行ってきます。」

 

 

『さて、中堅戦の選手が次々と対局室に向かっています。まずは現在依然としてトップを走る白糸台高校からは渋谷尭深選手!』

『彼女はオーラスの配牌が凄いですから注意が必要ですね。』

『確かに、いっつも字牌ばっかりですよね。』

『そうですね。』

『さて、続いては最下位から2位に浮上した去年ベスト4の阿知賀女子は1年生の天理白選手!』

『彼女は連風の時にダブルリーチをする事が特徴ですね。』

『あのダブリーはかなり辛いですよね。』

『まぁ、東場は親番で連風になりますが南場は親番ではないので、東場を流す事が出来ればそこまで怖い相手では無いと思います。』

『相変わらずの辛口コメントありがとう!』

『べ、別に事実を言っただけで辛口じゃないよ。』

『いやいや、今のは普通に辛口だったよ?まぁ、それはそれとして、続いて3位に転落してしまった有珠山高校からはこちらも1年生の檜山花音(ひやまかのん)選手!』

『今年の有珠山の中堅はかなり安定していますね。二回戦でも天理選手が稼いでいたのに先鋒とほぼ同じ点くらいまで戻しましたからね。』

『準決勝でも安定した打ち方が出来るのか!さて、続いてラスになってしまった姫松高校からは、千里山女子の二階堂渚選手の妹の二階堂有紗選手です!』

『この人はかなり手強いですね。千里山の二階堂渚選手もそうですが、二階堂有紗選手は高火力を安定して出せるのが強みですね。』

『二階堂選手はこの圧倒的な点差を打開する事が出来るのでしょうか!それでは選手達が対局室に出揃いましたので、中堅前半戦を開始致します!』

 

~場決め結果~

渋谷尭深:東

檜山花音:南

天理白:西

二階堂有紗:北

 

~東一局~ 親:渋谷尭深

白糸台 187700

阿知賀 125800

有珠山 60400

姫松 26100

(さてと、この点差はかなりまずいで。阿知賀の親番の前に稼いどかんとやられる。)

~7巡目~

(よし、聴牌した。とりあえず今は攻めるで!)

「リーチ。」

(姫松の二階堂有紗さん、冬室氷華が認めた夢乃マホと対等に戦ってた二階堂渚さんの双子の妹なだけあって聴牌速度が速いですね。)

「ツモ。リーチ一発ツモタンピンドラ1。3000・6000。」

(それに打点も高い。これは連風以外で和了るのはかなり厳しいかもしれませんね。)

~東二局~ 親:檜山花音

白糸台 181700

阿知賀 122800

有珠山 57400

姫松 38100

(とりあえず親の三倍満までやったらくらえる点にはなったけど、まだまだ足りん!)

~8巡目~

「リーチ。」

(また姫松がリーチしてきました。それに安牌もないです・・・とりあえず9ピンなら当たらないでしょう。)

「それや、ロン。メンピン一発純チャン三色で16000!」

(うわっ、一発で振り込んじゃった!しかも結構高いし・・・まぁでも次からダブリー出来るし良しとしますか。)

『二階堂選手が二連続和了です!』

『二階堂選手はやはり高い手を安定的に和了れますね。』

『このまま有珠山を捲ってしまうのか!』

『しかし、次は阿知賀の親番ですね。』

『確かに、あのダブリー地獄がまた起きてしまうのか!?』

~東三局~ 親:天理白

白糸台 181700

阿知賀 106800

有珠山 57400

姫松 54100

「リーチ。」

『阿知賀女子天理選手ダブルリーチだ!しかしこれはどういう事でしょう!二面に取らず、白単騎リーチです!』

『二面に取るより安牌と思われやすい字牌を和了り牌にする事で他家への放銃を狙っているのでしょう。』

『でもそれってかなりリスキーですよね?確率的に考えても二面に取った方が良くないですか?』

『そうですね、でも彼女はそちらの方が出ると思ったのでしょう。』

~対局室~

「ロン。ダブリーダブ東一発ドラ3。24000です。」

渋谷尭深が一発で放銃した。

(これ、もしかして白糸台の第一打を字牌じゃなくする為にやっとるんか!?)

(渋谷尭深さん、このまま字牌を出したらオーラスでは役満を和了れるかもしれませんが、それ以上に点数が無くなっちゃいますよ?)

『なんと白糸台の渋谷選手が一発で放銃してしまったぁ!』

~白糸台高校控え室~

「これ、渋谷先輩かなりヤバいですね。」

「役満を諦めるとなると今の直撃された分の点数を取り戻すのが厳しくなるが、このまま字牌を捨て続けたらそれ以上に取られてしまう可能性もあるのか・・・」

「でも、そう何度も字牌単騎が当たるの?それに字牌で聴牌するとも限らないし。たかみーは普通にハーベストしちゃえばいいんじゃないの?」

「そんな事言ってるから弱いんですよ。」

「はぁ?あんたまた私の事弱いって言ったな!」

「また字牌が来るかもしれない状況で尚続けようとするなんて、弱い者がやる事です。可能性があるならばそれは避けるべきです。そんな事も分からないからよわい先輩のままなんですよ。」

「よわい先輩って言ってんのはあんただけでしょ!」

「そうですね。でも、今の考え方では一生私に勝てないですよ?」

「そこら辺にしておけ、麻衣。淡は一応先輩なんだから。」

「だってこの人も先輩に酷い態度取ってるじゃないですか。だから同じように接してるだけですよ。」

「だからって、麻衣が淡に酷い態度を取って良い理由にはならないだろ?」

「そうですね、以後気を付けます。」

「うん、よろしい。さて、続きを見よう。」

「はい。」

「ホントにあんたって部長の言う事は聞くよね・・・」

「淡先輩と違って強くて優しいですからね。」

「あたしの方が強いし。」

「もうそういうの良いですから見ましょう。」

~東三局一本場~ 親:天理白

白糸台 157700

阿知賀 130800

有珠山 57400

姫松 54100

「リーチ。」

『おおっと!阿知賀が今度は中の単騎リーチだ!』

『これは、渋谷選手を完全に潰しに来てますね。』

「ロン。ダブリーダブ東一発ドラ3で24300です。」

「・・・はい。」

(また字牌単騎リーチ!?こいつ、完全に渋谷を潰そうとしとるやん。)

『阿知賀女子が遂に白糸台をトップから引きずり落としたぁぁ!!!』

『まさか二連続で単騎リーチが一発で直撃されるとは・・・』

『これはもしかしたら去年と同じように準決勝は阿知賀が制してしまうのか!』

~阿知賀女子控え室~

「やっぱり白は凄いねー。渋谷尭深の事をああやって抑えるなんて。」

「オーラスの役満を諦めて出来るだけ稼ごうとするなんて、白らしいな。」

「でも、渋谷さんがラス親だったら出来ない。」

「そうだね。それに決勝では十中八九夢乃マホが出てくるからね。白糸台とうちが勝ち上がったとして渋谷尭深がラス親になったら、白は活躍出来ないかもね。」

「夢乃マホはインターハイを見てどんどん強くなってるからね。他の人より成長速度が桁違いなのが怖いよ。」

「いまでもあんなに強いのに更に強くなるって、もう勝てる人いなくなっちゃうじゃん。」

「まぁ、もし白が全然稼げなかったら、灼と憧に何とかしてもらうしかないな。」

「そういうプレッシャーやめてよ晴絵・・・」

「ま、とりあえず今は決勝の事より準決勝だけどな。」

「白ちゃん、このまま稼いで欲しいね。」

「頑張れ!白!」

~東三局二本場~ 親:天理白

阿知賀 155100

白糸台 133400

有珠山 57400

姫松 54100

「リーチ。」

(はぁ、またダブリーか。これ、どうにかならんのか・・・?)

(また字牌出したら振り込んじゃうかな・・・)

『またもや天理選手がダブリーだぁ!しかし今回は147ピンの三面張だ!』

『しかしこれは、渋谷選手が、また字牌で来ると思って数牌を出してしまう可能性がありますね。』

「ロン。ダブリーダブ東一発ドラ3。24600です。」

『言ってるそばから渋谷選手が放銃してしまったぁ!』

『これは、かなり厳しいですね。』

『天理選手の連荘を誰も止められない!』

~東三局三本場~ 親:天理白

阿知賀 179700

白糸台 108800

有珠山 57400

姫松 54100

「リーチ。」

『しかしダブリーは終わらない!強い!強すぎる!これがインターミドル4位の実力だぁ!』

『東四局が遠いですね。』

『このまま天理選手が無双してしまうのか!』

~3巡目~

「ポン。」

(二階堂さんに鳴かれた。でもそろそろ来てくれるでしょ。)

~6巡目~

「ツモ。混一三暗刻対々。3300・6300。」

『二階堂選手が天理選手の連荘を止めたぁぁ!!!』

『この連荘を止められた事はかなり大きいですね。』

『さて、長かった東三局が終わり、東四局です!』

~東四局~ 親:二階堂有紗

阿知賀 173400

白糸台 105500

姫松 67000

有珠山 54100

(やっと東三局を止められた。それに最下位も脱する事が出来た。せやけどこの状況はまだまだヤバい。ここはもっと攻めてくで!)

~6巡目~

「リーチや!」

(二階堂さんのリーチ、高そうで嫌だな・・・これなら通るかな?)

「それや、ロン。リーチ一発タンピン三色ドラドラ。24000。」

「はい・・・」

『二階堂選手が阿知賀に親倍直撃だぁ!』

『二階堂選手、やっぱり強いですね。』

『そして連荘です!』

~東四局一本場~ 親:二階堂有紗

阿知賀 148400

白糸台 105500

姫松 92000

有珠山 54100

(オーラスで役満親被りがほぼ確定しとるし、ここはまだまだ稼ぐで!)

(やべー、めっちゃ強いなぁ。でも、そろそろ私も動けそうかな?)

~5巡目~

「リーチ。」

「ポン。」

(なんや、今まで何もしとらんかった有珠山が突然鳴いてきた。一発消しか?点数変わらんから別にどうでもええけど。)

~8巡目~

「ツモ。清一一通。3100・6100。」

(くそっ、有珠山に先越された!)

~有珠山高校控え室~

「やっと花音が動き始めたか。」

「この調子なら、少しはプラスにもなってくれるかもしれませんね。」

「頑張ってくれよ~花音!」

~南一局~ 親:渋谷尭深

阿知賀 145300

白糸台 102400

姫松 84900

有珠山 67400

~8巡目~

「ツモ。清一一通。4000・8000。」

(また有珠山!?)

(それに、また清一と一通で和了ってる。)

(というかこれ、有珠山に捲られとるやん!また最下位転落や。)

『有珠山高校の檜山選手が二連続和了です!』

『しかも、二連続で清一一通ですね。』

『これは有珠山のペースになってしまったか!?』

『でも、次は天理選手が連風ですね。』

『あっ、そっか。ダブリーされちゃうのか!』

『流れに乗ってる檜山選手とダブルリーチをする天理選手、どちらが勝つのでしょうか。』

『運命の南二局です!』

~南二局~ 親:檜山花音

阿知賀 141300

白糸台 94400

有珠山 83400

姫松 80900

「リーチ。」

(やっぱり、流れとか関係なくダブリーしてくるんですね・・・)

(さて、この局でこいつの和了りと有珠山の連荘は防がんとな。)

(あーあ、二階堂さんが頑張って流そうとする姿見たかったのに一発で来ちゃったよ。)

「ツモ。ダブリーダブ南一発ツモドラ3。4000・8000です。」

『天理選手、やはり連風時は強すぎる!』

『これで縮まりかけていた点差をまた引き離しましたね。』

~南三局~ 親:天理白

阿知賀 157300

白糸台 90400

姫松 76900

有珠山 75400

(この次に役満親被りが来るだろうから、ここで稼がんと有珠山に捲られて終わってまう。それは防がんとな。)

~7巡目~

(よし、聴牌出来た。行くで!)

「リーチ。」

(うぅ、二階堂さんのリーチ、何回も振ってるから怖いよ。これかな?)

「ロン。リーチ一発清一。16000や。」

「うぅ、はい・・・」

(なんであたしが出した牌が和了り牌になってんの!?おかしいでしょ!まぁ、私が全部悪いんだけどね。でも毎回安牌無いのはおかしいよね!)

~南四局~ 親:二階堂有紗

阿知賀 141300

姫松 92900

白糸台 90400

有珠山 75400

(渋谷さんの第一打は白三枚發三枚中三枚と1ピンの10牌。もう今の配牌で大三元が完成してるって考えたら、気が滅入っちゃうよね。まぁ、阻止する事はほぼ無理だろうし、今回はスルーしようか。)

~7巡目~

「ツモ。大三元。8000・16000です。」

(まぁ、せやろな。)

(ふぅ、とりあえず1位は死守できた。)

(そこそこ追い上げられたから、後は後半戦次第だな。)

『中堅前半戦終了ぉぉぉ!!!!白糸台高校の渋谷選手、かなり点数を減らしてしまいましたけど、最後の役満で少し持ち返し、なんとか2位で留まりました。』

『後半戦がどうなるかに期待ですね。』

『では10分間の休憩の後、中堅後半戦を開始致します!』

 

~中堅前半戦結果~

阿知賀 133300

白糸台 122400

姫松 76900

有珠山 67400




有珠山の檜山花音については次回詳しく書きます。

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