咲-Saki-もし1年後に夢乃マホが飛び級して清澄高校に入学したら   作:神奈木直人

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第47話《阿知賀編⑨》 先鋒後半戦

玄が対局室から控え室に戻った。晴絵が玄に麻衣の件について話した。玄は、直接対局していた為か、あまり驚く事無く話を聞いていた。

「では、西園寺さんに直撃する事と、西園寺さんが親番の時に和了するのは良くないと言う事ですね?」

「あぁ、そうなる。まぁ、玄が親の時にもあんまりツモ和了りしてほしくないけどね。」

「えっ、どうしてですか?」

「例えば玄が6000オールを和了ったとしよう。するとその時点では玄が18000のプラス、西園寺は6000のマイナスになる。そして西園寺が回収をする。西園寺は6000減らされたから回収するのは12000だ。玄が12000取られたら、玄の収支は6000、西園寺の収支も6000となり、西園寺と点差を付ける事が出来ないんだよ。西園寺と点差を付ける為には、西園寺以外から直撃するか、西園寺が子の時にツモ和了りするしかない。」

「成る程、そうしてしまうと、他の方々の点数を減らして、私と西園寺さんだけが少し浮く、という事になりますね。」

「一見西園寺さんを出し抜いたように見せて、実は何も起きてない状況になるんですね。」

「そういう事、玄は今の点数だから直撃と西園寺の親番を注意してくれれば良いけど、決勝で対局する時はそこに注意して欲しい。」

「分かりました!」

「とりあえず今は、これ以上削られないようにするように。」

「はい!では、行ってきます!」

~白糸台高校控え室~

「ただいま帰りました。」

「お疲れ、何だか元気がなさそうだな。どうかしたのか?」

「いやぁ、稼げたんですけど、有珠山だけプラスで終わらせてしまって、ちょっと悔しいです。」

「そうか、まぁ、まだ後半戦もあるんだし、そこで倒せば良いじゃないか。」

「そうですね。絶対マイナスで終わらせてみせます!そして、圧倒的な差で次鋒戦に回します。」

「うん、楽しみにしている。」

「じゃあ、行ってきます。」

 

 

『さぁて、休憩も終わり、対局選手も対局室に戻ってきました!先鋒後半戦、開始です!』

 

 

~場決め結果~

西園寺麻衣:東

小早川綾:南

松実玄:西

本内成香:北

 

~東一局~ 親:西園寺麻衣

白糸台 167700

有珠山 100900

姫松 71200

阿知賀 60200

(起家になれましたね。ならここは点数を稼ぎにいきますか。本場が付けば回収額が上がりますしね。)

~7巡目~

「これ、振り込んじゃいそうだな、でも、行っちゃえ!えい!」

(うぅ、それ、私の和了り牌、だけどこの人から直接和了る事は出来ないよ・・・)

~9巡目~

「リーチ。」

(まだ稼ぎ足りんのかこいつは!)

『西園寺選手リーチです!』

『かなりの点差がありますから防御に回っても良いと思いますが、稼げるだけ稼ぎたいタイプなんでしょうね。』

『成る程、太りやすいタイプですね!』

『そんな事言ってないよ!それに、西園寺選手はちゃんと痩せてるよ!』

『自分が太ってるからって高校生を僻まないで。』

『僻んでないし!それに太ってもないから!』

『分かった分かった。』

『もう、ちゃんとしてよ。』

『はいはい。』

~11巡目~

「ツモ。リーチツモ清一。8000オール。」

『西園寺選手、大量の点差がありながら更に点差を広げた!』

(2回も和了り牌を出された。なんで西園寺さんが出すの・・・)

(阿知賀の人、素直に和了っちゃえばよかったのに。)

「一本場です。」

~東一局一本場~ 親:西園寺麻衣

白糸台 191700

有珠山 92900

姫松 63200

阿知賀 52200

(さてと、一本場になったし、ここは直撃かツモ和了りをされるのを待つ事にしよう。)

~5巡目~

「ロン。混一一通東。12300です。」

成香が和了した。しかし、それを振り込んだのは、姫松の小早川綾だった。

『おおっと!?有珠山高校の本内選手、西園寺選手ではなく姫松の小早川選手に直撃をしました!どうして姫松なんだぁ?』

『白糸台だと後で取られてしまうからでしょう。』

『えっ、それだから取られる前に取るんじゃ無いの?』

『あぁ、まぁ、色々とあるんだよ・・・』

『えぇ、何その含みのある言い方、気になるじゃん!』

『まぁ、そこは気にしないで。』

『そうですか、じゃあ無視します。』

『無視はしないで!』

~対局室~

(えっ!?嘘でしょ!どうして姫松が有珠山の和了り牌持ってんの!?和了り牌は私の所に来るはずなのに・・・)

(有珠山の本内さん凄い。西園寺さんの親番、しかも一本場を上手く交わして和了った!やっぱりこの人凄い・・・)

~東二局~ 親:小早川綾

白糸台 191700

有珠山 105200

阿知賀 52200

姫松 50900

(有珠山のせいで親番が終わっちゃった上に投資も出来なかった!くそ~!絶対有珠山ボコボコにしてやる~!)

~7巡目~

(これ、有珠山に当たるだろうな。よしっ、これで和了られたら多分かなり高い回収ができる。いけっ!あれ?和了らない。どうして・・・?)

「ツモ。混一一通。3000・6000です。」

(はぁ!?私の出した牌で和了らないでツモ和了りした!?やっぱりこの人、私の能力に気付いてるな・・・)

『またまた有珠山が跳満を和了った!』

『またもや筒子の混一と一通ですね。』

『確かに、本内選手の筒子率はかなり高いですね。』

~東三局~ 親:松実玄

白糸台 188700

有珠山 117200

阿知賀 49200

姫松 44900

(さっきの和了り、親被りじゃないから3000の負担。2倍にして6000だから直撃するのは6400。もう今すぐ回収しちゃおうかな?いや、ここはまだ回収しないで他と点差を広げてやる!)

~5巡目~

「リーチ。」

「ポン。」

(有珠山、一発消しとかするんだ。一発付いたら倍満になったけど、まぁ、和了れれば良いか。)

「ツモ。メンピンツモ純チャン一盃口。3000・6000です。」

(これ、もしかして有珠山が鳴いとらんかったら倍満になっとったんかな?)

(また点差を広げられちゃった。もう、こんなの無理だよ・・・)

『負けじと西園寺選手も跳満和了です!』

『これはかなり面白い試合になってますね。』

~東四局~ 親:本内成香

白糸台 200700

有珠山 114200

阿知賀 43200

姫松 41900

~3巡目~

「リーチです。」

(有珠山がリーチ!?3巡目とか、速すぎでしょ・・・)

(親がリーチとか、しかもこの人、火力高いしな。それに白糸台もまた何か仕掛けるかもしれんし、こんなん勝てんやん・・・)

「ツモ。リーチ一発ツモ混一。6000オールです。」

(くそっ、また有珠山に和了られた!まぁ、親のツモ和了りだから点差減らないからまだましだけど。それでもやっぱり、有珠山の方が1枚上手だな・・・)

『本内選手!4巡目にして親跳和了です!速い!速すぎる!』

『今の和了りでかなり開いていた白糸台との点差を縮めましたね。』

~清澄高校宿泊部屋~

「有珠山の本内成香さん、凄いですね。」

「うん、あれだけの点差がある上にロン和了りしても倍返しされるっていう状況で追い付こうとしているよ。」

「もしトビ終了が無かったなら、本内成香さんが上回りそうですよね。」

「確かにそうだね。本内さんが西園寺さんにやられ過ぎる前に気付いてたならもっと良い戦いが出来てただろうね。」

「どっちにしろ、二人とも凄いですね。」

「うん。」

~東四局一本場~ 親:本内成香

白糸台 194700

有珠山 132200

阿知賀 37200

姫松 35900

(ここで6400を和了れば一本場だから6700になる。じゃあここで回収しようか。)

~6巡目~

「リーチ。」

(白糸台がリーチしてきた。これはもしかしたら私の回収かな・・・やっぱり、黒くない牌が来た。これ出さなきゃ更に怖い事になりそうだし、出しとこう。)

「ロン。リーチ一発七対子。6700です。」

「はい。」

(流れるように西園寺さんが和了った、という事は、今のは多分3000消費した時のお返しかな?)

(よしっ、このまま6000オールのも回収しよう。そして私が親で連荘して有珠山もマイナスで終わらせる!)

~南一局~ 親:西園寺麻衣

白糸台 201400

有珠山 125500

阿知賀 37200

姫松 35900

~6巡目~

「リーチ。」

『おおっ!またもや西園寺選手のリーチだ!』

『この手も多分、本内選手が一発で出すと思います。』

「ロン。メンタンピン一発で12000です。」

『えっ!?すこやんなんで分かったの!?アラフォーの勘?』

『いや、勘ではないよ・・・って!私はアラフォーじゃないから!アラサーだから!・・・言わせないでよ!』

『さぁ、鉄板ネタも出た所で、西園寺選手の連荘です!』

『鉄板ネタじゃないし!っていうかネタじゃないから!』

『はいはい、落ち着いてね~。』

『えっ、なんで私が悪いみたいになってるの!?』

~南一局一本場~ 親:西園寺麻衣

白糸台 213400

有珠山 113500

阿知賀 37200

姫松 35900

(よしっ、このまま連荘するのもいいけど、13500くらいのプラスなら有珠山に直撃させて回収するって形でも行けそう。じゃあ有珠山の和了り牌を出してくか。)

~7巡目~

「ロンです。」

(来たっ!これで点差が更に増える!)

「平和のみ。1000は1300です。」

(はぁ!?なんでそんな安手和了るの!?これじゃあ2倍にしても2600。丁度回収出来ちゃうじゃない。点差は増えるけど、それは無くない?)

~清澄高校宿泊部屋~

「今の、どうして本内さんは直撃したの?」

「それは、阿知賀と姫松の点数がかなり無くなっているからじゃないでしょうか?飛ばさせない為に。」

「でも、このまま飛ばせば2位抜け出来るよね?」

「多分、本内さんは勝ちしか見ていないんだと思います。2位抜けするなんて考えは全く無いから今みたいに安手の直撃で局を回そうとしているんだと思います。」

「成る程ね。」

~南二局~ 親:小早川綾

白糸台 212100

有珠山 114800

阿知賀 37200

姫松 35900

(2600の回収とか、全然やる気になれない~!まぁ、でもやらなきゃだよね。このまま有珠山に流れを持ってかれる訳にも行かないし。)

「リーチ。」

(これは1300の回収をしている?という事は、これを切れば一発で振り込む。それにしても、これを出さなかったらどんな風になるんだろう。怖すぎて試さないけど。)

「ロン。リーチ一発で2600です。」

「はい。」

『なんと、本内選手に引き続き西園寺選手まであまり高くない手を和了りました!』

『そうですね。』

~南三局~ 親:松実玄

白糸台 214700

有珠山 112200

阿知賀 37200

姫松 35900

(この局は回収したいからじっくりと他家が和了るのを待つ。直撃出来れば良いんだけど、流石にこの状況で和了ってくれる人はいなさそうだからまぁ、気にしてないけど。)

~6巡目~

「ツモ。混一ダブ南ツモ。3000・6000です。」

(また跳満!しかもまた有珠山!もう、いい加減にしてよ!)

~南四局~ 親:本内成香

白糸台 211700

有珠山 124200

姫松 32900

阿知賀 31200

(もう!また6400じゃないですか!っていうかこれ、ダブリー出来る。という事はダブリー七対子かな?とりあえずリーチしようか。)

「リーチ。」

「ポン。」

(有珠山に鳴かれた。あっ、でも出してくれた。)

「ロン。ダブリー七対子。6400。」

「はい。」

(あぁ・・・)

(これって・・・)

『先鋒後半戦、終了ぉぉぉ!!!!白糸台高校が圧倒的な点差で次鋒に回しました!』

「お疲れ様でした。」

「ありがとう、ございました・・・」

「ありがとうございました。」

「お疲れさんです・・・」

 

~先鋒後半戦結果~

白糸台 218100

有珠山 117800

姫松 32900

阿知賀 31200

 

先鋒後半戦が終わり、4人が控え室に戻ろうとすると、麻衣が成香を呼び止めた。

「ちょっと良いですか?」

「はい、何でしょうか?」

(西園寺さん、怖いです・・・)

成香の分け目は普段の方に戻っていて、対局時のような殺伐とした表情ではなく、いつもの可愛らしい表情をしていた。

「あの、本内さんは個人戦って出ますか?」

「えっと、出ます。有珠山は1位2位3位を独占したので。」

「そうでしたか。では、決勝で対局する時は貴女をマイナスにして勝ちます!もし今日有珠山が決勝に残れなかった場合も、個人戦で勝ちます!」

「えっと、その、私も頑張ります!」

「宜しくお願いします。」

「はい。」

~清澄高校宿泊部屋~

「いやぁ、西園寺さん凄かったね・・・」

「圧巻でした!」

「こりゃあ、優希じゃあちいと厳しいかもしれんの・・・」

「そうですね。まぁでも、出来る限りの事は片岡先輩に伝えます。」

「よろしく頼むわ。」

「マホちゃん、後で私の対局相手の事も教えて。」

「分かりました。でも、今は次鋒戦を見ましょう。」

「そうだね。」

「次鋒戦、この点差、どう埋めるんじゃろうな・・・」

「なんだか、何処かが飛んじゃいそうですよね。」

「あっ、そろそろ始まりそうだよ。」

「楽しみです!」




自分で書いておいて何ですが西園寺麻衣、強すぎますね・・・この点差どう埋めるんだよ(後悔)まぁ、そこは追々やっていきます。次は次鋒戦です。白糸台部長が登場します。ご期待下さい。

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