咲-Saki-もし1年後に夢乃マホが飛び級して清澄高校に入学したら 作:神奈木直人
新年明けましておめでとうございます!夢乃マホです!今日は先輩方と初詣に行くお約束をしていたので早起きしてお母さんに振袖の着付けをして貰いました!振袖、久しぶりに着ましたけど、意外と動きにくいです。ちっちゃい頃はもっと楽に動けていたはずなんですけど、どうしてでしょうか?あっ、あれは浴衣でした!うっかりしちゃいました!そんな事より、先輩方と初詣楽しみです!そろそろ約束していた時間になりそうなので出掛けます!
「行ってきます!」
「行ってらっしゃい。気を付けるのよ。」
「はーい。」
お母さんに見送られながらマホは家を出て、先輩方と待ち合わせしている場所に移動しました。待ち合わせ場所に着くと、そこには宮永先輩と和先輩のお二人が既にいました。
「あっ、マホちゃん!明けましておめでとう!今年もよろしくね。」
「明けましておめでとうございます。今年もよろしくお願いします。」
「宮永先輩!和先輩!明けましておめでとうございます!今年もよろしくお願いします!」
「あらあら、3人とも早いわね~。」
「早起きじゃのぉ。」
「竹井先輩!それに部長!明けましておめでとうございます!」
「おめでとー。うぅ、寒いわね。」
「マホは朝から元気じゃのぉ。それに、3人とも、振袖まで着こんで、本格的じゃな。」
「それはお二人が初詣に消極的なだけじゃないでしょうか?」
「だって、こんな朝早くから着物を着るのって大変じゃない。めんどくさいし。」
「どうせちょっと拝んでおみくじ引いたりしてちょっと話して帰るくらいなんじゃから別にええと思っての。」
「そういうのを消極的と言うんですよ・・・」
「まぁまぁ和先輩、今年も始まって直ぐなんですから怒らないで下さい。」
「別に怒ってる訳ではありませんよ。ただ、私達が異常みたいな言われ方をしたので異議を申し立てただけです。」
「そうですか・・・あっ!片岡先輩とムロさんと須賀先輩が来ましたよ!」
「明けましておめでとうだじぇ!」
「おめでとうございます。」
「すいません、遅れました。」
3人がやって来ました。ムロさんと片岡先輩はちゃんと振袖を着ています。
「ムロさん、片岡先輩、とってもお似合いです!」
「ありがとう。マホも似合ってるよ。」
「ありがとうございます!」
「竹井先輩、5:3で先輩方の負けですね。」
あ、その話まだ続いてたんですね、というか和先輩めちゃくちゃドヤ顔ですね・・・そんなに少数派にされるのが嫌なんでしょうか?
「そうね、はいはい、私が悪かったわよ。」
「も、もう、そんな事どうでも良いじゃないですか!早く初詣行きましょうよ!」
「そうだね。行こっか。」
そこからは待ち合わせ場所から神社に移動しました。
「そういえば、皆さんはどんな初夢を見ましたか?」
「全世界にあるタコスを食べ尽くす夢だったじぇ!」
「またタコスですか・・・」
「優希ちゃんは本当にタコス好きだね。」
「私はタコスが無いと生きていけないからな!」
「夢にまで見るんか・・・」
「お前、本当にタコス好きの呪われた血族なんじゃね?」
「その可能性は捨てきれないじぇ。」
「そんなオカルトあり得ません。」
和先輩は相変わらずのオカルト否定ですね。オカルトを否定してるのに初詣に来るって、何か変な気もしますけど、和先輩に言ったら怒られそうなので言わないでおきます。
「じ、じゃあ、和先輩はどんな初夢を見たんですか?」
「私ですか!?えっと、それは、咲さんと・・・」
「えっ、和ちゃんの初夢に私が出てたの?嬉しいな。ねぇ、どんな夢だったの?」
「えっ!?えっと、それは、その、ごめんなさい、恥ずかしいので言えません!」
「そうなんだ。ちょっと残念だけど仕方無いよね・・・」
和先輩、どうしてあたふたしているんでしょうか?うぅ、気になります!あっ!そうです!藤崎心音さんの能力を使って和先輩の心の中を覗けばいいんです!早速やってみましょう!
(咲さんとベッドの上で○○○とか○○○とか○○○○○とかする夢を見たなんて、言える訳無いじゃないですか!)
あぁ、これは、何も聞かなかった事にします。まさか和先輩がこんな方だったとは・・・忘れたいですけど、これは、忘れられそうにないです・・・
「ええっと、その、み、宮永先輩は、どんな初夢をご覧になられたんですか?」
「マホちゃんどうしたの?なんだか色々と変だけど大丈夫?」
「大丈夫、です、宮永先輩の初夢、聞かせて下さい。」
「私は、皆と大人になっても仲良くしている夢を見たよ。」
あぁ、こういうのです!こういう初夢を求めてたんですよ!やっぱり宮永先輩は凄いです!全てにおいて尊敬出来る先輩です!
「宮永先輩は本当に凄いです。本っ当に素晴らしい先輩だと思います!」
「ありがとう・・・でもどうしたの?今日のマホちゃん、何だか変だよ?お正月で気を張っていたなら休んだ方が良いと思うよ?」
「宮永先輩・・・ありがとうございます!でも大丈夫です!元気だけが取り柄なので!」
「そう、なら良かった。」
「はい!」
宮永先輩、本当に優しいです!ちょっと好きになっちゃいそうです・・・和先輩があんな夢を見るのも3%くらいは分かる気がします。
「じゃあ、マホちゃんはどんな初夢を見たの?」
「えっ、マホの初夢ですか?」
「うん、気になるな。」
「えっと、マホは、その、氷華と二人で遊びに行ったりした夢です。」
「えっ、マホちゃん、いつから氷華ちゃんの事呼び捨てで呼ぶようになったの?」
「マホの誕生日パーティーをして下さった時に仲良くなったんです・・・」
「マホちゃん、顔が赤くなっちゃって、なんだか、ただならぬ感じがするわね。」
「ほほぅ、何があったんじゃ?ん?」
「えぇ、別に何も無いですよぉ!」
「そんな事言って~、何かあったんでしょ~!」
「そんなにおかしな事は無かったですよ。えっと、確か、首輪?みたいな物を貰って、それを付けてから抱き締められたくらいですよ。」
「えっ、ちょっと待って、想像の遥か上を行ってたんだけど、そんな事してたの!?」
「これは、予想外じゃのぉ・・・」
「えっ?変でしょうか?まぁ、ちょっと激しく抱かれたような気がしますけど。」
「マホちゃん、あの、なんと言えばいいか・・・」
「その、お幸せにの・・・」
(マホちゃんが言ってる『抱かれた』と先輩方が言ってる『抱かれた』の意味が違うような気がするけど、別に言わなくても良いかな?二人とも、分かってていじってそうだし。もう、竹井先輩、この前ので懲りなかったんですか?)
「???よく分かりませんけどそうします。そういえば、和先輩と片岡先輩とムロさんと、須賀先輩までいないんですけど、何処に行ったんですか?」
「あぁ、あの4人なら、途中で優希ちゃんが京ちゃんとムロちゃんを連れて先に行こうとしたから和ちゃんが一緒に付いて、4人で先に行っちゃったよ。」
「そうだったんですか!?じゃあ、マホ達も行きましょう!」
「そ、そうね・・・」
「そ、そうじゃな・・・」
(まさか、マホちゃんがそんな、氷華さんとSMプレイをしていたとは・・・)
(マホがそこまで大人じゃったとは思わんかったわ・・・)
マホ達はその後片岡先輩達と合流して、神社にお賽銭をしに行きました。
「そういえば、どうしてお賽銭って、お金をお賽銭箱に入れるんですかね?」
「きっとお金で解決するためだじぇ!」
「あんたの悩みは今入れようとしている10円ぽっちで解決出来る悩みなんか?」
「確かに言われてみればそうだじぇ。」
「じゃあマホ、100円にします!」
「あっ、辞めた方が良いと思うよ。私、3年くらい前、お賽銭で100円入れたのに一年間ずっと悪い事が続いたもん。」
「そうなんですか・・・」
「お金で解決する為じゃないわよ。」
「えっ、竹井先輩、知ってるんですか?」
「えぇ、お賽銭っていうのは、自分に付いた穢れをお金に移して、それを清めて貰う為にやってるのよ。お金には穢れを吸い付ける力があると思われているから。」
「はぁ、またテレビの雑学番組ですか?」
「それだけじゃないのよ?小銭と言っても穴の空いたお金はその力が強いらしく、ご縁がある5円玉とご縁が重なる50円玉といった縁起の良い小銭に穴を空けるようにしているらしいのよ。」
「そうだったんですね!マホ、これまでずっと気になってたんです。なんで5円玉と50円玉だけ穴が空いているんだろうなって。」
「まぁ、諸説あるけどね。ほら、お賽銭しましょう。」
「はい!マホ、折角なので50円玉にします!」
「じゃあ私も50円玉にしようかな。」
「宮永先輩なら、50円玉じゃなくても運良いじゃないですか。というか、宮永先輩なら神様よりも強い気がするです!」
「もう、変な事言わないでよ。それだったらマホちゃんの方が凄いよ。」
「そんな事無いですよ!宮永先輩より凄い人なんていませんよ!」
「そんな、マホちゃんの方が凄いって!」
「ちょっと二人とも、後ろに並んでる方々がいらっしゃるから早くそこをどけてあげなさい。」
「わっ!すみませんでした!」
「ごめんなさい!」
宮永先輩とマホがそこを離れて、おみくじを引く事になりました。
「そうだ!おみくじを皆で一斉に開くっていうのはどうだじぇ?」
「良いわね。そうしましょうか。」
「それじゃあ引きましょうか。」
おみくじを引いて出てきた紙を開かずに、皆さんが引き終わるのを待ち、円陣になりました。
「じゃあ開けるわよ!せーのっ!あっ!大吉だわ!やった!」
「私も大吉だじぇ!」
「わしは吉か。まあまあじゃな。」
「俺は小吉でした。」
「私は末吉でした。」
「和先輩もですか?私も末吉でした。」
「そういえば、末吉と吉ってどちらが上なんでしたっけ?」
「ほれ、出番じゃよ。」
「はいはい、一般的には『大吉、吉、中吉、末吉、小吉、凶、大凶』の順番と言われているけれど、場所によっては全然違かったりするから、これ!って強く言う事は出来ないわね。」
「へぇ、吉ってかなり高いんですね。中吉の方が上だと思ってました。」
「そうね。それより、咲とマホちゃんは、なんだかテンション低くなってるけど悪かったのかしら?」
「はい、私は凶でした・・・」
「凶ならまだ良いじゃないですか!マホは大凶ですよ!」
「まあまあ、凶と大凶は入ってる数が少ないって聞いた事あるし、ある意味運が良いじゃない。ね?」
「そんなの、何の慰めにもならないですよ。」
「まぁ、あんたらは普段めちゃくちゃ運がええんじゃからそれくらいが丁度ええじゃろ。」
「そんなぁ!」
「酷いです。こんな運勢だったら麻雀でも勝てる気がしないです・・・」
「お?じゃあ今から私の家来る?皆で新年初麻雀でもしましょうよ!」
「どうせ負けちゃいますよ?」
「それだからやるんじゃない!」
「あんた、この状態でマホに勝って嬉しいんか?」
「そりゃあ嬉しいでしょ、運勢が悪いと言えど、今のマホちゃんに勝てるなら!」
「そうか、あんたがそれで良いなら別に何も言わんわ・・・」
「それじゃあ早速行きましょう!」
「竹井先輩、完敗する気がするじぇ。」
「そうじゃの・・・」
竹井先輩のお家にお邪魔して、麻雀をする事になりました。
「それじゃあ、私と咲とマホちゃん、残り一人は誰にする?」
「その3人相手の対局とか、絶対入りたくないじぇ・・・」
「そうじゃの・・・」
「それなら、私が入ります。」
「和先輩!」
「分かった、和が入るのね。じゃあ、始めましょうか。」
「はい!」
~試合結果~
宮永咲 45300
夢乃マホ 41000
竹井久 8200
原村和 5500
「なんでよ!私の運勢は最高でマホちゃんと咲の運勢は最悪だったはずなのに全然勝てないじゃない!」
「まぁ、おみくじ1つで麻雀のレベルが変わる訳では無いですし。」
「あぁ、やっぱり宮永先輩の方が運が良いから負けてしまいました!マホはやっぱり大凶だったから負けちゃいました!」
「やっぱりマホちゃんは強いね。負けそうだったよ。」
「マホちゃん、それって私達に対しての嫌みかしら?」
「えっ、いえ!そんな事は無いです!」
「はぁ、別にどっちでも良いけど、あんた達強すぎよ!あんなの勝てる訳無いじゃない。咲はカンしただけで倍満とか和了るしマホちゃんもダブリーばっかりして!意味分かんないわよ!」
「でも、竹井先輩も悪待ちすると凄いじゃないですか。」
「それを真似出来るあんたの方が凄いわよ。」
なんだか、竹井先輩が不貞腐れちゃってます・・・
「そんな事無いですよ。」
「謙遜しないで、あんた達が凄くないなんて言ったら私達はどうなっちゃうのよ・・・」
「それは、ごめんなさい。でも、竹井先輩は凄いですよ!」
「そうです。去年だって清澄がピンチだった時に巻き返してくれたりしたじゃないですか。」
「そんな事言ったら、咲なんて毎回プラスじゃない。マホちゃんだって地区大会で最多得点だったし。」
「そうですけど・・・」
「いや、良いの。貴女達は強いわ。でも、そんな貴女達を越えてみせるわ!今年の抱負が決まったわね。」
「じゃあマホは宮永先輩よりも強くなります!」
「じゃあ私は、お二人よりも強くなります。」
「今年の抱負、決まったわね。」
「はい!」
その後は、皆さんと色々な事を話して解散になりました。おみくじの運勢は最悪でしたけど、とっても有意義な初詣になりました!おみくじが悪かったのに、今年は何故か良い年になりそうな気がします。
前回の番外編では、氷華とマホのイチャイチャストーリーを書いたので今回は清澄メンバーが仲良く初詣を過ごすストーリーにしました。因みにお賽銭の時の100円の下りは実体験です。