咲-Saki-もし1年後に夢乃マホが飛び級して清澄高校に入学したら   作:神奈木直人

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メリークリスマス!皆さんはどんなクリスマスを過ごしていますか?私はこれを書くのが忙しくて遊ぶ暇なんて無かったです。決して遊ぶ相手がいない訳ではありません。忙しかっただけです。
訂正なんですが、第44話で灼が抽選に行く描写を書いたのですが、阿知賀女子はシードなので必要ありませんでした。今から直すとなると色々と面倒なので、しれっと灼がいますが気にしないで下さい。


第45話《阿知賀編⑦》 二回戦

「すみません、阿知賀女子の皆様ですよね?」

妖しい笑みを浮かべている少女が阿知賀女子の5人に向かって話し掛けてきた。

「あっ、えっと・・・」

「はい。そうですが、それがどうかされましたか?」

穏乃と憧と玄と灼が怖じ気付いている中、白が問いに答えた。

「申し遅れました。私は、白糸台高校先鋒の西園寺麻衣(さいおんじまい)と申します。以後お見知りおきを。」

「そうですか、では西園寺さん、あたしは貴女に名前を聞いたのではなく、何故あたし達に話し掛けたのかを聞いているんですが。」

「そうでしたね、すみません。私が貴女方に話し掛けた理由は宣戦布告です。」

「なっ!?」

「阿知賀女子の皆さんとは遠かれ近かれいずれは当たる事になるでしょう。ですが、今年の白糸台高校は去年のように負ける事はあり得ません。私を筆頭にした最強のメンバーがここにいますから。」

「最強ですか、あたしは、この先輩方とならその最強にも勝てると思います。」

「それは楽しみです。でも、今年私達と当たってしまったら、次鋒戦で終わる事になると思います。」

「は?何を言っているんですか?次鋒戦で終わる訳無いじゃないですか。持ち点は10万なんですよ?」

「私にとって10万点なんて、少な過ぎますよ。まぁ、ここで言い合っても何にもなりませんね。取り敢えず、私達は今年のインターハイを私と次鋒で部長の東条小夜(とうじょうさよ)先輩だけで終わらせてみますよ。」

「そんな事させませんよ。」

「あぁ、でも、大星先輩が拗ねちゃいますから2回戦くらいまでは手加減しますか。まさか2回戦で負けるなんて事はないと思いますからね。」

「当たり前よ!あんた、私をなんだと思ってるわけ!?」

「え、弱い先輩だと思っていますけど。」

「はぁ?私は世間ではテルーの後継者って言われてんの!私は最強なの!」

「でも先輩、私に何回も負けてるじゃないですか。」

「それは調子が悪かっただけだって前も言ったでしょ!」

「はぁ、言い訳が見苦しいですよ、大星よわい先輩。」

「私はあ!わ!い!それに弱くない!お前、いつか100回倒してやるからな!」

「あの、盛り上がってるところ悪いんですけど、そろそろ移動しなきゃいけないんですが・・・」

「ほら、阿知賀の顧問の方もそう言っているし、私達も移動するぞ。」

「分かりました。」

「あんた、東条先輩の言う事は聞くよね。」

「だって、部長は大星先輩と違って強いですもん。」

「はぁ?私の方が100倍強いし!」

「ほらほら、とっとと移動するぞ。」

「あぁ、もう、ちょっ、引っ張らないで!伸びる!」

「そういう訳なんで、団体戦ではよろしくお願いします。では失礼します。」

白糸台高校は嵐のように去っていった。

「・・・そういう訳って、どういう訳だよ。」

「まぁでも、あの大星さんの事をあれだけ言えるって事は、相当な打ち手って事だよね。」

「あの人、先鋒って言ってたよね、また強い人と戦わなきゃいけないの・・・」

「でも玄は冬室氷華や汐見真紀や一ノ瀬一葉や天江衣さんにめちゃくちゃ飛ばされたじゃん。あれに比べればそこまで酷くはならないでしょ。」

「あの人達は多分人間じゃないよ。汐見さんと一ノ瀬さんと天江さんの3人と対局した時は10万点もあったのに気付いたら飛んでたもん。」

「玄先輩、この世の終わりみたいな顔してましたもんね。走馬灯とか見えたりしましたか?」

「走馬灯は見えなかったけど悪魔のような3人はずっと見えてたよ・・・」

「ははっ、それは、御愁傷様です・・・」

「取り敢えず今日はホテルに戻って去年同様、2回戦で当たるだろうチームの地区大会の映像を見るから。」

「分かりました。じゃあ、行きますか。」

阿知賀女子のメンバーはホテルに戻り、2回戦で当たるだろうチームの地区大会の映像を見た。それから1回戦が終わり、2回戦の当日になった。

「しっかし、去年ベスト8まで行った有珠山高校は流石の強さだね~。」

「特に副将の真屋由暉子さんが左手を使った時は誰にも止められて無かったね。」

「でも、その他の人達は、普通に強くはあるけどあんまりって感じだよね。」

「あの人だけではありませんよ。」

「えっ、白、どういう事?」

「有珠山は先鋒と大将、この二人はまだ何か隠してる気がするんですよね。」

「それって、本内成香さんと岩館揺杏さん?」

「そうです。なんだかあの二人、嫌な予感がするんです。だから、松実先輩は一応注意して先鋒戦に臨んでください。」

「うん、そうするよ。」

「あたしのこの胸騒ぎが杞憂なら良いのですが・・・」

「まぁ、取り敢えず行ってくるよ。」

「頑張って下さい。」

「頑張って下さい!玄さん!」

「うん!」

玄が対局室に移動して、2回戦が始まった。

 

~場決め結果~

本内成香:東

越谷女子:南

鹿老渡高校:西

松実玄:北

 

~南一局~ 親:本内成香

阿知賀 147200

鹿老渡 102400

有珠山 81400

越谷 79000

(もう後半の南一局だけど、本内さんは高い和了りを1、2回止められたくらいで、特に何もしてこない。調子が悪いのかな?それとも白ちゃんの心配が本当に杞憂だったのかな。)

~7巡目~

「ツモ。タンピン三色一盃口。3000・6000です。」

(越谷女子の人、高い手を和了られた。でも、点差はあるから大丈夫だよね。)

(ドラゴンさん、怖いです。それにこのままじゃ負けちゃいます。あれをしちゃうと、自分が自分じゃなくなるみたいで怖いですけど、このまま終わる訳には行かないです!)

成香は頭を揺らして分け目を変えた。元々隠していた右目が見えて左目が隠れた。

(さぁ、続きを始めましょうか!)

~有珠山高校控え室~

「揺杏先輩、成香先輩が分け目を変えましたよ。」

「おぉ!遂にあれを使っちゃうのか。」

「あれってなんですか?それに、どうして分け目を変えたんですか?」

「そうだな、元々の成香を天使だとしよう。しかしそれは右目が隠れた時の話だ。右目が開かれて左目が封じられた時、奴は堕ち、堕天使となるのだ!」

「カッコいい!」

「あぁ、こういう話になると普段はツッコミ役の由暉子先輩もそっちに行っちゃうんでした・・・」

「それで、堕天使になった本内先輩はどうなっちゃうんですか!?」

「ふふん、それは見てのお楽しみ。」

「そうですか・・・残念です。」

「まあまあ、見てれば分かるよ。」

~南二局~ 親:越谷女子

阿知賀 144200

鹿老渡 99400

越谷 91000

有珠山 75400

~6巡目~

「リーチ。」

(本内さんがリーチしてきた!それになんだか雰囲気が変わった気がする。分け目が変わった・・・?)

(何をしてくる・・・?)

「ツモ。リーチ一発ツモ混一一通。4000・8000です。」

(うわっ、筒子と東と西。手牌が真っ黒、お姉ちゃんみたい・・・)

(いきなり倍満!?これが昨年ベスト8の力・・・)

~有珠山高校控え室~

「本内先輩の配牌、凄かったですね・・・」

「成香は分け目を変えて堕天すると、手牌が筒子と東南西北で真っ黒になる。」

「という事は、筒子の混一が出来るって事ですね。」

「それだけじゃない。今回は筒子が多めだったけど、東南西北が多めだったらどうなるかな~?」

「はっ!まさか、四喜和!?」

「そう、堕天した成香は四喜和を和了って来る。それに、あの状態の成香は、爽でも止めるのは難しいらしい。」

「爽先輩でもですか!?」

「あぁ、それだけ成香が異様な存在だと言う事だよ。」

~南三局~ 親:鹿老渡高校

阿知賀 140200

鹿老渡 95400

有珠山 91400

越谷 83000

~8巡目~

「ツモ。小四喜。8000・16000です。」

(なっ!?小四喜!?それにまた手牌が真っ黒。やっぱりお姉ちゃんみたいな感じなんだ。でもお姉ちゃんとはレベルも火力も何もかも全然違う。これが白ちゃんが心配してた事なんだね・・・)

~南四局~ 親:松実玄

阿知賀 132200

有珠山 123400

鹿老渡 79400

越谷 75000

~5巡目~

「ツモ。小四喜。8000・16000です。」

(2連続で役満ツモ!?しかもまた小四喜!?)

(これ、ヤバすぎ・・・)

「お疲れ様です。」

「ありがとう、ございました・・・」

「お疲れ様です・・・」

「ありがとうございました。」

~先鋒戦結果~

有珠山 155400

阿知賀 116200

鹿老渡 71400

越谷 67000

 

 

その後は有珠山と阿知賀が他の2校を引き離し、中堅戦が始まった。

 

~東三局三本場~ 親:天理白

阿知賀 199400

有珠山 152300

鹿老渡 31200

越谷 17100

「リーチ。」

(またダブリー!?)

(これが当たったら、飛んじゃう・・・)

~4巡目~

「ロン。ダブリーダブ東ドラ3。18900です。」

(あっ、飛んじゃった・・・)

「お疲れ様でした。」

「ありがとうございました。」

「ありがとう、ございました・・・」

「ありがとうございました。」

(本内先輩が稼いでくれたお陰で残れましたけど、この人とまた対局しなきゃいけないのか、キッツいなぁ・・・)

 

~2回戦結果~

阿知賀 218300 準決勝進出

有珠山 152300 準決勝進出

鹿老渡 31200

越谷 -1800

 

白が対局を終えて控え室に戻った。

「ただいま帰りました。」

「白、お疲れ~まさか飛ばして終わらせちゃうなんてね。あたしとシズの出番が無かったけど、準決勝なら戦えるだろうから問題無しだね。」

「うん!準決勝も頑張ろう!」

「「「「おー!」」」」

6人はホテルに戻り、ミーティングを行った。

「今日に関してはかなり良い対局だった。でも、次は多分、そう上手くは行かないだろう。」

「次の相手は白糸台に姫松だからね。正直、2位に入るのもギリギリになりそうだよね・・・」

その2校も厄介だが、有珠山もかなり強敵だ。まず先鋒、玄は最後の三局、何も出来ずに負けただろう?」

「はい、凄かったです・・・」

「多分あれは隠していた物だ。もう隠す必要が無くなったって事は・・・」

「次は最初からあれをしてくるのでしょうか!?」

「可能性としてはあり得る。それに、今回は中堅で終えられたから良いものの、副将から彼女らは格段に強くなる。そう考えるとうちに余裕なんて皆無に等しいだろうね。」

「そう、ですね。」

「頑張らなきゃいけませんね!」

「うん、あんたらにはかなり期待してるんだ、期待を裏切らないでくれよ。」

「頑張ります!」

 

 

その頃、姫松高校もミーティングをしていた。

「まずは2回戦突破です。ですが、悪い言い方をすればそれは、終局した時に白糸台の他の2校より上回っていただけに過ぎません。次の準決勝で勝ち上がるには今日勝ち上がった阿知賀と有珠山、そして白糸台、この内の2校以上を上回らなければなりません。その中でも一番の障害は、白糸台先鋒の西園寺麻衣でしょうね。」

「せやろな。今年も先鋒やったら死んどったわ。」

「上重先輩が死ぬんやったら私は死ぬの確定やないですか・・・」

「まぁ、相手が相手やからな。捨てゴマって訳や無いけど先鋒で稼ぐんはほぼほぼ無理やろな。」

「そんなぁ・・・」

「まぁ、一応先鋒の説明をしとくか。まずはこの前も対局した西園寺麻衣。彼女の特徴は地区大会とこの間の対局ではっきり分かりました。」

「マジかいな!?」

「はい。彼女は、絶対に点数が減りません。」

「点数が減らない?どういう事?」

「振り込まないだけならうちのチームにもおります。けど、どうやってんのかは分かりませんけど、西園寺麻衣は、相手にツモ和了りをさせません。ツモ和了りしそうになると、彼女が鳴いたりして阻止したり、その前に自分が和了したり、ズラして他の相手に直撃させたりして、自分の点数が減らないんです。つまり彼女は、総得点数がそのまま自分の収支になるって事です。」

「マジかいな・・・」

「それは、かなり厄介やな・・・」

(でも、なんか変やな。白糸台のチーム虎姫は火力重視だったはず。相手の和了りを掻い潜って和了るようなんがチーム虎姫に入れるんやろか・・・?)

「準決勝の先鋒は西園寺麻衣だけでは無いです。阿知賀の松実玄、彼女は言わずもがなですが、ドラを抱えます。これは、彼女の火力が上がるだけでなく、他の相手の火力が少し鈍るというアドバンテージがあります。でも、そんなアドバンテージ関係無く高い手を和了してくるんが有珠山の本内成香。この人は普段、右目を隠しとるんですけど、それを解放すると、手牌が黒く染まります。これは筒子の混一だけでなく、四喜和等が可能になります。」

「な、なんや、次の先鋒戦、地獄やないか・・・」

「私、飛ばないように頑張ります・・・」

「まぁ、先鋒戦で飛ばんかったら私と漫と絹恵で何とかするから安心しいや。」

「ありがとうございます部長。」

「でもまぁ、やっぱり行きたいよな。去年行けなかった決勝。」

「その為には勝たなきゃいかんな。」

「あぁ、絶対に勝つ!」

 

 

同時刻、白糸台高校は阿知賀の対局結果を見ていた。

「へー、勝ち上がったのは阿知賀と有珠山か。」

「まぁ、予想通りと言った感じだな。」

「ふふっ、有珠山の先鋒の方、早く戦ってみたいですね。これは準決勝も少しばかりは楽しめそうですね。」

「そうか、麻衣が楽しそうで何よりだな。」

「それに、決勝では臨海の人も来ますからね。ワクワクです。」

麻衣が嬉しそうに微笑んだ。そして、ホテルの窓から空を見上げた。

「絶対、優勝して見せるからね、お姉ちゃん。」

 




2回戦は越谷女子と鹿老渡高校のキャラは名前を考えたくなかったので親の表示のところも高校名にしました。
世間ではクリスマス一色ですね。番外編でクリスマスストーリーでも書こうかな?って思ったんですが、私はクリスマスなんて滅べば良いと思っているので書きませんでした。代わりと言ってはなんですが、元旦にはもしかしたら書くかも・・・

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