咲-Saki-もし1年後に夢乃マホが飛び級して清澄高校に入学したら   作:神奈木直人

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ハッピーバースデーマホ!今日は我らがマホちゃんの誕生日です(テンションおかしい)マホちゃんの誕生日なので番外編としてマホの誕生日ストーリーを作りました。


《番外編》夢乃マホ生誕祭!

今日、12月20日は夢乃マホの誕生日だ。そのため清澄高校麻雀部では、数日前からマホのサプライズパーティーを企画していた。丁度誕生日の前日は、用事があると言ってマホは先に帰っていた。

「ほいじゃあ、明日のマホ誕生日サプライズパーティーは何をすれば良いか、意見がある人はおるか?」

「タコスパーティー!」

「却下じゃ。」

「駄目です。」

「なんで!?」

「それ、あんたがタコスを食いたいだけじゃろ。」

「そんな事ないじょ。マホちゃんだって試合前とかよくタコス食べてるじょ?」

(あれは優希ちゃんのタコス力を使う為だからだと思うけど・・・)

「それは多分、試合前に軽食を取りたいからです。まぁ、タコスが好きというのもあるかもしれませんが。そもそもタコスにしてしまうと優希が全て食べてしまうでしょう?」

「それに、マホちゃん優しいから、タコスだったら優希ちゃんに譲っちゃうと思うな。」

「そ、そんな事、無いじょ・・・」

「あと一押しで落ちそうな感じじゃな・・・」

「じゃあせめて、パーティーの一品としてタコスを置いて欲しいじょ!」

「まぁ、それくらいならええじゃろ。」

「タコス置いてるスペースが優希の餌置き場と化しそうだな。」

「何を!お前には食わせてあげないからな!」

「タコスはお前の物じゃねぇ。」

「もう既に優希の餌置き場になりつつあるの・・・」

「まったく、優希は自分の事だけじゃなくてちゃんと色んな事を考えて下さい。」

「でも、一人だけ年下だから馴染ませる為にサプライズをしようって言ったのは優希ちゃんだよ?」

「確かにそうですね。」

「まぁ、パーティーに託つけてタコス食べたいだけかもしれんけどの。」

「そんな事無いじょ!」

「まぁ、80%くらいはタコスや食べ物の為だとは思いますけど、確かに優希はちゃんと他の人の事も見ていますね。そこは認めます。」

「そんな事どうでもいいじょ!とにかく時間も無いし準備するじぇ!」

「そうですね。そうしましょうか。」

4人がパーティーの準備をした。

 

 

そして、サプライズパーティーの当日になった。折角パーティーなのだから大勢の方が良いという事になり、前もって風越と鶴賀、龍門渕の面々も呼んでおいた。鶴賀、風越、龍門渕の3校の面々が集まり、準備も整った。そろそろ買い出しを頼んでおいたマホが部室に戻ってくる頃だ。

「ただいま帰りました~。」

「「「「マホちゃん、お誕生日おめでとう!」」」」

パンパンとクラッカーの音が鳴り響いた。

「わぁ~!?嬉しいです!皆さんありがとうございます!!」

「マホ、誕生日おめでとう。これプレゼント。」

最初にプレゼントを渡したのはこの中で一番付き合いの長いムロだった。

「ムロさんありがとうございます!開けても良いですか?」

「どうぞ。」

マホが袋を開けると、そこにはMと書かれたストラップが入っていた。

「M?どういう事ですか?」

「マホとお揃いのストラップを買うのはどうかなって思って、私達ムロマホコンビって言われてるから頭文字を取ってMがいいんじゃないかなって思ったんだ。」

「成る程!ありがとうございます!大切にします!」

「じゃあ次はわしからじゃ。」

まこがマホに近付いて小さな袋を手渡した。

「開けても良いですか?」

「どうぞ。」

マホが袋を開けるとハンカチが入っていた。

「後輩に物を贈るのが初めてじゃったけえ何を渡せば分からんかったから無難なのにしたつもりじゃけど、色やら柄やらが酷すぎる・・・」

「そんな事無いですよ!これ、とっても可愛いです!大事に使わせてもらいます!」

「ほうか、それなら良かったわ。」

「はい。ありがとうございます!」

「では、次は私達からですね。」

「私とのどちゃんは一緒に選んだんだじぇ!」

「わぁ!お二人のプレゼントはどんなものなんでしょう。開けても良いですか?」

「いいじぇ!」

「はい。」

マホが箱を開けると、ハート型でピンク色のヘアピンだった。

「うわぁ!とっても可愛いです!ありがとうございます!早速付けてみます!」

マホがヘアピンを付ける。

「ど、どうでしょうか?」

「とっても可愛いですよ。」

「似合ってるじぇ!」

「本当ですか!?嬉しいです!」

「じゃあ、次は私だね。」

「宮永先輩まで!?こんなにプレゼントを貰っても良いのでしょうか・・・」

「皆がマホちゃんに贈りたいから贈るんだよ。ええっとそれで私のプレゼントなんだけど、何をあげたら良いのか全く分からなかったからマホちゃんが好きそうな本を買ったんだよね。ごめんね、本とか読まないよね・・・」

「とんでもないです!嬉しいです!宮永先輩が選んでくれた本なら絶対面白いです!今日帰ったら早速読んでみます!」

「うん、良かったら感想聞かせてね。」

「はい!」

様々な人からプレゼントを貰っている中、意外な人間がマホにプレゼントを用意していた。

「夢乃マホ、これ、プレゼントです。」

「えっ!?氷華さん!?もしかして氷華さんもマホにプレゼント下さるんですか!?」

「まぁ一応用意しました。」

「うわぁ!氷華さんからもプレゼントを貰えるなんて、嬉しいです!感無量です!」

「そうですか。」

「あのあの!開けても良いですか・・・?」

「どうぞ。」

「わぁい!」

マホが開けると、中には赤いチョーカーが入っていた。

「えっ、首輪・・・」

「えっ、いや、それはチョーカーと言って!」

「マホ、氷華さんのペットになるんですか?わん?」

(なんだこの生き物は!可愛過ぎる!どうしてこんなにも可愛いんだろう。)

「それは、チョーカーと言って、首輪じゃなくて普通にファッションアイテムです。夢乃マホに似合うと思って買った物ですので別にペットになんてならなくても良いですし、語尾に無理してわんとか付けなくても大丈夫です。」

「あっ、そうだったんですか、マホ、早とちりしてしまったです。折角氷華さんが考えてくれたプレゼントなのに酷い言い方しちゃってごめんなさいです!」

「別に、気にしてないので大丈夫です。」

「許してくれるんですか?やっぱり氷華さんは優しいです!」

「そんな事は、無いです。」

「あの、これ、着けても良いですか?」

「どうぞどうぞ。」

カチャカチャとマホがチョーカーを付ける。

「ど、どうでしょうか?」

「似合っていますよ。とっても、可愛いです。」

「えっ!?本当ですか!?まさか氷華さんに、か、可愛いだなんて言って貰えるとは!ありがとうございます!」

マホは嬉しさのあまり氷華に抱き付いた。

「わっ!ちょっ、何を!」

「えへへ、氷華さん大好きです・・・!」

すりすりと頬を氷華の体に擦りながら抱き付いてきたマホから柑橘系の甘い香りが漂い、慎ましくも柔らかいその感触に、氷華の理性が吹き飛びそうになる。

「マホちゃん、その辺にしてあげなさい。冬室さんが苦しそうよ。」

「あっ、そうだったんですか、ごめんなさいです!」

久がマホに注意をしてくれたお陰で氷華が正気に戻った。

「別に苦しくなんか無かったですよ?どちらかと言うと・・・」

「えっ、氷華さん、今なんて言ったんですか?」

「な、何でもないです。気にしないで下さい。」

「そうですか、取り敢えず、この、チョーカー?ですか?ありがとうございます!」

「どう、いたしまして・・・」

「あっ、宮永先輩見て下さい!これ、氷華さんがプレゼントしてくれたんです!」

「へぇ、チョーカーだね。凄く似合ってて可愛いよ。」

「本当ですか!?ありがとうございます!」

(宮永さんには抱き付かないんですね・・・って、何ちょっと嬉しくなってるんですか私は!夢乃マホが誰に抱き付いたところで私には関係無いじゃないですか!)

「えっ、氷華がプレゼントしたの!?」

(池田先輩・・・よりによってこの人にバレてしまうとは。まぁ別に、そこまで隠してる訳じゃないですけど、この人に見つかるのはかなり危ない・・・)

「へぇ、氷華でもこんなプレゼントするのか~。」

「何ですか氷華でもって、私だって、好きな人にプレゼントくらいあげます。」

(!?氷華さん、今マホの事、好きって・・・)

「えっ、氷華、今好きとか言わなかった?」

「あっ、違います!今のは言葉の綾です!」

「そんな事はどうでもいいじょ!もうお腹ペコペコだじぇ!」

「「・・・はい。」」

プレゼントを一通り渡し終え、優希の鶴の一声で本格的にパーティーが始まった。

「じゃあ主役のマホちゃん、本日のサプライズパーティーの感想をどうぞ。」

「本当にびっくりしましたし、本当に嬉しかったです!マホの家は、マホの誕生日をクリスマスと一緒にして祝うので、こうして祝っていただけるのは本当に嬉しいです!今日は本当にありがとうございます!」

会場にいる全員が拍手する。

「じゃあ、抱負を聞かせて貰えるかしら。」

「抱負ですか・・・えっと、やっぱり麻雀がもっと強くなりたいですね。具体的に言うと、宮永先輩や氷華さんや他の方々全員に偶然じゃなくて、いつ対局しても勝てるくらい強くなりたいです!」

「はぁ、そりゃあ大層な目標じゃのぉ・・・」

「マホちゃん、私もマホちゃんに負けないようにもっと頑張るよ!」

「私も、夢乃マホのライバルとして、そう簡単に負ける訳にはいきません。」

「はい!頑張ります!」

「よし、じゃあ食べましょうか。」

「やっとだじぇ!食べまくるじょ!」

「食べ過ぎて吐いても知りませんよ・・・」

「大丈夫だじぇのどちゃん!自分の体は自分が一番分かってるじょ!」

「そう言って何回か吐きそうになった事があるから言ってるんじゃないですか・・・」

「吐きそうにはなっても吐いてはいないから別に問題無いじょ!」

「はぁ、もう好きにしてください・・・」

優希はパーティーに用意されていた料理をバクバクと食べ始めた。因みにこの料理は龍門渕家の執事であるハギヨシが作った。料理はかなりあったが、人数が多く、優希や池田華菜達が掃除機のように平らげていた為、みるみる減っていき、早い段階で無くなってしまった。パーティーが終わり、マホを除いた清澄高校麻雀部員と久が片付けをしていた。

「あの、マホも手伝います!」

「大丈夫です、私達で出来ますから。」

「でも・・・」

「主役に仕事をさせる訳にはいかないじぇ!」

「片岡先輩、ありがとうございます。先輩方もありがとうございます!」

「どういたしまして、こっちは大丈夫だから後は好きに過ごして良いわよ。」

「分かりました。」

マホは少し早足で歩き出した。その先には、氷華の姿があった。

「あの、氷華さん!」

「どうしたんですか?」

「あの、今日のプレゼント、本当にありがとうございます!それで、氷華さんにお返しをしたいんですけど、氷華さんのお誕生日っていつですか?」

「2月6日ですけど、お返しを貰う為にプレゼントしたのでは無いので大丈夫ですよ?」

「いや、マホがお返ししたいんです。何か欲しい物はありますか?」

「そうですか・・・じゃあ、夢乃マホが1日私のペットになるっていうのはどうですか?」

「えっ、やっぱりあれって首輪だったんですか!?」

「ふっ、やっぱり夢乃マホは面白いですね、冗談ですよ。私はそんな事を要求するような人ではありませんよ。」

「・・・氷華さんだったら、ペットになっても、良いですよ?」

マホに上目遣いでこんな健気な発言をされ、氷華はまたもや理性が吹き飛びそうになる。しかし、あと一歩のところで思い止まった。氷華はその代わりにその場でマホに抱き付いた。

「これ以上、私の心を乱さないで下さい・・・」

「氷華さん・・・」

「先程のお返しです。あと、ちょっとプレゼントを貰っただけで優しいと思い込んで何でも言う事を聞いてしまうのは良くないですよ?」

「それは分かってますよ。マホは氷華さんを信用しているからこうしてるんです。氷華さんならマホに酷い事はしないはずですから。」

「なんでそんな事が分かるんですか。」

「それは、氷華さんの対局を見ていれば分かります。氷華さんはツモ和了りしかしないじゃないですか。それって一人だけを酷い点数にしたくないっていう気持ちの表れなんじゃないかって思っていたのです。それはもしかしたら違う理由があるのかもしれないですけど、それでもやっぱり優しいと思います。だって、これまで氷華さんに接してきて、嫌だった事が無かったですもん。氷華さんは温かいです。今だってとても温かいです。」

「夢乃マホ・・・」

「だから、お願いがあります。」

「何ですか?」

「マホって・・・夢乃マホじゃなくて、マホって呼んで下さい。」

「!?じ、じゃあ、私の事も氷華と呼び捨てで呼んでくれたら私もそうします。」

「分かりました、氷華!」

「敬語も禁止。同学年なんだから。」

「・・・うん、これからもよろしく、氷華。」

「よろしく、マホ・・・」

氷華はマホにしていた抱擁をといた。

「じゃあ、私はこれで・・・」

「う、うん、じゃあね。今日はありがとう。」

「うん、じゃあね。」

「はい。」

氷華は名残惜しそうに回れ右をして帰っていった。マホも帰る準備は整えていた為、そのまま帰った。帰宅したあと、マホは咲から貰った本を切りの良い所まで読んで自分のベッドに着いた。そこには、氷華から貰ったチョーカーと、チョーカーが入っていた袋が置いてあった。マホは、その袋を抱き締めるように顔に近付けた。

(あっ、これ、氷華のにおいがする・・・)

氷華のにおいを嗅いで、先程の氷華との抱擁を思い出していた。

(今日は本当に幸せな1日でした。普段は祝ってもらえない日なのに皆さんに沢山祝って貰えましたし、氷華に可愛いって言って貰えましたし、好きとも言われましたし、抱き締められちゃいました。マホ、今日という1日を絶対に忘れません。マホは幸せ者です・・・)

そんな事を考えて、マホは眠りについた。マホの幸せな1日が終わった。




マホちゃんが可愛過ぎて氷華と共に理性が吹き飛びそうになってしまいました・・・この話のタグにR指定しなければならなくなる所でした。
前回のあとがきで『次回からインターハイ』と書きましたが、ご覧の通りこの話の次からになります。ご了承下さい。

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