咲-Saki-もし1年後に夢乃マホが飛び級して清澄高校に入学したら 作:神奈木直人
穏乃が席に付くと、池田華菜、天江衣、 汐見真紀の3人も座った。
「汐見真紀!今日は負けないからな!」
「ウチも負けるつもりはありませんよ。しかし、点差がかなりありますし、収支の勝負でしょうね。」
「そこに関しては問題ない、収支も点数もどちらも衣が勝つ。」
「随分と自信がお有りで。」
「ふっ、衣は負けないからな!」
「そうですか、じゃあ早速始めましょうか。」
~場決め結果~
池田華菜:東
天江衣:南
高鴨穏乃:西
汐見真紀:北
~東一局~ 親:池田華菜
鶴賀 192100
風越 80400
龍門渕 72700
阿知賀 54800
(この対局で敗北を期しても何も変容しない。収支で負けなければ汐見真紀にも勝利した事になる。だが、それは衣にとって真の勝利とは言えない!この10万点差を覆してこそ勝ちと言える!だから!)
「ツモ。4000・8000!」
(衣は、和了り続ける!)
(タンピン三色に赤ドラ3枚の倍満。やっぱり天江さんはゾクゾクしますね。ウチの好敵手として!)
~東二局~ 親:天江衣
鶴賀 188100
龍門渕 88700
風越 72400
阿知賀 50800
(ところがどっこい、ここで連荘させる程ウチは甘くないですよ。)
「ポン。」
(汐見真紀、スピードモードで衣の親を流すつもりか!?ならば衣も最速で和了する!)
(残念ですけど、ウチのスピードモードはそう簡単には追い付けないですよ。)
「ツモ、混一三暗刻対々。3000・6000です。」
(くっ、これが汐見真紀、やはりこいつは、衣の好敵手に相応しい。)
(天江衣と汐見真紀、やっぱりこの二人が同時に暴れ回るのか・・・)
~東三局~ 親:高鴨穏乃
鶴賀 200100
龍門渕 82700
風越 69400
阿知賀 47800
~3巡目~
「リーチ。」
(天江さん、普通に打って普通にリーチしてきた。ここは追い付きそうにないな。防御モードにしておくか・・・)
(汐見真紀、そう簡単に衣を出し抜けると思うな!)
「ツモ!リーチ一発ツモタンピンドラ1。3000・6000!」
(くっ、一発で来るのかよ!天江さん、団体戦の時よりも強くなってる。)
~東四局~ 親:汐見真紀
鶴賀 197100
龍門渕 94700
風越 66400
阿知賀 41800
「リーチ。」
(そうだった。汐見真紀は親番だとダブリーをしてくるんだったな。)
(なんだこれ!私と池田さんが全く何も出来てない。池田さんが、天江さんと汐見さん、この二人に加えて宮永さんの3人を相手にしてたなんて・・・)
「ツモ!ダブルリーチ一発ツモタンピン三色、8000オール。」
(こんなの、勝てる訳無い・・・)
(やっぱり天江衣と汐見真紀、強過ぎだし!)
~東四局一本場~ 親:汐見真紀
鶴賀 221100
龍門渕 86700
風越 58400
阿知賀 33800
「リーチ。」
「ポン。」
(天江さん、邪魔するつもりでしょうか。でも、一発が消えるだけですよ。あっ、風越の人が出してくれたよ。)
「ロン。ダブルリーチタンピンドラドラ。18300。」
(あっ、やられた!今ポンしてきたから天江衣を警戒しちゃったせいで汐見真紀に振り込んじゃったし・・・)
~東四局二本場~ 親:汐見真紀
鶴賀 239400
龍門渕 86700
風越 40100
阿知賀 33800
(あれ、ダブルリーチ出来ない。これが阿知賀の大将、高鴨穏乃の力か・・・)
(ダブリーをしてこない?もしかして、高鴨穏乃が支配を始めたのか・・・?)
~3巡目~
(やっと聴牌出来た。)
「リーチ!」
「ロン。七対子ドラドラ。6400の二本場で7000です。」
(高鴨穏乃さんに直撃された!?それに、風越を捲ってる。)
(高鴨穏乃、こいつやはり難敵!)
~南一局~ 親:池田華菜
鶴賀 232400
龍門渕 86700
阿知賀 40800
風越 40100
(汐見真紀の親番を終わらせる事は出来たけど、親番じゃなくても強いからなぁこいつ。それに天江衣もいるし。この対局での親番は、嫌だな・・・)
(もう後は風越が飛ぶか阿知賀が飛ぶかのどっちかって感じだなー、個人的には、さっき直撃してきた悪い子にお仕置きをしたいんだけど。)
~3巡目~
「ロン。12000。」
(やっぱり、天江さんに直撃された。3巡目とか・・・はぁ、そう上手く行かないのは分かってたけど、12000はちょっとキツいな・・・)
~南二局~ 親:天江衣
鶴賀 220400
龍門渕 98700
阿知賀 40800
風越 40100
~7巡目~
(やっと聴牌出来た。高鴨穏乃が滞ませているのか?)
「リーチ。」
(天江衣がリーチしてきた!親番だから怖い・・・)
(・・・)
「ツモ!6000オール。」
(あれ、汐見真紀が何も出来ずに天江衣が和了った。まぁ、何も出来ない時もあるか・・・)
~南二局一本場~ 親:天江衣
鶴賀 214400
龍門渕 116700
阿知賀 34800
風越 34100
~3巡目~
「ポン。」
(天江衣が鳴いてきた。今度は何をする気だ?)
(天江さん、速い。このままじゃ、うちらが何も出来ずに負ける!)
「ツモ。三暗刻混老対々。6100オール。」
(混老頭!?ほんの数巡で出来る手牌じゃないだろ!天江衣、こいつ本当に人間か・・・?)
(また天江さんに連荘させちゃった!どうしよう!)
(それにしても、汐見真紀が何も仕掛けないな。何を企んでいる・・・?)
(さて、次だな。)
~南二局二本場~ 親:天江衣
鶴賀 208300
龍門渕 135000
阿知賀 28700
風越 28000
~2巡目~
「リーチ。」
(汐見真紀、遂に動いたな!何をするつもりだ?)
(とりあえず一発を消さないと!)
「ポン!」
(これでずらすことも出来たはず!)
「ロン。リーチタンヤオ七対子。6400の二本場で7000。」
(6400の二本場って、先程高鴨穏乃が汐見真紀に直撃したのと同じ点数。成る程、直撃されたのが悔しくて同じ打点を喰らわせたのか。)
~南三局~ 親:高鴨穏乃
鶴賀 215300
龍門渕 135000
風越 28000
阿知賀 21700
~5巡目~
「リーチ。」
(汐見真紀、ここで和了られたら、次は奴の親番。またダブリーされる!)
(ここを止めなきゃ汐見真紀の一人勝ちになる!)
(残念、ウチのスピードには敵いませんよ。)
「ツモ。リーチ一発ツモタンヤオ清一。4000・8000です。」
(あと一翻あったら三倍満だったのか!危ない!)
このまま調子の良い汐見真紀の親番とか、地獄・・・)
(汐見真紀、いやしかし高鴨穏乃なら奴のダブリーを押さえられるかも・・・)
~南四局~ 親:汐見真紀
鶴賀 231300
龍門渕 131000
風越 24000
阿知賀 13700
(あら、まーたダブルリーチ出来ないじゃん!ま、しゃーないか。じゃあこっちで・・・)
(汐見真紀がダブリー出来なかった。しかし、こいつが今捨てたのはダブドラの5ピン!ドラを捨てると強くなるこいつがダブドラを捨てたら、一体どうなるんだ・・・?)
(ダブリーを止められた!それにいきなりダブドラ切ってくるって事は、ダブリー出来なかった事に動揺しているはず。ここは攻める!)
~6巡目~
「ツモ!タンヤオ一通清一で8000オール。」
(やられた・・・)
「いやぁ、天江さんと汐見さん、強いですね。全然敵いませんでしたよ。でも勉強になりました、ありがとうございました!」
「何言ってるんですか?まだ終わってませんよ?」
「へっ?だって南四局で汐見さんが親番で、それでいて鶴賀が1位ですよね?」
「公式戦だったらここで終局するけど、今は練習なんですよ。ウチは、連荘出来るなら誰かが飛ぶまでとことんやりたいタイプなんですよ。」
「ふっ、それでこそ汐見真紀だ!さぁ、続きをやろう!」
「はい、一本場です!」
~南四局一本場~ 親:汐見真紀
鶴賀 255300
龍門渕 123000
風越 16000
阿知賀 5700
(おっ、今回はダブルリーチ出来そう!って、これ・・・)
「えっと、ツモ。天和。16100オールです。」
「あっ・・・終わった。」
「風越と阿知賀の同時飛ばし・・・」
「あ、あはは、終わっちゃいましたね。お疲れ様です・・・」
「ありがとうございました・・・」
「ありがとうございました。」
~試合結果~
鶴賀 303600
龍門渕 106900
風越 -100
阿知賀 -10400
「むぅ、この結果は不服だ!」
「まぁまぁ、倍満和了った時でも既に天江さんに勝ってたんですからどっち道天江さんの負けじゃないですか。これでウチの方が強いって事が決定ですね!」
「いや、認めない!衣は認めないぞ!」
「いやいや、大体ウチが防御モードにならなきゃ連荘も出来ない人がウチより強い訳無いじゃないですか。」
「おのれ、汐見真紀!次こそ絶対に勝つからな!」
「まぁ、多分次も勝ちますけど、楽しみにしてますよ。」
「次は絶対に衣が勝つ!」
「無理ですよ、ウチは今年のインターハイ個人戦で1位になりますから。」
「はっ!咲と冬室氷華に負けて3位だった癖に。」
「それを5位だった貴女には言われたくないですね!それに、冬室氷華には勝ちましたから!」
「でも咲には勝ててないだろう?」
「そうですけど、なんで貴女がドヤ顔決めてんですか!」
「二人とも、その辺にしてくれないかな、練習時間が減るから・・・」
「あっ、阿知賀の顧問の先生、すいません。」
「申し訳ありません!うちの真紀が五月蝿くして阿知賀の方々に迷惑をお掛けしてしまい!」
「いや、別にそこまで謝らなくても良いんだ・・・」
(この子、一ノ瀬一葉さんよね?さっき憧に注意喚起してた時とは違って随分と腰が低いのね。まぁ、それだけ麻雀が好きなんだろうね。)
「じゃあ、個人戦の選手と重ならないようにして、自由に対局して良いよ。」
「「「「「はい!」」」」」
この後阿知賀女子の5人は、合同合宿を終えて、奈良に帰った。
そして、彼女達は、去年達成出来なかった目標を達成させるために、また東京にやって来た。
「う~ん、やって来たぁぁぁ!!!!東京ぉぉ!!!」
「ちょっとシズ、静かにしてよ。」
「全く、高鴨先輩、遊びに来たんじゃ無いんですからね。」
「分かってるって!和や他の人達と遊ぶ事でしょ!」
「全っ然違いますよ!5人で全国優勝するためでしょう!」
「へへっ、分かってるって。」
「本当ですかぁ?」
「本当だって、これまでだってちゃんと練習してきたじゃん!」
「そんな心持ちじゃ全然駄目ですよ!良いですか?大将戦が終わったらそれまでの過程は関係無く終わった時の点数で決まってしまうんですよ!これは即ち、もし私達4人がプラスでも高鴨先輩がやらかして逆転されたら負けなんですからね!全ては高鴨先輩に掛かってるんですからね!お友達との約束だから譲りましたけど、そこら辺、肝に命じていて下さい!」
「分かった分かったって。」
「あの、盛り上がってるところ悪いけど、私今から抽選行ってくるから。」
「あっ、部長さん、気を付けて行ってきて下さい。」
「なんか、白って灼さんにだけ甘い気がするよなぁ。」
「そりゃあシズ、あれよ~あれ!」
「そんな事ありませんよ。それに新子先輩、あれって何ですか。」
「ふふん、そんなの決まってるじゃない。」
「ニヤニヤしてて気持ち悪いですよ。」
「あぁ!先輩に向かって気持ち悪いとか言った!」
「まぁまぁ、皆落ち着いて。」
「はぁ、皆落ち着いて、そろそろ移動するよ。」
「はぁい。」
「新子先輩、あれって何の事か、後で詳しく聞きますからね。」
「あーはいはい、分かった分かった。」
「じゃあ、移動するよ。」
阿知賀女子のメンバーが移動をしていた。するとそこに、見た事がある白のセーラーワンピースに青のリボンを着けた5人が前から歩いてきた。忘れる訳がない。去年準決勝と決勝であれだけ苦しめられた相手の制服を忘れる訳がない。
(あれってもしかして、白糸台高校!?)
白糸台高校の5人の真ん中には少し小柄の女の子が阿知賀の方を向いて口角を吊り上げた。
次回は阿知賀女子と白糸台高校の邂逅、そして二回戦を行います。二回戦なんですが、都合上ダイジェストみたいな形にして、1話にまとめる事になると思います。ご了承下さい。