咲-Saki-もし1年後に夢乃マホが飛び級して清澄高校に入学したら 作:神奈木直人
ここまでこんな駄作を見て下さった皆さん、ありがとうございます!そして、これからも宜しくお願い致します!
白が入った新生阿知賀女子麻雀部は、県予選で負けないように特訓をしていた。顧問の赤土晴絵が特訓していた5人に問い掛けた。
「そういえば、皆は今年、個人戦には出ないの?」
「うーん、やっぱり個人戦はなんかね~。」
「そうだね。」
「出なくて良いよ~。」
「あたしは出ます。」
「ん?白は個人戦出るの?」
「はい、中学で勝てなかった相手と戦いたいですし、強い相手と直接勝負したいですからね。」
「成る程、おっけ。エントリーしとく。そういえば、団体戦の順番はどうする?」
「あの、あたし、大将やりたいです!」
「あ、ごめん、大将は宮永さんや大星さんと戦うって約束してるんだよね・・・」
「そうですか、約束なら仕方ないですね。なら、副将が良いです!」
「あっ、ごめん、あたしも和と戦おうって約束してて・・・」
「むぅ、じゃあ、中堅でいいです。」
「中堅は灼さんが・・・」
「うぅ・・・」
白が泣きそうになっているのを見かねた灼が溜め息を一つついた。
「いいよ、別に私は中堅に拘りはないから。」
その言葉を聞くと、あからさまに白の表情が明るくなった。
「鷺森先輩!ありがとうございます!」
白が灼の手を持ってブンブンと振った。
「ちょっ、そんなに喜ぶ事じゃ、というか痛い。」
「あ、ごめんなさい。」
「じゃあ、玄が先鋒、灼が次鋒、白が中堅、憧が副将、シズが大将でいいかな?」
「問題無いです。」
「大丈夫です!」
「じゃあ、私は大会の登録をしてくるから。」
「了解です。」
「いってらっしゃい~。」
晴絵が大会の登録をして、部員は練習を再開した。
そこから2ヶ月が経ち、県予選が行われた。県予選で白はダブリーを使わず、地力だけで戦った。2回戦で晩成に勝ち、決勝も勝って全国行きが確定した。個人戦でも白はダブリーを使わなかったが、奈良県1位で終わらせた。
「いやぁ、まさか白があれ使わずに奈良1位取っちゃうとはね~。」
「まぁ、地力だけでも強いですからね、あたしは。」
「あはは、良く言うよ。」
「でも、どうして使わなかったの?侮ってたとか?」
「まぁ、多少は侮ってたかもしれませんけど真意はそれではありませんよ。」
「真意?」
「はい、団体戦であたしがマークされない為です。あたしの能力は相手に分かられていると対策されかねないので。まぁ、対策されたところで和了れますけど。」
「そっか、強豪校とかに情報を与えないようにしてくれたって事か!やるね!」
「これくらい当然です。というか、あたしが松実先輩の立場だったら初戦でドラ捨ててインターハイで復活させてますよ。」
「それは流石に・・・」
「それに、ダブリー使ってないのにあたしが松実先輩の次に収支が良いってどういう事ですか!お三方が手を抜いてらっしゃるなら別に構わないですけど、本気でやってこの結果だったなら、流石に呆れますよ?」
「・・・返す言葉もありません。」
「うぅ、ごめんなさい・・・」
「まったくだよ。こんなんじゃ、全国優勝なんて夢のまた夢だよ。」
「赤土さん・・・」
「晴絵・・・」
「という訳で、今年も遠征をやるよ!」
「えっ、遠征?」
「あぁ、白は知らないよね。」
「今回の地区予選で1位の所とは戦えないけど2位の所とは戦えるから、全国の2位の高校と戦うんだよ。」
「へぇ、なかなか面白そうですね。」
「じゃあ、取り敢えずまた長野に申し込んでみる?」
「はい!」
「長野?どうして長野なんですか?」
「去年色々とお世話になってね。」
「長野の今年の2位は・・・鶴賀学園!?」
「えっ、天江さん負けたの!?」
「うん、大将戦終了時の結果が、清澄 200800、鶴賀 115700 、龍門渕 84500、風越 0・・・」
「0点ピッタリ!?」
「池田さん、凄く強かったのに。」
「それより、清澄が20万越えというのも異常です。清澄、一体どれだけ強いのでしょうか。」
「もしかしたら、白の天敵の冬室氷華が清澄に入ってるのかもよ?」
「確かに、その可能性はありますね。天敵では無いですけど。」
「じゃあ、去年色々とお世話になった縁もあるし、この3校に声掛けてみるね。」
「はい。」
「宜しく!」
「お願いします。」
そこから一週間が経った。合同練習をお願いした三校はどれも了承してくれた。龍門渕高校の提案で、4校が一斉に会する事になった。阿知賀女子が龍門渕高校に着いた時には、龍門渕高校と風越女子がいた。そこには勿論、冬室氷華の姿もあった。
「冬室氷華・・・風越にいらっしゃったのですね。お久しぶりです。」
「貴方は個人戦4位の、確か、天理白さんでしたね。」
「それにしても驚きですね。まさか貴女ともあろう方が団体戦を黒星で終わらせてしまうとは。」
「まぁ、それは他のメンバーが壊滅的に弱かったせいですね。」
(うっ、事実だから何も言えない・・・)
(まったく、冬室氷華は相変わらずこういう事言いますね、だから冷血女王とか言われるんですよ。)
「まぁでもそれは、弱いチームを選んでしまった貴女自身の責任なのでは?しかも0点で終了って、2万くらいしか稼げなかったんじゃないんですか?」
「いや、私は214500稼ぎましたよ?」
「・・・は?」
「21万以上稼ぎましたよ?」
「・・・本気で言ってるんですか?」
「はい、他の4人が314500点を相手校にばらまいたせいで負けたんですよ。」
「そ、そんな、ご冗談を・・・」
「白、その人が言ってる事、正しいよ。」
憧が話に割って入ってきた。
「本当に弱いチームに入ったんですね・・・」
「ちょっと白!本人達いる前でそんな事言っちゃ駄目!」
「でも、約32万を4人で0にしたって事は、平均マイナス8万くらいって事ですよ!?」
「でも、長野には強い人はいっぱいいるんだよ。先鋒は冬室氷華さん、次鋒は妹尾佳織さん、中堅は夢乃マホさん、副将は龍門渕透華さん、大将は宮永咲さんみたいな感じでさ。」
「えっ、ちょっと待って下さい。夢乃マホって、あの夢乃マホですか?」
「そうですね。私を倒した人です。」
「でもあの人は今中3じゃないですか。」
「飛び級したんですよ。確か貴方も中堅でしたよね?残念ですが、貴方では夢乃マホには勝てないでしょうね。」
「はぁ?お言葉ですけど、あたし、上野望より藤崎心音よりも強いですからね?貴女がいなければ確実にあの二人には勝っていましたよ。」
「そうですか、では今日それを見させて下さい。直接対局は出来ないですけれど。」
「了解です。」
氷華と白が邂逅し、鶴賀学園麻雀部のメンバーが到着して、4校合同練習が始まった。
「折角4つのチームが集まったのですから、半荘一回ずつの団体戦をしてみませんこと?」
透華が立ち上がり、提案した。
「楽しそうですね、しかもそれなら個人戦出場選手が重なる事も無いですからね。」
(げっ、じゃあまた無表情女と戦わなきゃならねぇじゃねぇか・・・)
「決まりですわね。では、先鋒戦から始めますわよ。」
(はぁ、めんどくせぇ・・・)
雀卓に氷華、玄、純、睦月の4人が付いた。
「松実先輩松実先輩。」
白が玄だけに聞こえるように話し掛ける。
「どうしたの白ちゃん。」
「冬室氷華にはくれぐれも注意して下さいね。まぁ、公式戦じゃないのでそこまで気を張る必要はありませんけど。」
「分かったよ。頑張ってみる!」
(まぁ、注意しようがしまいが、頑張ろうがなかろうが、冬室氷華には勝てないでしょうけど・・・)
~場決め結果~
井上純:東
津山睦月:南
冬室氷華:西
松実玄:北
~東一局~ 親:井上純
龍門渕 100000
鶴賀 100000
風越 100000
阿知賀 100000
(取り敢えず一回和了っておきましょうか。)
~5巡目~
「ツモのみ。300・500。」
(速い・・・)
(また始まっちまったか、これ・・・)
~東二局~ 親:津山睦月
風越 101100
鶴賀 99700
阿知賀 99700
龍門渕 99500
(今回はこの無表情女の好きにはさせねぇ!)
「ポン。」
(残念ながらそれは地雷ですよ?)
「ろ、ロン。3900です。」
(鶴賀の奴、張ってたのか・・・)
~東三局~ 親:冬室氷華
鶴賀 103600
風越 101100
阿知賀 99700
龍門渕 95600
~6巡目~
「ツモ。500オールです。」
(こいつ、また始まった・・・)
(あれ、冬室氷華は東場の親はあまり和了してなかったはず。どうして和了してるんでしょう?)
~東三局一本場~ 親:冬室氷華
鶴賀 103100
風越 102600
阿知賀 99200
龍門渕 95100
~5巡目~
「ツモ。600オールです。」
(この人、タンヤオと平和と一盃口を捨ててツモのみで和了った。本当にこんな人が白を倒したのか・・・?)
(この人が南場に強いのは知っているけれど、何で親で和了する必要があるのでしょうか?もしかしたら、何か理由でもあるのでしょうか・・・)
~東三局二本番~ 親:冬室氷華
風越 104400
鶴賀 102500
阿知賀 98600
龍門渕 94500
~4巡目~
「ツモ。700オールです。」
(また・・・)
(何も出来ないまま、ただただ本場だけが積まれていく・・・)
~東三局三本場~ 親:冬室氷華
風越 106500
鶴賀 101800
阿知賀 97900
龍門渕 93800
~3巡目~
「ツモ。800オールです。」
(また和了した・・・というか、今気付きましたけど、だんだん和了するのが速くなってますね。もしかしてこれ、去年3位だった大阪の人と同じ事が出来るようになったのですかね?だとしたらもう、敵う人が居なくなってしまうでしょうけど。)
~東三局四本場~ 親:冬室氷華
風越 108900
鶴賀 101000
阿知賀 97100
龍門渕 93000
(これ以上やったら何処かがトビ終了してしまいますね。止めてあげましょうか。)
(あれ、なんだかこの人の怖い感じが無くなった気がする。なら、私も攻めるよ!)
~8巡目~
「ツモ。ドラ7。4400・8400です!」
(ドラ7ツモで倍満!?やっぱりこいつ、ズルいよな。)
(ほう、なかなかやりますね。でも残念ながら貴方が勝つのはもう不可能ですよ。)
~東四局~ 親:松実玄
阿知賀 114300
風越 100500
鶴賀 96600
龍門渕 88600
~5巡目~
「ツモ。300・500。」
(また安手・・・やっぱりこれには意味があるのでしょうか・・・?まぁ、南場になれば分かる事でしょうね。)
~南一局~ 親:井上純
阿知賀 113800
風越 101600
鶴賀 96300
龍門渕 88300
「リーチ。」
(なっ、ダブリー!?)
(始まっちまったか・・・)
(冬室氷華、貴女は中学の頃はダブリーは愚か、リーチすら見た事無かったのに。もしかして、さっき和了した局はダブリー出来るようになるのですか!?)
「ツモ。ダブリー一発ツモ平和。2000・4000です。」
(やっぱり南場では火力が高いですね。でも次の局は冬室氷華が和了してないですからダブリーは出来ない筈ですね。)
~南二局~ 親:津山睦月
阿知賀 111800
風越 109600
鶴賀 94300
龍門渕 84300
~7巡目~
「ツモ。タンヤオ清一ツモ。4000・8000です。」
(間に合わなかったですか。でも、仕方ないですね。)
(捲られちゃった。しかも、なんだか急に強くなった。それに配牌も悪い。次は冬室さんの親番だ、気を付けなきゃ・・・)
~南三局~ 親:冬室氷華
風越 125600
阿知賀 107800
鶴賀 86300
龍門渕 80300
「リーチ。」
(またダブリー!?)
(やっぱり、東場で和了した局に南場でダブリー出来るんですね・・・)
(これ、防げないの?こんなのズル過ぎじゃん!)
(これが、冬室氷華、昨年のインターミドル覇者の力か・・・)
「ツモ。ダブリー一発ツモ混一。6000オールです。」
(凄い、この人が、白が言ってた最強の人・・・)
(こんなの、勝てないよ・・・)
(また、連荘が始まった・・・)
~南三局一本場~ 親:冬室氷華
風越 143600
阿知賀 101800
鶴賀 80300
龍門渕 74300
「リーチ。」
(またダブリー!?)
(もう、完全に冬室氷華の独り舞台になってますね。)
(また、一発で和了っちゃうのかな・・・?)
「チー。」
(おっ、ずらした。これなら一発は消えるはず。それに和了する事も出来ないはずですね。)
「ツモ。ダブリーツモ清一。8100オールです。」
(なっ!?)
(ずらしても和了するんですか!?しかもこれ、だんだん打点が上がってますね。冬室氷華は東場で4連荘してました。じゃあ次は三倍満と役満を和了するんでしょうか?)
(もし本当に三倍満と役満和了っちゃうなら、2位の玄が65000くらいになっちゃう。そういえばこの人、東四局でも和了ってた。もしかしてもう一回役満を和了るの!?だとしたら玄は親だから5万切っちゃうよ!この人、ヤバ過ぎでしょ!)
~南三局二本場~ 親:冬室氷華
風越 167900
阿知賀 93700
鶴賀 72200
龍門渕 66200
「リーチ。」
(また、もう、止めて・・・)
(玄が可哀想になってきた・・・)
(玄さん・・・)
「ツモ。ダブリー一発ツモタンヤオ清一。12200オールです。」
(三倍満!?こんなの、勝てる訳が無いよ・・・)
(やっぱり、三倍満を和了してきましたか・・・)
(次は役満が来る。玄、気を付けて!)
~南三局三本場~ 親:冬室氷華
風越 204500
阿知賀 81500
鶴賀 60000
龍門渕 54000
「リーチ。」
(リーチ掛けてくるって事は多分翻数が足りないって事だよね。なら・・・)
「ポン!」
(これなら一発が消えるし役満も難しいはず!)
(あーあ、ドラ女が県予選の時の俺みたいな事考えてるな。結果は変わらないってのに・・・)
「ツモ。国士無双。16300オールです。」
(国士無双!?本当に役満和了った・・・)
(国士無双なのに何でこの人はリーチを掛けたんでしょう・・・?)
~南三局四本場~ 親:冬室氷華
風越 253400
阿知賀 65200
鶴賀 43700
龍門渕 37700
(さぁ、ここからだな。この局は無表情女が和了ってない。そして多分、鶴賀が動く・・・)
(津山睦月さんの起死回生の一手、直撃と親被りは出来るだけ避けたいですね。なら、鳴きやすい手を作りましょうか。)
~8巡目~
「リーチ!」
(やっぱり来ましたね。一発だけは避けたいですね。なら・・・)
「ポン。」
(津山睦月さんの一発目の牌を阿知賀の人に持たせたらどうなるでしょうか。)
(うぅ、ドラは切れないしどうしよう・・・でも園城寺さんじゃあるまいし一発じゃないよね。)
「ロン!リーチ清一一通ドラ2。25200です!」
「は、はい!」
(三倍満!?南場に入って聴牌すらまったく出来なかったのに、この人はこんなに凄いものを和了ってきた。去年とはまるで別人・・・)
(やっぱり、一発ツモだったら役満でしたか・・・)
(阿知賀のドラ女も可哀想だな。あれ、絶対あの無表情女が仕組んだ直撃だっただろ。性格悪ぃよな。)
~南四局~ 親:松実玄
風越 253400
鶴賀 68900
阿知賀 40000
龍門渕 37700
(そういえばこの局、冬室氷華が和了していました!という事はもしかして、また役満を和了してしまうんでしょうか・・・?)
「リーチ。」
(やっぱりダブリー!このダブリー一発ツモ、防げないのかな・・・?)
(こりゃあ、やられたな・・・)
(これで、終わりです。)
「ツモ。四暗刻。8000・16000です。これで先鋒終了ですね。」
「はい・・・」
「だぁー、また負けたぁ!」
「お疲れ様です。」
~先鋒結果~
風越 285400
鶴賀 60900
龍門渕 29700
阿知賀 24000
「これが、インターミドル最強か・・・」
「この点差ひっくり返すとか、人間に出来るの・・・?」
「清澄は風越が314500で清澄が18300の状況から逆転しましたよ?」
「・・・マジで?」
「清澄、凄すぎでしょ。」
「そういえば冬室氷華、何故貴女は国士無双や四暗刻でリーチを掛けたのですか?点数は変わらないではないですか。」
「私はたった今ご覧頂いたように東場で和了した局に南場でダブリーが出来ます。でも、逆にダブリーを掛けないと一発は愚か、和了り牌が来てくれない可能性があるんです。要するに私は、東場で和了した局に南場でダブリー出来るだけではなく、リーチをすると次に掴んだ牌が和了り牌になってる力も兼ね備えているんですよ。」
「成る程、そういう事でしたか。」
「では、先鋒戦も終わりましたし、次鋒戦を始めましょうか。」
「はい!」
「よろしくお願いします。」