咲-Saki-もし1年後に夢乃マホが飛び級して清澄高校に入学したら   作:神奈木直人

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第38話 二回戦大将戦

副将戦が終わり、大将戦が始まろうとしていた。

『まもなく大将戦が開始されます。大将戦の対局メンバーを紹介します。まず、トップを走る昨年度王者の清澄高校からは、昨年度の個人戦で2位だった宮永咲選手が出場します。そして、現在2位の千里山女子からは昨年度インターミドル2位の藤崎心音選手が出ます。そして、現在3位の劒谷高校からは、安福莉子選手が出ます。最後に、現在最下位になってしまった永水女子からはエースの神代小蒔選手が出場します。』

『かなり濃い試合になりそうですね。』

『そうですね。』

 

~場決め結果~

安福莉子:東

藤崎心音:南

宮永咲:西

神代小蒔:北

 

『対局室にメンバーが出揃いました。大将前半戦、開始です!』

 

~東一局~ 親:安福莉子

清澄 165700

千里山 121000

劒谷 73200

永水 40100

(取り敢えず、清澄を捲って1位に浮上するか。)

「チー。」

(千里山の人、いきなり真ん中をチーした。染め手かドラがあるのかな?)

~5巡目~

「ロン。タンヤオドラドラ。3900。」

(染め手じゃなかったんだ。でも、その手で鳴くんだ・・・)

~東二局~ 親:藤崎心音

清澄 161800

千里山 124900

劒谷 73200

永水 40100

~5巡目~

「リーチ。」

「ポン。」

(これで、次に来るカン材でカンして和了る!)

「それ、ロン。メンタンドラ1。7700。」

(ぅわっ、また振り込んじゃった。そういえば、なんだかロンの発声が少し速い気がする。気のせいかな・・・?)

(2連続振り込みありがとうございます。宮永咲さん。)

「一本場。」

~東二局一本場~ 親:藤崎心音

清澄 154100

千里山 132600

劒谷 73200

永水 40100

(おっ、これは、なかなかええ手になりそうやな。)

(これ以上やられちゃったら千里山の人に抜かれちゃうよ・・・)

~7巡目~

(おっ、これは・・・ちょっと清澄を怯ませる為にも行っとくか!)

「カン!」

(えっ・・・)

「嶺上開花ツモ清一。8100オール。」

(嶺上開花!?しかも、牌を取って直ぐにツモ宣言してた。この人、一体何者・・・?)

(これは、ちょっとは効いてくれとるかな?)

「二本場!」

~東二局二本場~ 親:藤崎心音

千里山 156900

清澄 146000

劒谷 65100

永水 32000

~2巡目~

ゾゾゾゾッ

(な、なんや今の!?)

「カン。」

(まさか、宮永咲!?)

「ツモ。嶺上開花ツモタンヤオドラ8。6200・12200です。」

(なんやこの人、怯むどころか強なっとるやん!2巡目やのに三倍満とか、流石にチート過ぎやろ・・・)

~東三局~ 親:宮永咲

清澄 170600

千里山 144700

劒谷 58900

永水 25800

(なんや、さっきまで永水の姫様の心も読めとったのに、急に靄がかかったみたいに見えんくなったわ。何も考えずに打ったらこうなるんやけど、相手が相手やしなぁ、染められそうやけどどないしよ・・・まぁ、染めてみるか。)

~8巡目~

(なんや、特に何も起きんまま清一聴牌したで。さて、どれ切ろうかな。清澄と劒谷は大丈夫やけど永水は見えんしな・・・ってあれ?見えるようになっとる。というかこれ、純正九蓮宝燈!?って事はこれは、どれを切っても九蓮宝燈に振り込むっちゅう事か!?そんなん、無理やん・・・)

「ロン。32000。」

(これが、本物の実力か・・・)

(この3人が強すぎて、私トビ終了しちゃうかも・・・)

~東四局~ 親:神代小蒔

清澄 170600

千里山 112700

劒谷 58900

永水 57800

(清澄との点差が離れてしもたな。それに、永水も怖い。おっ、でもこの配牌なら、国士無双か混老対々とかで高いの狙えそうやな。このままでは終われへんからな!)

~7巡目~

(よしっ、国士無双聴牌。これでいける・・・あっ、ちょっと待て、国士無双?まさか・・・うわっ!?永水が国士無双の13面待ちで聴牌しとる・・・なんで最初で気付けんかったんやウチのバカ!また振り込んでまうやん・・・)

「ロン。48000。」

(これは、辛いわ・・・)

~東四局一本場~ 親:神代小蒔

清澄 170600

永水 105800

千里山 64700

劒谷 58900

~5巡目~

(うわっ、また清一になりそうな手やな。なら、また永水が九蓮宝燈になるんやろうから1と9は先に落としとくか。)

~8巡目~

(よしっ、これなら振り込む事は無い。)

「リーチ!」

(千里山の人、今回はリーチ出来たんだ・・・)

(今度は千里山!?なら、せめて一発消しを・・・)

「チー。」

(一発消しか、関係無いね。永水のお陰で萬子がやって来てくれるから。よしっ、来いっ!・・・これじゃあ和了れない、また九蓮宝燈に振り込むんか・・・なんちゃって!)

「カン!」

(えっ、また!?)

(!?まさか・・・)

「リーヅモ嶺上開花タンヤオ清一三暗刻。6100・12100!」

(まさか、破られてしまうとは・・・)

「何度も同じ手には引っ掛かりませんよ姫様ぁ!」

(これは、予想外ですね・・・)

(千里山の人、やっぱり強い。どうしよう、追い付かれちゃうよ・・・)

(宮永咲って、意外と小心者なんやな。その割にはあんなエグいもん和了ってくるけどな。)

~南一局~ 親:安福莉子

清澄 164500

永水 93700

千里山 89000

劒谷 52800

~7巡目~

(よしっ、このまま攻める!)

「ポン!」

(今度は何をしてくるんだろう・・・)

~9巡目~

「カン!」

(えっ、もしかしてまた・・・)

「ツモ。嶺上開花タンヤオ三暗刻対々で3000・6000!」

(また嶺上開花。この人、なんでそんなに嶺上開花を和了れるの・・・?)

(いや、それはこっちの台詞や!2巡目に三倍満の嶺上開花和了ってる人が何言っとんねん!)

~南二局~ 親:藤崎心音

清澄 161500

千里山 101000

永水 90700

劒谷 46800

(よし、この親番は大事にするで!)

(・・・)

(!?)

~8巡目~

「リーチ・・・」

(千里山がまた攻めてきてる!親番だから怖い・・・)

~9巡目~

「ツモ、6000オール・・・」

(なんか、ここへ来て6000オール!?うぅ、きついよ・・・)

~千里山女子控え室~

「なんか心音の奴、突然元気無くなっとりませんか?」

「せやな、どうしたんやろ?」

「普段の心音なら、あの親番で6000オール和了れてめっちゃ喜んどるはずやのに。」

(もしかしたら心音、誰かの心の声を聞いてああなったんか?心音があんなになるって、一体どんな事が聞こえたんや?)

~南二局一本場~ 親:藤崎心音

清澄 155500

千里山 119000

永水 84700

劒谷 40800

(あっ、なんだか良い感じに染められそう。これ、三倍満くらい取れるかも。よしっ、頑張ってみよう!)

(永水がまた九蓮宝燈和了るんか。まぁ、ギリギリウチの点数には届かへんけど。)

~8巡目~

「ロン。32300。」

(あぁぁぁ!!!!やってしまいました!)

(可哀想に・・・)

~南三局~ 親:宮永咲

清澄 155500

千里山 119000

永水 117000

劒谷 8500

「カン。」

(清澄の人が1巡目からカン!?これ、まさか・・・)

「ツモ。嶺上開花ツモ清一ドラ8。16000オールです。」

(あっ、これ、トビ終了してしまいました・・・)

「お疲れ様でした。」

「お疲れ様です・・・」

「お疲れ様です。」

「お、お疲れ様でした・・・」

 

~2回戦結果~

清澄 203500 準決勝進出

千里山 103000 準決勝進出

永水 101000

劒谷 -7500

 

大将戦が終わり、心音が控え室に戻った。

「ただいま帰りました・・・」

「お疲れさん、どないしたんや?そんなにがっかりして。2位抜けなんがそんなに嫌なんか?」

「いや、そういう訳では無いんですけど・・・」

「宮永咲さんがなんか考えとったんか?」

「えっ、望、よく分かったな。」

「まぁ、なんとなくやけどな。」

「宮永咲がどうかしたんか?」

「実は、『生かされた』んですよ、千里山が。宮永咲の手によって。」

「は?どういう事や?」

「南二局の始まりの時に聞こえちゃったんですよ。宮永咲が『これで相性が悪い永水じゃなくて千里山が2位抜けさせられる。』って考えてたのが・・・」

「はぁ?どういう事やそれ?」

「実は、南一局に宮永咲が出した牌をポンしとらんかったら永水が倍満和了ってたんですよ。」

「そうやったんか!?」

「そういえばそうやったな。」

「しかも、面子が出来とる牌を切っとった。成る程、こりゃあ、心音が宮永咲に踊らされてたっちゅう訳か。」

「そういう事です。その後の南二局は、宮永咲が鳴いたり劒谷に鳴かせたりしてウチに有効牌が来るようにしとった。」

「確かに、すらすらと和了っとったな。」

「しかも、次の局で姫様が役満でトビ終了させようとしても大丈夫な点数でしたしね。」

「そんな・・・」

「こんなの、もうウチ、宮永咲に勝てる気がしません・・・」

「大丈夫や、心音ならいけるはずや。」

「次があたしも夢乃マホをボコボコにしたるさかい、心音も宮永咲を倒せ!」

「はい、善処します・・・」

「取り敢えず、宿泊施設戻ってミーティングするで。」

「はい。」

~永水女子控え室~

「まさか、あれだけ強い神様が憑いてる姫様がやられてしまうとは・・・」

「清澄の宮永咲さん、流石ですね・・・」

(流石、そりゃあ真紀も負ける訳ですね・・・)

「ごめんなさい、私が力及ばずで・・・」

「姫様は悪くないですよ!私達があんな状態で姫様にバトンタッチしてしまったばっかりに。」

「いえ、これは私が悪いです。ごめんなさい。」

「お気になさらず!」

「でも・・・」

「あ、ほら、お蕎麦来ましたよ!」

「そうですね。食べましょうか。」

「はい!」

~清澄高校控え室~

「やったじぇ咲ちゃん!やっぱり咲ちゃんは凄いじょ!飛ばして終わらせるなんて。」

「やっぱり宮永先輩凄過ぎです!」

「そうかな?」

「はいはい、取り敢えず今日は帰ってミーティングじゃ。」

「はい。」

「そうですね。」

清澄高校のメンバーが宿泊施設に戻っている途中で、咲がマホにだけ聞こえるように話し掛けた。

「ねぇマホちゃん、開会式で色々見たって言ってたけど、今回強い人って誰かな?」

「そうですね、まずは臨海女子の先鋒と大将ですね。」

「大将ってもしかしてネリーちゃん?」

「いえ、違う人です。その人は今回副将をしています。」

「そうなんだ、じゃあ、他は?」

「他は、白糸台の先鋒ですね。凄く禍々しかったですね。」

「やっぱり、お姉ちゃんが抜けても白糸台は強いんだね。」

「でも、宮永照さんが抜けた穴は大きいと思いますよ?」

「そうだね。もう他には無い?」

「そうですね、阿知賀女子の中堅の人ですかね。」

「その人も憧ちゃんではないの?」

「そうですね。」

「そっか、頑張らないとだね!」

「はい!」

 

その頃、白糸台高校では2回戦を見ていた。

「あーあ、千里山が通過しちゃったか~。永水の先鋒の子と戦ってみたかったんだけどなぁ。」

「そればっかりは仕方ないだろう。」

「でもさー、雑魚ばっかりで詰まんないよ!もっと面白い人と戦いたい!」

「あぁ、もう五月蝿いわね!ちょっとは静かに見てらんないの?」

「あ、大星先輩いたんですか。」

「なっ!お前、いつか絶対倒す!」

「いつかって、いつになるんでしょうね?これまで1回も私に勝った事無いのに。」

「それは偶然あんなに良い牌が乗ってるだけでしょ!」

「そんな言い訳通用しませんよ。弱いのを認めたらどうですか?大星よわい先輩?」

「あたしは大星淡だ!先輩の名前を間違えるな!」

「二人とも五月蝿い。」

「ほら、よわい先輩が五月蝿いから先輩が怒っちゃったじゃないですか。」

「なっ!だからあたしは淡だって!あ!わ!い!」

「五月蝿い!」

「「・・・すみません。」」

「はぁ、全く、それで、他はどうなんだ?」」

「そうですね、臨海の先鋒と大将は厄介ですね。まぁ、臨海が決勝にくるのはほぼ確定ですけどね。」

「まぁ、確かに今回の臨海は強いな。」

「はい、臨海の先鋒と戦うのは楽しみです!」

「そうか。」

「はい!」

 




次からは阿知賀編やります。遅れてごめんなさい。

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