咲-Saki-もし1年後に夢乃マホが飛び級して清澄高校に入学したら   作:神奈木直人

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第36話 二回戦副将前半戦

永水女子の控え室で、湧が憑依させた友理奈を春が戻していた。

「あれ、私寝ちゃってた・・・もしかして、湧がまた憑依使ったんですか?」

「うん、そうだよ。」

「って、点凄い減ってる・・・湧、私を使ったならちゃんと稼いでよ。」

「私はちゃんと稼いだよ~!」

「じゃあなんでこんなに点減ってるのさ。」

「・・・それは、全部私のせい。湧は悪くない。」

「えっ、春先輩、どういう事ですか?」

「湧は14万くらいになった点を19万くらいまで戻した。」

「えっ・・・」

「千里山の二階堂渚さんと清澄の夢乃マホさんがとても強くて、春さんと劒谷の方は中堅戦の半荘2回で一度も和了れなかったんです。」

「そんな、春先輩が15万点以上取られたって事なんですか?」

「うん・・・」

「そうだったんですか・・・」

「湧、もう正座しなくていい。痛かったよね、ごめん。」

「いや、そんな事無いですよ。」

「代わりに、私が正座する・・・」

「いやいやいや!春先輩は何も悪くないですって!あんな化け物二人相手なら仕方ないですよ!」

「・・・うん、ありがとう。」

「後は私と姫様にお任せください!」

「頑張ってね、明星ちゃん。」

「頑張って~。」

「はい、行ってきます。」

~劒谷高校控え室~

「あそこまで点をとられてしまうとは、ごめんなさい・・・」

「そんな、部長は悪くないですよ。」

「あんな二人を相手に飛ばされなかっただけで凄いですよ。」

「そうかな?」

「そうですよ。それに、この後は友香ちゃんが頑張ってくれるはずです。」

「後は私に任せるでー!」

「ありがとう、頑張ってね。」

「森垣先輩頑張って下さいっす。」

「任せるでー!」

 

 

『さて、嵐のような中堅戦は終わり、副将戦が開始されます。まずは堂々トップの清澄高校からは元インターミドルチャンピオンの原村和選手が出ます。この点差を引き伸ばす事ができるのでしょうか。続いて2位の千里山女子高校からは部長の舟久保浩子選手。そして3位の永水女子からは去年、永水女子3年だった石戸霞選手の従姉妹の石戸明星選手が出場します。そして残念ながらラスになってしまった劒谷高校からはエースの森垣友香選手が出ます。』

 

~場決め結果~

原村和:東

舟久保浩子:南

石戸明星:西

森垣友香:北

 

『対局選手が出揃いました、副将前半戦開始です!』

 

~東一局~ 親:原村和

清澄 197600

千里山 137100

永水 36200

劒谷 29100

(劒谷高校が29100点、少し無理をしたら飛ばす事もできるかもしれませんね。それに、大将戦では去年の個人戦で負けてしまった神代さんがいらっしゃいますからね。少しでも咲さんの負担を減らす為にも頑張ります!)

(とりあえず、劒谷の森垣はかなり強い。劒谷を飛ばすのは厳しいやろな。それに、永水の石戸明星。何が凄いんかはあんまり分からんかったけどこれまで常に好成績。こっちもなんだか怖いわ。)

(春さんが取られた点を取り返します。さぁ、始めましょうか!)

~9巡目~

(何故でしょうか、いつもならもっと有効牌が入ってきてくれるのに、配牌から一度も有効牌が来ませんね。まぁ、こういう事もありますよね。)

「ロンです。タンヤオ清一三暗刻対々で24000です。」

(・・・はっ!?三倍満!?)

「はい。」

(って、動揺無しかいな!肝が据わっとるな・・・それより、乗っけから三倍満とか、魅せてくれるやないか。でも、やっぱり分からんな。データで見ると、石戸明星がいる対局はかなり高火力が出やすいんやけど、それが何なのかが分からん・・・)

(三倍満・・・やっぱり強いですね。)

『永水女子高校の石戸選手、いきなり三倍満直撃です!』

『彼女、やはり高火力ですね、』

『はい。』

(あれは・・・なかなか強い物を憑けてますね。)

~東二局~ 親:舟久保浩子

清澄 173600

千里山 137100

永水 60200

劒谷 29100

~8巡目~

(なんだか、今日は全く有効牌が来てくれませんね、どうしたんでしょうか・・・?)

(原村和、なんや調子悪そうやな。)

「ツモ。混一ツモ一通。3000・6000です。」

(くっ、また永水に和了られた!)

(原村和さんへの『膠着』が上手く働いているようですね。ですが、このままでは劒谷高校が飛んでしまいます。ここは、劒谷の森垣友香さんに『補強』を使いますか。)

~永水女子控え室~

「明星ちゃん、早速膠着を使ってるね。」

「あれは一人だけだけど有効牌を全く来なくさせるからね。本当にチート能力だよね~。」

「私もあれにはいつも手こずるよ。」

「友理奈でもやっぱり手こずるのか~。しかも、膠着だけならまだしも補強も使ってくるからね~。」

「あれ、誰か一人に有効牌が来なくさせると、他の誰か一人の手を強くさせるんだったよね。基本的には自分に使ってるんだろうけど、次は多分劒谷に使うんじゃないかな?」

「劒谷の人、元々高火力だから補強有りだとどれだけ高くなっちゃうのか楽しみだね~。」

~東三局~ 親:石戸明星

清澄 170600

千里山 131100

永水 72200

劒谷 26100

「リーチでー!」

『劒谷高校森垣選手、ダブルリーチ!』

『彼女がいる卓だとほぼ確実に高火力な試合になりますからね、今回も荒れそうですね。』

(ダブリー!?)

(そんな・・・)

「ツモ。6000・12000でー!」

『森垣選手、ダブルリーチ一発ツモ平和純チャン三色一盃口の三倍満炸裂!』

(嘘やろ・・・)

(また三倍満・・・)

(元々高火力の人だとこんな事になってしまうのですね。それにしても、親番に使うべきではありませんでしたね。親被りで12000のマイナス、結構痛いですね・・・)

~清澄高校控え室~

「あぁ、のどちゃん大丈夫かな・・・」

「大丈夫だよ、きっと和ちゃんならやってくれるよ。」

「ほうじゃな。」

(マホが頑張りすぎると、和先輩が集中的に狙われてしまいます。でもマホが手を抜くという訳にもいかないですし・・・あっ、そうだ!今度の中堅戦では、あれを試してみます!)

~東四局~ 親:森垣友香

清澄 164600

千里山 125100

永水 60200

劒谷 50100

~7巡目~

(やっぱりなんかおかしいわ。全員の配牌が良くなってる訳やないんか?まぁ、そうやったとしたら原村和が和了ってるはずやし、というか、原村和ならこのくらいの巡目で和了しとると思うんやけど、やっぱり調子が悪いんか?それとも、永水の影響か。とりあえず聴牌したし、行っとこか。)

「リーチ。」

(千里山の方、聴牌したんですか・・・)

(嫌な予感がしますね。)

「ロン。リーチ一発七対子ドラドラ、12000。」

振り込んだのは明星だった。

(これは、千里山の方に膠着をした方が良さそうですね。)

~南一局~ 親:原村和

清澄 164600

千里山 137100

劒谷 50100

永水 48200

~6巡目~

(これ、全く有効牌が来いひんな。どないしとるんや?)

(やっと牌が乗ってきました。取られた分を取り返します!)

「リーチ。」

(千里山の人に膠着をしたら清澄が来てしまいました・・・)

(これはまさか、永水の石戸明星は誰か一人に有効牌を来なくさせる能力なんか?だとしたらこれまでずっと原村は止められとったっちゅうわけか。可哀想やな。)

「ツモ。リーチ一発ツモタンピン三色ドラドラ、8000オールです。」

(親倍、結構高いな・・・)

(清澄の方を解除した途端に和了されてしまいましたか・・・これは、厳しい戦いになるかもしれませんね。)

~清澄高校控え室~

「やった、和ちゃんが倍満を和了ったよ!」

「流石のどちゃんだじぇ!」

「なかなかじゃのー。」

「それにしても、さっきまで和ちゃんのツモ、全く有効牌が来てなかったよね。」

「確かに、いつもの和じゃったら最初から和了っとったわ。」

「それなら、多分永水の副将さんの仕業だと思います。」

「えっ、マホちゃん、何か分かるの?」

「はい、実は開会式の時に照魔境を使って強そうな能力の人を記憶していたんですよ。それで、石戸明星さんは誰か一人を強くして、誰か一人に有効牌を全く来なくします。」

「ほんま!?」

「それは、大変だね・・・」

「そんなの、勝てっこないじぇ・・・」

「まぁでも、さっきみたいに和ちゃんが抑えられない局も多分あるだろうし、大丈夫だよ。きっと。」

「そうじゃな。」

「俺達は応援あるのみだな。」

「そうだね。」

「このまま頑張って下さい、和先輩!」

「頑張れ和!」

~対局室~

「一本場です。」

~南一局一本場~ 親:原村和

清澄 188600

千里山 129100

劒谷 42100

永水 40200

(これ以上清澄との点差を広げる訳にはいきません。ここはまた原村さんに膠着させます。)

(多分、また原村を止めたんやろな。なら・・・)

~5巡目~

「リーチ。」

(なっ、原村さんを止めたら千里山が来てしまいました。これは、まるでもぐら叩きですね。)

「ロン、8300。」

(しかも、満貫を直撃されてしまいました・・・やっぱり私には霞お姉ちゃんのようには出来ないのでしょうか・・・)

~南二局~ 親:舟久保浩子

清澄 188600

千里山 137400

劒谷 42100

永水 31900

(千里山の人の親、連荘させないためにもここは、千里山の人を膠着させます。そして、補強は私に。このまま終わらせるわけにはいきません。霞お姉ちゃんが越えられなかった2回戦という壁を越えるために!)

~7巡目~

「リーチです!」

(なんや、永水の、凄い気合い入っとるな。高い手でも入ったんか?じゃあここはオリ・・・)

(このまま最下位で姫様にバトンタッチするわけにはいけません。だからここは、和了ってみせます!)

「ツモ!リーチ一発ツモタンピン清一。6000・12000です!」

『永水女子の石戸選手、2度目の三倍満が出ました!』

『あれを一発で引くとは、彼女、かなり持ってますね。』

~永水女子控え室~

「やった!明星ちゃんが決めてくれた!」

「明星ならやってくれると思ってたよ~。」

「これでまた3位浮上。」

3人が喜んでいると、永水女子の大将こと神代小蒔が目を覚ました。

「あら、もう明星ちゃんの出番だったのですね。」

「姫様、お目覚めですか。」

「はい、良く眠れました。しかし、結構な点差ですね。」

この言葉を聞いて、春が悲しそうな顔をしたため、友理奈が「春先輩は悪くないですよ。」と宥めた。

「今回は、姫様に頑張って貰うしかありませんね~。」

「分かりました。全力以上でやらせて頂きます!」

「今回姫様はかなり強い神様が付いてるから、せめて二位には入れると思う。」

「なら少しは安心出来ますね。」

「取り敢えず、明星ちゃんがどれだけ取り返してくれるかですね。」

「では、明星ちゃんを応援しましょう!」

「「はい。」」

「うん。」

~南三局~ 親:石戸明星

清澄 182600

千里山 125400

永水 55900

劒谷 36100

「リーチです!」

『永水女子石戸選手、ダブルリーチです!』

『前局から強運が続いてますね。』

(ダブリー!?これは、きっついわ・・・)

(これは、何を出せば良いのやら・・・)

(この永水の人、なんか怖いでー・・・)

「ツモ!ダブルリーチ一発ツモ混一混老七対子ドラドラで12000オールです!」

『な、なんと、永水女子石戸選手、3度目の三倍満を和了しました!』

『まさかここまでとは・・・エキサイティングですね。』

「一本場です!」

~南三局一本場~ 親:石戸明星

清澄 170600

千里山 113400

永水 91900

劒谷 24100

(このまま、千里山を捲って二位に浮上します!)

~11巡目~

(よしっ、千里山には有効牌はいってない筈ですし、これなら逆転出来ます!)

「リーチです!」

「ロン。混一一通ドラ3で16300です。」

(千里山を止めたら、また清澄に和了られてしまうとは・・・)

(今回は清澄に助けられたな。あのままやったらまた永水に和了されとったやろからな。)

(このまま、マホちゃんが稼いでくれた点を取り返してみせます!)

~南四局~ 親:森垣友香

清澄 186900

千里山 113400

永水 75600

劒谷 24100

(もう、点数が無いでー!)

(誰かを補強する余裕は無いですけど、ここは劒谷に補強しなければいけませんね。)

(この局、多分永水は劒谷に強化をしてくるはずや。ならここは、どうせ有効牌もこうへんし、ガンオリで耐える・・・)

~6巡目~

「リーチ。」

(えっ、劒谷やなくて、清澄?)

(あれ、確かに私は劒谷の方に補強をしたはずですけど、どうして清澄の方がリーチをしているのでしょうか?)

「追っかけリーチでー!」

(劒谷もリーチをしてきましたか。ですが、ここは負けません。)

「ツモ。リーチ一発ツモタンピン三色で3000・6000です。」

『副将前半戦終了!清澄高校の原村和が最後に意地を見せ、点数を持ち返しました。』

『まさかの大逆転でしたね。』

『そして、永水女子は千里山女子との点差を縮めました。劒谷高校の森垣は点差を広げられてしまい、厳しい点数となってしまいました。』

『この点差を巻き返すのは流石に厳しいでしょうね。』

『そうですね。では、休憩の後に副将後半戦を行います。』

 

~副将前半戦結果~

清澄 199900

千里山 110400

永水 72600

劒谷 17100




この前、阿知賀編は準決勝が終わったらと書いたのですが、2回戦の後にやっちゃってもいいんじゃないかと思いまして、出来るなら阿知賀編を早くやって欲しいか本編の続きを早く見たいかコメントして貰えたらと思います。それによってどちらにするか決めさせて頂きます。

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