咲-Saki-もし1年後に夢乃マホが飛び級して清澄高校に入学したら   作:神奈木直人

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第32話 二回戦次鋒前半戦

先鋒戦が終わり、対局した四人が各々の控え室に戻っていた。

~清澄高校控え室~

「ただいま帰ったじぇ。」

「お帰りなさい。」

「あの三人相手に2位は凄いです。流石片岡先輩です!」

「ほうじゃな、大したもんじゃ。」

「凄いよ優希ちゃん!」

「でも、永水の人に大差を付けられちゃったじぇ・・・」

「あの人は真紀ちゃん達と同等位のレベルだって言ってたから仕方無いと思うよ。しかも鹿児島で個人戦2位だったらしいし。」

「咲ちゃんだって汐見真紀と同じ位のレベルだし個人戦も2位だじょ、もしかして自慢か!」

「そんな事無いよ!」

「そうですよ優希、咲さんは自慢するような人ではありませんよ。」

「そうです!能ある鷹は爪を隠すんですよ!宮永先輩は能ある鷹です!」

「そんな事無いよ。言い過ぎだよマホちゃん。」

「言い過ぎじゃないです。宮永先輩はとっても凄いです!」

「そうかな?」

「そんな事より、部長の試合が始まりますよ?」

「おぉ、インターハイなのを忘れかけてたじぇ。」

「はぁ、もう、しっかりして下さい。」

~千里山女子控え室~

「ただいま帰りました・・・」

「まったく、4万点以上取られて、更にラスとか、何しとんねん。」

「ほんまにすんません、永水と清澄が予想以上に手強くて。」

「確かに永水の早乙女友理奈は強かったわ。でも、次はその言い訳、通用せんからな。」

「はい、準決勝では永水が来ても清澄が来ても勝ってみせます!」

「よっしゃ、その意気や!」

「じゃあ、とりあえず二階堂先輩に苦労させない為に私が稼いできますよ。」

「おー泉、頼んだぞ。」

「頑張ってきます。」

「すみません泉先輩、頼みます。」

「頑張って下さい。」

「頑張ってなー。」

「はい!」

~永水女子控え室~

「ただいまです。」

「おぉ!お帰り~友理奈。しっかし、友理奈には驚きだよ。清澄と千里山が相手だって言うのに8万点近く取っちゃうんだからさ~。」

「本当に友理奈ちゃんが永水に居てくれて良かったって改めて感じるよ。」

「二人ともありがとう、湧ちゃんも頑張って。」

「できるだけ友理奈の点を守るよ。」

「頑張れ。」

「頑張って。」

「じゃあ、行ってきます!」

~劒谷高校控え室~

「あんなに取られちゃって、申し訳ありません。」

「気にしないで、相手が相手だったし。」

「大丈夫、後は私と森垣先輩で追い付くから。」

「私に任せるでー!」

「梓ちゃん、森垣先輩、ありがとうございます。頑張って下さい。」

「じゃあ、そろそろ時間なんで行ってきます。」

「うん、期待してるよ。」

「お任せ下さい。」

 

 

『さぁ、次鋒戦の対局選手を紹介します。まずは先ほどの先鋒戦を圧倒的な差で終わらせた永水女子高校の早乙女友理奈選手からバトンを受けとるのは永水女子高校一年の十曽湧選手。そして、2位の清澄は、部長の染谷まこ選手にバトンタッチです。3位の劒谷の次鋒は1年の小鳥遊梓(たかなしあずさ)選手。そして北大阪代表、名門千里山はまさかの4位で先鋒戦を終わらせてしまいました。次鋒の二条泉選手、この窮地を脱する事が出来るのでしょうか。面子が揃いました。』

 

 

~場決め結果~

染谷まこ:東

二条泉:南

十曽湧:西

小鳥遊梓:北

『対局選手が所定の位置に着きました。清澄高校の染谷選手が起家で、次鋒戦開始です!』

 

 

~東一局~ 親:染谷まこ

永水 177900

清澄 101500

劒谷 60900

千里山 59700

(起家になったのはええんじゃけど、千里山はそこそこやりよるし、他の二人は未知数じゃし、どうすればええんじゃろうな。)

(千里山がラスとか、色々とマズいな。私がやったらなあかんな!)

~7巡目~

「リーチ。」

(とりあえず稼ぐで!)

(千里山のリーチ、安牌はそこそこあるけぇ、オリきる。)

(こりゃあやられちゃうかな~。)

「ツモ!リーチ一発ツモタンヤオ、2000・3900。」

『千里山女子二条選手、先制ツモ。これで点数が劒谷を上回り3位に浮上です。』

『なかなかの和了りですね。タンヤオのみだった手をリーチ一発ツモで満貫近くまで持っていきましたからね。』

『そうですね。東一局は千里山女子の和了となりました。』

~東二局~ 親:二条泉

永水 175900

清澄 97600

千里山 67600

劒谷 58900

(このまま連荘したる!)

(千里山をこのままにしとったらやられるな。)

(もう少し様子見してもいいかな?)

~8巡目~

「ツモ!6000オール!」

(くっ、また和了られた。)

(これ、友理奈が稼いだ点が無くなっちゃうかもしれないね~。)

(成る程、やっぱり大した事無いな。よしっ、次から始めようっと。)

~東二局一本場~ 親:二条泉

永水 169900

清澄 91600

千里山 85600

劒谷 52900

(千里山が怖い、もうそろそろ抜かれるわ。それは防がんといけんのぉ。折角優希がプラスで終わらせてくれたんじゃから出来るだけ多く残さんといけんのぉ。)

「チー。」

(劒谷の1年、こんな点差があるのになんでこんなに余裕綽々な顔しとるんや?もしかして、何かあるんか?)

「あ、それっす。ロン。1000は1300点です。」

(やっす!なんやそれ。これだけの点差やのにそんな安手とか、諦めとるんか?)

~東三局~ 親:十曽湧

永水 169900

清澄 91600

千里山 84300

劒谷 54200

~5巡目~

「ツモっす、300・500。」

(また安手?速いけどこの点差ならもっと攻めるべきじゃろ。)

(どういうつもりなんや?)

(これ、なーんかヤバい気がするわ~。)

~東四局~ 親:小鳥遊梓

永水 169400

清澄 91300

千里山 84000

劒谷 55300

(さぁて、やっと親番だよ、ほんじゃま、始めますか!)

~7巡目~

「リーチっす。」

(こいつ、これまでリーチなんかしとらんかったやん、なんでや・・・)

(こりゃあ防げんかもしれんな・・・)

(どれを出せば良いのか分かんないよ~!)

「それっす、ロン。リーチ一発タンヤオ平和。12000っす。」

(親番になって急に高い手を和了り始めよった!?こいつ、鶴賀の大将と似たような感じなんじゃろうか?)

(なんか、1年前の二階堂先輩に似てるな。)

~千里山女子控え室~

「あの劒谷の1年、1年前のあたしそっくりやな。」

「せやな、子の時は安手で流して親番で稼ぐ。去年の渚を鏡に写しとるみたいやな。」

「あの頃のあたしも子で和了る意味なんて無いって思とったな。」

「もしあの1年が去年の渚位強いんやったら、ヤバいかもしれませんね。」

~東四局一本場~ 親:小鳥遊梓

永水 157400

清澄 91300

千里山 84000

劒谷 67300

~5巡目~

「リーチっす。」

(やっぱり親番だと強いんか、去年の二階堂先輩に似とるけど、私、去年の二階堂先輩にも勝った事無かったしな。勝てる気がしないわ・・・)

(またやられるかな~・・・)

「ツモっす、リーチ一発ツモ混一で6100オールっす。」

(くっ、またやられた。しかも捲られた・・・)

『劒谷高校小鳥遊選手が親跳ツモ。これで一気に2位に浮上しました。』

『彼女、親番になってから攻めますね。』

『確かに、小鳥遊選手は子の時は安手を和了していましたからね。』

『子の時に安手を和了るというのが裏目に出なければいいですけどね。』

『そうですね。』

~東四局二本場~ 親:小鳥遊梓

永水 151300

劒谷 85600

清澄 85200

千里山 77900

(これ以上やられる訳にはいかへんな。)

「チー。」

(清澄の人、そういえば守りが硬い人やったな、どうにかこの連荘止めてくれへんかな。)

「リーチっす。」

(またリーチ、もう勘弁してぇな!)

(また一発で来てくれないかな~。)

「チー。」

(おっ、一発消されちった。まぁ点数変わらないから良いんだけどね。)

(清澄はタンヤオか三色を狙っとるはずやな。なら、1枚ドラも見えとるし5ピンは切らん方がええか。)

(清澄、止めてくれないかな~。)

(くそっ、一発はならずか、まぁしゃーないか。)

「ツモ。タンヤオ鳴き三色赤2枚で2200・4200じゃ。」

(なっ、私が狙ってた赤5ピンを喰いとられた!?やっぱり優勝候補の学校の部長なだけあってただ者じゃないみたいですね。)

~清澄高校控え室~

「おぉ!部長がやったじぇ!」

「あの状態から満貫を和了るなんてね。」

「部長さんカッコいいです!」

「このまま頑張って欲しいですね。」

「そうですね。」

~南一局~ 親:染谷まこ

永水 149100

清澄 94800

劒谷 80400

千里山 75700

~3巡目~

「チーっす。」

(やっぱり親番じゃない時は安手で流そうとするんじゃな。)

「ポンっす。」

(また鳴かれた。これはまた流されるかもしれへんな。)

「ツモっす、300・500。」

(やっぱり速くて追い付けんわ。)

(これは、友理奈に怒られちゃうかもだね~。)

~南二局~ 親:二条泉

永水 148800

清澄 94300

劒谷 81500

千里山 75400

~8巡目~

「ツモっす、400・700。」

『劒谷高校の小鳥遊選手、先程から安手ばかりですね。』

『彼女にとって子番はどうでもいいのでしょうね、親番で稼いで子では軽く流す。それが彼女のプレースタイルのようですね。』

『成る程。』

~南三局~ 親:十曽湧

永水 148400

清澄 93900

劒谷 83000

千里山 74700

~9巡目~

「ロンっす。1000。」

(振り込んだけど、そんなに高くないから怖くないわ。やっぱり親番にしか興味無いんかいの?)

(次は劒谷の親番、気ぃ引き締めてこ。)

~南四局~ 親:小鳥遊梓

永水 148400

清澄 92900

劒谷 84000

千里山 74700

「リーチっす。」

(ダブリー!?)

(マジかー・・・)

(あらら~。)

「ツモっす、ダブリー一発ツモタンピン三色で8000オール。」

(高いわ!2巡目で8000オールとか、ありえんじゃろ!)

(これ、連荘されるんかな・・・)

「んー、後半戦もあるし和了り止めでいいっす。」

(助かった・・・)

(この調子を維持されとったらヤバかったわ・・・)

(とりあえず前半は耐えられましたね~、後半辛いな~・・・)

~試合結果~

永水 140400

劒谷 108000

清澄 84900

千里山 66700

『次鋒前半戦終了、1位は永水で変わらず、劒谷の小鳥遊選手が活躍して劒谷高校は2位に浮上。3位の清澄高校は点数を多く取られてしまい、3位。4位は変わらず千里山ですが、二条泉選手は若干のプラスで前半戦を折り返します。』

(とりあえず原点までは戻せたっすね、次の半荘でどれくらい清澄と千里山を削れるかで勝負が左右しそうっすね。私が頑張らなくちゃっすね!)

 




諸事情により更新が1日遅れてしまいました。大変申し訳ありませんでした。

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