咲-Saki-もし1年後に夢乃マホが飛び級して清澄高校に入学したら   作:神奈木直人

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第31話 二回戦先鋒後半戦

10分間の休憩が終わり、後半戦が始まった。

~場決め結果~

早乙女友理奈:東

片岡優希:南

椿野美桜:西

上野望:北

~東一局~ 親:早乙女友理奈

永水 138000

清澄 100200

千里山 93400

劔谷 68400

『さぁ、後半戦が始まりました。戒能プロ、やはり永水の早乙女選手は強いですね。』

『そうですね。彼女は私が思っていたよりも10倍近く強いですね。』

(最初に彼女を見た時は、何があるわけでもなく微妙なんだろうなって思っていたけれど、彼女、努力で補うタイプみたいですね。でも、これだけの点差があるなら、あの人があれを仕掛けるかもしれませんね・・・)

『そうですか。では、後半戦開始です。』

~対局室~

(この親番、少しでも多く点を稼いでおかないとな。)

「ポン。」

(よしっ、これで聴牌。とりあえず連荘する。)

(また永水が鳴いてきたわ。しかも、対々は何待ちなのか分かりづらいから降りづらいねん。とりあえず対々なんやから暗刻落としなら振り込む事はあらへんやろ。)

「ロン。タンヤオ三暗刻対々赤1。18000です。」

(なっ、単騎待ちかいな!そんなん分からんわ!)

『早乙女選手が親跳和了です。』

『やはり彼女、一度鳴いてから和了までの速度が異様に速いですね。それに、前半に比べて点が大きくなっていますね。』

『それが早乙女選手の強みなのでしょうか?』

『そうですね。東二局が遠くなるかもしれないですね。』

『確かに、ここからどのような試合展開に持っていくのでしょうか、期待です。』

~観戦室~

「ねえねえ、友理奈ちゃんって私みたいに点数上昇するっけ?」

「いや、友理奈は昔からスロースターターなんですよ。それだから後半になると、どんどん高い手が入ってきますよ。」

「へぇ、私と似たような感じかな?」

「でも、友理奈の場合は、打点が全然上がらない時もあればめちゃくちゃなくらい和了する事もありますから焦華さんに比べたらちょっと不安定ですね。」

「そうなんだ~。」

~対局室~

「一本場です。」

~東一局一本場~ 親:早乙女友理奈

永水 156000

清澄 100200

千里山 75400

劒谷 68400

~4巡目~

「ポン。」

(またポンポンし始めた。もう止めてえな・・・)

(東場なのにまた何も出来ないかもしれない。いやいや、そんなの、あり得ないじょ!)

(片岡優希さんに違和感が・・・でも、この形なら和了れるはず。ほら、来てくれました。)

「ツモ。混一三暗刻対々。6100オール。」

(くっ、またやられた!)

(この人、全然太刀打ち出来ないじぇ・・・)

『早乙女選手の勢いが止まりません!どんどん点差を引き離しています。2位との差はなんと8万点差にまで広げています!』

『これは・・・エクセレントですね。』

~対局室~

「二本場です。」

~東一局二本場~ 親:早乙女友理奈

永水 174300

清澄 94100

千里山 69300

劒谷 62300

~3巡目~

(きたじぇ!)

「リーチ!」

「ポン。」

(片岡優希さんのリーチは怖い。でも、今回は一発を消すのが精一杯かな。まぁ、しょうがないか。)

「ツモだじぇ!リーチツモタンピン三色ドラ2で4200・8200だじぇ!」

(やっと連荘が終わったわ・・・)

(この調子で行く。今度は私が連荘する番だじぇ!)

~東二局~ 親:片岡優希

永水 166100

清澄 110700

千里山 65100

劒谷 58100

(よしっ、配牌一向聴だじぇ。この局は私が和了るじょ!)

(うわっ、配牌で聴牌してる!もしかしたら地和・・・は無いか。でも、これなら少しでも稼げる!)

「リーチ!」

(今まで何もしとらんかった劒谷がダブリーやって?これは、永水が振り込んでくれたら楽なんやけどな。)

(オリたいけれど、流石に一巡目はキツいな。安牌も無いし、なら攻めるか。)

「あっ、それ、ロンです。ダブリー一発タンピンドラ1で12000です!」

(おー、マジで直撃したわ。でもこれで私が4位に転落か・・・気張っていこ!)

(ダブリーとか、誰かさんを彷彿とさせるなぁ。まさか一発で振り込むとは・・・集中しなきゃだな。)

~東三局~ 親:椿野美桜

永水 154100

清澄 110700

劒谷 70100

千里山 65100

(流石に二連続で良い配牌は来ないか・・・)

(二連続ダブルリーチは流石に無いか。でも念には念を。)

「ポン。」

(くそっ、また鳴かれた・・・)

(手牌が悪くなってきたじょ、もうタコスぢからが切れたのか?このままじゃ負けちゃうじょ!)

~7巡目~

「ツモ。混一三暗刻対々。3000・6000です。」

(取られた点数を直ぐに取り返した。流石やな。)

(差がどんどん広がっていくじょ・・・)

~東四局~ 親:上野望

永水 166100

清澄 107700

劒谷 64100

千里山 62100

(親番は残り2回しかあらへん、しかもこの点数、二階堂先輩に絶対怒られてまう・・・なんとかせなあかんな!)

「チーです。」

(上野望さん、やっぱり親番に和了しておきたいんですね。そう簡単にはさせませんけどね。)

「ポン。」

(うっ、やっぱり永水に邪魔される。分かっとったけどこれ、辛いわ・・・でも!)

「ポンです。」

(まだ諦めてないようですね。ですが、もう一回鳴いたらどうでしょうか?)

「ポン。」

(なっ、させてたまるか!)

「チーです!」

(二人とも鳴いてばっかだじょ・・・)

(来いっ!)

「ツモです。500オール!」

(まさか、また和了られてしまうとは、やはり千里山の先鋒を務めているだけは有りますね。)

「一本場です!」

~東四局一本場~ 親:上野望

永水 165600

清澄 107200

劒谷 63600

千里山 63600

~5巡目~

(よしっ、25ピン待ちの高目一盃口。これならいける!)

「リーチです。」

(やはり5巡目にリーチをしてきた。これを防がなければ、しかし鳴けない・・・)

(この2ピン、通るかな?でも、私もこれで聴牌だし、オリてもどうせ和了られるなら攻めるじぇ!)

「追っかけリーチだじぇ!」

「・・・」

(ん?眉が一瞬動いた?もしかして、和了り牌なのに見逃した?)

「ツモです。リーチ一発ツモタンピン一盃口。6100オールです。」

(やはり安目を見逃していたか、さっきので和了っていればリーチ一発タンピンで清澄が5200の放銃で済んだのに、高目を引くなんて・・・点数も3倍以上になってる。この人、やっぱり凄いな。)

「さぁ、二本場です!」

(これ、ヤバいかも・・・)

(順調にカウントダウンが進んでる。これじゃあうちが準決勝に進めないじょ・・・)

~東四局二本場~ 親:上野望

永水 159500

清澄 100100

千里山 82900

劒谷 57500

(よく考えてみれば、このまま上野望を止めずに連続和了させてたら永水は2位抜けする。準決勝に進める。ここで連続和了を止めたら清澄が残る結果になるかもしれない。それならこのまま終わらせても、良いのかな・・・)

(おっ、永水の人、もしかして気付いちゃったんかな?このまま私が連荘すれば2位抜けが約束され、清澄を敗退させる事が出来る。これに乗ってくれたら私達の勝利は格段に近い物となる!さぁ、乗ってくれや永水!)

(私はどうすれば・・・でも、それでも私は!)

「ポン!」

(なっ、こんだけ好条件やのに、なんで断るんや!?)

(自分勝手かもしれないけど、私は全試合プラス50000以上で終わらせたい。それに、この試合は一葉と真紀が見てる。もしかしたら焦華さんだって見てるかもしれない。そんな試合でこんな無様な勝ち方をしても、軽蔑されるか私に実力が無いと思われるだけだ。そんなの嫌だし、私がここで阻止した事でもし永水が負けたとしても、私は後悔はしない!だから!)

「ロン!対々。2600です!」

(私は、私を貫く!)

~千里山女子控え室~

「あーあ、永水は乗らんかったか。」

「えっ?どうかしたんか?」

「えっ、泉先輩、今の見てて分からんかったんですか?」

「なんかおかしい事あった?」

「気付いてへんのかいな・・・今の局、永水が阻止せずに望が和了り続けてたら永水は2位抜け出来たんや。それなのにあいつはそれを拒否した。なんで阻止したんかは分からんけどな、まぁ、十中八九プライドやろうけど。」

「成る程・・・」

~清澄高校控え室~

「ほっ、危なかったね・・・」

「えっ?何がですか?」

「確かにのぉ、わしじゃったらあのままやらせとったな。」

「友理奈さんが部長みたいな性格じゃなくて良かったですね。」

「皆さん、さっきから何を言ってるんですか???」

「何でも無いわ。」

「・・・そうですか。」

~南一局~ 親:早乙女友理奈

永水 162100

清澄 100100

千里山 80300

劒谷 57500

(危なかったじぇ、あのままやられてたら敗退だったじょ。でも、この点数のままで部長に渡す訳にはいかないじょ。)

「ポン。」

(なっ、でも、鳴いてくれたお陰でこっちも聴牌出来たじぇ!)

「リーチだじぇ!」

「ポンです。」

(一発が消えちゃったじょ、でも一発が無くてもいけるじぇ。)

(清澄、またもや南場で攻めてきた。また振り込むかも・・・)

「それだぁ!ロン!リーチ平和純チャン三色ドラ1で16000だじぇ!」

(くっ、やっぱり直撃された・・・手痛い失点だな。)

~観戦室~

「友理奈は対々を作る事が多いから安牌が少ないんだよな。」

「確かに、友理奈は同じ牌を2枚3枚持っている事が多いですからね。」

「そう言う意味で考えたら~、友理奈ちゃんって一葉ちゃんの劣化番って感じがするよね~。」

「違いますよ焦華さん、というか、むしろ逆かもしれません。」

「えっ?だって、一葉ちゃんは三色同刻と三暗刻が確定してるから友理奈ちゃんよりも稼げるじゃない。」

「私は一回鳴いたら単騎待ちになってしまうんですよ。だから和了まで辿り着けない事が多いのです。友理奈は和了のスピードも和了率も、多分総得点数も私よりも上だと思います。それに、友理奈と対局すると、いつも負けてしまいますしね。」

「へぇ、そうだったんだ。でも私、失礼だけど友理奈ちゃんと初めて対局した時に『この子はパッとしないな。』って思ったんだよね。真紀ちゃんや一葉ちゃんみたいに突出した物を持ってなかったから。ただ鳴いて対々を目指すプレイヤーはざらにいるしね。だから真紀ちゃんを狙い撃ちしてたんだよ。」

「やっぱりあの四連続直撃は故意でしたか・・・」

「うん、ごめんね~。自信満々な真紀ちゃんを見てたら色々と折りたくなっちゃって~。」

「貴方って人は本当に・・・」

「でもでも~、友理奈ちゃんに突出した物が無いのは事実だよね?」

「確かにそうかもしれません。特に小学生の時は。ですが、友理奈は努力家なんです。能力的な物に恵まれなかったのに、ウチらに勝つ為に色んな特訓をしていたんです。それが今の友理奈を作っているんですよ。」

「ふ~ん、そうなんだ。」

~南二局~ 親:片岡優希

永水 146100

清澄 116100

千里山 80300

劒谷 57500

(もう南二局なのに、こんな点数じゃ終われない。それに、またおっきな和了りが来るかもしれない。嫌だわもー!)

(よしっ、さっきの和了りで牌も乗ってきたじぇ。このまま押せ押せで行くじょ!)

「ポン。」

(あぁ、また永水にやられちゃう。でも、この配牌なら、行けるかも!行っちゃおうか!)

「リーチ!」

(劒谷のリーチ、さっきも大きい和了りがあったから注意しないとだな。なら、一発を消しておこう。)

「ポン。」

(これで一発が消えた。これなら少しは低くなったかな?)

「それです!ロン!」

(なっ、また放銃。こんなに放銃されるのは久しぶりだ。やっぱり手強い相手なんだな。)

「リーチ平和清一一通一盃口で、24000です!」

(さ、三倍満!?)

(この人、凄いじょ。)

(なんやこいつ、これまでほぼ何もしとらんかったのに。)

~劒谷高校控え室~

「おぉ、美桜ちゃんがやってくれましたよ!」

「美桜ちゃんはたまに大きい当たりが出ますからね。」

「あれ、直撃されると痛いですよね。」

「でもこれで、千里山に逆転でー!」

「このままこの点数をキープしてくれれば良いんだけど。」

「大丈夫ですよ。あれくらいの点数なら、私が逆転させられますよ。」

「でも、あの三校相手だよ?」

「それに関しても大丈夫です。次鋒は三校とも私に比べたら全然強くないですから。私が2位まで上がって、中堅で耐えて、森垣先輩がまた稼げばせめて2位抜けは出来ると思いますよ。」

「次鋒戦頑張ってね梓!期待してるよ!」

「任せて下さい。」

~南三局~ 親:椿野美桜

永水 122100

清澄 116100

劒谷 81500

千里山 80300

(これは、予想以上に手強いですね。でも、私もやられっぱなしで終わる訳には行かないんですよ!)

「ポン。」

(鳴いてきたじょ。)

(この親番は簡単には流させない!)

~清澄高校控え室~

(わっ、あれ・・・)

「咲さん?どうしたんですか?」

「あっ、いや、何でも無いよ。」

「?そうですか。」

~対局室~

(たった今ポンした3ピンが重なった。少しでも稼ぎたいしカンしちゃうか。)

「カン。」

(ドラが増えてくれると助かるんだけど・・・あっ、引けた。)

「ツモ。嶺上開花タンヤオ清一対々ドラドラ。6000・12000です!」

(うわっ、また取り返してきたわこいつ。ほんまに凄いわ、早乙女友理奈。)

(この人、凄いじょ・・・)

(親被りで半分取られてしまいました。)

(次もこのまま行く!)

~南四局~ 親:上野望

永水 146100

清澄 110100

千里山 74300

劒谷 69500

(やっぱり、永水の人、強い。でも、私も負けてない!いくら梓ちゃんだってこの点差は厳しいはず、私が頑張らなくちゃ!)

「チーです。」

(千里山、先には和了らせない!)

「ポン。」

「っ、ポンです!」

「ぽ、ポンだじぇ!」

「チーです!」

(なにこれもー、皆鳴いてばっかりで全然手番が来ない・・・)

~8巡目~

「ツモです!中のみ、500オールです!」

(また千里山の人に和了られたじょ・・・)

(止められなかった、プラス5万には出来なかったか・・・)

「一本場です!」

(あっ、そうか、上野望さんはチェックメイトを狙っているから和了り止めしないのか!ならまだいける!)

~南四局一本場~ 親:上野望

永水 145600

清澄 109600

千里山 75800

劒谷 69000

(ここからでもまだ間に合う、ここで終わらせる!)

(本当に、有り難いですね。上野望さんには感謝してもしきれないですよ。だからせめて、最後は華やかに終わらせて上げます。連荘しなければ良かったと後悔する事になるでしょうが。)

「ツモ。四暗刻。8100・16100。」

(なっ!?)

(うわっ!?)

(嘘やろ・・・)

『永水女子高校の早乙女選手が役満炸裂です!』

『これはお見事ですね。上野選手が連荘しようとしているあの状況で、鳴かずに手を作り上げるとは、ワンダフルですね。』

「ありがとうございました。」

「ありがとうございます・・・」

「お疲れ様だじぇ・・・」

「お疲れっしたぁ・・・」

 

 

~対局結果~

永水 177900

清澄 101500

劒谷 60900

千里山 59700




2回戦の先鋒戦を書きましたが、友理奈の打ち方は自分と似ていて、書いてて結構楽しかったです。まぁ、私は友理奈みたいに良い配牌にはなってくれませんが・・・
それはさておき、次は次鋒戦です。ご期待ください。

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