咲-Saki-もし1年後に夢乃マホが飛び級して清澄高校に入学したら   作:神奈木直人

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前回の話を見ていて思ったんですが、四連続天和とかしちゃったら麻雀卓を点検したり身体検査とか行われたりでそのまま続行とな出来ないような気が・・・まぁ、そんな事はどうでも良いとして、ここから清澄高校視点の話に戻ります。


第30話 二回戦先鋒前半戦

清澄高校麻雀部がインターハイに向けて東京に来ていた。

「東京に帰って来たじぇ!」

「マホ、東京初めてなのでワクワクです!」

「まったく、はしゃぎ過ぎじゃ。田舎者って思われるじゃろ。」

「広島弁の部長に言われたくないじぇ。」

「なっ、これは癖なんじゃからどうしようも無いじゃろ!」

「なんて意味の分からない会話をしてるんですか・・・早く行きますよ。」

(なんか、染谷先輩よりも和ちゃんの方が部長に思えてきてしまう・・・)

清澄高校は第1シードの為1回戦は無く、2回戦からの登場となる。今日は東京のホテルで2回戦で戦う相手校の試合を観戦していた。その中で、とある1校の対局結果に、メンバー全員が度肝を抜かれていた。

「千里山の先鋒の人、四連続で天和したよ・・・」

「そんなっ、あり得ません・・・」

「じゃけど、千里山だけじゃ無いわ。この永水の先鋒もプラス8万強で終わらせとるわ。地方大会の牌譜でもプラス5万以上は確実に出しとるし。」

「優希ちゃん、明日大丈夫?」

「うぅ、が、頑張ってみるじぇ・・・」

 

 

インターハイ2回戦当日になった。清澄のメンバーが会場に着くと、地方大会決勝で対局した3校のメンバーと出会した。

「やっと来ましたわね。」

「咲~!はらむらののか~!期待してるぞ!」

「うん、頑張ってくるよ。」

「ありがとうございます。」

「夢乃マホも、頑張って下さい。」

「はい!氷華さん!マホ、頑張ります!」

「片岡先輩、友理奈と千里山の先鋒、大変かもしれませんけれど頑張って下さい。」

「うん、頑張るじょ・・・」

「いやぁ、東場の神様なら楽勝ですよね?」

「なっ、そうだじぇ!私が負ける訳ないじょ!ちゃんと見てろよ!」

(真紀ちゃん、優希ちゃんの緊張を解してくれようとしたのかな?)

咲が真紀の所に近付き、優希には聞こえないような声で真紀に話し掛けた。

「真紀ちゃん、優希ちゃんを元気付けてくれてありがとう。」

「ふっ、礼には及びませんよ。それより、宮永先輩もインターハイでは県決勝みたいに調整とかしないで本気でやって下さいよ?」

「あっ、分かってたんだ。」

「当たり前ですよ。それ混みで完敗だって思ったんですから。」

「ごめんね、途中まではそんな事するつもり無かったんだよ?」

「ふーん、そうですか。」

「あっ、信じてないでしょ?」

「信じてますよ。ただ、宮永先輩は性格が悪い人だなーって思ってますけど。もしかして、池田先輩の点数を0にしたのも調整ですか?」

「あれは真紀ちゃんが12300直撃しただけで私は関係無いよ!」

「どうだか。」

「流石に、他人まで0に調整は出来ないよ。」

「本当ですか~?」

「本当だって。」

(何なんでしょうかあの人は、咲さんとあんなに楽しそうに話して。)

(真紀、どうして宮永先輩とそんなにいきいきした顔で話しているのですか・・・?)

「咲さん、そろそろ移動しますよ。」

「真紀、早くしないと席が埋まっちゃいますよ。」

「あ、ごめん和ちゃん、じゃあね真紀ちゃん。」

「はい、頑張って下さいね。」

「ありがとう、じゃあね。」

真紀達と別れてから、清澄高校が控え室に入った。優希が京太郎作のタコスを食べた。

「よしっ、タコスぢから充電完了だじぇ!」

「頑張ってきんさい。」

「頑張って。」

「頑張って下さいです。」

「集中ですよ。」

「任せろ!」

~千里山女子控え室~

「今回は1回戦みたいには行かへんからな。」

「まぁ、マイナスになる事はほぼ確定でしょうね。」

「飛ばないようにな~。」

「あんまり負債出されるとあたしが大変やからあんまり振り込むなよ。」

「いや、私にはエール無いんかい!!」

「おー、がんばれー。」

「がんばー。」

「棒読みですやん・・・」

「はよ行かんと遅れるでー。」

「はいはい、分かりましたよ。じゃあ行ってきます。」

~永水女子控え室~

「あの、やっぱり六女仙でもない私が先鋒でいいんでしょうか?」

「何を今更、永水の中でも得点率2位なんだから自信持ちなよ。」

「明星ちゃん、ありがとう。」

「友理奈のお陰で永水がもっと強くなった。だから友理奈は必要。」

「春先輩、そんな事はありませんよ。」

「友理奈ちゃんが居てくれるお陰で私は安心して大将をしていられるんです。自信を持って。」

「姫様まで、ありがとうございます。ご期待に添えるように頑張ります!」

「まぁ、姫様を除いたら友理奈が一番強いからね~。大丈夫でしょ。」

「たまに明星ちゃんに負けちゃうけどね。」

「そんな、友理奈ちゃんにはいつも負けっぱないしだよ。」

「そんな事無いって。っと、そろそろ行ってきます。」

「頑張ってね。」

「はい!」

 

 

『さぁ、2回戦の先鋒戦が始まろうとしています。実況は私、佐藤裕子。そして解説は戒能良子プロで行います。戒能プロ、よろしくお願いします。』

『よろしくです。』

『では早速、対局する選手を紹介します。まずは去年の団体戦で見事優勝を収めた第1シードの清澄高校先鋒、片岡優希選手。そして、去年はベスト8だった千里山女子高校先鋒、上野望選手。先日の1回戦ではこの上野選手が他校を飛ばして2回戦進出を決めました。今回も彼女の連続和了を見られるのでしょうか。次に、去年は残念ながら2回戦で敗退してしまった名門永水女子高校先鋒、早乙女友理奈選手。今年はエースの神代小蒔選手を大将に置き、新一年生である早乙女選手が先鋒を務めます。最後に劔谷高校先鋒、椿野美桜(つばきのみお)選手。劔谷高校は去年、千里山女子高校に惜敗しており、その時の先鋒だった椿野美幸選手の妹の美桜選手が先鋒を務めます。去年の雪辱を晴らす事は出来るのでしょうか。さぁ、選手が出揃いました。全国高校生麻雀大会団体戦A卓2回戦、開始です!』

 

 

(千里山の上野望、部長が言ってた奴だじぇ。連続和了カウントダウン。あれをやられたら確実に終わっちゃうじぇ。それだけはさせないじょ!そして、永水女子高校の早乙女友理奈、汐見真紀が小学生の時の友達だったって言ってたじぇ。こっちも手強そうだじょ。)

(うわー、この卓はこの前みたいには行かなそうやな。まぁ、少しでも稼いで泉先輩にバトンタッチせなあかんな。)

(この3人を相手にするなんて、勝てる気がまるでしないわもー。)

(そういえば、真紀が清澄の先鋒に私の対局の特徴についてアドバイスしたって言ってたな。まったく、何してくれてんだよ真紀。ただでさえ優勝候補である学校にアドバイスとか・・・ま、アドバイスだけでやられるような私じゃないけどね。それじゃあ、この場で証明しようじゃないか、私の方が圧倒的に強いという事を!)

~場決め結果~

片岡優希:東

椿野美桜:南

早乙女友理奈:西

上野望:北

 

 

~東一局~ 親:片岡優希

清澄 100000

劔谷 100000

永水 100000

千里山 100000

(さぁ、始めるじぇ!)

~3巡目~

「リーチ!」

(はやっ!最初は六向聴スタートなんやからそういう速攻とかマジ勘弁して欲しいわ・・・)

「ツモ!リーチ一発ツモ純チャンドラ2で8000オールだじぇ!」

『清澄高校片岡選手、トンパツでいきなりの8000オールツモです!』

『清澄高校の片岡選手は東場で稼いで逃げ切るタイプですからね。この親番で稼いでおきたいでしょうね。』

『成る程、さて、東一局は片岡選手の連荘です。』

「一本場だじぇ!」

~東一局一本場~ 親:片岡優希

清澄 124000

劔谷 92000

永水 92000

千里山 92000

「このまま連荘で終わらせてやるじぇ!」

(その台詞、この後そっくりそのまま私が言ったるわ!)

~4巡目~

「ポン。」

(永水が鳴いてきた、そういえば去年の永水は神代小蒔を先鋒にしとったのに今年は一年が先鋒やな。去年の有珠山みたいに中堅までの負債を副将と大将が巻き返すみたいな感じなんかろか?まぁ、そうやとしたらどうせ二階堂先輩が飛ばしてくれるやろ。)

(さっき巫女さんが鳴いてくれたお陰でまた聴牌出来たじぇ。追撃するじょ!)

「リーチ!」

「ロン。タンヤオドラ2、3900の一本場で4200です。」

(くっ、この巫女さん、もう聴牌してたのか。気付かなかったじぇ・・・)

(そういえば、船久保先輩が永水の先鋒は速攻やって言っとったな。はぁ、私完全に不利やん・・・)

~東二局~ 親:椿野美桜

清澄 119800

永水 96200

劔谷 92000

千里山 92000

~3巡目~

(清澄高校の片岡優希さん、さっきの私の和了で親が流れてから手が落ちてるような気がする。ここは更に攻める。)

「ポン。」

(また永水、ならこっちも鳴いて早和了りや!)

「ポンです。」

(千里山の上野望さんが動き始めた!?もう少し伸びそうな手だったけど仕方ないか・・・)

「ツモ。發混一。1000・2000です。」

(また永水かいな!折角3向聴やったのに!)

(この巫女さん、全然隙を見せてくれないじょ・・・このままだと得意な東場が終わっちゃうじぇ。)

~東三局~ 親:早乙女友理奈

清澄 118800

永水 100200

千里山 91000

劔谷 90000

~2巡目~

「ポン。」

(だから速すぎやろ!どんだけポンポンするんや。)

(この人がいると東場で和了れないじょ・・・)

「ツモ。タンヤオ三暗刻対々で4000オールです。」

(3連続和了、しかも連荘とか・・・)

(この人速すぎだじょ・・・)

~観戦室~

「やっと友理奈の調子が出てきましたね。」

「友理奈はスロースターターなところがあるからな。でも、友理奈が調子良い時はウチでも止めるのに苦労するから、あの面子じゃちょっと厳しい試合展開になっちゃうかもな。」

「そうかもしれませんね。」

~対局室~

「一本場です。」

~東三局一本場~ 親:早乙女友理奈

清澄 114800

永水 112200

千里山 87000

劔谷 86000

~4巡目~

「ポン。」

(また永水が来とる、それなら私も。)

「ポンです!」

(上野望さんがまた来てる、でもこの親番はもう少し稼ぎたい。)

「ポン。」

(くっ、永水が2副露。こっちはまだ2向聴やし攻められんわ・・・)

~7巡目~

「ツモ。混一対々で4100オールです。」

(また和了られた、こんなん速くて追い付けへんわ。)

(捲られたじょ・・・)

(やだこれもー。)

「続けて二本場です。」

~東三局二本場~ 親:早乙女友理奈

永水 124500

清澄 110700

千里山 82900

劔谷 81900

~9巡目~

(とりあえず1位にはなれた。でも後々の事を考えるともう少し稼ぎたいな。しかし、上野望さんが3副露で少し自信みたいなのが感じられるからここは降りる。)

(これが来てくれれば・・・)

「ツモです。タンヤオのみ。500・700です。」

(上野望さんに和了されてしまった。ここからか・・・)

(カウントダウンが始まっちゃうじぇ・・・)

(これ、ヤバイかも・・・)

(まずはカウントダウン5!)

~千里山女子控え室~

「よしっ、カウントダウン入ったで!」

「このままうちらが勝つ事は流石に無いと思うけど、点差は縮められるやろ。」

「やったれよ望!」

~東四局~ 親:上野望

永水 123800

清澄 110200

千里山 84600

劔谷 81400

~5巡目~

「リーチです!」

(来た、5巡目リーチ。ずらしても和了るのかな?)

「ポン。」

(永水の、私に手助けしてくれとるんか?私はずらしても関係無く和了るで!)

「ツモです!リーチツモ純チャン三色で6000オールです!」

(ずらしても和了られるのか、あんまり鳴かない方がいいのかな?)

(さぁ、次はカウントダウン4や!)

~東四局一本場~ 親:上野望

永水 117800

千里山 102600

清澄 104200

劔谷 75400

(よし、配牌はちゃんと良くなってるし有効牌も来てくれてる。いける!)

(さっきは上野望さんのツモ番が増えると思って鳴かなかったけどそれだとこちらが聴牌出来ないな、だとしたら・・・)

「ポン。」

(なんやこいつ、そんな事しとったら私が和了るで?)

「ポン。」

(また鳴いた・・・はっ、こいつもしかして!?)

~4巡目~

「り、リーチ。」

「ロン。タンヤオ三色同刻で4200です。」

(こいつ、私のカウントダウンが怖くないんか?それとも鳴いた方が聴牌出来るからわざわざ鳴いてきたんか?)

~永水女子控え室~

「なんと・・・」

「カウントダウンより自分の速攻が勝つ方を信じて、しかもそれで和了って来ましたね。」

「流石は友理奈ちゃんですね!」

「このまま引き離して欲しいですね。」

~南一局~ 親:片岡優希

永水 122000

清澄 104200

千里山 98400

劔谷 75400

~7巡目~

(千里山が2副露。そしてこの手、対々を目指してたのに七対子聴牌まで行ってしまった。ドラ2だからリーチかけてツモれば跳満か、なら・・・)

「リーチです。」

(リーチ?こいつは対子や暗刻を集める事が多いから七対子か?なら・・・)

「チー。」

(まぁ、一発消しは重要やな。これで一向聴やし。)

(千里山が3副露、でもこっちも後戻り出来ない。ここは和了させて貰う!)

「ツモ。リーヅモ七対子ドラ2で3000・6000です。」

(くそっ、またこいつに和了られたわ。誰かこいつを止めてぇな・・・)

~南二局~ 親:椿野美桜

永水 134000

清澄 98200

千里山 95400

劔谷 72400

~3巡目~

「ポン。」

(また・・・)

(このままだとまた一方的な試合だじぇ・・・)

「ツモ。タンヤオ三暗刻対々で2000・4000です。」

(親被り・・・)

(おいおい、誰もこいつを止められんのか・・・)

~南三局~ 親:早乙女友理奈

永水 142000

清澄 96200

千里山 93400

劔谷 68400

~5巡目~

「ポン。」

(くそっ、まだ稼ぎ足りんいうんか!この親番だけはさっさと流さんといけんのに全然聴牌出来へんわ。このままやとまたやられてまう・・・)

(聴牌したじぇ。でも今回はとりあえず安めでも和了らないと意味ないじょ。ここはダマだじぇ。)

「ポン。」

(また鳴かれた!?)

(和了らせる訳には、いかないじょ!)

「ロン!タンピン三色ドラ2、12000だじぇ!」

(清澄、張ってたんか。でもナイスや!こいつに連荘させるのは危険やからな。)

(和了られた。まぁ、そう簡単に和了らせてくれないのは分かってたけど、まさか直撃を受けるとは・・・)

(よし、この調子でいくじょ!)

~南四局~ 親:上野望

永水 130000

清澄 108200

千里山 93400

劔谷 68400

(清澄高校の片岡優希さん、牌譜で見る限りでは東場で稼いで南場で守るタイプだったはず。でも今のこの人は完全に攻撃モード。なら、少しでも速く和了しなければ!)

「ポン。」

(また鳴いてきたじぇ。ならこっちもだじぇ!)

「チー!」

(これで・・・)

「ロン。対々ドラ3で8000です。」

(じぇ、また巫女さんに和了られたじぇ。調子が出てきてたのに・・・)

(前半だけでこの結果かいな。後半辛いわ・・・)

『前半戦終了です。永水は早乙女選手が2位に3万点以上の差を作り1位。2位の昨年優勝校の清澄は、なんとかプラスで終わらせました。3位の千里山は若干マイナスで前半戦終了。4位の劒谷は厳しい滑り出しとなりました。』

~試合結果~

永水 138000

清澄 100200

千里山 93400

劔谷 68400

(3人マイナスにする事は出来なかったか。清澄の片岡さん、東場だけだと思って油断してたらやられた。やっぱり、侮るなかれですね。)

(この永水と清澄相手にプラス終了とかきつすぎるで。こんなん無理やわ・・・)

(一応プラスにはなったけど、去年戦った巫女さんもいるから、ここで少しでも点を奪い返さないとだじぇ。)

(トップとの点差が6万以上、やだこれもー!)

『10分間の休憩の後、後半戦を開始します。』




点数表記が間違っていたので直しました。

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