咲-Saki-もし1年後に夢乃マホが飛び級して清澄高校に入学したら 作:神奈木直人
夢乃マホ、文堂星夏、国広一、東横桃子の四人が卓に着いた。
~場決め結果~
夢乃マホ:東
文堂星夏:南
東横桃子:西
国広一:北
マホが、京太郎に買ってきて貰ったタコスを食べた。
(よし、タコスぢからフルチャージです!)
(タコス・・・清澄ではタコスが流行っているのか?)
『四人が対局室に出揃いました。中堅戦、開始です!』
「よろしくっす~。」
「よろしく。」
「よろしくお願いします。」
「よろしくお願いしますです。」
(この人が夢乃マホさん?何と言うか、小動物みたいだな。本当にこの人があの冬室さんを上回ったの?)
~東一局~ 親:夢乃マホ
風越 212500
鶴賀 103900
龍門渕 45000
清澄 38600
「親リーチ、いっきまーす!」
(はっ?ダブリー!?嘘でしょ。)
マホが2巡目の牌を引いた。
「ツモ!ダブリー一発ツモタンピン三色で8000オールです!」
(うわっ、一発ツモ!?冬室さんの言ってた通りだ。この人凄い。)
(速い、そういえば、清澄の片岡さんもこんな感じの和了り方だったな。もしかしてタコスを食べると調子が良くなるのか?いや、でも去年の決勝で純君が食べてたけど、特に変わった様子も無かったからな。まぁ、偶然かな。)
~東一局一本場~ 親:夢乃マホ
風越 204500
鶴賀 95900
清澄 62600
龍門渕 37000
(この親番、大事にしたいです。ここは、絶対安全圏です!)
マホが捨てる牌を持ち、クルクルと回しながら河にその牌を捨てた。
「リーチ!」
(2連続ダブリー!?そんなっ・・・)
(あのリーチの仕方、去年の白糸台高校の大将の人と似てるっすね。これはちょっとヤバげっすね。)
~9巡目~
「カン。」
(この巡目でカンって、これじゃあ本当に大星淡さんみたいじゃないか。)
(まさか・・・)
~10巡目~
「ツモ!」
マホが裏ドラをめくる。するとカン裏が4枚乗った。
「ダブリーツモ清一ドラ4。16100オールです!」
(はぁ?ダブリーに清一で数え役満!?しかも大星さんみたいな和了り方。この人もしかして、コピー能力でも持ってるのか!?)
(そんなっ、コピーだなんて、あり得ないでしょ。)
『今の局、清澄以外の配牌がどれも悪かったな。』
『そうですね。清澄以外は和了れる気配がありませんでした。』
(まるで去年の白糸台高校大将の大星淡みたいな和了だな。清澄の夢乃マホ、中学の牌譜で冬室氷華をただ一人撃ち破った試合のやつは見た。まぁ、倒したと言っても冬室は中学まで点数上昇とかダブリーなんてしてなかったがな。ダブリーどころかリーチを掛けた試合すら見たこと無かったな。でもその冬室を破った夢乃マホは去年の清澄の5人と似たような打ち方はしていたが、大星淡のような打ち方はしていなかったはず。ということはこちらも強くなってるという事か?)
~清澄高校控え室~
「マホちゃん、まるで淡ちゃんみたいだよ、でも、これまであんな打ち方してなかったような・・・」
「実はじゃな、合宿の時から、あいつには特別課題を出しとったんじゃ。」
「特別課題?マホちゃん可哀想だじぇ。」
「いや、そんな大したもんは出しとらんよ。ただ、強豪校の対局の映像と牌譜を渡して、一打一打牌譜を確認しながら映像を見るように言ったんじゃ。そうしたらこの通り、マホの人真似のレパートリーが増えたって訳じゃ。」
「そんなの、効果があるとは思えません。」
「まあまあ、あんたの言いたい事は分かる。じゃけど、その課題をこなしてから奴の成績はどんどん上がっとるんじゃ。それのお陰かどうかは知らんけどのぉ。」
「ぐ、偶然です。しかも、人真似と言っても、ダブルリーチなんて真似出来ませんよ。偶然に決まってます。」
「まぁ何にせよ、マホには期待じゃな。」
~東一局二本場~ 親:夢乃マホ
風越 188400
清澄 110900
鶴賀 79800
龍門渕 20900
(あまりやり過ぎると龍門渕が飛んじゃったり後々使えなくなったりするかもなのでここは温存します。)
(あれ、清澄の人のヤバい感じが消えた?というか弱くなった?もし本当にコピー能力があるとしたら強くない人をコピーしてるのか?いや、もしかしたらコピーする相手は決められないのか?いや、温存してる可能性もあるな。でもどっち道、使われてないなら今しかない!)
~6巡目~
「リーチ!」
(今度は龍門渕!?ちょっ、この面子相手じゃ、吉留先輩よりも酷い結果になりそう・・・)
「ツモ!リーチ一発ツモタンヤオドラドラ。3200・6200。」
(跳満・・・親被りだから少し痛手です。やっぱり親番は攻めた方がいいのかな?でも次は北家なので大丈夫です!)
~東二局~ 親:文堂星夏
風越 185200
清澄 104700
鶴賀 76600
龍門渕 33500
(また清澄が怖い感じになってる。強い能力でも入ったのかな?)
「ポン。」
(北をポン・・・自風ではあるけど、ん?北家で北をポン!?そんなまさか・・・)
「それもポンです。」
(東もポンした!間違いない。これは、去年の全国の2回戦で原村さんが戦っていた永水女子の薄墨さんの能力だ。このままいくとまた役満を和了られちゃう!)
~9巡目~
「ツモ。小四喜!8000・16000です!」
(本当に小四喜で和了られた・・・)
(この人、小動物なんかじゃない!正真正銘の化け物だ!)
~東三局~ 親:東横桃子
風越 169200
清澄 136700
鶴賀 68600
龍門渕 25500
(今回はそんなに怖くは無いな。なら、配牌もいいし、攻める!)
(龍門渕の人に良い手の気配がします。この流れは絶っておきたいです。)
「ポン。」
~龍門渕高校控え室~
「何ですの?今の不可解な鳴きは。」
「今度は純だ~!」
「なっ、まさか、また人の真似をしたんですの?」
「あぁ、確かに俺だったらあの局面でポンしてたな。清澄の三人目、去年の部長が辞めたから穴かと思ってたけど、更にヤバい奴が入ってきたな。」
~対局室~
(さっきポンしたのに次の巡目で切ってる。どうしてこんな打ち方を・・・はっ!?この打ち方、まるで純君みたいじゃないか!って事は、ボクの和了りを阻止されたって事なのかな?)
「ロン。5200。」
放銃したのは風越の文堂星夏だった。
(うわっ、清澄に振り込んじゃった。しかも、開始時は18万位点差があったのにもう2万点差くらいしか無い。どうすればいいの?冬室さん。というか、この人含めて三人がかりでやっとこの人だけ冬室さんを上回ったって、冬室さんどんだけ強いの。)
(本当に阻止された・・・って、さっきから本当にってばっかり思ってるな。もうこれは受け入れるしかないよね。まぁでも、色んな人の真似が出来たとしても、衣みたいに本当にヤバいのはまだ来てない。だからやっぱりこの清澄の人は満月の時の衣に比べたらもうちょっと善戦出来そうだ。)
(ふぅ、上手く決まりました。今の感じ、和了されてたら倍満くらいだったかもしれません。)
~東四局~ 親:国広一
風越 164000
清澄 141900
鶴賀 68600
龍門渕 25500
(この親番は絶対に決める!清澄に何をされたとしても絶対に決めて見せる!)
~8巡目~
「リーチ!」
「ポン。」
(清澄!?一発を消された?でも、それでもボクは和了ってみせる!)
~10巡目~
「ツモ!リーチツモ清一。8000オール!」
(うわっ、親倍、交わせなかったです・・・)
~東四局一本場~ 親:国広一
風越 156000
清澄 133900
鶴賀 60600
龍門渕 49500
(このまま連荘する!)
(仕方ないですが、これを使っちゃいましょう。)
~9巡目~
(なんだこれ、全然索子が来ない。清澄だけが索子を切ってる。これはもしかして、絶一門!?)
(あ、龍門渕の人、気付いたみたいですね、でももう遅いですよ。)
「ツモ。面前清一ツモ一盃口で、4100・8100です。」
(くっ、やっぱり索子が清澄に集まってたのか。って、さっきも同じような事言ってたな。ボクって学習しないな。)
~南一局~ 親:夢乃マホ
風越 151900
清澄 150200
鶴賀 56500
龍門渕 41400
(清澄の親番、絶対に和了らせない!)
「リーチ。」
(はっ?ダブリー!?また?)
「ツモ。ダブリー一発ツモタンヤオ清一。12000オール。」
(清澄に捲られた!あぁ、冬室さんに酷い事言われちゃう。しかもこれ、冬室さんみたいな和了。もうこの人嫌だ・・・)
(清澄の人、凄いっすね。でも今回はラッキーっすね。こんなに特徴的な人がいると、私もそろそろ消えられそうっす。)
~風越女子控え室~
(・・・・・・・・・夢乃マホ、個人戦では絶対に潰してやる!)
(まさか氷華までコピー出来るとは・・・)
(このままじゃ、星夏ちゃんが可哀想。)
~清澄高校控え室~
「おぉ!マホがやりおった!」
「マホちゃん凄い。」
「やったじぇ!うちが大逆転トップだじょ!」
「マホのやつ、やるな。」
「このままぶっちぎりでいっちゃえー!」
「マホちゃん、ここからですよ!」
~南一局一本場~ 親:夢乃マホ
清澄 186200
風越 139900
鶴賀 44500
龍門渕 29400
~6巡目~
(聴牌、清澄は特に変な事をしてない。なら今がチャンス!)
「通らば、リーチ!」
「いいんすか?それ。」
(えっ、この声、まさか!?)
「ロン。メンタンピンで3900の一本場で4200っす。」
(えっ、リーチ!?いつの間に?あっ、そういえば、去年、深堀先輩が、鶴賀の東横桃子は消えるとか言ってた気がする。そういうことだったのか。)
(もう遅いっすよ!清澄の人も、これまでのようにはいかないっすよ!)
~南二局~ 親:文堂星夏
清澄 186200
風越 135700
鶴賀 48700
龍門渕 29400
(宮永先輩が言っていたステルスみたいなやつですか。そっちがそのつもりなら・・・)
「リーチ!」
『なっ、なんと、清澄の夢乃マホ、3面張を捨てて2ピン単騎リーチだ!これはどういう事でしょう?』
『多分、次の巡目で風越の手牌から2ピンが余るだろうな。』
(聴牌した。2ピンを切れば安目でも12000。ここは通させてもらう!)
「リーチ!」
「ロン!12000です。」
(なんで!しかも3面張を捨てて単騎なんて・・・)
(私のステルスを警戒した?それとも去年の清澄の部長みたいな打ち方をした?もしかしたら両方かも知れないっすね。)
(去年の清澄の部長は地獄単騎だったはず、だけど今回は3枚全部残ってた。って事はもしかしたらあの人じゃないのかな?)
~観戦室~
「今のって、久の真似をしたのかな?」
「いや、違うわね。あれは多分、白糸台の弘世菫さんじゃないかしら?悪待ちというより、的を絞ってた感じがしたわ。」
「そういえば、あの人も、待ちを悪くしてましたね。」
「しかも、マホちゃんが3面張から単騎に切り替えた巡目で2ピンが余ったなんて、何かしてるとしか思えないでしょ。」
「そうか?そうとも限らないとは思うが。」
「まぁ、普通なら何もしてないとは思うけど、あの子の前だとそんな考えではいられないわよ。」
久達が話していると焦華が何かを思い出したような反応を示した。
「あっ、そういえばあの人どっかで見たことあると思ったら、氷華倒した人じゃん!」
「えっ!?冬室さんを!?嘘っ・・・」
「本当よ、南場になって高火力を連発してた冬室さんをマホちゃんが他家と協力して上手く抑えて勝ったのよ。」
「あの冬室さんが負けるなんて。」
「でも、あのコピーが全て必然だったとしたら、冬室さんよりも凄いのは納得よね。」
「・・・そうかも、しれないですね。」
~南三局~ 親:東横桃子
清澄 198200
風越 123700
鶴賀 48700
龍門渕 29400
(うわっ、あの人ってこんな事まで見えてたんですか!?ちょっとこれ、ズルすぎませんか?まぁでも、それを使えちゃうマホもズルいのかもですね。)
「あっ、それポンです。」
(清澄が發をポン?次は何をするつもりだ?)
「それもポンです!」
(2索をポン!?これってもしかして、妹尾さん!?)
(あっ・・・聴牌した。しかも、吉留先輩と全く同じだ。8索を切れば聴牌、でも吉留先輩は安心な方をと思って大三元に放銃した。なら、私はリーチをする!)
「リーチ!」
「ロン!緑一色。32000です。」
(なっ、さっきと同じパターンかと思ってたのに、今度は緑一色だなんて・・・)
(さっきと同じように打って、逆に降りづらい精神状態にしたのか・・・清澄の三人目、この子は一体何者なんだ?)
~南四局~ 親:国広一
清澄 230200
風越 91700
鶴賀 48700
龍門渕 29400
『なんと、先程の一撃で、清澄高校が完全に一人浮き状態。これは他の三校にとっては厳しいのではないでしょうか。』
『今の途中経過を見ると、先鋒での結果が嘘みたいだな。』
『確かにそうですね。』
~9巡目~
(清澄、何もしてこない?なら、この親番で連荘する!)
「リーチ!」
(龍門渕のリーチ、高い手が来る。)
(・・・)
「ツモ!リーチ一発ツモタンピンドラドラ。6000オール!」
『龍門渕高校国広一、二連続和了をしていた清澄を止めた!』
(よし、このままいくぞ!)
~南四局一本場~ 親:国広一
清澄 224200
風越 85700
龍門渕 47400
鶴賀 42700
~3巡目~
「リーチ!」
リーチを掛けたのは、一ではなく、マホだった。
(清澄!?3巡目とか、早すぎるだろ。)
(こんなんじゃ何を出せばいいのか分からないよ・・・)
「それです、ロン!メンタンピン一発、7700の一本場で8000です!」
文堂が一発で放銃した。
(一発掴まされてた!)
(私のステルスはもう発動してたのに、全然和了出来なかったっす。)
『ち、中堅前半戦終了。なんと、清澄の夢乃マホが凄まじい闘牌を見せ、完全に清澄の一人浮き状態!このまま清澄のペースで持ってかれてしまうのか!それとも他校が巻き返すのか!』
~中堅前半戦結果~
清澄 232200
風越 77700
龍門渕 47400
鶴賀 42700
前半戦が終わり、休憩時間になった直後、対局室のドアが開かれた。そこには氷華が立っていた。氷華は対局室の方へ向かっていった。
(うわっ、冬室さん、凄く怒ってる。なんて言われるのかな・・・)
「1年ぶりですね、夢乃マホ。」
(あっ、そうか、用があるのは夢乃マホさんか・・・そういえば、私には全く期待してないって言ってたしね。)
「お久しぶりです。冬室先輩。」
挨拶を交わすと、そのまま何も話さずに睨み合う。そこにいた3人は、この緊張状態のせいか、誰も身動きを取らず、ただ二人を見ている事しか出来なかった。
「夢乃マホ、個人戦では叩き潰す。」
「マホ、負けません!」
「まぁ、楽しみにしときます。」
氷華は、そう言って対局室から離れた。
休憩時間が終わり、後半戦が始まろうとしていた。
清澄と龍門渕の点数表記が間違っていたので修正しました。