咲-Saki-もし1年後に夢乃マホが飛び級して清澄高校に入学したら 作:神奈木直人
(風越は相当削れたけど、龍門渕を止められず、結局ラスなのは変わらずか・・・後半戦は頑張らんとな。)
(前半戦だけで100000点以上取られちゃった・・・このままじゃ、冬室さんが稼いだ点数が無くなっちゃう!)
~場決め結果~
東:風越
南:鶴賀
西:龍門渕
北:清澄
『さぁ、対局室に面子が出揃いました。次鋒後半戦、開始です!』
~東一局~ 親:吉留未春
風越 212700
龍門渕 70900
鶴賀 66200
清澄 50200
(まだ風越との点差は14万ちょっとある。あと何回か直撃すれば10万点差くらいにはなる。でも鶴賀の妹尾佳織、そして東横桃子。この二人は危ない。じゃあとりあえず鶴賀を落とす。)
佳織が捨てた牌を見ると、すかさず手牌を公開した。
「ロン。5200。」
(なっ、1巡前にわしが切っとったのに、直撃狙いか?)
(また直撃、なんでこんなに直撃ばっかりとれるの?)
(龍門渕の人にどんどん追い抜かれちゃうよ。どうしよう。)
~東二局~ 親:妹尾佳織
風越 212700
龍門渕 76100
鶴賀 61000
清澄 50200
(とりあえず2位にはなれた。なら鶴賀と清澄を引き離す!)
~9巡目~
「ツモ。タンヤオ三色ドラ2。2000・4000。」
(またっ、しかも今度はツモ和了りかい。さっきまではこっちに直撃されとらんかったから良かったけど、このままにはしとけんわ。)
『龍門渕の沢村選手、調子が良いですね。』
『完全に龍門渕のペースになってるな。このペースを崩さないと、次の親でやられるかもな。』
~東三局~ 親:沢村智紀
風越 210700
龍門渕 84100
鶴賀 57000
清澄 48200
~6巡目~
(似たようなシーンを見た事がある。また龍門渕に良い手がきてる気がする。)
まこが眼鏡を外した。
「チー。」
(えっ、さっき赤5を切ってたのに、喰い戻した?)
(清澄、不可解な鳴き。まさかずらされた?)
「ポン。」
(2副露、これは流石に降りる。)
~10巡目~
「ツモ。發混一で1000・2000。」
(ドラ残してれば約2倍の点数になったのに、どうしてそんな点数を下げるなんて事したの?)
『藤田プロ、今のはどういう事なんでしょうか?』
『龍門渕に流れを持ってかれているから鳴いてそれをずらした、と言った感じかな。』
『確かに、清澄の染谷選手が鳴いてから、龍門渕に有効牌が行ってませんでしたね。』
『それは偶然か、はたまた必然か。どちらにしても、これで龍門渕のペースは脱したな。』
~東四局~ 親:染谷まこ
風越 209700
龍門渕 82100
鶴賀 56000
清澄 52200
(このまま親で連荘出来りゃええんじゃけど、そう簡単にはいかせてくれなそうじゃ。)
(このままやられっぱなしじゃ終われない!ここは攻める!)
「リーチ。」
(風越のリーチ、この手牌じゃ鳴くことも出来んわ。)
(さっきの清澄の和了で私の流れが完全に消えてしまった。)
(来てっ!あっ、来た!)
「ツモ。リーチ一発ツモタンヤオで2000・3900です。」
(和了られた。しかも親被りじゃ。)
(風越にリードを許してしまった・・・)
~南一局~ 親:吉留未春
風越 217600
龍門渕 80100
鶴賀 54000
清澄 48300
~9巡目~
(このまま攻める!)
「リーチ!」
(またかい、調子付いとるな。)
(追撃される・・・)
「ツモ!リーチ一発ツモ混一で6000オール!」
(くっ、連荘させてしもうたわ。しかも高い。リードがまた広げられたわ。)
(まだ大丈夫、役満直撃じゃなきゃ飛ばない。ここは頑張って耐える。)
~南一局一本場~ 親:吉留未春
風越 235600
龍門渕 74100
鶴賀 48000
清澄 42300
(このまま風越のペースにする訳にゃいかんのう。じゃったら・・・)
「ポン。」
(清澄、ずらされた?折角一向聴だったのに。)
~7巡目~
「ポン。」
(またっ、これじゃあ、さっきの龍門渕みたいにやられちゃう。)
~9巡目~
「ツモ。混一対々、2100・4100じゃ。」
(速い・・・)
(一向聴だったのに全然追い付けなかった、というより有効牌が全然来なかった。やっぱりこの人手強い。)
(これで風越の親を流せた。でもまだまだここからじゃ!)
~南二局~ 親:妹尾佳織
風越 231500
龍門渕 72000
清澄 50600
鶴賀 45700
(鶴賀から逆転は出来たけど、役満でもされたら怖いのう。ここで安心はしとられんか。)
~6巡目~
(聴牌したわ。したのはええけどこの手、ダマで確実に和了っとくか?いや、ここは攻めの姿勢じゃ!)
「リーチ!」
(今度はリーチ?このまま和了らせる訳にはいかない!)
「ポン。」
(風越の、ずらしたか。じゃけど、そがぁなんされてもわしは和了る!)
~8巡目~
「ツモ。リーチツモ面前混一中ドラ1で3000・6000じゃ!」
(またやられたっ!どうしよう、残り二局しかない。しかも親番もない。だけど、少しでも稼がないと!)
~清澄高校控え室~
「よしっ!その調子です部長!」
「部長!凄いじぇ!」
「この調子で行けば、龍門渕にも逆転出来そうですね。」
「部長、頑張って下さい!」
~南三局~ 親:沢村智紀
風越 228500
龍門渕 69000
清澄 62600
鶴賀 39900
~観戦室~
「鶴賀の妹尾さん、最初は良かったけどもう厳しいんじゃない?」
「いや、むしろここからだと思うぞ。」
「えっ?」
「まぁ、見てみれば分かるさ。」
~対局室~
(ここまでは麻雀牌さんの力無しで耐えられました。ここからは一気に決めます!)
(妹尾さん、なんじゃこの威圧感は。)
(これは、衣に似た怖さ、危険!)
智紀とまこが佳織の異変に気付いた。
~6巡目~
(よし、これで・・・)
(鶴賀の妹尾さん、嫌な予感がする。)
(訳分からん捨て牌しよってからに!)
「ツモです。」
(なっ、それは・・・)
「字一色。8000・16000です。」
(副露無しの字一色!?じゃあこれ、四暗刻もついてダブル役満だ。)
(なんじゃこりゃあ、あんた、字牌も何枚か捨てとったじゃろ。それなのに字一色和了りよるんか!?)
(ラス転落。妹尾佳織、やはり異常・・・)
(このまま攻めます!)
『鶴賀学園の妹尾佳織、役満ツモで一気に2位浮上です。』
『妹尾佳織、3度の和了全てが役満だな。』
『これは凄い偶然ですよね。』
『そうだな。』
(打ち方を見てると、役満和了への道筋を誰かに教えて貰ってるみたいな節がある、それはなんだ?)
~南四局~ 親:染谷まこ
風越 220500
鶴賀 71900
清澄 54600
龍門渕 53000
~11巡目~
「リーチします!」
(リーチじゃと?ほいじゃったら・・・)
「ポン。」
(やっぱり、リーチ掛けたらポンしてくれました。お陰で筒子が来てくれそうです。)
「ツモです。九蓮宝燈。8000・16000です。」
(はぁ?純正九蓮宝燈じゃと!?)
(そんなっ・・・)
(これは規格外・・・)
『じ、次鋒戦終了!なんと、鶴賀学園の妹尾佳織がラスト二局で2連続役満和了!とんでもない事が起きてしまった!』
~次鋒戦結果~
風越 212500
鶴賀 103900
龍門渕 45000
清澄 38600
~観戦室~
「何、今の・・・」
「配牌で5枚しか筒子を持ってなかったのに、筒子の九蓮宝燈だなんて・・・」
「ワハハ、佳織凄いなー。」
(今の、南場の氷華なら防ぐ事も出来たのかな・・・)
~鶴賀学園控え室~
「うっわー、妹尾先輩凄いですね。」
「もうダメかと思ってたっすけど、まさかでしたっすね。」
「うむ、麻雀牌の力というのはあそこまでのものだったとはな。」
「この調子なら、風越女子高校に逆転出来そうですね。」
「任せて下さいっす!ステルスモードの私が連続で直撃して風越を落としてくるっすよ!」
「うむ、期待してる。」
「東横先輩頑張って下さいね!」
「任せるっすマッキー!必ず勝ってくるっすよ!」
~清澄高校控え室~
「ただいま、いやー、やっぱり敵は取れんかったわ。」
「そんな事ありません。結果的には、2万点のプラス収支じゃないですか、十分ですよ。」
「そうです!後はマホにお任せ下さいです!」
「マホちゃん、頑張ってね。」
「はい!」
「その前に、マホ。ほれ、頼まれてたタコスだ。」
「あ!ありがとうございます!須賀先輩。」
「おう、頑張れよ!」
「では、いってきます!」
~風越女子控え室~
「ただいま帰りました。」
「お帰りなさい、-96000先輩。」
(くっ、そんな言い方しなくても!でも本当の事だから何も言い返せない。)
「吉留!お前ふざけてんのか?」
(コーチ、やっぱり怒ってる。)
「コーチ!止めてください!未春んは、吉留は頑張りました!何度か直撃を喰らっても最後まで戦ってました!だから彼女を攻めないで下さい!」
「華菜ちゃん・・・」
「ちっ、文堂!吉留が取られた分、きっちり取り返してこいよ!」
(次は夢乃マホが出るからそれは無理だと思う。まぁ、私には関係無いから別にいいか。)
「は、はい!でも、冬室さんに勝ったっていう夢乃マホっていう人が出てくるんですよね?」
「大丈夫です。喩え相手が夢乃マホだからって20万を削れるほど強くは無いはずです。安心して負けて来て下さい。」
「負けて来てって、私は勝ちにいくよ?」
「勝ちにいっても負けにいってもどうせ負けるので関係無いです。これまで貴女方と対局してみて、夢乃マホに勝てない事は明白です。いくら頑張っても勝つ事はあり得ません。なので-96000なんていう面白い結果だけは残さないようにして負けて来て下さい。」
「さ、流石に言い過ぎだよ、冬室さん。」
未春が氷華に対して口を挟んだ。それを聞いた氷華は表情1つ変えずに未春を見た。
「-96000先輩に意見する権利なんてありませんよ?」
氷華の発言は、怒りに任せた暴言ではなく、冷静に言い放っている為、未春の心がその言葉によって強く抉られた。
「ちょっと氷華!それ以上未春んに酷い事言うな!未春んは頑張ってただろ!氷華もちゃんと見てただろ!」
「全ては結果です。途中でどれだけ頑張ってようと、-96000の事実は変わりません。少しは悔い改めて下さい、-96000先輩。」
「・・・華菜ちゃん、全部、全部私が悪いんだよ。ごめんなさい、冬室さん。私が悪かったです。」
「まぁ、団体戦は片時も勝てる気がしてなかったので別に怒って無いですけど。」
そして止めの一撃と言わんばかりにこの一言である。元から勝てる気はしていなかったという氷華の発言は、未春の心中に直接響いた。
「・・・っ!」
そして、我慢の限界に達した未春は黙って控え室を出た。すると直後、氷華の頬に痛みが走った。
「痛いです、池田先輩。」
「確かに未春んの結果は酷かったかもしれない、氷華の言ってる事は間違ってはいないよ。でもあそこまで言う必要無いだろ!氷華、どうしちゃったんだよ!これまではそんなに酷い事言ってなかっただろ?」
「貴女に私の何が分かるんですか?たった数ヶ月同じ部活にいただけで私の事を知った気になってるからそういう意味不明な事を言うんですよ。これが普段の私です。団体戦でモチベーションを下げない為にあえて口を開いてなかっただけです。」
「そうだったのか、氷華の事を知らないのに知ったかぶりして悪かったよ。でも、だったら尚更、どうして負けてショックな今それを言ったんだよ。」
「私の勝手じゃないですか。はぁ、うだうだ話すの疲れました。中堅戦でも見ましょう。」
「うーん、分かった。中堅戦見るし。」
言いたい事が山ほどあったが、今は中堅戦を見る方が先決だという判断で、池田は氷華に従った。
今、中堅戦の選手が出揃い、中堅戦が開始されようとしていた。
去年と同じメンバーだったからか、対局の内容が少し薄くなってしまいました。次からはそのような事が無いように頑張ります。