咲-Saki-もし1年後に夢乃マホが飛び級して清澄高校に入学したら 作:神奈木直人
観戦室で、久、美穂子、ゆみ、蒲原、焦華の5人が決勝戦を観戦していた。
「冬室さん、美穂子が言う程凄くないんじゃない?」
「いや、あれはあいつの実力の1割も出してないんじゃないか?」
「焦華さん、1割って、流石にそれは言い過ぎじゃない?」
「いや、冬室さんの本気は本当に強いわ。私がこの間風越に行った時に冬室さんと半荘3回したけれど、その内2回飛ばされてしまったもの。」
「えっ!?美穂子が飛ばされたの?そんなまさか。」
「本当よ、それにもう1回だって、飛びはしなかったけれど5000ちょっとしか残らなかったもの。」
「へぇ、そんなに強いんだ。後半戦楽しみね。」
5分間の休憩を終えて、後半戦が始まった。場決めの結果は前半戦と同じになった。
(前半戦と同じになったな。まぁ、珍しくはないか。)
『先鋒後半戦、開始です!』
~東一局~ 親:片岡優希
風越 111700
龍門渕 109000
清澄 95200
鶴賀 84100
~3巡目~
(聴牌・・・でもここはリーチをかけずに行くじょ。確実に和了っておきたいからな。)
『清澄高校の片岡選手、高めで跳満の手をダマテンです。』
(やっぱり東場はタコスチビの手が伸びてる。)
「チー。」
純が優希の出した牌をチーした。
(清澄の片岡優希の連荘だけは避けたい。龍門渕の井上純の捨て牌、ここなら鳴けるかな。)
「ポン。」
『風越女子冬室選手の今の捨て牌、どうして向聴を下げてまであんな牌を切ったんでしょうか。』
『もしかしたら、龍門渕の井上に鳴かせて清澄に和了らせないようにしたのかもな。』
『ということは、冬室選手は降りということでしょうか?』
『ま、そんな感じになるのかな。』
(風越の無表情女から鳴くのは抵抗があったけど、連荘されるわけにもいかねぇからな。)
(はぁ、流石に和了り牌がポンポン来てはくれないじぇ・・・)
純は優希が捨てた牌を見るやいなや手配を公開した。
「ロンだ!3900。」
(うぅ、この親番に何も出来なかったのは大きいじょ・・・)
~清澄高校控え室~
「優希ちゃんの親番が・・・」
「片岡先輩、大丈夫でしょうか。」
「こりゃあ、相当厳しい戦いになるかもしれんのぉ。」
(優希・・・!)
~東二局~ 親:井上純
龍門渕 112900
風越 111700
清澄 91300
鶴賀 84100
(逆転された。まぁ、元々2700点差だから当然と言われれば当然だが。とりあえず三校を平らにしておくか。)
「ポン。」
(風越が動き出した、俺も負けてられねぇ。)
「ポン。」
(2副露か、怖いな。)
『風越女子冬室選手、鳴きの清一聴牌です。』
『それはどうかな。』
「ポン。」
『あれ、清一聴牌を崩しましたよ。』
『でもこれでもう1枚入れば清一対々になるな。』
(えっ?3副露?こいつ、東場では安手じゃないのか?このままじゃ対々がついちゃうんじゃねぇか?)
「ポン。」
(風越の人、裸単騎だじょ。)
(対々確定じゃねぇか、しかも全部索子・・・どういうつもりだ?東場でも高火力を出すのか?なら索子は切れねぇ。じゃあこれだな。)
「ろ、ロン。タンヤオ三色ドラ2で8000です。」
和了ったのは氷華ではなく鶴賀の睦月だった。
(はっ?鶴賀に和了られた?ってことはもしかしてこの無表情女、鶴賀に和了らせる為に鳴いてたのか?自分は和了らずに俺を落とす為に鶴賀を利用したのか?あー、なんか去年もこんな事あったな。風越はそういう奴しかいねぇのか?)
(これで私がトップ。さぁ、ここからよ夢乃マホ。私は貴方なんかより優れているという事を証明してみせる。)
~東三局~ 親:冬室氷華
風越 111700
龍門渕 104900
鶴賀 92100
清澄 91300
~4巡目~
「ツモのみ。800オール。」
(くそっ、早い。)
~東三局一本場~ 親:冬室氷華
「ツモ。タンヤオのみ。900オール。」
~東三局二本場~ 親:冬室氷華
「ツモのみ。1000オール。」
『何という事でしょう。風越女子冬室選手、安手ではありますが3連続和了です。』
『さっきの対局では親番で和了していなかった。ということは今回、奴の本気が見れるかもしれないな。』
(なんだこれ!こいつ、和了るのは安手ばっかりだけど、6巡目までに確実に和了してやがる。付け入る隙がねぇ。)
(この安手和了りって、もしかして流す為じゃないのか?咲ちゃんみたいな和了り方されたら嫌だじょ・・・)
~東三局三本場~ 親:冬室氷華
風越 119800
龍門渕 102200
鶴賀 89400
清澄 88600
(くそっ、ジリジリと差を広げられてる。このままこいつに持っていかれる訳にはいかねぇ。)
~清澄高校控え室~
「風越の人、どんどん点差を広げてるよ・・・」
「さっきの、どうしてタンヤオと平和を捨ててツモのみで和了ったのか、私には理解できません。」
「もしかしたら、この安手には何か意味があるのかもしれんのぉ。」
「そんなの、あり得ませんよ。」
「ほうじゃといいんじゃけど。」
「優希ちゃん、頑張って!」
~対局室~
「ポン。」
(9ピンをポン?タンヤオもツモも出来ないぞ、としたら、チャンタか役牌バックか?じゃあ幺九牌を出さないようにすれば抑えられるかな。)
「カン。」
(加槓!?おい、まさか・・・)
「嶺上開花。1100オール。」
(マジかよ・・・)
(り、嶺上開花!?嘘っ、この人、ヤバすぎだじぇ・・・)
~清澄高校控え室~
「うわっ、嶺上開花・・・あの人、凄過ぎだよ。」
「そんな・・・」
「あの風越の先鋒は一体何者なんじゃ。」
「咲を意識してるんじゃねぇの?」
「もし咲さんを意識してたとしても嶺上開花なんて普通は出来ませんよ。」
(違う、多分冬室さんが意識しているのは私じゃなくてマホちゃんだ。マホちゃんの模倣を意識しているような気がする。)
(中学の時は東場を即流して南場で連荘してたはず、マホに負けたから戦い方を変えたのか?)
~東三局四本場~ 親:冬室氷華
風越 123100
龍門渕 101100
鶴賀 88300
清澄 87500
~6巡目~
「ポン。」
(また鳴いてきた。今度は何をしてくる気だ。)
~11巡目~
「チー。」
(2副露、食いタンかな?)
~13巡目~
「ポン。」
(また鳴かれた。そろそろヤバいな。)
~16巡目~
「ポン。」
(は?また裸単騎?何する気だよ。しかも今の9ピンポンでタンヤオが消えたぞ?しかももう流局しちまう、いや待て、まだ和了れる役があった。でもそんなまさか・・・)
「海底撈月。1200オール。」
(マジで海底で和了りやがった・・・何なんだこいつ。)
~龍門渕高校控え室~
「は、海底ですって!?」
龍門渕高校麻雀部の部長である龍門渕透華が驚きの声を上げる。それもそのはず、海底は龍門渕高校の大将、天江衣の得意技だからだ。
「もしかしてあの風越の人、人の打ち方を真似る事が出来るのかな?」
「そんなオカルトあり得ませんわっ!偶然!偶然に決まってますわ!」
「まあもし本当に衣みたいな打ち方を真似出来るのなら、そんな相手とは当たりたくないよね。」
「人の真似をしたとしても、海底で和了れる訳ありませんわ。」
「じゃあやっぱり偶然なのかな。」
「当然!あの手でわざわざ鳴いていくなんて、ただの初心者ですわ!」
(これまでの対局を見る限り、僕には初心者に見えないけどな、あの人。)
~風越女子控え室~
「冬室さん、どうしてタンヤオとかで和了らずに偶然役で和了っているのかな?」
「あれは・・・多分パフォーマンスだと思う。」
「えっ!?パフォーマンス?」
「うん、氷華は無表情だけど負けず嫌いなところがあってさ、去年の清澄の宮永咲と龍門渕の天江衣の牌譜を見て、劣等感を抱いたんだと思うんだ。」
「だからってそんな・・・」
「ま、和了れたからオッケーオッケー。」
「うん、そうだね。」
~東三局五本場~ 親:冬室氷華
風越 126700
龍門渕 99900
鶴賀 87100
清澄 86300
(なんだこの感じは、なんでこいつは東場でこんなに連荘してるんだ?しかもずっと安手ばかり、ここら辺で止めねぇとヤバい気がする。)
「ポン。」
「チー。」
(よし、張った。この際誰でも良い。こいつの連荘を止められれば何でもいい。だから誰か出してくれ!)
氷華が牌を引いて、ツモ切りする。
「ロンだ!2500。」
(まさか風越から取れるとは思ってなかった。まぁこれでやっと連荘が終わった。)
~東四局~ 親:津山睦月
風越 124200
龍門渕 102400
鶴賀 87100
清澄 86300
~2巡目~
「ツモのみ。500・800です。」
(2巡目にツモだと、リーチかけときゃ、ダブリー一発ツモで2000・3900の手だろうが。どうしてこいつは安手ばっかり和了るんだよ。)
『冬室選手はどうしてリーチをかけないのでしょうか。』
『私に聞くなよ、そんなの分からんよ。』
『えっ?』
『私には分からない。が、奴にとっては意味のある行動なのかもな。』
『そんなまさか。』
『ま、この半荘が終われば分かるだろうな。』
『そうですね。さて、東四局が終わり、南場に突入します。』
(風越の人にやられたまま、東場が、東場が終わっちゃったじょ・・・)
(さぁ、楽しい楽しい南場を始めましょうか。)
~南一局~ 親:片岡優希
風越 126000
龍門渕 101900
鶴賀 86300
清澄 85800
~6巡目~
(うぅ、やっぱり南場は手配が悪いじぇ・・・)
(くそっ、全然鳴けないし3向聴から全然進まねぇ。)
「ポン。」
(無表情女に鳴かせちまった。ダメだ、鳴けねぇ。)
(全然有効牌が来ないじょぉ!)
「ツモ。鳴きの清一色で2000・4000です。」
(おいおい、1副露で鳴き清一とか、鳴かなかったら跳満、リーチかけときゃ倍満じゃねぇかよ。なんでわざわざ鳴いていくんだ。もうこいつの全てが分からねぇ。)
~南二局~ 親:井上純
風越 134000
龍門渕 99900
鶴賀 84300
清澄 81800
~13巡目~
(じぇ、何これ。南場に入って手が遅れるのは良くある事だけど、3向聴からピクリとも動かないじょ。)
(何だこれ、また3向聴から動かねぇ。去年まではこんな事無かったよな。って事はやっぱりこの無表情女か・・・)
~観戦室~
「始まったか~、氷華の凍結が。」
「えっ?凍結?」
「ほら、氷華以外の3人の手牌、全員3向聴から固まったように動かなくなってるだろ。あれが氷華の凍結。去年の天江衣の1向聴地獄みたいな物だよ。」
「3向聴!?じゃあ冬室の妹は天江衣よりも強いじゃないか?」
「そっか、加治木は去年、天江衣と戦ったんだったね。まぁでも、天江衣と違って南場だけだけどね、凍結するのは。」
「南場だけでも十分過ぎるじゃないか。」
「ま、氷華は凍結だけじゃ終わらないけどね~。」
「えっ?凍結だけじゃないのか?」
「それは見てのお楽しみ~。」
~対局室~
氷華が牌を引く。その牌は、手牌の横に倒して置かれた。
「ツモ。断么清一色ツモ。4000・8000です。」
(倍満!?この人、前半戦とはまるで別人だじょ。)
(くそっ、こっちは全然手が進まないのにどんどん和了ってきやがる。しかもまた染め手。でもこの無表情女、全然出和了りしねぇから染めてようが染めてまいが関係ねぇよな・・・)
~南三局~ 親:冬室氷華
風越 150000
龍門渕 91900
鶴賀 80300
清澄 77800
~風越女子控え室~
「うわっ、冬室さん、丁度150000点だ。これって狙ったのかな?」
「氷華の事だからやりかねないかもな。ホント、氷華が味方で良かったよ。あんなのがもし清澄か龍門渕にでも入ってたら絶対勝てなかったって・・・」
(あいつ、また腑抜けた打ち方しやがって、後でみっちり言ってやる!)
~対局室~
「リーチ。」
『冬室選手、親番でダブルリーチだ!これは他の三校には大きなプレッシャーになるのではないでしょうか。』
(はぇっ!?ダブリー!?さっきまでリーチなんてかけて無かったのに、この感じはヤバいじょ・・・)
(鳴けないし配牌も悪い、このままじゃ、全部この女に持っていかれる!)
「ツモ。ダブリー一発ツモ。4000オール。」
(自風の東の単騎を一発で引くのかよ。こいつ、本当に何者なんだよ。)
(この人、咲ちゃんよりヤバいかもしれないじょ・・・)
~南三局一本場~ 親:冬室氷華
風越 162000
龍門渕 87900
鶴賀 76300
清澄 73800
「リーチ。」
(は?またダブリー?嘘だろ?)
(もしかしたら、これからもっとヤバいのが来るかもしれないじょ。)
(くそっ、やっぱり鳴けねぇ!また無表情女に和了られちまう。)
「ツモ。ダブリー一発ツモ一気通貫。6100オール。」
『な、なんと、二連続ダブリー一発ツモ!とんでもない事が起きてしまった!』
『な、何だこれ・・・』
(はぁ?何だよこれ、一巡目から一通聴牌って、おかしいだろ。)
~南三局二本場~ 親:冬室氷華
風越 180300
龍門渕 81800
鶴賀 70200
清澄 67700
「リーチ。」
(またっ・・・)
(おっ!鳴ける!)
「ポン!」
(よし、ずらせた!これで連続和了が終わる。)
(残念、ずらしたつもりなんだろうけど、私のこれは呪いみたいな物だからそんな事されても私の和了は揺るがない。)
「ツモ。ダブリーツモ清一色。8200オール。」
(ずらしても和了るのかよ!そんなの、もう打つ手無しじゃねぇか。はっ!もしかしてこの連続和了って、東場とリンクしてるのか!?思い出せ、奴は前半戦で、東二局と東四局に和了っていた。そして南場で和了ったのも南二局と南四局だ!そして今回、俺のこの仮説が正しいなら、この後更に2回和了られる!くそっ、やっとこいつの本当の力に気付けたっつーのにもう意味がねぇじゃねぇかよ!)
~観戦室~
「おいおい冬室、何なんだあの連続和了は。」
「あれこそ氷華の真骨頂、チャージだ。」
「チャージ?えっ、何それ。」
「東場での安手和了り、あれは南場での高打点をチャージしていたんだよ。ほら、前半戦で二局と四局で和了してたじゃん?その時も南場では満貫と跳満を和了してたでしょ?それが後半戦は東場に親番で5連続和了、そんでもって今、満貫、跳満、倍満と来てるから~?」
「まさか、次に三倍満と役満を和了するの!?」
「ま、見てれば分かるよ~。」
~南三局三本場~ 親:冬室氷華
風越 204900
龍門渕 73600
鶴賀 62000
清澄 59500
「リーチ。」
『冬室選手、またもやダブルリーチだ!』
『おいおい、この状況は何だ?完全に冬室氷華が卓を支配しているみたいじゃないか。』
(くそっ、やっぱり鳴けねぇ!)
「ツモ。ダブリー一発ツモタンヤオ清一。12300オール。」
(おいおい、嘘だろ?本当に三倍満和了りやがったぞ。)
(もう、辞めたいじょ・・・)
~南三局四本場~ 親:冬室氷華
風越 241800
龍門渕 61300
鶴賀 49700
清澄 47200
「リーチ。」
(鳴ける、でもどうする、鳴いても構わず和了って来るよな。でもそう簡単に13翻なんて作れねぇよな。一発を消せば少しでも点が少なくなるはず、ここは鳴いていく!)
「ポン。」
(井上純の考えている事が手に取るように分かる、確かに一発を消せば13翻は厳しいかもしれない。けれどこれだと翻数なんて関係無い。)
「ツモ。四暗刻。16400オール。」
(なっ、数え役満じゃねぇのかよ!やられたっ・・・)
~観戦室~
「本当に三倍満と役満を和了したわね・・・優希がトラウマにならなきゃいいけど。」
「やっぱり冬室さんは恐ろしいわね。」
「あと1年遅れて生まれてたらあんなのと戦わなきゃいけなかったのかー、ワハハ、それは嫌だな。」
「確かにあれは強すぎる。異常だ。」
(あーあ、氷華ボロ勝ちかー、闇堕ちも見たかったんだけどな~。ま、個人戦に期待だね。)
~南三局五本場~ 親:冬室氷華
風越 291000
龍門渕 44900
鶴賀 33300
清澄 30800
(うわっ、何も出来てないままこんなに点数減ってる・・・この後妹尾さんが出てくれるけれど、それでもこの点差は厳しいはず。ここが頑張り所だな。私なりに精一杯。)
~8巡目~
(5連続和了が終わったからダブリーはしてこなくなったけど、やっぱり3向聴から全然進まねぇ。このままじゃ、清澄か鶴賀が飛んで終わっちまう。それだけは防がねぇと。)
「り、リーチ!」
(鶴賀!?聴牌したのか?)
(私の凍結が効いてない?どういう事だ?)
(私はこれまで皆の足を引っ張ってきた。今も引っ張ってるだろうな。でも、このまま何もせずに終わらせる訳にはいかない!私は、あの憧れの加治木先輩が認めてくれた、鶴賀の部長なのだから!)
「ツモ!リーチ一発ツモ面前混一ダブ南で4500・8500!」
『鶴賀学園津山選手、ここにきて倍満ツモだ!これまで連荘していた冬室選手の親番を何とか抑えた。更に今の和了により、鶴賀学園は一気に2位に浮上しました。』
(私の凍結を破って更に和了られた!?鶴賀の津山睦月、この人の打ち方は至って普通だったはず、なのに今のこの人から感じるのは普通のオーラじゃない。南三局にこの和了り、姉さんみたいな感じなのかな?まぁでも、倍満で済んで良かった。誰も飛ばせなかったのは残念だけど。)
~観戦室~
「睦月!やるじゃないか!」
「ワハハ、やるなー。」
「まさか氷華の凍結を破って来るとはね。」
~鶴賀学園控え室~
「ムッちゃん先輩がやってくれたっす!」
「おぉ!睦月先輩すげー。」
「睦月ちゃん流石。」
「私は信じてました。部長なら大丈夫だと。」
「そんな事言って、一葉だってさっきまで終わったって顔してたじゃねーかよ。」
「そんな事はありません。私はずっと部長を信じてました。」
「いやいや、酷い顔してたっすよ?」
「東横先輩まで・・・」
「ま、まあまあ、睦月ちゃんを応援しようよ。」
「そうですね、まだ終わってないですからね。」
~南四局~ 親:津山睦月
風越 282500
鶴賀 50800
龍門渕 40400
清澄 26300
(オーラス・・・私の親番。そしてこの配牌。この親で、稼ぐ!)
(鶴賀の手、また高そうな感じがする・・・まぁ、もうそんな事関係無いけどね。この南四局は、チャージが発動するから。更にこの配牌。津山睦月が天和じゃなかった時点で私の勝ちは確定。そう、大地から授かりし和了り。)
「ツモ。地和。8000・16000。」
『な、なんと、風越女子冬室選手。オーラスでだめ押しの地和だ!』
(はぁ?地和だぁ?)
(そんな・・・あり得ないじょ・・・)
(親被りで16000マイナス・・・さっき取った点の殆どが持ってかれた。)
『先鋒戦終了です。風越女子が圧倒的かつ一方的に先鋒戦を制しました。このまま風越女子が勝ってしまうのか。』
「お疲れ様でした。」
「お、お疲れ。」
「うむ、お疲れ。」
「疲れたじょ・・・」
四人が対局室から退出する。先鋒戦が終了した。
~先鋒戦結果~
風越 314500
鶴賀 34800
龍門渕 32400
清澄 18300
冬室氷華の能力がよく分からなかったと思うのでまとめます。
・東場で6巡目以内に安手を和了する。
・『チャージ』東場で安手を和了した時、南場も同じ局の時に満貫以上を和了る。東場で2回以上和了すると、南場で和了する点数が、満貫→跳満→倍満のように上昇する。
・『凍結』南場になると、3向聴から手牌が進まなくなる。
・『闇堕ち』???