前話を読まないとわけがわかりません
前話を読んでいてもよくわかりません
作者のテンションの産物です
前回ともども書き方の実験中なので少しおかしいところがあるかもしれませんが、生温かい目で見守ってやってください
そういえばお気に入りが気づいたら100件超えていたんですよね
皆さん感謝感謝です!
これからもよろしくお願いします!
それでは本編をどうぞ!
「護堂君! こないだのあれどうだった!?」
期末テストも終わり、もうすぐ夏休みという最後の授業の日。
私は約束を守るために、護堂君に会いに来ていた。
「ああ、あれか? 燐音が何を思ってあれを書いたのかが全くわかんなかったよ。確かにあの日は妙に胸騒ぎがしたけど、結局何も起こらなかったから不思議には思ってたんだ。それでもあれはなァ」
「あれの何が悪いのさ! 的確にあの時起きたことを説明してあげたじゃん! 最後なんてめっちゃ綺麗に〆られてたでしょ? 感動ものだったでしょ!?」
「まァ、最後のたなばたさまのくだりは少しいいなァって思ったけど……あれ全部ほんとにあった話なんだよな? あんな混沌とした七夕、俺は過ごしたくないんだけど」
「全部ほんとだよー。わけわかんないよねー。私も理解できなかったもん。それでー、今日来た用事なんだけどね?」
「ああ、今日は何の用事で来たんだ? 厄介ごとは勘弁してくれよ? 俺は夏休みは平和に過ごすって決めてるんだ」
「うん、それはよーくわかってるよー。それが盛大なフラグだねっ、とか言わないでおいてあげるー」
「いや、言ってるじゃん……」
「まぁ護堂君の平和はおいておいてー、今回来たのはね? あれにも書いておいたけど、ミスコンの話をしてあげに来たんだ! 護堂君も男の子だからね、興味津々でしょ? 運営の人たちからビデオももらったから、あとで見せてあげるよ!」
「え、燐音ちょっと待つんだ。あの話マジだったのか!? おま、そんな話してるとこ万里谷に見つかったりしたら……」
「大丈夫だよっ! 祐理はもう家に帰ったから! さぁ、護堂君家にれっつごーだー!」
◆◆◆◆◆
やってきました、草薙家。
またお兄ちゃんが女の子を家に連れ込んでる、と静花ちゃんはご立腹だけど私はただの友達だからね? エリカとは違うんだよ?
むしろ友達を超えて同士という気がしないでもないけど、それにしたって護堂君の女扱いはやだな。私のほうが立場上だし。
とりあえず、護堂君の部屋へ。
「はァ……勢いに負けた」
なんだか護堂君が後ろで落ち込んでるけど、そんなの私の知ったことじゃないね!
というわけで語ってしんぜよう。
私たちのミスコンを!
さて、ビデオ流そうっと。
☆☆☆☆☆
『さぁ、今年も始まりました! 阿佐谷ミス七夕コンテスト! 今年も美女美少女揃いの、レベルの高い大会となっているぞ! 今年の織姫は誰だ!?』
テンションの高い実況。
私たちは今、ミスコンに参加している。
そもそもの原因としてはチンピラたちにナンパをされて、乙女さんがそれを全員ぶっ飛ばしちゃったのを、運営の人に見られてしまったからなんだけど……
なんでこうなったんだろうね? 黙っていてあげる代わりにミスコンを盛り上げてよ、ってどこぞの白い獣か。私たちもある意味魔法少女だけどさ。
とりあえず、そんなこんなでミスコンに参加することになった私たち6人。
確かに全員が全員、実況の通りに美女美少女ではある。
私だって自分の容姿が人並でないことくらいは理解している。
理解していなければこんなに色々とやらかしてはいないだろう。
決して自画自賛というわけではないのだよ。
まぁ、それはさておいてミスコンだ。
今から舞台に出てそれぞれの紹介を受けるのだが……何故かこの大会、私たち6人しか参加していない。
運営の人が、あんな騒ぎを起こした私たちを無罪放免にするのだから何かあると思えば、まさかの参加者0のピンチからの脱却だったというわけだ。
どおりでこっちのほうが悪いのに、あんなに必死に頼み込んできたわけだ。
そりゃ焦るよね……結果的には私たちが参加することになったんだし、いいんじゃない? みんなそれこそ一般的な美人以上の逸材ばっかだからねー。
『それでは参加者の皆さんを紹介させていただきます! 1番、乾燐音さん!
今回は港区からの参加です! その愛らしい笑顔で、男たちの心を鷲掴みにできるのか!?』
まずは私から。
今回のメンツの中で1位を取るのは難しいけれど、何事もトップを目指してこそだよね?
登場と同時に満面の笑顔でお客さんたちに手を振る。
その際にわざとらしさをなくして、自然っぽく、しかしあざとく振るのが技術っっ!
今回は織姫を決めるコンテストとのことなので、全員浴衣を借りて参加している。
私の浴衣は私の与えるイメージとは異なり、淡い藤色のものだ。所々に牡丹の花の模様があしらわれ、私の小柄な体躯を引き立ててくれる。
牡丹の花言葉も私にピッタリだし、どうだろう?
しかし、たれ目がちな私だから、笑顔になると周りには癒しを振りまく。私の知識はそう言っている。
いつも通りににへら、と笑顔を浮かべてあとの人の登場を待つ。
『2番、万里谷祐理さん! 乾さんとはお友達とのことです! そして、なんと彼女は巫女さんだそうです! その清楚さはまさに大和撫子! 彼女の所作に心奪われる方も多いことでしょう!』
祐理は巫女だと紹介されるのに、紹介されない私ェ。
まぁ、それは別にいいや。
祐理は落ち着いた渋い苔色の浴衣を着ている。模様はワラビを白く染め抜いている。確かに色合いとマッチしている良いセレクトなんだけど……なんでゼンマイじゃなくてワラビなんだろ? 謎は深まるばかりだ。
彼女は観客のあまりの多さに驚いているのか、動きがかなりぎこちないが、参加することになったんだから、と頑張って笑顔を浮かべて控えめに胸元で手を振っている。
その笑顔が引き攣っていても、祐理ほどの美人さんとなれば男たちのテンションはうなぎのぼりだ。騒いでやがる。
私の時は生暖かい目を向けやがってたくせに……これは激おこぷんぷん丸ですな。
『続きまして、3番! こちらは万里谷祐理さんの妹さん、万里谷ひかりさんです! 彼女はまだ小学生ですが、お姉さんに連れられ参加したとのことです!
まだ幼いながらも将来美人になること間違いない器量よし! みなさん彼女を応援ください!』
ひかりは、祐理に比べると幾分リラックスした表情だ。
祐理が固まりすぎているというのもあるけれど……全く祐理ったら、護堂君に初めて会った時の方が緊張してないって、一体どういうことなの?
さて、ひかりの浴衣は明るい浅黄色だ。彼女の活発で幼さを感じさせる、イメージに合ったいい選択だ。私たちの浴衣を選んでくれたあのお姉さん……やはりただものではなかったか。浅黄色を水風船がカラフルに彩る様は、子供っぽいところはあるにしても確かにひかりにピッタリだった。
当のひかりは無邪気に笑顔を浮かべている。
その様子は女性陣にも結構ウケているようだ。
さて、人間と言えるのはここまで。
ここから先の3人は人間を超えた存在だ。
当然そういう存在であるからして、彼女たちの美貌は一般の美人とは一線を画している。
私たちもなかなかのものであっても、彼女たちはそれをたやすく超えていく。
まぁ、登場してからの観客たちの反応ですべてがわかるだろう。
『お次は4番、乾わらしさん! 彼女は乾燐音さんの妹さんとのことです! 万里谷祐理さんとは違った意味で和を醸し出す美少女ですね! 多分今回の参加者の中で一番和装が似合っていると言えるでしょう!』
にこりともせず舞台に出てきたわらしは、真っ赤な地に白いトンボの柄の浴衣を着ている。
その人形じみた美しさは、それ自体が和の体現だった。
観客たちも騒ぐことすら忘れてわらしに見入っている。
ほんとに軽くだが、みんな化粧をしているのでいつもと少し違って見える。
でもわらしはいつどんな時でも可愛い! 今だって恥ずかしくて仕方ないのを、必死に我慢しているのが私には理解できる! わらしったら人見知りだからね!
『さて、今回実は1グループの6人の方々に参加していただいています! 全員がレベルの高すぎる美人なこのグループ! こんな集団そうそういやしません! 皆さんにはこの6人の中から、今年の織姫を決めていただくことになるのです! さぁどんどん行きましょう! 5番手は乾アテナさん! 彼女も乾燐音さんの妹さんとのことです! どうやら込み入った事情がおありのようで、髪色が違うそうですが姉妹だそうです! 美人3姉妹とは素晴らしい!』
アテナの番だ。
彼女は常のごとく、その無駄に自信に満ちた笑みを浮かべたまま登場してきた。
口角を上げたその笑い方は、どこか皮肉っぽく、こちらを見下しているようにも見て取れなくはないのだが、その圧倒的なカリスマ故かただただ尊大なまでの自信だけが窺えるのだ。
薄い水色の浴衣を着ているアテナだが、異国の服装なくせにその着こなしをしっかりと自分のものにしている。
水色に幾何学模様だけという至ってシンプルなものだからこそ、その銀髪に映えるのかもしれない。
彼女もまた、そのオーラで観客の目を惹きつけている。
『さぁ、彼女で最後だ! 6番! アイラ・ヴァンフ・ファルキルさん! その見事なプロポーション! 透けるような白い肌! これが北欧美人だ! 皆さん存分に見蕩れるといいでしょう!』
乙女さんの登場。
乙女さんの名前がわからないからすごい適当な偽名をつけてあげた。
白い戦乙女のアイラさんだ。北欧の人の名前を考えるのなんて初めてだから出来栄えもわからないよ……ただ、おかげで乙女さんも参加することができた。
適当でもいいんじゃないかな?
彼女は真っ白な浴衣を着ている。金の線が流れるだけのこれまたシンプルなデザインだ。
ただそのシンプルさはやはりその金髪を映えさせ、その美貌をより強調する。
まさに純白の乙女だ。
『さて! これで参加者全員が揃いました! ここから先はアピールタイムとパフォーマンスタイムが設けられています!』
さぁ、ここからが本番。
ここまでは所詮つかみに過ぎないのだから。
『まずはアピールタイム! 彼女たち自身に自分のことを売り込んでいただきましょう! 1番手の乾燐音さんからよろしくお願いします!』
「はーい、どうもご紹介に預かりました乾燐音です。数え年で17歳、身長140cm、体重は秘密、好きなことは話を読むことです。こんななりですが、高校生です。皆さん小学生だと思っていませんでしたかー? 司会の人もちゃんと祐理の友達だって言ってたんだから、勘違いはメッですよ?」
私が自己紹介をした途端、会場がざわめいた。
誰も私が17歳だとは思っていなかったらしい。若く見られるのはいいことだにゃあ。
今更だけど、私は世間一般で言うところのエターナルロリータってやつになる。
……11歳でカンピオーネになって以来、体が全く成長しないんだよねー。140cmにはなったけど。なったけどね!
当時ですら平均以下だった身長……今となってはひかりにすら抜かれてしまった……幸い、身長以外の発育は良かったからいいんだけどね? でもロリ巨乳、てめぇはダメだ。
結構キャラを作って挨拶をしたせいか、隣で祐理が変な顔をしている。
なにさ、その、え? この娘どうしちゃったの? みたいな視線は……確かに私も少しやりすぎたかなー、とは思ったけどさぁ、インパクトは大事じゃん? あとの5人に容姿で圧勝するのは無理なのわかってるんだから、こういうところで印象づけていかないと。
そのあとのアピールタイムは至極穏当に進んでいった。
祐理がガッチガチに緊張して噛み噛みの挨拶をするのを、蕩けた目で見る男たちの多いこと多いこと……そしてひかりの無邪気すぎる挨拶。あれは子供にしかできない元気さに溢れていた。
それより、わらしが一言だけ「わらし」としか言わなかった時にはどうなることかと思ったけれど、そういう娘だと観客の人たちも理解してくれたらしい。歓声を上げていた。
アテナは相変わらず尊大だったし、乙女さんも何を言っていいのかわからないみたいだったから、無難な挨拶だけにとどまった。
予定調和というやつだね。
そして、パフォーマンスタイムがやってくる。
『さぁ! ここからが本番です! ここまでは所詮前座、ここで勝負が決まると言っても過言ではない! それぞれがそれぞれの魅力を持った今回の6人ですが、彼女たちは一体私たちに何を見せてくれるのか!? まずは1番の乾燐音さんからです!』
私のパフォーマンスはもちろん歌!
祐理とひかりはさて置くにして、わらしとアテナの二人は迷いなく自分にまつわる何かを使ってくるとわかっている。乙女さんも剣舞くらい披露してもおかしくはない。
そんなのに対峙するなら、やっぱり権能くらい使わないとね?
舞台袖から竪琴を持ってきてもらう。
「さて、拙いながら一曲奏でさせていただきます。曲名は『星に願いを』。それではお聴きください」
七夕の夜だしね? やっぱり星に願いごとをかける日なんだからこれだよね?
でも、なんだか電波が「歌詞を載せるんじゃない」、と言ってくるのでさっさと次に行こうか。
あ、ちなみにお客さんたちは私の美声に聞き惚れていました。
むしろ聴き惚れてない人がいたら逆に目立つだろうねー。さすがに権能で歌の上手さはトップレベルまで上がってるし。
さて、次は祐理の番だったのだが、彼女は神楽舞をすることにしたようだ。
まぁ巫女さんだって紹介受けたし、祐理が踊るのであれば実際に呪術的にも効果はあるんだけどね。
お客さんたちの穢れでも払ってあげるのかな? 優しいねぇ。
ただ、そうするとひかりは何をするんだろ? 彼女の特技って聞いたことない気がするんだけど。
と、心配を他所に彼女は手品をしてみせた。帽子の中から鳩出すやつ。
確かにすごい……かもしれない……いや、思いっきり呪術使ってるのわかってるからさ……うん、いいんだけどね……精一杯だったんだろうね……頑張れ、ひかり。
わらしは予想と違ってけん玉をしてみせた。
でもさすが和の申し子、なんだか違う気もするけど大技を連発しまくって会場を沸かせていた。
後ろの人たち残念! まずお目にかかれないような大技もあったのに。
とりあえず、一生懸命失敗しないように頑張るわらしは可愛かったです。
あんなに必死になっちゃって……愛いやつめ。傍から見たら無表情ですけど。
アテナは舞台裏から長い木の棒を借りてくると、それで流麗な槍の型の演舞を始めた。浴衣を着ているためか、その動きは槍というより薙刀のそれに近かった気もするけど、とても雄々しく美しかった。
そして、最後は乙女さんだ。
乙女さんは前に一歩踏み出し、何を思ったのか頭の上に林檎を乗せた。
その瞬間、観客席の方から弓矢がその林檎を射抜いた。
……は? お客さんも誰もかも、乙女さん以外の全員が頭の上にクエスチョンマークを乗っけている。
でも、今の射がすごいということはわかったのか、観客たちはすぐに盛り上がる。
正直私たちは、今のが彼女の正体を探る鍵だとはわかったのだが、どうつながっていくのがさっぱりわからない。
え? ていうか今の何? なんで矢が飛んでくるのさ。
なんだか嫌な予感がするけど……とりあえずパフォーマンスタイムはこれで終了のようだ。
これよりあとは、結果発表しか残っていない。
集計の間、少しだけ休憩が取れるらしい。そこで乙女さんの正体について祐理たちと話し合おう。
「さて、さっぱりわからん」
「ですね……彼女は一体何者なんでしょうか?」
「妾もわからないな」
「うーん、ワルキューレさん?」
「……?」
控え室で乙女さん以外の5人で頭を付き合わせて考えているが、一番知識のある私が思い至っていないのに、5人いてもたどり着けるわけがなかった。
仕方ないから6人でおしゃべりをして暇を潰すことになったのだが、乙女さんが言うことには、彼女は甘味というものに惹かれているらしい。
道中所々で見かけたそれがとても魅力的だったそうだ。
散々焼きそばだのたこ焼きだの食べてきたけれど、次はきちんとした甘味処に行くのも風流でいいかもしれない。
天の川を眺めながら水ようかんでもぱくつくのは、最大の贅沢だろう。
私だけじゃなく全員の頬が緩んでいる。
よし、あとで行こう。決定だ。
『さぁ! まさに今結果が出ました! 6人に今一度登場願いましょう!』
そこまで考えたところでお呼びがかかる。
さぁ、行こう。私たちの舞台へ!
☆☆☆☆☆
「というわけでしたー。どうだった? 私たちすっごく可愛かったでしょー?」
途中で私たちがいなくなって観客動揺という一幕があったりもしたけど、概ね順調に進んだミスコンは、乙女さんの優勝という結果で幕を閉じた。
映像は私たちが消えた直後までと、帰ってきてからのものがあったけど、今回重要なのは、私たちがいかに可愛いかということを護堂君に説明することが目的だったから、消える前までの映像だけで十分だった。
あー、護堂君とエリカも呼べばよかったなぁ。
身内だけで七夕まつりに突撃だー、とかやったからエリカがミスコンに参加できなかったよ。
エリカなら浴衣着てもすごい映えたんだろうなぁ。髪をアップにまとめてさ、項がすっごい白いの。浴衣も多分真っ赤なやつ着るんだよ? 私にはわかる。
でもエリカは護堂君のものだから手は出さないのー。
私はどっかの女好きとは違って、他人の女の子には手を出さないのさ。一緒にしないで欲しいね。
それとさ、今映像を見ていて思ったんだけど、乙女さんが優勝したのってもしかして、織姫であることが物語に巻き込まれていてもオーラとして漏れてて観客たちに影響でも与えたんじゃないかな?
仮説に過ぎないけど、織姫を決めるコンテストだからねぇ。
もともと私たちに勝ち目はなかったことね。理解理解。
これならエリカを呼んでいても順位は変わってもトップは変わらなかったかな。
「ああ、可愛かった。可愛かったことはよくわかったから、お願いだからそろそろ終わりにしてくれないか? 俺はもう疲れたよ……」
ん? 護堂君がすごい遠い目をしている。
なんでだろう? ビデオと一緒にすごい丁寧に解説してあげたのに、何が不満だったんだろ?
まさか、私たちが可愛くなかった、なんて口が裂けても言わないはず。
心の奥底で思っててそれを偽ってるって風でもないし……なんでだろうねぇ? 不思議なことだらけだねぇ?
「燐音……お前確信犯だろ。もういいよ……今日は好きにしてくれ、付き合うから。だから夏休みは平和に過ごさせてくれよ……」
「うーん、私の方から積極的に関わりに行くことは少ないかなぁ、多分。私たち夏休みは海外に行くつもりだし!」
「燐音たちも海外に行くのか? エリカには秘密にしておいて欲しいけど、実は俺も海外に行くことにしてるんだ。今回は海外を堪能できるといいなァ。海外に行くたびにひどい目にあってきたからな……」
「海外ねぇ、私からするとここ数年は海外にいた時間の方が長かったからなぁ。いいことも悪いこともあったよ。神様に出会うこともあったけど、いい人たちに出会えることもあった。旅することはやっぱ偉大だよ。護堂君も今回の海外旅行でいいことあるといいねぇ」
「だなァ。あ、もうこんな時間か。燐音は晩飯食っていくか? 食っていくなら用意するけど」
「おー、それならお言葉に甘えさせていただこうかなー。護堂君のご飯おいしいからねー」
「了解、それじゃあ漫画でも読んで暇つぶししててくれ。俺は晩飯作ってくるから」
そう言って護堂君は台所へ向かっていった。
フフフフフ……いいのかい? 私を部屋に一人にしてしまって……期待に応えてえっちな本を持っていないか、ガサ入れしてやる!
きちんとえっちな漫画を読んで暇を潰すから安心して!
まぁ持ってなくても、私が持ってきたエロ本を部屋の中に隠してあったていで、静花ちゃんに見せに行くんだけどね!
セクハラは伝統だよ!
ガサ入れをしながら考える。
護堂君も夏休みが平和に過ごせるわけがないって気づけばいいのになぁ。
エリカがなんの手も打たずに国外逃亡を許すと本気で思ってるのかな?
思ってるとしたら、その甘い考え方を直したほうがいいと思うけど……
まぁ、それが彼の持ち味だしいいのかな? いいことにしよう。
自己完結した私は、早速静花ちゃんにセクハラするべく、部屋で見つけ出したエロ本片手に居間へと向かったのだった。
……やっぱりエロ本持ってたじゃん、護堂君のえっち。
いかがだったでしょうか?
感想批評評価批判文句質問疑問指摘、荒らし以外の全てを歓迎しております
それでは皆さん良い七夕を!