ぶらぼフレンズ   作:とけるキャラメル

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???   ???おねえさん(???)


だから奴らに呪いの声を

赤子の赤子、ずっと先の赤子まで


ばんがいへん ふるいかりゅうどたち
かりゅうどのあくむ


 珍しいものを拾ったとサーバルちゃんがはしゃぐので見にいけば、彼女が差し出したのはとろけた目玉だった。そんなものこのヤーナムでは珍しくも何ともないだろう、ぼくはなぜか石ころを思い出しながらそう言えば、そんなことないよ、目玉だけで落ちているのはかなり珍しいよと返された。そんなことを言われたものだから、ぼくは思わず納得しそうになる。気を取り直してそんな不衛生なもの捨ててしまいたまえよ、そう言おうとした刹那、眼前に宇宙が広がり、サーバルちゃんの体が宙に浮き上がった。アメンドーズの仕業だ。話し込んでいる内に奴のすぐそばまで歩いてきてしまったのだ。しくじった、サーバルちゃんは扁桃石を持っていない。ぼくが拾ったものを共用していたから、今サーバルちゃんの身を守るものは何もない。ぼくはすぐに彼女を救出する前に、念のため鎮静剤を取り出す。獣性が高いからそう簡単には発狂しないだろう、サーバルちゃんの啓蒙の低さを信じつつ、鉈を握りしめ彼女を掴む6本指の手に飛びかかった。しかし無情にも血が噴き出し、サーバルちゃんは赤く染まった。絶句するぼくは彼女に触れると、血の温かさを感じながら意識を失った。

 

 

 

 目を覚ますと、そこはオドン教会の中だった。しかし、何だろう。うまく言葉にできない、異様な危機感がぼくの勘をざわつかせる。

はっとして辺りに目を向ければ、少し離れたところにサーバルちゃんが倒れていた。急いで駆け寄り、呼吸を確認する。結論から言えば彼女は生きており、特に異常はみられなかった。ともかくこのままではまずい、サーバルちゃんを起こすべく声をかけると食べないでぇ!!などとふざけるから、ぼくも悪乗りして食べないよ!!と返してやった。ぼくらは顔を見合わせると、ややあって、高らかに笑い合った。

 

 互いの無事を喜びつつも、ぼくは助けが間に合わなかったことを謝罪した。生きていたからへーき!とサーバルちゃんは笑うも、最悪の事態になっていたらと思うとぼくはぞっとしない。萎縮するぼくを気遣ったのか、サーバルちゃんは見覚えがあるけどなんかちがうところだね、せっかくだから探検しようよと話題を切り替える。ぼくはその意見に同意すると装備を確認した。ここは未知の地方だ。調べてみる必要があり、用心はいくらしても足りない。それにここはどこか、ヤーナムとは雰囲気が違う。もっといえば、狩人の夢や、悪夢の辺境に近いそんな印象を感じた。推察もほどほどにして、ぼくたちは外へと歩みを進めた。




あくむのきょうかい   しもんおにいさん(かりゅうどのあくむ)


…あんた、まともな狩人かね?もしかして、迷い込んだのかね?
よかった、俺も同じだ
ここは狩人の悪夢。血に酔った狩人が、最後に囚われる場所さ

あんたも見たろう?まるでフレンズのように、さまよう狩人たちを
あんなものが行く末だなんて、憐れなものさ…
だからあんた、悪いことは言わない、囚われないうちに戻りたまえよ
…それともなにか、悪夢に興味があるのかね?

…ほう、それはそれは…
悪夢の内に秘密を感じ、それを知らずにいられない…
あんたもう、ジャパリ図書館の立派な末裔というわけだ
そういう狩人なら、この悪夢は甘露にもなる

だが、注意することだな。秘密には、常に隠す者がいる
…それが恥なら、尚更というものさ



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