そして別の場所では、1人の男がある場所へ向かっていた。
???「距離はまだあるな。急がねばならない。」
この男は一体何者なのだろうか。
ある朝、櫂と悠里が佐倉先生の鍵を使って職員室の教員の机の引き出しを探っていた。しかし合う鍵穴が何処にも無かった。
櫂「ここの鍵でも無えな。」
悠里「一体何処なのかしら?」
由紀「待て待てーー!!」
廊下から声が聞こえた。由紀だった。藻まみれの長靴を履いたまま何かを追っていた。追っていたのは太郎丸だった。太郎丸も藻でドロドロになっていた。
由紀「ふっふっふ!どうやらここまでのようだね!太郎丸君!観念なさい!」
すると太郎丸が大ジャンプした。そして由紀の顔にべちゃっと乗っかった。
由紀「ぐああああ!!!」
しかし由紀が振り払った為また追い掛ける羽目になった。太郎丸が全速力で逃げ、由紀が全速力で追い掛ける。
由紀「ケシャーーーーー!!!」
すると目の前に櫂と悠里が職員室から出て来た。
悠里「もう2人共。廊下を走っちゃ、めっ!でしょ?」
恐ろしい形相で由紀と太郎丸を叱る。櫂は密かに引いた。
櫂(悠里、お前怖えよ・・・)
由紀「隙あり!」
震えてる太郎丸を確保した。
由紀「やっと捕まえた〜。」
悠里「随分汚れてるわね。どうしたの?」
由紀「気付いたら、太郎丸首輪抜けしちゃって。探したら屋上の池で泳いでたの。」
悠里「池?ああ貯水槽の事ね。」
櫂「彼処結構藻が増殖してただろ?」
由紀「だから洗おうと思ったんだけど・・・」
櫂「それでまた鬼ごっこしてこうなってしまったって訳か。」
由紀「うん・・・」
太郎丸「ワウン・・・」
由紀「ごめんなさい・・・」
悠里「仕方無いわね。廊下は私と櫂君がやっておくから、由紀ちゃんは太郎丸を洗って来て?」
櫂「早く洗わねえと藻が疼くぞ?」
由紀「うん!分かった!もう太郎丸のせいで廊下が汚れちゃったんだぞ?」
そう言ってシャワー室へ向かう。
悠里「あ!」
櫂「な!」
しかし藻だらけの長靴を履いて歩いてるお陰で汚れが余計増えてしまった。
悠里「由紀ちゃん・・・」
櫂「おい由紀・・・」
由紀「ん?あ!しまった!長靴のままだった!」
櫂と悠里が怖い形相で叱った。
その後櫂と悠里が廊下をモップで掃除する事になった。
悠里「汚れが多いわね。」
櫂「ふぇ〜、彼奴らのお陰でこんなに汚れちまった。学校が掃除してくれって泣いてやがるな。」
佐倉先生「どうしたの?この汚れ。」
櫂「ああ先生。由紀と太郎丸が仕掛けた汚れです。」
佐倉先生「え?」
その頃由紀と太郎丸はシャワー室に移動した。由紀が太郎丸を洗う。
由紀「お湯加減はどうですか?」
太郎丸「クゥ〜ン。」
由紀「ジッとしててね?そしたらすぐ終わるから。」
お湯が入った桶をひっくり返して太郎丸を洗い流す。濡れた太郎丸が首をプルプルして振り払う。
由紀「わ!ああちょっと!もうすぐだから!」
胡桃「おいおい、ずぶ濡れじゃねえか。」
そこに胡桃が様子を見に来た。
由紀「あ!胡桃ちゃん!」
胡桃「私も手伝おうか?」
由紀「あ、ありがとう・・・はっ!!」
しかし胡桃が持ってるシャベルを見て察した。
由紀「ううんううん!い、いいよ!これは私の仕事だもん!」
胡桃「そっか。」
そう言って服を脱ぎに行く。すると太郎丸がまた暴れ出した。
由紀「もう今お前の大ピンチを助けてあげたの分かってる!?」
太郎丸「ワン!ワン!」
由紀「この恩知らずめー!!」
太郎丸はまだ暴れる。
由紀「また顔に乗っかるなー!胡桃ちゃん!ごみん!やっぱりちょっと手伝って!」
胡桃「よっしゃ任せろ!」
由紀「あ!でもシャベルは置いといて!」
胡桃「ええ〜?」
残念がる胡桃だが、下着姿になって助けに来た。
胡桃「よし!何すれば良い?」
由紀「抑えててくれる?」
胡桃「OK!」
頼みを聞いて太郎丸を逃さないように抑える。その間に由紀が服とスカートを脱いで下着姿になった。
由紀「さぁ!第2ラウンドだよ〜?」
太郎丸「ワウーーン!!」
その後やっと太郎丸を洗い終えた。由紀と胡桃の服は屋上に干した。胡桃は体操着に着替えて外の風に煽られてる。悠里がドライヤーで太郎丸を乾かす。
櫂「太郎丸気持ち良さそうだな。」
由紀「ちょ!みーくん!待って待って!」
当の由紀は美紀に髪を拭いて貰ってる。しかし由紀は落ち着きが無い様子。
美紀「ジッとしてて下さい。そうしたらすぐに終わります。」
由紀「そ、そかも知んないけど・・・みーくん、もっと緩〜く緩〜く。」
美紀「しっかり拭いて置かないと風邪引きます。」
圭「美紀は相変わらずだね。」
由紀「ドライヤー使おうよ〜!」
美紀「今太郎丸が使ってます。」
由紀「え〜〜!」
櫂「にしても掃除疲れたな〜。」
佐倉先生「お疲れ様市川君。」
その日の夕方。太郎丸が由紀の帽子を取った。
胡桃「こら太郎丸?ダメだぞ?由紀の帽子に悪戯しちゃ。」
太郎丸「クゥ〜ン。」
櫂「太郎丸。お預け。」
太郎丸「ワン!」
お預けと言われて太郎丸が帽子を離した。
由紀「あ!ありがとう胡桃ちゃん!かい君!」
胡桃「こんなに汚いの食べたら腹壊すぞ!」
櫂「バイキンが入るぞ!」
太郎丸「ワン!」
由紀「胡桃ちゃん!?かい君!?もー洗濯したし汚くないもん!」
悠里「でも早く洗濯物乾いてて良かったね。」
佐倉先生「今日は天気が良かったから良いじゃない。」
由紀「うん!今日はお日様カンカンだからね〜!」
胡桃「その代わり暑いけどな〜。」
由紀「え?そうかな?」
櫂「俺は暑い天気好きだけどな〜。」
圭「好きなんですか?櫂先輩。」
櫂「ああ。夏大好き男だ。」
美紀が由紀をジッと見てる。
由紀「ん?どうしたのみーくん?」
美紀「え?先輩だらしないです!」
由紀「え?」
美紀「恥ずかしい格好してないで早く服に着替えて下さい!櫂先輩が見てますから。」
櫂「え!?」
由紀「はーい!ありがとー。」
櫂「俺って除け者扱い?」
圭「ああ、大丈夫ですか?」
美紀「先輩、何時までもこんな事じゃダメです。先輩達だって来年には卒業でしょ?」
由紀「大丈夫!明日には明日の風が吹くよー!」
美紀「先輩・・・今日やれる事は今日やらなきゃダメです!」
櫂「おお!美紀さんが先生らしくなったな。」
美紀「折角この学校には色々設備が整ってるんですよ!?今の内にそれをきちんと活かさないと!」
櫂「美紀さんが佐倉先生みたいになってきたな。」
佐倉先生「私そんなだったかしら?」
美紀「将来の為に!」
悠里「あ。」
美紀「卒業までに出来る事も、卒業まで準備しなくちゃいけない事も沢山あるんですから。しっかりしましょ?」
圭「確かに美紀の言う通りです!」
胡桃「そうだよな。確かに準備出来る事は沢山あるよな。勉強もしなきゃだし。」
由紀「う〜ん・・・取り敢えずはめぐねえに相談かな?」
佐倉先生「そうね。難しかったら私に相談してね?」
由紀「うん!」
美紀「先輩は進学するんですか?」
由紀「う〜ん、最近は就職が良いかな?って。だってテストとか受けなくて済むでしょ?」
佐倉先生「由紀ちゃん・・・それだけの為に・・・?」
胡桃「就職試験とかあるな。」
櫂「後面接も。」
由紀「え?」
美紀「大変らしいですね。就職活動。」
由紀「え!?やっぱりずっと高校生で居よっかな?」
美紀「やっぱりダメ人間ですね。」
圭「それだと留年になりますよ先輩?」
由紀「よし!みーくんとけいちゃんの同級生になってあげる!」
圭「それだとクラスが楽しくなりそうだね!」
美紀「結構です。」
胡桃「進学か就職か・・・なあ、りーさんはどうするんだ?」
悠里「え!?そんな何を言って・・・胡桃こそどうなの?」
胡桃「う〜ん、就職が良いな〜。」
由紀「あ!やっぱり就職って言ったらシャベル君と一緒の所?」
櫂「工事現場か。」
胡桃「発想が安直過ぎるわ!!」
悠里「不景気だと逆に女性は募集が少ないそうよ?」
佐倉先生「そうね。」
胡桃「だーかーらー!!他にもあるだろ!?え、永久就職して・・・お、お嫁さんとか・・・」
由紀「お嫁さん?シャベル君と?」
胡桃「だから何でそうなるんだよ!!!」
圭「櫂先輩は就職か進学かどっちが良いんですか?」
櫂「俺か?そうだな・・・就職かな。」
由紀「あ!拳銃と一緒に就職するのかな?」
櫂「強盗かよ!!それ就職じゃなくて犯罪だろ!!刑務所に行かせんな!!先生どう思います!?俺の事!」
佐倉先生「う〜ん・・・市川君らしくて良いかも知れないわね。」
櫂「ガーン・・・」
悠里「美紀さんと圭さんはどうしたい?」
美紀「将来ですか?」
圭「私達もですか?」
悠里が無言で頷く。
美紀「まだ、漠然として確かな事なんて何も言えないですけど・・・」
圭「私もまだ2年生ですし、そんなにはっきりとは・・・」
悠里「・・・そうね。皆で何時か。」
すると悠里はあの事を思い出した。
佐倉先生『部活!それは良いアイデアね!部活にしましょう!』
悠里『はい!ただ過ごすより目的があった方が針が出ると思うんです。』
佐倉先生『ええ!授業にしようかと思ったけど、部活の方が楽しそう!何部にする?』
悠里『そうですね・・・学園で過ごす部ですから・・・』
佐倉先生『う〜ん・・・』
悠里・佐倉先生『学園生活部・・・あ!』
佐倉先生『擦り合わせしなくても見事に一致したわね。』
悠里『先生の好みはもう把握してます。私と同じですから。』
佐倉先生『うふふ。ありがと。はい。』
引き出しから用紙を渡す。部活申請書だった。
悠里『これは・・・』
すると佐倉先生が悠里の肩に右手を置いた。
佐倉先生『じゃあ宜しくね?学園生活部部長さん。』
悠里『わ、私が部長ですか!?』
佐倉先生『一番向いてると思うわよ?』
悠里『・・・分かりました。頑張ります!』
学園生活部を設立した。生徒会室の札に学園生活部と書かれた紙を貼る。
由紀『うわあーー!!完成ーー!!』
佐倉先生『それじゃあ、皆ドアの前に並んで?記念写真撮りましょう!』
3人がドアの前に並んでカメラのレンズに顔を向ける。
佐倉先生『はーい!それじゃ撮るわよー!』
1枚シャッターを切った。
悠里『先生。』
佐倉先生『若狭さん?』
悠里『代わります。』
佐倉先生『え?』
悠里『顧問の先生が入らないと。』
由紀『めぐねえこっちこっち!』
佐倉先生『ああ丈槍さん!』
悠里『それじゃあ撮りますよ?はいチーズ。』
すると由紀が佐倉先生に抱き付いた。同時にシャッターを切った。
佐倉先生『びっくりしたじゃない丈槍さん。』
由紀『ごめんね。』
悠里『あ!出て来たわよ?』
佐倉先生『ねえ、私目瞑ってなかった?撮り直さない?』
由紀『あ!本当だ!ちゃんと写ってるよ?めぐねえ。』
良い写真が撮れた。これが学園生活部の歴史だった。
その日の夜、櫂と悠里と佐倉先生が部室に居た。櫂は鍵を見ていた。するとそこに美紀と圭が入って来た。
櫂「美紀さん?」
美紀「悠里先輩、櫂先輩、佐倉先生、まだ休まないんですか?」
悠里「眠れなくてね。」
櫂「俺と先生も同じさ。」
佐倉先生「ええ・・・」
悠里「あなた達そどうしたの?」
美紀「私も眠れなくて・・・」
圭「私も・・・」
美紀「それにどうしても気になる事が・・・」
圭「え?」
悠里「気になる事?」
櫂「この鍵か?」
美紀と圭にコーヒーを差し出した。
悠里「はいどうぞ。」
美紀「ありがとうございます・・・」
圭「すみません。」
美紀「私、さっきも言いましたよね?この学校、色々と設備が整ってるって。」
悠里「ええ。言っていたわね。」
佐倉先生「それでどうしたのかしら?」
美紀「言ってから気付いたんです。整い過ぎじゃありませんか?」
悠里「え?」
佐倉先生「え?」
櫂「何?」
美紀「私、改めて学園案内を見返してみたんです。太陽電池も、雨水の貯水槽や浄化装置も。屋上の畑や食料の備蓄。最初から学校の中でずっと暮らしているんですよ。」
櫂「改めてそう言われると確かに・・・」
佐倉先生「・・・」
悠里「それは・・・」
美紀「分かってるんです!バカな事を考えてるって。でも、考え始めたら止まらなくて・・・どうしたら良いのか・・・分からなくて・・・」
すると悠里が美紀を優しく抱いた。
美紀「悠里先輩・・・?」
悠里「分かるわ。だって私も同じ事考えていたもの。」
美紀「え?」
圭「そうなんですか?」
悠里「一つ一つの設備は珍しくないわ。最新鋭のオフィスビルならあっても可笑しくないもの。けれど、それが全部一つの場所にあるなら話は別。櫂君。」
櫂「ああ。」
鍵を取り出した。
佐倉先生「市川君・・・」
美紀「これ、この前の鍵ですか?」
悠里「ええ。」
櫂「先生。」
佐倉先生「分かってるわ・・・でも明日皆に話すつもりだったけど・・・」
櫂「先生、この鍵が合う物探しに付き合って貰いますか?」
佐倉先生「・・・ええ。分かったわ。」
悠里「美紀さんと圭さんも付き合って貰えるかしら?」
美紀・圭「・・・はい。」
早速職員室に向かった。ドアを開けて電気を点ける。
櫂「電気はまだ元気だな。」
美紀「でも、もう職員室は一通り探したんですよね?」
悠里「ええ。鍵に書いてあったから一番最初にね。」
圭「でしたらもう来てもしょうがないじゃないんですか?」
悠里「でも、ちゃんと探したのはめぐねえの机だから。」
櫂「先生、何回も質問してすみませんが、何処かにあるんですか?」
佐倉先生「それが・・・私も分からないの・・・隠された後に教頭先生から渡されて・・・」
櫂「・・・そうですか。自力で探すしかないですね。」
悠里「本格的に探すのは明日にして、今日は眠くなったら終わりにしましょ?」
美紀「そうですね。元々眠れなかったんですから。じゃあ、手分けして探しましょう。」
悠里「・・・そうね。」
圭「早く探しましょうよ。」
職員室内を隈なく探索する。机の下や、引き出しの中、更に金庫を発見したが、鍵が合わなかった。
途中で美紀が佐倉先生の机の引き出しを開ける。そこには。
美紀「あ!」
学園生活部設立記念に撮った写真だった。
美紀「先生、この写真。」
佐倉先生「え?あ、これは学園生活部を設立した記念の写真だわ。懐かしいわね。」
するとこの職員室に。
由紀「どうしたの皆?」
悠里「由紀ちゃん?」
佐倉先生「どうしたの?」
目を覚ました由紀が来た。
美紀「どうしたんですか?先輩。」
櫂「眠れないのか?」
由紀「何か怖い夢見て起きちゃった・・・そしたら皆居なくて焦っちゃったよ〜・・・」
悠里「あらあら。ごめんね由紀ちゃん。」
櫂「胡桃は寝てるのか?」
由紀「うん。」
櫂「実は俺達ちょっと先生に頼まれて探し物を探してたんだ。な?」
悠里「そ、そうなのよ。櫂君が持ってる鍵が何の鍵か確かめて欲しいって。」
佐倉先生「そ、そうそう。だから皆が探してくれてるの。」
由紀「・・・あ!宝探しだね!私も手伝うよ!」
途中から由紀が参加して探し物を探す。
由紀「あ!これかな!?」
悠里「手掛かり見付かった?」
櫂「何かあったのか?」
由紀「これどう!?」
見付けたのはぬいぐるみだった。
悠里「違うわね・・・」
佐倉先生「由紀ちゃんそれは違うんじゃないかな・・・?」
圭「でも可愛いぬいぐるみ!」
美紀「何ですか?そのぬいぐるみ。」
由紀「可愛いでしょ!?」
悠里「何ともコメントし辛いわね・・・」
櫂「何も言う事無し。」
美紀「元に戻しといて下さい。」
由紀「ええーーー!?」
再び探索開始。悠里と美紀が脚立を閉じる。
由紀「あ!これじゃないかな!?」
美紀「今度は何ですか?」
出て来たのは寝袋に入った由紀だった。
由紀「これ!これこれ!」
佐倉先生「えっと・・・」
悠里「由紀ちゃん・・・」
圭「先輩、鍵の事忘れてませんか?」
由紀「この寝袋凄いんだよ!?立ったまま歩けるの!」
5人「はぁ・・・」
また再び探索開始。
由紀「あ!今度こそこれだ!」
次に見付けたのはインカムとマイクだった。
由紀「これじゃない!?」
悠里「・・・違うわ。」
美紀「違います。」
圭「違いますね。」
佐倉先生「違うわね・・・」
櫂「どうでも良いや。」
由紀「あ!みーくん!そこのカメラで撮影して!」
机の上に置いてあるカメラを指差した。
佐倉先生「あ・・・」
仕方無くカメラを持って撮影する事に。
由紀「早く撮ってYOYO!チェケチェケ!ワンツーワンツー!テレビの前の皆さん?聞こえてますか?」
美紀「何してるんですか?これビデオじゃなくてカメラですよ?」
櫂「しかもインスタントカメラって懐かしいな。」
由紀「え!?そうなの!?」
美紀「じゃあ撮りますよ?はいチーズ。」
由紀「うわ!?」
そしてシャッターを切った。
由紀「ちょっとみーくん!いきなり撮らないでよー!」
美紀「先輩が撮れって言ったじゃないですか。」
櫂「せやな。」
撮れた写真を見せる。しかし現像が写らない。
由紀「紙じゃん!!」
ぺしーんと机に叩き付けた。
美紀「先輩、落ち着いて下さい。ほら。」
すると現像が写り出した。
由紀「あ!おーーーー!!!」
櫂「インスタントカメラは時間が経つと写るんだよな〜。」
由紀「これ凄い!凄いよ!!凄いカメラと名付けよう!」
櫂「だからインスタントカメラだっつーの。」
佐倉先生「由紀ちゃん?そろそろ探し物を探しましょ?」
由紀「ほら!りーさん凄ーい!」
悠里「え、ええそうね。」
その後も探索を続けるが何処にも無かった。外ではゾンビ達が増殖していた。
悠里「最近、また増えてるわね・・・」
佐倉先生「ええ・・・」
櫂「ああ。わかめみたいに増殖してやがるな。」
美紀「圭、そっちはどう?」
圭「ううん。こっちも無いよ。」
美紀「やっぱり、それらしい物は無いですね。」
悠里「そう。今日はこれくらいにしてもう引き上げましょうか。」
美紀「そうですね。」
櫂「じゃあさっさと寝るか。先生行きましょう?」
佐倉先生「そうね・・・」
由紀「あれ?これって!」
美紀「今度は何ですか?」
悠里「そこはもう探した筈だけど・・・」
由紀「えへへ〜。そう思うでしょ?」
櫂「じゃあ何を発見したんだ?猫か?鼠か?」
すると右側の板を押して、左の棚を開けた。
5人「あ!」
悠里「飾り板だったのね!」
美紀「中に金庫があるなんて!」
櫂「教頭先生め、面白い場所に隠してくれたな。」
由紀「びっくりした?」
悠里「ええびっくりしたわ。ありがとう由紀ちゃん。」
美紀「やっぱり凄いですね由紀先輩って。」
圭「先輩最高です!」
由紀「いえいえどういたしましてだよ。」
櫂「今回は俺達の負けだな。じゃあ試してみるか。」
金庫に鍵を挿した。
櫂「合った。」
そして捻るとロックが外れた。
櫂「ビンゴ!」
金庫を開けると、中に入ってたのは1枚のDVDと数枚の用紙だった。悠里が手に取る。
由紀「ねえねえそれ何?」
悠里「授業で使うDVDとそのリストね。・・・あ!」
由紀「へぇ〜、めぐねえ、頼まれた事はこれで終わり?」
佐倉先生「ええ。ありがとう由紀ちゃん。」
由紀「えへへ〜。どういたしまして。ふぁ〜・・・何だか眠くなって来た・・・」
欠伸しながら寝室へ向かう。
美紀「結局空振りでしたね。」
櫂「いや美紀さん、そうでもないみたいだぜ。」
美紀「え?」
悠里が持ってるのは、リストと職員用緊急避難マニュアルだった。
美紀「あ!あの・・・これ・・・」
櫂「先生、これが。」
佐倉先生「ええ。」
悠里「美紀さん、急いで胡桃を起こして来てくれる?」
美紀は急いで胡桃を起こしに行った。起きた胡桃を部室へ連れて、職員用緊急避難マニュアルを悠里が読む。
悠里「生物兵器はその性質上・・・所謂感染爆発・・・パンデミック状態とはこの初期の・・・徹底した隔離が鍵である・・・種としての人類の維持は個人の生命を優先・・・アナタの送検には、数万~数百万の人命が懸かっている・・・寛容と労わりの精神は今や美徳ではない・・・」
佐倉先生「・・・」
美紀「生物兵器・・・」
圭「そんな・・・」
櫂「こんな事って・・・」
すると胡桃が机を強く叩いた。
胡桃「ちょっと待て!!それ何だよ!!何なんだよ!!!」
「END」
キャスト
丈槍由紀:水瀬いのり
恵飛須沢胡桃:小澤亜李
若狭悠里:M・A・O
直樹美紀:高橋李依
祠堂圭:木村珠莉
佐倉慈:茅野愛衣
太郎丸:加藤英美里
市川櫂:村瀬歩
男性:竹内良太
「次回」
由紀「暑いから〜暑いなら〜暑い時〜!」
美紀「ちょ!先輩落ち着いて!」
由紀「だって暑いでしょ?もうこんな日は!」
美紀「怪談ですか?」
由紀「違ーう!」
由紀・美紀「次回!がっこうぐらし!第9話!きゅうじつ」