さゔぁいゔぐらし!   作:naogran

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美紀『由紀先輩が作っていた手作りの卒業アルバム。そこには、私と先輩達の出会いも描かれていた。デパートに閉じ込められた私、まだ圭が居た頃。そして別れ。私は先輩達に出会い、助けられ、先輩達が助けた圭を見て安心し、この学校に帰って来た。これは、私がまだ部員になる前の事。』






学校の寝室のソファーの上に美紀が寝ていた。

由紀「でね、新入部員になってくれると嬉しいなって思うんだ〜!」

佐倉先生「学園生活部の新入部員として迎えるの?」

由紀「うん!そう!」

美紀(声・・・?)

3人の話し声を聞いた。

櫂「でもその前に説得しなきゃな。」

佐倉先生「そうね。すぐ入ってと言っても納得してくれないかもね。」

由紀「だって、同じ制服だからうちの子じゃないのかな〜って。そしたら仲間も増えるよね〜!」

櫂「そんなに増やしたいんなら強引になるなよ?」

由紀「大丈夫だよ!私に任せてってば!」

太郎丸「ワン!」

由紀「そうよね〜!太郎丸もそう思うよね〜!」

櫂「どうします?先生。」

佐倉先生「う〜ん、由紀ちゃんにお任せしましょうか。」

櫂「分かりました。」

美紀(今の・・・)

すると美紀が少しずつ目を開ける。目を開けると由紀が目に映った。

由紀「あ。おはよう。」

櫂「お、起きたか。」


#6「ようこそ」

起き上がった美紀は両手を顔に当てる。

 

由紀「まだ調子悪い?」

 

佐倉先生「取り敢えず、お水でも組んであげなさい?」

 

由紀「あ!そうだね!ね、お水飲む?」

 

美紀「え・・・?あ、お願い・・・」

 

由紀「OK!」

 

すぐに水を取りに行く。美紀は周りをキョロキョロ見回す。

 

美紀(ここ、学校・・・?)

 

櫂「大丈夫?」

 

美紀「え?」

 

佐倉先生「何処か具合悪い所ある?」

 

美紀「い、いえ・・・」

 

由紀「はい!」

 

そこに由紀が水を持って来た。

 

由紀「どうぞ。」

 

水を貰ってゴクゴク飲む。

 

美紀「ありがとう・・・えっと・・・同じ学校の・・・巡ヶ丘の人?」

 

佐倉先生「あら、そう言えば自己紹介がまだだったわね。」

 

櫂「そうでした!由紀、お前から紹介しろ。」

 

由紀「その通り!巡ヶ丘高校の3年C組!丈槍由紀だよ!」

 

美紀「嘘・・・あなた、3年生、なんですか?」

 

由紀「うん!そうだよ!」

 

美紀「そちらの2人は・・・?」

 

櫂「俺は市川櫂。此奴と同じ3年生だ。クラスはAだけど。」

 

佐倉先生「佐倉慈よ。巡ヶ丘高校の教師をしてるのよ。」

 

美紀「そうでしたか・・・」

 

由紀「あなたは?」

 

美紀「2ーBの直樹美紀、です・・・」

 

櫂「直樹さんか。宜しくな。」

 

すると由紀の目がギランとした。

 

由紀「じゃあ!私が先輩だね!」

 

美紀「本当に年上・・・?」

 

櫂「此奴見た目はそうだが本当の3年生だ。」

 

美紀「は、はぁ・・・あ!あの、ここ何処なんですか!?」

 

由紀「学園生活部の部室だよ?」

 

佐倉先生「もう、それだけ言っても分からないでしょ?」

 

櫂「ちゃんと説明しいや。」

 

由紀「あ!ごめんごめん。ここは私達の学校だよ!巡ヶ丘高校!」

 

美紀「学校・・・!?」

 

あの時の惨劇を思い出した。

 

美紀「本当に・・・学校なんだ・・・」

 

由紀「そんでね!」

 

太郎丸「ワウ〜ン。」

 

由紀「あ!お前も居たね。」

 

太郎丸が由紀の足をすりすりしていた。

 

美紀「太郎丸!!」

 

由紀「そうそう!この子が君の事を知らせてくれたんだよ?」

 

美紀「え!?太郎丸・・・そうだったんだ・・・」

 

撫でようと手を伸ばした瞬間。

 

 

 

 

 

 

太郎丸「ワン!」

 

 

 

 

 

 

突然吠えて逃げ去って行った。まだあの時が許せないみたいのようだった。

 

美紀「あの・・・私、嫌われてるみたいです・・・」

 

由紀「あわわわわ・・・」

 

櫂「参ったな〜。」

 

佐倉先生「あ!そうだ由紀ちゃん!久し振りなんだし、学校の中を案内してあげましょ?」

 

由紀「う、うん!そうだね!めぐねえ!かい君も一緒に!」

 

櫂「俺もかよ。」

 

落ち込んでる美紀の手を握る。

 

由紀「さあ!行こー!みーくん!」

 

美紀「え!?みーくんって・・・」

 

櫂と佐倉先生が由紀達に付いて行く。

 

 

 

 

 

 

最初に向かったのは音楽室。

 

由紀「ここは音楽室!」

 

美紀「知ってますよ。私だって、ここの生徒だったんですから。」

 

櫂「まあそうだね。」

 

由紀「軽音部の人居るかな〜?」

 

美紀「部活!?(学校では、何も起こってないの・・・!?)」

 

由紀「あれ〜居ないな〜。みーくん、かい君、めぐねえ、大丈夫だよ!入ろー!」

 

ドアを開けて音楽室に入る。

 

美紀(いや、そもそもあれは全部・・・夢、だったのかな・・・?)

 

しかしそう思ってるのは今の内だった。

 

由紀「ね!凄いでしょ!?」

 

音楽室には何も無かった。

 

由紀「色んな楽器があるんだよ?ん?どうしたの?」

 

美紀「いえ・・・本当・・・凄いですね・・・」

 

何故なら美紀の目に映ってるのは、酷く荒された音楽室だった。大量の血痕も滲んでた。その光景は、櫂と佐倉先生にも見えてるが、由紀には見えなかった。

 

櫂「・・・」

 

佐倉先生「・・・」

 

美紀「やっぱり・・・夢じゃない・・・」

 

櫂「おい由紀、ちゃんと説明しねえと分かんねえだろ?」

 

由紀「あ!そうだね!学園生活部に入ったら、ここで歌いたい放題だよ!」

 

美紀「学園生活部?」

 

そして教卓の上のラジカセを再生して音楽を流す。

 

由紀「ね!どう!?」

 

美紀「電気の無駄遣いですね。」

 

由紀「そんな〜!!」

 

櫂「おお優秀な後輩ですな。」

 

由紀「折角ベートーヴェンさんやバッハさんもモーツァルトさんも見てくれてるのに。」

 

美紀「どうでも良いです・・・」

 

櫂「ショパンやチャイコフスキーも見てるって言いてえのか?」

 

由紀「え!?」

 

櫂「良いから早く消せ。」

 

美紀「良いから早く行きましょ?由紀先輩、櫂先輩、佐倉先生。」

 

櫂「ああごめんごめん。」

 

佐倉先生「ごめんなさい。」

 

すると由紀に衝撃が走った。

 

由紀「い、今の・・・もう1度言って・・・」

 

美紀「ん?早く行きましょ?由紀先輩。」

 

すると由紀が先輩と言われ、じぃ〜んと感動した。

 

美紀「気持ち悪いです・・・」

 

櫂「ケラケラ色気を振り撒きやがって。」

 

由紀「ほら!先輩って良い響きだな〜って。」

 

佐倉先生「由紀ちゃん、ずっとそう言われたがってたものね。」

 

美紀「なら、もう少し先輩らしくして下さい。」

 

由紀「みーくんはきっついな〜!」

 

櫂「お前が原因だろ。」

 

美紀「だからみーくんって何ですか?」

 

由紀「美紀だからみーくん!ダメ?」

 

美紀「え・・・?美紀で良いです・・・」

 

由紀「え〜?みーくんの方が可愛くない?」

 

美紀「可愛くなくて良いです・・・」

 

由紀「みーくん可愛いのに〜。ね!めぐねえとかい君だってそう思うでしょ?」

 

櫂「俺は美紀さんで良いけど。」

 

佐倉先生「由紀ちゃん?無理強いしちゃいけないよ?」

 

由紀「ええ!?めぐねえとかい君は可愛く思わない?」

 

櫂「いや、だから・・・」

 

 

 

 

 

 

その頃胡桃と悠里は廊下を歩いていた。悠里が太郎丸を抱いていた。

 

胡桃「ありゃ?また開けっ放しだよ由紀の奴。」

 

寝室のドアが開けっ放しだった。

 

胡桃「おーい!由紀ー!開けっ放しだぞー!ってあれ?」

 

中には誰も居なかった。

 

胡桃「居ねえ・・・由紀も櫂もめぐねえも彼奴も・・・」

 

 

 

 

 

 

その頃由紀達は音楽室に居た。

 

櫂「あ、そう言えば美紀さん、太郎丸の事なんだけど。」

 

美紀「何ですか?」

 

櫂「どうして太郎丸の事知ってるの?」

 

美紀「実は、先輩達が助けが来る前まで圭と一緒に隠れてて・・・あ!」

 

櫂「どうした?」

 

美紀「圭は、圭は何処に居るんですか!?」

 

櫂「あの子?大丈夫。安全な部屋で眠ってるよ。後で案内する。」

 

胡桃「由紀!櫂!めぐねえ!」

 

するとそこに胡桃と悠里が駆け付けた。

 

 

 

 

 

 

その後部室へ移動し、由紀と佐倉先生は教室へ移動した。他の皆は部室で待機して、胡桃が太郎丸に餌を与える。

 

太郎丸「ワウン!」

 

餌をガツガツ食べる。

 

悠里「そうね、それで毎日ただ暮らすのも気が滅入るから、いっそ部活の合宿って事にしましょうってなったの。」

 

美紀「それが学園生活部、ですか。」

 

櫂「ああ。」

 

胡桃「落ち着いた頃に、めぐねえとりーさんが考えたんだよな。」

 

櫂「俺は最初から部員じゃなかったけどな。」

 

美紀「え?」

 

悠里「あの時、櫂君がめぐねえを助けてくれたのよね。」

 

櫂「あ、美紀さんは知らないと思うけど、佐倉慈先生は皆からめぐねえって呼ばれてるんだ。先生は、何時も前向きで、生徒思いで、良き理解者で良い先生なんだ。」

 

美紀「そうなんですか。それで櫂先輩がこの部員になった理由って何ですか?」

 

櫂「それは、あの惨劇から始まったんだ。」

 

 

 

 

 

 

時は遡り、佐倉先生が血まみれになっても、由紀と胡桃と悠里をドアの奥に閉じ込めて守ろうと必死だった。

 

由紀『離して!!』

 

悠里『由紀ちゃんやめて!!』

 

由紀『まだめぐねえが外に!!早くしないと!!』

 

胡桃『ダメだ!!もう!!』

 

佐倉先生を助けようと由紀を胡桃と悠里が止める。しかし由紀は助けようと必死だった。

 

由紀『めぐねえ!!めぐねえ!!』

 

外では佐倉先生が力尽きたかのようにその場で崩れた。由紀は2人の制止を払って助けに向かった。

 

胡桃『おい!!』

 

ドアを叩いて叫ぶ。

 

由紀『めぐねえ!!開けてめぐねえ!!』

 

ドアを開けようとしても開けれない。

 

由紀『めぐねえ!!めぐねえ!!』

 

逃げられないと思った佐倉先生は決心して死を覚悟した。しかしその時。ゾンビが次々と倒れていく。

 

佐倉先生『ぇ・・・?』

 

???『おい!食いたいなら俺を食え!』

 

遠くから男の声が聞こえた。ゾンビが声がした方に顔を向けた瞬間、頭部に何かが当たって次々と倒れていく。

 

佐倉先生『ぁ・・・』

 

するとその声の主が走って来た。

 

???『佐倉先生!?』

 

佐倉先生『市・・・川・・・君・・・』

 

それは櫂だった。両手に拳銃を持っている。

 

櫂『先生!大丈夫ですか!?』

 

佐倉先生『市川君・・・私・・・』

 

すると櫂が、懐から注射器を取り出して、佐倉先生の腕に消毒液を塗る。

 

櫂『先生、少し我慢して下さい。』

 

注射器を佐倉先生の腕に刺して、薬を注入する。そして全て流し込んで注射器を抜いて、怪我してる箇所に包帯を巻く。

 

櫂『これでよし。先生、あなたはまだ生きてます。感染は無くなりました。』

 

すると佐倉先生が櫂に抱き付いた。

 

櫂『せ、先生?』

 

佐倉先生『ありがとう・・・』

 

注射器の中の薬は解毒剤だった。佐倉先生は櫂に抱き付いて嬉し泣きし、櫂が優しく抱擁する。

 

櫂『さあ、早く逃げましょう。』

 

佐倉先生『待って・・・後ろに・・・皆が・・・』

 

櫂『え?生き残りが?』

 

 

 

 

そしてドアの奥では、由紀達が泣いていた。

 

由紀『めぐねえ・・・!』

 

悠里『由紀ちゃん・・・』

 

胡桃『くそ・・・!』

 

するとドアが開いた。立っていたのは櫂だった。

 

櫂『胡桃!悠里!』

 

胡桃『櫂!?』

 

悠里『櫂君・・・?』

 

胡桃『お前何でここに?』

 

櫂『俺さっき奴らを片付けた。先生。』

 

悠里『え・・・?』

 

佐倉先生『皆・・・!』

 

由紀『めぐねえ・・・?』

 

悠里『めぐねえ・・・!!』

 

胡桃『生きてるのか・・・!?』

 

佐倉先生『ええ・・・彼が助けてくれたの・・・』

 

由紀『めぐねえーーーー!!!』

 

生きてる佐倉先生を見て由紀が抱き付いた。

 

佐倉先生『ごめんね・・・由紀ちゃん・・・』

 

胡桃『櫂、お前が助けてくれたのか?』

 

櫂『ご明答。先生にこの解毒剤を刺したんだ。』

 

注射器を見せる。

 

悠里『めぐねえを助けてくれて、ありがとう。』

 

櫂『どういたしまして。』

 

 

 

 

 

 

そして現在に戻る。

 

櫂「これが、俺が部員になった切欠だ。」

 

美紀「でも先輩、高校生が拳銃を持ってるなんてそれは・・・」

 

櫂「まあ最初そう思うのよね。最初由紀達も驚いてたが、説明して納得させたんだ。それにこの銃は親父と爺ちゃんが俺に送った奴なんだ。」

 

美紀「お父さんとお爺さんが?」

 

櫂「2人は元軍人なんだ。」

 

美紀「そうなんですか・・・」

 

櫂「そうだ。美紀さん、君の友達の場所を案内しないとな。」

 

美紀「!!」

 

 

 

 

 

 

4人は隣の部屋に入る。そこには圭がベッドの上に眠っていた。

 

美紀「圭!」

 

櫂「ここで俺達が彼女を看病してるんだ。今はまだ気を失ってるが、目覚める日が来ると信じてる。」

 

美紀「良かった・・・そう言えば、さっきの由紀先輩は、まるで何事も無いかのように音楽室を紹介してました。」

 

胡桃「由紀には、居ない生徒も見えるんだ・・・」

 

美紀「幽霊、ですか・・・?」

 

悠里「いいえ、そうじゃないわ。あの子の中では、事件が起きてないの。」

 

櫂「由紀のあの様子からすると、解離性同一性障害じゃないかって俺達思ってるんだ。」

 

美紀「解離性同一性障害?」

 

櫂「解離性同一性障害は、通常纏まっている自分自身であると言う感覚。つまり思考、記憶、感情、行動が他の皆とバラバラになってしまっている症状だ。」

 

悠里「そう、だからあの子は今も・・・授業を受けているのよ。」

 

美紀「早く、治ると良いですね・・・」

 

悠里「美紀さん、お願いがあるんだけど、良いかしら。」

 

美紀「何でしょう?」

 

悠里「ここに居る間は、あの子の様子に合わせてくれないかしら?」

 

美紀「え!?それじゃ、何時まで経っても治らないじゃないですか!」

 

悠里「治るとか・・・治らないとか・・・そう言う物じゃないのよ。まだ、あなたには分からないと思うけれど。」

 

美紀「どう違うって言うんですか!」

 

すると悠里が自分の手を強く握る。

 

胡桃「ま、待った!2人共落ち着けよ!な?」

 

櫂「そうそう。ここで喧嘩しても何も変わんねえよ。嫌な事なんか水で洗い流して気楽に行こうぜ?」

 

美紀「・・・分かりました・・・由紀先輩の事をきちんと知るまでは。で、良いんですよね?」

 

 

 

 

 

 

その後部室に戻ると、由紀と佐倉先生が居た。

 

太郎丸「ワン!」

 

由紀「あ!おかえりー!」

 

胡桃・悠里・櫂「ただいま。」

 

由紀「もう皆待ってたんだよ?早く席に座って座って!」

 

胡桃「何だ何だ!?」

 

全員が席に座る。

 

悠里「それで、どうしたの?」

 

櫂「何か思い付いたのか?」

 

由紀「皆!!体育祭やろ!!」

 

悠里「あら。」

 

美紀「?」

 

胡桃「体育祭?」

 

櫂「唐突だな。」

 

由紀「皆で体を動かすと楽しくなるよ!ね!みーくんも一緒に!」

 

美紀「遊び、ですか?」

 

由紀「遊びじゃないよ!部活動!」

 

美紀「部活動?」

 

悠里「ほら由紀ちゃん、美紀さんまだ知らないから。」

 

佐倉先生「ちゃんと説明してあげて?」

 

由紀「あ!そっか!」

 

そしてホワイトボードに「学園生活部心得第五条!」と書いた。

 

由紀「学園生活部心得、第五条!!」

 

由紀・胡桃・悠里・櫂・佐倉先生「部員は、折々の学園の行事を大切にすべし!」

 

太郎丸「ワン!」

 

由紀「だ・か・ら!体育祭!だよ!」

 

美紀「さっぱり分かりません・・・もっと他にやる事があるんじゃないですか?」

 

由紀「やるべき事よりやりたい事だよ!」

 

美紀「ダメ人間じゃないですか!!」

 

胡桃「良い機会じゃないか?」

 

美紀「え?」

 

胡桃「由紀の事を知る、良い機会だと思うんだ。」

 

櫂「そうだな。由紀の生態を調べる絶好のチャンスだぞ?」

 

美紀「・・・分かりました・・・確かにそうですね。」

 

由紀「やったー!」

 

 

 

 

 

 

早速全員が体育祭の準備を進める。櫂は天井に鍋をぶら下げる。悠里と佐倉先生はマジックペンで紅組と白組の札を書く。由紀はテニスボールに白のガムテープを貼り、美紀が赤のガムテープを貼る。胡桃は廊下の床にテープを貼る。そして体育祭のポスターを貼り、黒板にプログラムを書く。そして開会式をした後に、短距離走を行う。選手は胡桃と美紀。そして由紀が合図をし、胡桃と美紀が全速力で走る。勝者は胡桃。次は二人三脚。胡桃と悠里がゴールした。そして由紀と美紀は走る途中に止まってしまった。由紀が転んだからだった。美紀は『大丈夫ですか?』と言った。次は玉入れ大会。由紀が鍋に向けて投げる。しかし跳ね返ってしまい、由紀の額に当たった。額は赤くなっていた。

 

由紀『みーくん(泣)』

 

美紀『みーくんじゃないです。』

 

そして玉入れは続き、美紀が勝ち。由紀が負け。

 

 

 

 

 

 

体育祭は夕方まで続いた。美紀が隅っこで休んでると。

 

胡桃「ほら。」

 

櫂「飲む?」

 

そこに胡桃がハンカチを差し出し、櫂が美紀に水を差し出す。

 

美紀「ありがとう、ございます。」

 

ハンカチと水を受け取って汗を拭いて水を飲む。胡桃は美紀の右に座り、櫂が美紀の左に座る。

 

胡桃「思いっ切り体を動かすのって案外良いだろ?」

 

美紀「・・・はい。楽しかったです。」

 

由紀と悠里は綱引きをしていた。佐倉先生が由紀を応援する。

 

胡桃「由紀はさ、何でか分かんないけど、本当にそれが必要だってなった時にこう言う事を言い出すんだ。ショッピングモールに行ったのだってそうだった。いきなり、由紀が遠足に行こうって言い出したんだ。」

 

美紀「え!?」

 

櫂「本当さ。」

 

胡桃「いきなりだったし、私も可笑しいだろって言ったけどさ、行って良かったと思ってる。」

 

美紀「・・・」

 

胡桃「考えるのも大切な事だけど、考えてばっかじゃ、前に進まない事もあると思うんだよ。」

 

美紀「考えてばかりじゃ・・・?」

 

櫂「そうだな。あれこれ考えてたら何の進展も無い。体も動かしたら何か起きる。」

 

胡桃「勿論、体を動かすだけじゃダメな時もある。そんな、考えてもダメ、体を動かすのもダメって思った時、答えをくれるのは由紀なんだ。」

 

美紀「そうなのかも・・・知れませんね・・・」

 

 

 

 

 

 

その夜、体育祭が終わって、夕飯のシチューを食べる。由紀は相変わらずガツガツ食べる。

 

由紀「やっぱ運動した後のご飯は美味しいよね!」

 

胡桃「意義無ーし!」

 

櫂「正論!!」

 

悠里「おかわりもあるからね。」

 

そして美紀もシチューを口に入れる。すると、感動するかのように目がバッチリ開いた。

 

美紀(・・・美味しい・・・)

 

由紀「美味しいねめぐねえ!」

 

佐倉先生「良かったね。」

 

由紀「ねえねえ!今日どうだった!?楽しかった!?」

 

美紀「楽しいと言うか、目が回りました・・・」

 

由紀「そ、そうかな〜?」

 

胡桃「ま!由紀と暮らすと退屈しないよな〜!」

 

悠里「賑やかよね。」

 

櫂「全くだ。」

 

胡桃「太郎丸より危なっかしいけどな〜。」

 

太郎丸「ワン!」

 

由紀「む〜〜〜〜〜。にゃにを〜〜〜?」

 

美紀「来て良かった・・・」

 

由紀「え?」

 

美紀「・・・何でもないです・・・」

 

由紀「あ!おかわりする?」

 

美紀「・・・いただきます・・・」

 

すると美紀は由紀をジッと見る。

 

由紀「え?な、何かな!?」

 

美紀「いえ、あなたは思ったより凄い先輩です。」

 

由紀「はえ?」

 

美紀「・・・凄いです、凄いのです。」

 

由紀「え?えええ?」

 

胡桃と悠里と佐倉先生は笑い合う。

 

櫂「良かったな由紀、後輩から褒め言葉を貰っちゃって。」

 

由紀「わ、私って凄いの?」

 

美紀「やっぱり嘘です。」

 

櫂「だろうね。」

 

由紀「ええええ!?も〜〜〜〜。」

 

 

 

 

 

 

その後美紀はシャワー室で体を洗い流す。シャワーを止めて深呼吸する。そして決心した。タオルを巻いて出ると、悠里が居た。

 

悠里「あら?」

 

美紀「えと・・・ちょっと良いですか?どうしても、言っておきたい事があるんですけど・・・」

 

すると悠里の目が真剣になった。美紀は深呼吸して言葉を発した。

 

美紀「私も!学園生活部に入れてくれませんか!?」

 

悠里「え・・・?」

 

美紀「あの、まずは仮入部からでも・・・由紀先輩の事を、もっと良く知りたいんです!」

 

すると悠里が手を差し伸べた。

 

悠里「歓迎するわ。」

 

そして美紀は、悠里と握手して、学園生活部に正式入部した。

 

悠里「ようこそ。学園生活部へ。」

 

 

 

 

 

 

これが美紀が由紀達の出会いだった。そして時は現在に戻り、由紀と美紀と佐倉先生が卒業アルバムを作っていた。

 

 

 

 

 

 

美紀「よしっと。」

 

胡桃「お!良い感じになって来てる!」

 

悠里「この時は、まだ美紀さんも入部してなかったのよね。」

 

太郎丸「ワン!」

 

悠里「あなたも居たわね。」

 

そしてやっとアルバムが完成した。

 

由紀「出来た!!」

 

出来たアルバムを見る。

 

由紀「思い出、沢山作ろうね!」

 

美紀「・・・はい。そう言えば、櫂先輩は何処に?」

 

悠里「さっき祠堂さんの看病しに行ったわ。」

 

 

 

 

 

 

その頃櫂は圭の看病していた。圭はまだ目が覚めないままだった。

 

櫂「祠堂さんを看病してもう数日が経つのか。」

 

するとその時が訪れた。

 

 

 

 

 

 

圭「ぁ・・・」

 

 

 

 

 

 

櫂「え?」

 

突然圭から声が聞こえた。すると圭が目を開けた。

 

櫂「目が覚めた!?良かった。」

 

圭「ここは・・・?」

 

櫂「ここは学校だ。ちょっと待ってて。」

 

すぐに部室へ移動する。そしてドアを開ける。

 

櫂「美紀さん!」

 

胡桃「櫂?」

 

美紀「どうしたんですか?」

 

櫂「良いから早く来て!」

 

美紀「は、はい!」

 

すぐに美紀を圭が眠ってる部屋へ案内する。ドアを開けると美紀が驚く。

 

美紀「あ・・・!」

 

そこには眠っていた圭が起きていたからだった。

 

圭「美紀・・・?」

 

美紀「圭・・・!」

 

目覚めた圭を見て、美紀が抱き付く。

 

圭「美紀・・・?」

 

美紀「ごめんね圭・・・!」

 

圭「あ・・・」

 

すると圭はあの時を思い出した。

 

圭「ううん・・・私こそごめんね・・・」

 

2人は泣きながら抱き合う。こうして2人は奇跡の再会を果たしたのだった。櫂は廊下から暖かく見ている。

 

圭「美紀、私達何処に居るの?」

 

美紀「私達は今学校に居るよ。」

 

圭「学校?」

 

美紀「うん、それで圭を助けたのはあの先輩だよ。」

 

後ろに立ってる櫂を見る。

 

櫂「初めまして祠堂圭さん。俺は市川櫂。この学校の3年生だ。」

 

圭「あ、初めまして。祠堂圭です。2年生で美紀の友達です。」

 

櫂「美紀さんから話を聞いてるよ。後の話は部室で話そう?」

 

 

 

 

 

 

そして圭を学園生活部に案内して、皆を紹介した。そして圭を助けた理由を話す。

 

圭「そうだったんですか。櫂先輩、ありがとうございます!」

 

櫂「いやいやどういたしまして。」

 

圭「それで、学園生活部って何ですか?」

 

櫂「学園生活部ってのは、学校の部活動としてこの学校に住むと言う部活だ。発案者はこの若狭悠里だ。そして部員は先程言った若狭悠里と丈槍由紀と恵飛須沢胡桃と直樹美紀さんと、この俺市川櫂だ。そして顧問は佐倉慈先生だ。」

 

圭「美紀も入ってるの?」

 

美紀「うん。私から志願して入ったの。」

 

圭「う〜ん、じゃあ美紀が入ってるなら私も入るわ!」

 

美紀「え?」

 

圭「だって私は、美紀の親友だしね!」

 

美紀「圭・・・」

 

由紀「やったー!部員が増えたよ!」

 

佐倉先生「良かったね由紀ちゃん。」

 

櫂「それでは祠堂圭さん。あなたを新入部員として歓迎します。」

 

圭「はい!宜しくお願いします!」

 

こうして圭が目覚め、学園生活部の新入部員になったのだった。

 

「END」




         キャスト

      丈槍由紀:水瀬いのり
    恵飛須沢胡桃:小澤亜李
      若狭悠里:M・A・O
      直樹美紀:高橋李依
       佐倉慈:茅野愛衣
       太郎丸:加藤英美里

       市川櫂:村瀬歩

       祠堂圭:木村珠莉
      女子生徒:黒崎真音

「次回予告」

由紀「やったねめぐねえ!新入部員だよ!」

佐倉先生「由紀ちゃん良かったね。」

由紀「先輩か〜。良い響きだよね〜!」

佐倉先生「でも先輩ならしっかりしないとね。」

由紀「だね!こうビシって感じ!」

由紀・佐倉先生「次回!がっこうぐらし!第6・5話!にゅうぶ」

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