ある朝、美紀が目覚まし時計で起きた。
美紀「起きなきゃ・・・」
毎日のように起きて、水道水で髪を洗う。美紀はまだ太郎丸の事が心配だった。通気口の側に餌を置く。
美紀「太郎丸・・ご飯だよ・・・」
しかし太郎丸は戻って来ない。すると奥から物音がした。
美紀「太郎丸!?太郎丸!!」
すぐに荷物を退かして入れようとする。しかし力強い音と唸り声がした。
美紀「違う・・・!」
太郎丸ではなく、ゾンビだと確信した美紀はすぐにドアを抑えた。
美紀「ダメ!!」
数分後。ゾンビはこの場を去って行った。
美紀「どうして・・・どうして!!!」
彼女を助ける者は現れるのか。
そして別の部屋では。
???「誰か・・・助けて・・・」
1人の少女が助けを求めていた。
そしてその頃、由紀達を乗せた車と、櫂が乗ってるバイクは街中を走っていた。
由紀「遠足~♪」
佐倉先生「遠足〜♪」
由紀・佐倉先生「楽しい遠足〜♪」
2人は歌を歌ってご機嫌上昇だった。
由紀「めぐねえ〜!バナナはおやつに入りますか~?」
佐倉先生「入りま〜せん!」
由紀「やった〜!」
胡桃「ノリノリだな。」
悠里「もうすぐで着くはずよ。」
櫂「お!あのショッピングモールか!」
そして目的地のショッピングモールに到着した。
櫂「お客様ご到着致しました〜!なんつって。」
由紀「到着ー♪」
佐倉先生「もうはしゃぎ過ぎよ?」
胡桃「遠足で熱出すタイプだな。」
櫂「あるある。遠足前日に楽しみ過ぎて当日で熱出して休むとか。」
由紀「そんな事ないよ!ないもん!」
胡桃「ほら、もう赤くなってる。」
櫂「今から遠足休むか?」
由紀「む〜!」
悠里「まあまあ。」
佐倉先生「でも、本当に心配だわ。」
櫂「ほら、先生も心配してくれてるぞ?」
由紀「にゃ!にゃにを〜!?めぐねえこそ!」
胡桃「ここまでは何とかなったな。」
悠里「確かに平日だったから、出歩いてるのは少なかったわね。」
胡桃「アイツら、皆学校や仕事に行ってるんだな・・・まるで生前の記憶があるみたいに・・・」
悠里「まあ、この先も気を抜かずに遠足を楽しみましょ?折角久し振りのショッピングなんだし。」
由紀「ねえ2人共!早くー!」
櫂「置いて行くぞー!」
胡桃「そうだな。あの危なっかしい奴の面倒も見ないとな。」
早速一行がショッピングモールに入る。
由紀「開けっ放し?お休みですか?こんにちは〜!」
胡桃「おい、あんまり大きな声だすなよ。」
由紀「え?どうして?」
胡桃「どうしてって・・・」
落ちてるチラシを発見した。
悠里「何かイベントがあるみたいよ?」
由紀「イベント?お祭りみたいなの?」
悠里「コンサートイベント中みたい。迷惑にならないように静かにね。」
由紀「はーい!」
胡桃・悠里「しーっ。」
櫂「言ってる側から。」
由紀「うぐ・・・!」
悠里「ありがとう。さあ皆、行きましょ。」
気を取り直して店内に入る。無数のゾンビが徘徊していた。
由紀「わぁ〜!広〜い!」
悠里「やっぱり居るわね。」
胡桃「これくらいの数なんかどうって事ない。」
櫂「ま、準備体操には丁度良い数だ。」
胡桃「なるべく音を立てないように付いて来て。」
悠里「分かった。」
佐倉先生「分かったわ。」
由紀「分かった!」
胡桃・櫂「しっ。」
由紀「ごめん・・・」
胡桃「よし・・・行くぞ!」
5人が一斉に走り出した。
CDショップに入って櫂がシャッターを閉める。
櫂「今日はもう閉店だな。」
悠里「この中には居ないみたい。」
胡桃「サンキューりーさん。」
由紀「何かあるかな〜?」
悠里がサイリウムを手に取った。
胡桃「りーさん、私地下へ行って来る。」
悠里「食品売り場?でもとっくに腐ってるんじゃないかしら?」
胡桃「缶詰は欲しいだろ?」
櫂「だったら俺も行く。」
胡桃「分かった。」
シャッターを開けて出る。
悠里「あんまり無茶しないでね?」
胡桃「分かってるって。」
櫂「じゃあ2人を頼むぜ。」
胡桃と櫂が走って地下へ向かう。
由紀「ねえりーさん!これ見て見て!」
悠里「ん?どうしたの?」
その頃美紀は1人ボーッとしていた。
美紀「はぁ・・・」
そしてプリクラを見る。圭との2ショットが綺麗に撮れてあった。
圭『大丈夫・・・絶対に助けを連れて来るから。』
美紀「圭・・・」
その頃別の部屋では。
???「何で・・・こんな事になったの・・・?」
そしてその頃胡桃と櫂は食料を探してた。
櫂「おい胡桃、缶詰あったぞ。」
胡桃「お!」
缶詰売り場を発見した。
胡桃「よぉし!大量大量!」
櫂「こんだけあれば大丈夫だな。お!ツナ缶にコンビーフ発見!今日はご馳走になりそうだな〜!折角だから調味料も。」
胡桃「お!大和煮!」
落ちてる大和煮を取ろうとしたその時、誰かが同じ大和煮を取ろうとした。
胡桃「え?」
???「クゥ〜ン。」
胡桃「うわ!?」
櫂「どうした胡桃!?」
胡桃「い、犬!?」
櫂「犬?」
何と犬だった。しかも太郎丸だった。
太郎丸「ワンワンワン!」
胡桃「うわ!何だ何だ!?」
櫂「まあ落ち着けよ、そんなに吠えちゃビビって話も出来やしねえよ。」
すると太郎丸が大和煮を咥えて逃げ出した。
胡桃「あ!ずるいぞ!それは私のだ!」
櫂「待て大和煮泥棒!」
すると後ろからゾンビが現れた。
胡桃「ヤバイ!」
櫂「おっと!すたこらさっさー!」
2人はすぐに逃げた。
その頃由紀達は。
悠里(大丈夫かしら・・・胡桃・・・櫂君・・・)
由紀「ねえりーさん。胡桃ちゃんとかい君まだかな?」
佐倉先生「私も心配だわ・・・」
悠里「そうね、もう少し待ちましょ?」
由紀「うん・・・ん?」
目の前の演歌コーナーを見る。
由紀「りーさん渋いね。」
悠里「ん?」
するとシャッターが開く音が聞こえた。
胡桃「助かった〜・・・」
櫂「全くラッキーだったな・・・」
悠里「胡桃!櫂君!」
櫂「よう悠里、戻って来たぜ。」
シャッターを閉める。閉まる直前に太郎丸が入って来た。
悠里「え!?」
胡桃「あ!此奴!」
櫂「大和煮泥棒!」
由紀「ワンちゃんだ!」
すると太郎丸が咥えてる大和煮の缶詰を置いた。
太郎丸「ワン!」
由紀「あ!」
すると由紀が突然何かを感じた。そして太郎丸との会話を試みる。
由紀「わんわんわん!」
太郎丸「ワンワンワン!」
胡桃「通じ合ってる・・・!?」
櫂「何故・・・!?」
由紀「ワオーン!!」
太郎丸に飛び付こうとする。
胡桃「待て待て待て!」
由紀「キャンキャンキャン!」
佐倉先生「由紀ちゃん落ち着いて?」
櫂「犬と化した。」
悠里「ごめんね?ちょっと待ってね?」
大和煮の缶詰を開ける。
悠里「どうぞ。」
由紀「わあ!大和煮!」
太郎丸が大和煮を食べる。
胡桃「りーさん早く。」
悠里「ちょっと待って。」
軍手を嵌めて太郎丸を持つ。
由紀「りーさんずるい!」
櫂「何言ってんだ?悠里、どうだ?」
悠里「ふぅ〜・・・大丈夫、噛まれてないわ。」
櫂「そっか。」
悠里「はい、由紀ちゃん。」
由紀「わぁー!初めまして。ワンちゃん。」
すると太郎丸が由紀を舐めた。
由紀「わーい!わーい!」
興奮した由紀が太郎丸を持ち上げた。
佐倉先生「由紀ちゃん落ち着いて!?」
悠里「あの子は?」
胡桃「地下でバッタリ会った。」
櫂「その後大和煮咥えて逃げてここまで来たんだ。」
悠里「飼い主はどうしたのかしら?」
胡桃「居たら連れて来るって。」
櫂「いや、多分・・・」
由紀「ねえねえ胡桃ちゃん!この子の名前って何かな?」
胡桃「さあ?首輪か何かに書いてないか?」
首輪を見ると。
由紀「あ!本当だ!えっと、太郎丸・・・太郎丸?」
太郎丸「ワウン!」
櫂(太郎丸?電子辞書で調べたら嘘やペテンの意味だったな。)
由紀「そっか!宜しくね!太郎丸!」
太郎丸「ワン!」
その後CDショップを出て次の店へ向かう。太郎丸は由紀のバッグに入ってる。
由紀「エスカレーター故障中?」
櫂「今日も点検中か。」
太郎丸「ワン!」
胡桃が太郎丸を見て笑った。
3階に到着した。
胡桃「上の階程奴ら少ないな。」
櫂「楽だな。」
悠里「階段が苦手みたいね。取り敢えず、家電屋さんへ行きましょ?」
胡桃「了解。」
5人が向かったのは家電製品店。
悠里「コンロにボンベ、それから・・・あった!これこれ。」
防犯ブザーを発見した。
胡桃「防犯ブザー?」
悠里「そう。」
由紀「可愛いー!確かここを引っ張ると〜。」
悠里「弄っちゃダメよ?イベント中だって言ったでしょ?」
由紀「え〜?ちょっとくらい・・・ヒィィィ!!!」
悠里「ダ・メ・よ?」
怖い笑顔で由紀を脅す。
由紀「ワカリマシタ・・・」
胡桃「どうすんだよそんな物?」
悠里「防犯よ。ぼ・う・は・ん。」
物資を手に入れた。
悠里「さ、大体必要な物は集まったわね。」
4人「うん!」
悠里「それじゃあ、次はお洋服を見に行きましょう。」
4人「やったー!」
悠里「しーっ。」
4人「ごめんなさい・・・」
次に向かったのは洋服店だった。すると由紀がハイヒールを見て目をキラキラさせてた。
胡桃「こんな事してて良いのかな?」
悠里「こんな時だから良いと思うの。」
ハイヒールを履いた由紀がすぐにバランスを崩して俯せで倒れた。
悠里「だって私達、女の子でしょ?」
櫂「俺は男だけどな。」
次は服を選んで試着する。由紀と佐倉先生が何かに追い掛け回されてた。それは白い服だった。それは太郎丸が服を被って走ってたからだった。次は水着を試着する。しかし悠里の方が胸が大きかった。そして櫂の腹は腹筋が割れてた。由紀が佐倉先生の試着を見に行く。
由紀「はっ!!」
佐倉先生「だ、大丈夫よ・・・全然大丈夫だからね・・・私だってまだまだ・・・ふん!あ!」
しかし破れてしまった。
由紀「ヒィ!!」
胡桃「おーい、他行くぞー?」
由紀「お願い、ちょっと待ってあげて?色んな意味でめぐねえ立てない状態だから・・・」
櫂「何だそれ?」
由紀「店員さんには一緒に謝ってあげるから・・・」
佐倉先生「大丈夫じゃなかった・・・」
全員が何時もの制服に着替えた。
悠里「え?めぐねえが?」
由紀「うん、元気付けてあげたくて。」
悠里「そうね・・・プレゼントなんてどうかしら?」
由紀「うん!そうする!」
悠里「めぐねえの好きな物分かる?」
由紀「う〜ん、何だろう?」
胡桃「そりゃあこれだろ!」
鍵に付いてるクマのキーホルダーを見せる。そして由紀はぬいぐるみをプレゼントする。
由紀「はい!めぐねえ!これプレゼント!」
佐倉先生「え?私に買ってくれるの・・・?」
由紀「うん!」
佐倉先生「良いの?」
由紀「勿論!」
佐倉先生「ありがとう由紀ちゃん・・・でも、これは由紀ちゃんが持ってて?」
由紀「え?何で?もしかして同じの持ってた・・・?」
佐倉先生「それもあるけど・・・」
由紀「やっぱり・・・」
佐倉先生「でも、だからこそ、由紀ちゃんにも同じ物を持ってて欲しいの。」
由紀「そっか!お揃いだね!分かった!じゃあこの子はめぐねえだと思って大事にするよ!そう言えばこの子、めぐねえに似てるしね。」
佐倉先生「え・・・何処が・・・!?」
由紀「主にこの辺!」
ぬいぐるみの頭を指す。
佐倉先生「えええええ!?」
お金を払って4階へ向かう。
悠里「それで結局自分の物にしちゃったんだ。」
由紀「うん!何だかな〜?」
櫂「先生、良かったんですか?」
佐倉先生「うん。お揃いだと安心するからね。」
櫂「流石先生ですね。」
由紀「1番到着!」
胡桃「やっと最上階だな。」
太郎丸「ワンワンワン!」
由紀「太郎丸?」
胡桃「どうした?」
突然太郎丸が吠え始めた。
太郎丸「ワンワンワンワン!」
その頃美紀は1人で太郎丸と圭を待っていた。
太郎丸「ワンワンワンワン!ワンワンワン!ワンワンワンワン!ワンワンワンワン!」
由紀「太郎丸?」
櫂「どうした?トイレでも行きたいのか?」
悠里「太郎丸、しーっよ?」
その頃美紀は、太郎丸の鳴き声を聞いた。
美紀「はっ!太郎丸・・・!?」
ドアに耳を当ててもう1度確かめるが、聞こえなかった。悠里が太郎丸を止めたのだった。
悠里「太郎丸静かに。ね?」
太郎丸「クゥ〜ン・・・」
悠里「ありがとね。」
胡桃「りーさん。」
悠里「どうしたの?」
胡桃「物音がした。椅子を倒したみたいな音。」
悠里「彼奴らかしら?」
胡桃「でも、1階下には殆ど居なかったし。さっき、太郎丸が吠えてたのって・・・」
悠里「もしかして生存者・・・?太郎丸の飼い主とか・・・?」
櫂「いや、それとも飼い主じゃない別の生存者とか。」
胡桃「もしそうなら、助けなきゃ!」
悠里「うん!」
櫂「ああ!」
5人が向かった場所は、映画館だった。
悠里「ここ・・・」
胡桃「うん。間違いない。」
由紀「映画館だ〜!」
胡桃「もしもーし!すみませーん!」
櫂「誰か居ませんかー!?居たら返事して下さーい!」
悠里「誰も居ないみたいね。」
櫂「皆、俺ちょっと調べて来るぜ。」
胡桃「待って。私も行く。」
悠里「ここで待ってる。」
櫂「了解。」
悠里「気を付けて!」
2人が向かった場所はシアタールームだった。
櫂「シアタールームか。胡桃、慎重にな。」
胡桃「うん・・・」
懐中電灯を照らして恐る恐る近付く。すると物音がまた聞こえた。ドアを発見した。
櫂「ドアが塞がれてる?もしかすると・・・」
ドアを開けて中を見る。すると。
胡桃「!?」
櫂「何!?」
2人が戦慄した。シアター内には生存者が居なかった。居たのは無数のゾンビ達だった。ゾンビ達は2人を発見して襲う。
櫂「おい胡桃!客達から逃げるぞ!」
2人はすぐに逃げた。ゾンビ達が一斉に襲いに来る。
その頃由紀達は。
由紀「見て見てりーさん!このワンコ太郎丸に似てない?」
太郎丸「ワン!」
悠里「そ、そうね・・・」
そこに胡桃と櫂が走って戻って来た。
胡桃「逃げろー!!」
3人「ん?」
胡桃「奴ら!凄い数だ!!」
櫂「ここに居たら奴らの飯にされるぞ!」
由紀「え?」
胡桃「由紀!行くぞ!」
すると由紀がゾンビを見て固まった。
胡桃「由紀!」
佐倉先生「由紀ちゃん!」
5人は走って逃げる。
由紀「胡桃ちゃん!りーさん!かい君!めぐねえ!」
胡桃「大丈夫だ!今は走れ!」
櫂「このまま世界の果てまで走れ!」
その頃美紀は太郎丸の声が聞こえずにいた。
美紀「やっぱり・・・気のせいだよね・・・」
そう自分を納得させたその時。
胡桃「急げ!」
太郎丸「ワンワン!」
胡桃と太郎丸の声を聞いた美紀が驚いた。美紀は決心した。荷物をバッグに入れる。そして圭が残したCDプレーヤーも一緒に。荷物を退かしてドアを開ける。
そして5人はすぐにショッピングモールから脱出しようとするが。
胡桃「ヤバイ・・・」
悠里「あんなにいっぱい・・・」
櫂「お出でなすったな・・・」
そして横にもゾンビが現れた。
胡桃「りーさん!下にライトばら撒いて!」
悠里「分かったわ!」
バッグからサイリウムを出して、発光させて下へ投げた。ゾンビ達が光と音に反応した。
胡桃「突破する!付いて来て!」
櫂「行くぞ!」
悠里「由紀ちゃん行くわよ!」
胡桃「だああああああ!!!」
エスカレーターの手摺の上を滑って、ゾンビ達にキックする。
櫂「どりゃああああああ!!」
そして櫂は2階からジャンプしてドロップキックした。
櫂「良い夢見ろよ!」
そして由紀は回想した。それは教室の机の上で寝ていると、貴依達が由紀を起こして笑った。由紀も笑う。そして見ると、貴依達が一瞬にしてゾンビ化してしまっていた。
悠里「由紀ちゃん、由紀ちゃん。」
由紀「何・・・?」
5人が辿り着いた場所は迷子センターだった。
悠里「大丈夫?」
由紀の額に手を当てる。
悠里「熱があるわね。」
由紀「平気だよ・・・」
胡桃「怪我は?」
悠里「それは大丈夫。」
櫂「そっか。」
胡桃「やっぱり遠足で熱出るタイプだったか!」
由紀「えへへ、ごめん・・・」
佐倉先生「良いから休んで。ね?」
由紀「はぁ〜い。」
すぐに横になる。すると太郎丸が由紀の腕を舐める。
由紀「太郎丸・・・」
胡桃「少し寝かせておこう。」
悠里「胡桃と櫂君も休んで?1番疲れてるはずよ?」
胡桃「ああ。」
櫂「助かる。丁度筋肉痛になりそうだぜ。」
悠里「はい、お水。」
胡桃「サンキュー。」
櫂「ありがと。」
2人は水を飲む。
櫂「ふぅ〜、やっぱ水良いね〜。」
悠里「居なかったわね。生きてる人・・・」
胡桃「あの映画館、子供が多かったんだ。」
櫂「見た瞬間に戦慄が走ったな。」
悠里「ずっと助けを待っていたのかもね・・・」
胡桃「いや、扉の外にバリケードがあった。中の奴らを閉じ込めるみたいに。きっと外から襲われたんじゃない、内側に・・・噛まれた奴も居たんだ・・・」
櫂「これじゃあまるで監禁と同じだな。」
胡桃「私嫌だな・・・あんなの嫌だ・・・だって!あそこには、きっと大事な人を守りたくて逃げ込んだ人も居たんだ!その人、守る為にさ・・・もし、私が感染したら、迷わないで欲しい。」
悠里「え!?何言ってるのもう・・・」
胡桃「約束してくれ・・・」
そして悠里の隣に座る。
胡桃「指切り。」
2人は指切りを交わした。
由紀「う・・・」
すると由紀が起きた。
佐倉先生「由紀ちゃん?」
悠里「どうしたの由紀ちゃん?」
由紀「う・・・お腹空いた・・・」
すると由紀の腹が鳴った。
櫂「そうだな、流石の俺の腹も我慢の限界みたいだな。」
悠里「そうね、帰ってご飯にしましょうか。」
胡桃「だな。帰ろう。学校へ。」
5人が立って帰ろうとしたその時。
櫂「ん?」
胡桃「ん?櫂、どうした?」
櫂「静かに。」
悠里「え?」
壁に耳を当てると。
???「はぁ・・・はぁ・・・」
櫂「な!?」
佐倉先生「市川君、どうしたの!?」
櫂「皆、先に帰ってくれるか?」
悠里「え!?」
櫂「この隣から誰かの声が聞こえた。」
胡桃「もしかしたら・・・生存者か?」
櫂「そうかも知れない。行ってくる。」
由紀「かい君、何処へ行くの・・・?」
櫂「え?ああちょっとトイレさ。俺そろそろ限界なんだ。先に行っといてくれ。後でバイクで追い掛けるから。」
悠里「気を付けてね。」
櫂「ああ。」
そして櫂は外に出て、隣の部屋の前に立った。
櫂「放送室か。」
ドアを開けようとするが。
櫂「鍵か?」
デザートイーグルを取り出してサプレッサーを取り付けてドアノブを撃った。ドアノブが外れて中に入る。
櫂「誰か居るのか?ん?手?」
そこに誰かの手を発見した。恐る恐る近寄ると。
櫂「あ!女の子!?しかも俺と同じ高校の制服着てる・・・」
そこに1人の少女が倒れてた。
櫂「君!大丈夫か!?」
少女は倒れてたが呼吸はしていた。櫂が心臓の音を確認する。
櫂「まだ生きてるな。でも気を失ってる。何処か外傷は・・・無いな。」
傷や噛まれた箇所が無い事を確認して、少女をお姫様抱っこをしてこの場から離れる。
櫂「待ってろ。すぐに回復させてやるからな。」
そして2階には、落ちてるサイリウムを拾う人物が居た。美紀だった。
美紀「やっぱり誰か来てたんだ・・・」
すぐに1階へ降りようとするが、ゾンビ達がウロウロしていた。
美紀「怖い・・・」
圭『でも生きていればそれで良いの・・・?』
美紀「良い訳・・・無い!」
その頃由紀達4人は無事脱出した。
胡桃「脱出!」
悠里「さて、戻りましょ?」
胡桃「そうだな。」
???「おーい!」
そこに櫂が戻って来た。
胡桃「櫂!」
悠里「ん?櫂君、その子は?」
櫂「ああ、生存者だ。迷子センターの隣に放送室があったんだ。中を探るとこの子が。気を失ってるが無傷だ。」
由紀「あれ?この子私達と同じ制服着てるよ?」
悠里「どうやらこのリボン、私達の後輩みたいね。」
櫂「先生、この子を車に乗せてくれますか?」
佐倉先生「分かったわ。」
少女を車に乗せる。すると由紀が何かを感じた。
悠里「それじゃあ帰りましょうか。」
胡桃「ああ。由紀ー!行くぞー!」
しかし由紀は立ち止まってる。
胡桃「由紀?」
由紀「ねえ、今何か聞こえなかった?」
胡桃「え?別に・・・」
由紀「声がしたの!私達を呼んでた!」
太郎丸「ワンワンワン!」
胡桃「・・・由紀、それ気のせいだよ。早く帰ろうぜ?」
由紀「違うもん!本当に声がしたんだもん!」
佐倉先生「由紀ちゃん落ち着いて?」
由紀「めぐねえも聞こえたでしょ!?」
佐倉先生「そ、それは・・・」
櫂「ん?いや待て。」
4人「え?」
すると櫂が携帯望遠鏡でショッピングモール内を覗く。
櫂「可笑しい。」
悠里「どうしたの?」
櫂「奴ら、奥へ遠ざかって行く。」
由紀「え!?」
櫂「これもしかしたら、誰か居るのか?」
すると太郎丸が由紀から降りてショッピングモールの中へ走って行った。
胡桃「おい太郎丸!」
由紀「一緒に行く!」
悠里「ダメ!由紀ちゃん!」
胡桃「由紀!」
そしてショッピングモール内では、ゾンビ達が美紀に徐々に近付いて行く。美紀がエスカレーターを降りて逃げようとするが、塞がれてしまった。後ろも塞がれてしまった。
美紀「嫌だ・・・!」
すると下を見ると、オルガンがあった。オルガンの上に飛び降りた。しかし無数のゾンビがオルガンと美紀を囲んだ。美紀はもう逃げられない。
美紀「嫌だ・・・来ないで・・・助けて・・・誰か!!!誰か来て!!!!お願い・・・お願い・・・!」
???「ワン!」
???「居た!彼処!」
すると誰かの声が聞こえた。前を見ると、太郎丸と由紀が立っていた。その後ろから胡桃達が駆け付けた。
美紀「太郎丸・・・?それに・・・本当に居た・・・」
悠里「ダメ!由紀ちゃん危ないわ!」
由紀「でも!!でも!!」
すると突然由紀があの惨劇を思い出してしまった。
由紀「きゃああああああああ!!!!!」
叫び声を上げて逃げてしまった。
悠里「由紀ちゃん!」
佐倉先生「由紀ちゃん!」
胡桃「あーもう!」
美紀「助けに・・・」
するとゾンビが美紀の足を掴んだ。由紀が逃げた先にゾンビ達が立ち塞がった。そこに胡桃がシャベルで蹴散らす。そして櫂が2丁拳銃でゾンビ達を蹴散らす。
胡桃「これじゃ切りが・・・!」
櫂「このまま押し競饅頭しようってのか!?」
悠里「皆!耳塞いで!!」
すると悠里が防犯ブザーを鳴らした。モール内に音が響き渡る。
由紀「ねえ!一緒に行こ!」
その隙に由紀が美紀に声を掛ける。そして胡桃がシャベルで蹴散らし、櫂が2丁拳銃で蹴散らす。
胡桃「早く!」
櫂「急げ!」
そして遂に由紀達は美紀を助けた。
美紀(太郎丸・・・良かった・・・無事で・・・)
櫂「あぁ〜防犯ブザーのお陰で耳がキーキーする・・・」
美紀「あの、すみません・・・私の他に女の子を見ませんでしたか?同い年くらいの・・・」
櫂「もしかしたら、車に乗ってる子?」
美紀「え!?」
すぐに車の中を確認すると。
美紀「圭・・・!」
あの時櫂が助けたのは、美紀の親友の祠堂圭だった。
美紀「あの・・・圭は・・・」
櫂「大丈夫。気を失ってるだけだ。目立った外傷と噛まれた跡は無い。」
すると美紀が崩れて泣いた。
美紀「良かった・・・」
胡桃「あ、でもどうするんだ?この人数じゃ車は入り切れないぞ?」
櫂「だったら誰か1人、俺のバイクに乗るか?」
悠里「それじゃあ、私乗ってみようかな?」
櫂「悠里が?」
悠里「ええ。櫂君の運転なら大丈夫らしいから。」
櫂「OK。ファーストクラスをお楽しみ下さい。」
こうして生存者2人を助け、遠足は幕を閉じた。
「END」
キャスト
丈槍由紀:水瀬いのり
恵飛須沢胡桃:小澤亜李
若狭悠里:M・A・O
直樹美紀:高橋李依
佐倉慈:茅野愛衣
太郎丸:加藤英美里
市川櫂:村瀬歩
祠堂圭:木村珠莉
「次回予告」
由紀「お買い物♪お買い物♪」
佐倉先生「あんまり無駄遣いしちゃダメよ?」
由紀「漫画は無駄遣いじゃないよ?」
佐倉先生「ちゃんと宿題も。」
由紀「新刊あるかな〜?」
由紀・佐倉先生「次回!がっこうぐらし!第6話!ようこそ」