ある雨の日、佐倉先生が荒れ果てた職員室で遺書を書いてた。
佐倉先生『少し落ち着いた。まだまだ予断は許されないわ。少しだけ余裕が出来たので、思った事を書いておこうと思う。私は佐倉慈。私立巡ヶ丘学院高校の国語教師だった。いや、国語教師だ。例え、既にここが学校として機能しなくても、あの日、放課後の屋上で初めて”それ”を認識した。いいえ、本当はそれよりも前、あの日、私が何かの兆候をはっきり感じたのは、何時だったろうか?』
これは、あの惨劇の前の出来事。ある部屋に目覚まし時計が鳴り響いてた。寝ている人物が目覚ましを止める。その人物は佐倉先生だった。すると着信音が鳴った。母からメールが来ていた。すぐに服に着替える。
佐倉先生「リボンリボン。」
リボンを結んで着替え終了。朝食のトーストを食べる。するとまたメールが受信された。腕時計を見る。
佐倉先生「あ!いけない!」
すぐに支度をして車に乗って学校へ向かう。するとまたメールが受信された。
佐倉先生「また・・・運転中です!」
信号が変わって走る。
佐倉先生「(心配してくれてるのは分かる。先生なんて向いてないって、母さん言っていたものね。教職課程を選んだ時も、教員免許を取った時も。)今朝はサイレン多いわ。」
その後学校の職員室で教頭先生が佐倉先生に話す。
教頭先生「教師に向いてないとまでは言いません。しかし、生徒との距離感を間違えてはいけませんよ?友達感覚と言えば、聞こえは良いかもしれませんが。」
佐倉先生(教師に向いていないか・・・)
教頭先生「良いですか?」
佐倉先生「はい・・・すみません・・・」
教頭先生から言われた佐倉先生は憂鬱になった。
神山先生「あんまり気にしないで。若い先生には誰にだってああ言うんだから。うちの教頭。」
佐倉先生「はい・・・」
先輩教師の神山先生がフォローする。するとあるニュースを観た。それは巡ヶ丘市で玉突き事故のニュースだった。
神山先生「何だろう?物騒ね。」
その後の3年A組。
佐倉先生「それじゃあ、先週のテストの答案を返しますね。石塚君。」
石塚「はい。」
佐倉先生「小場時さん。」
小場時「はい。」
佐倉先生「瀬良君。」
瀬良「はい!」
佐倉先生「丈槍さん。・・・丈槍由紀さん?」
由紀「はぁい・・・」
元気がない由紀。そして他の生徒は由紀を見てクスクス笑ってる。
佐倉先生「授業が終わったら補修ね。」
由紀「めぐねえ酷い・・・」
佐倉先生「めぐねえじゃありません。佐倉先生でしょ?(友達感覚・・・そうなのかな・・・?)」
そして授業が終わって生徒達が下校する。
女子生徒A「先生さようなら!」
女子生徒B「さようなら!」
2人の女子生徒が下校する。佐倉先生はとても憂鬱だった。由紀が佐倉先生を見ている。
佐倉先生「ん?何?私が側に居ると集中出来ない?」
由紀「ううん・・・テストは好きじゃない。でも、めぐねえと一緒に居るのは、そんなに嫌いじゃないよ・・・」
佐倉先生「じゃあ、一緒に頑張ろうか。」
由紀「・・・えへへ。」
時間が過ぎて夕方になった。教室を覗く1人の女子生徒が居た。佐倉先生が見ると、その女子生徒は佐倉先生を呼んだ。
佐倉先生「由紀ちゃん、ちょっと席外すね。」
由紀「え〜?」
佐倉先生「何かあったら廊下に居るから、すぐ呼んでね。」
由紀「お腹空いた!何か食べた〜い!」
佐倉先生「テスト終わったらね。」
すぐに自分を呼んだ女子生徒へ会いに行った。その女子生徒は恵飛須沢胡桃だった。
佐倉先生「どうしたの?恵飛須沢さん。今部活中よね?」
胡桃「えっと・・・あの・・・ごめん、補修のテスト中に。でも、めぐねえくらいしか相談出来る相手居なくて・・・」
佐倉先生「めぐねえじゃないでしょ?佐倉先生。」
胡桃「・・・何かもう、分かんなくなっちゃって・・・何でこんな気分になるんだろう・・・?あの人の前だと・・・」
佐倉先生「・・・そうか。OBの先輩君か。分かった。分かっちゃったかな?」
胡桃「え?」
佐倉先生「つまり、恋愛相談よね?恵飛須沢さん。」
胡桃「・・・ち、違う!・・・そうなの・・・かな・・・?でも・・・そう、なのかも・・・」
佐倉先生「じゃあ、悩む事ないんじゃない?」
胡桃「うん・・・話したら、ちょっと落ち着いた・・・何でだろう、こんな話、他の誰にも言えないけど、でも、めぐねえになら言えるって言うか。何時もありがとう。」
元気が戻った胡桃が部活に戻る。
佐倉先生(私、向いてないのかもしれない・・・先生。でも、よし!)
教室に戻ると由紀が待っていた。
由紀「もう遅い〜。」
佐倉先生「ごめんね。」
由紀「ふふ〜ん!もうとっくにテスト終わっちゃったよ?」
佐倉先生「お疲れ様。」
由紀「終わった〜。もう、疲れたよめぐねえ〜。」
佐倉先生「だから、めぐねえじゃなくて。」
するとスマホがメールを受信した。
由紀「アイス買っちゃおうかな〜?食べちゃおうかな〜?」
佐倉先生「下校中の買い食いはダメよ?」
メールを見ると、緊急や避難してなのど内容があった。受信した動画を観ると、戦慄が走った。それは大規模な交通事故が。
佐倉先生(凄く・・・近い・・・)
事故現場がここから近かった。
そしてこれだけでは無かった。ショッピングモールでは謎の乱闘が起こっていた。同じ頃の駅でも異常事態が起こっていた。
由紀「ねぇめぐねえ、もうめぐねえから返事。何見てるの?」
佐倉先生「いけません!人のスマホを横から見ては・・・」
由紀「ちぇ〜。もう帰る。」
佐倉先生「・・・丈槍さん!」
由紀「ん?」
佐倉先生「電車、止まってるみたいだから少し待っていたら?」
由紀「そうなんだ。はう〜、でもお腹空いたよ〜。あ!そうだ!屋上に行こうよ!プチトマトとかあるんでしょ?」
佐倉先生「あるけど、食べちゃダメよ?それに屋上は立ち入り禁止だし・・・」
由紀「あ!じゃあ園芸部の見学!それなら良い?」
佐倉先生「しょうがないわね。」
2人は屋上へ行った。
由紀「鍵、開いてたね。」
???「あ!すみません!また閉め忘れてました。鍵、掛けておいていただけますか?」
そこに園芸部の女子生徒が居た。若狭悠里だった。
由紀「わぁ〜!凄〜い!あ!園芸部の人、ですか?」
悠里「見ての通りよ。あなたは見学かしら?」
由紀「はい!トマト凄く美味しそうだね!」
悠里「食べたい?」
由紀「良いの!?」
悠里「ええ。お手伝いしてくれるならね。」
由紀「うん!」
佐倉先生はスマホのメールを見て心配していた。由紀は悠里の手伝いをする。
由紀「悠里さんは、何時も1人で菜園のお手伝いをしてるの?」
悠里「ううん、今日はどうしてだか、誰も来ないのよね。」
そして佐倉先生は母に電話する。しかし繋がらない。
佐倉先生「どうして母さん出ないんだろう?」
母に電話しようとするが相手が出ない。すると今度は神山先生から電話が来た。すぐに電話に出る。
佐倉先生「もしもし・・・」
神山先生『大丈夫!?佐倉さん今何処に居るの!?』
突然神山先生が焦った声で通話する。それと同時にドアを勢い良く叩く音が響いた。
由紀「何だろう?」
悠里「他の当番の子かしら?」
神山先生『屋上!?なら鍵を閉めて!絶対誰も入れないで!職員室は!!』
すると何かが割れる音が聞こえた。それは花瓶が割れる音だった。それと同時に神山先生からの通話が切れた。
由紀「はぁ〜い!今開けるよ〜!」
佐倉先生「待って!!」
由紀「ん?めぐねえ?でも、開けてあげないと。」
???「誰か!」
ドアの向こうから声が聞こえた。
???「お願い・・・!開けて・・・!」
聞き覚えのある声がして、佐倉先生が鍵を開ける。そこに立っていたのは。
佐倉先生「はっ!恵飛須沢さん!!」
その人物は胡桃だった。先輩の腕を担いでいた。
胡桃「早く・・・鍵掛けて・・・!」
すぐに悠里が先輩の様子を見る。
悠里「この人、怪我してる・・・!」
佐倉先生「何があったの・・・?」
悠里「先生!早く保健室へ!」
胡桃「下はダメだ!もう、ダメなんだ・・・」
由紀「何、あれ・・・?」
グラウンドを見ると、異様な光景を目にした。そう言う事か、生徒達が生徒達から逃げていた。
胡桃「急に・・・皆が・・・ああ言う感じになって・・・すぐ・・・陸上部も巻き込まれて・・・それで先輩が・・・あ!先輩!」
突然先輩に異変が。
悠里「外に出て、救急車を呼ばないと・・・!」
佐倉先生「ダメ・・・さっきから掛けてるのに繋がらない・・・」
するとその時。
”ドゴオオオオオオオオオオオン”
由紀「え・・・?」
爆発音が響いた。街から無数の黒煙が舞い上がっていた。
その光景を見たのは由紀達だけではなかった。
???「何なんだありゃ・・・!?何故爆発が・・・!?」
街中に居た男子生徒「市川櫂」が黒煙を見て驚愕した。すると1台のトラックが櫂に向かって突進する。
櫂「何!?」
しかし間一髪避けた。そしてトラックが横に転倒して爆発した。
櫂「さっきのトラックは一体・・・ん?」
すると櫂の足元にダンボールサイズのアタッシュケースが落ちてあった。
櫂「アタッシュケース?送り主が書いてある。・・・え!?親父と爺ちゃん!?」
それは、父親と祖父が櫂に送ったアタッシュケースだった。すぐに開けると。
櫂「これは・・・!」
中を見て驚いた。すると後ろから1人の男性がフラフラしながら襲い掛かった。
櫂「よっと!」
しかし櫂がハイキックして男性を倒した。
櫂「そこでお寝んねしてな。それにしても、何でこれが?そうだ!サッカー部の彼奴らは大丈夫なのか?行ってみるか!」
アタッシュケースを持ってバイクに乗ってすぐに学校へ向かう。
その頃学校の屋上では全員が戦慄した。
由紀「分かんない・・・何で・・・?どうして・・・こんな事・・・」
するとドアを叩く音が聞こえた。そしてドアの窓が割れて、中から無数の手出て来た。
由紀「きゃあああああ!!!!」
胡桃「くそ!来やがった!」
全員が戦慄した。
佐倉先生「園芸部のロッカーを!」
ドアの横のロッカーを押してドアを封じた。しかし手がそれを邪魔した。悠里が封じるのを手伝う。
佐倉先生「若狭さん・・・!」
悠里「丈槍さん!そこの洗濯機をこっちに押して!」
由紀が手伝いに行った。そして胡桃も手伝いに行こうとしたその時。先輩がゆっくり立ち上がった。
胡桃「先・・・輩・・・?」
先輩が胡桃に向けて手を伸ばした。
佐倉先生「恵飛須沢さん!!」
胡桃「あっ!」
すると先輩が胡桃を飛ばした。胡桃は仰向けに倒れた。先輩がフラフラしながら襲い掛かる。
佐倉先生「恵飛須沢さん逃げて!!」
しかし胡桃は恐怖して逃げる事が出来なかった。すると横に落ちてあったシャベルを掴んだ。
胡桃「うわああああああああ!!!!!!」
叫び声を上げてシャベルを振った。すると先輩が流血して倒れた。胡桃は立ち上がってシャベルで先輩を何回も刺す。我を忘れたかのように何度も刺す。最後は力を振り絞って刺そうとした時、由紀が胡桃に抱き付いて止めた。それと同時に胡桃が我を取り戻した。由紀は泣いて、胡桃は持ってるシャベルを落とした。
胡桃「馬鹿だな・・・何でお前が泣くんだよ・・・」
泣いてる由紀を見て、胡桃が涙を流す。
胡桃「つか・・・誰だよお前・・・変な帽子・・・」
悠里「先生!このままじゃ私達・・・!学校も・・・!外も・・・!これからどうしたら!先生!先生!」
そして物語は雨の日に戻った。
佐倉先生『多くが命を失った。生徒達も、教師達も、この学校にはもう、あの子達しか残されていない。何時か、助けが来るのを信じて、生きている限り、皆を守りたい・・・私は、教師なのだから。』
そしてそれから月日が流れて現在。
5人「いただきま〜す!」
学園生活部で皆が乾パンを食べる。
胡桃「パサパサする〜。」
美紀「乾パン、嫌いじゃないですけど、ご飯として食べると、ちょっと味気ないですよね。」
悠里「そうね。」
佐倉先生「今日は全校停電だから、調理出来ないものね〜・・・」
櫂「確かにそうですけど、軍隊に居た頃は乾パンだけでサバイバルしたって親父と爺ちゃんが言ってましたよ。」
胡桃「櫂の親父さんと爺さん凄いな〜。」
由紀「でも、私は好きだけどな〜停電。何かワクワクするよね〜。」
胡桃「うちのシャワー、電熱式だぞ?」
由紀「え?」
美紀「お湯が出ないんですよね。」
由紀「はう!!お風呂・・・」
胡桃「大丈夫か〜?」
由紀「雨降らないかな〜?」
美紀「どうしたんですか?」
由紀「そしたらシャワーに〜。」
胡桃「犬かお前は!」
悠里「そうね。」
美紀「太郎丸でもしません。」
太郎丸「ワウン。」
櫂「でもな、風呂が無い時は川や池や雨で水浴びするって。」
胡桃「そうなのか?」
櫂「まあこれ軍隊の基本だから。」
胡桃「またかよ。」
すると由紀が机を叩いた。
由紀「キャンプだよ!」
5人「・・・はい?」
由紀「だからキャンプ!」
佐倉先生「キャンプ・・・」
由紀「ほら!えっと遠足とかでキャンプするでしょ?学園生活部だから、学校でキャンプするの!」
佐倉先生「あら。良いんじゃない?」
櫂「面白そうだな。」
美紀「室内でテント張るんですか?」
胡桃「成る程。キャンプなら電気とか無いもんな。」
悠里「テントなら部室にあったはずよ?あれなら4人入れるわ。」
胡桃「じゃあ、人数ピッタリじゃん。」
佐倉先生「はうっ!ちょ、私は私?」
櫂「先生、俺と2人で見守りましょうか。」
佐倉先生「うう・・・」
由紀「だ、大丈夫だよ。詰めれば、かい君とめぐねえも入れるから。」
悠里「すみません、そんなつもりじゃ・・・」
胡桃「ごめんめぐねえ・・・」
佐倉先生「ううん、冗談よ?見回りもあるし。」
悠里「櫂君もごめんね。」
胡桃「櫂ごめんな。」
櫂「何この空気?」
その夜、部室でテントを張って、由紀達4人が入る。櫂と佐倉先生はテントの外で見守ってる。
由紀「雰囲気あるね。」
悠里「そうね。こう言う時は、怪談とか良いわよね。」
すると3人が反応した。
由紀「雰囲気はあるけど・・・」
胡桃「やーだ!」
悠里「知ってる?今日みたいに明かりの少ない夜はね〜?」
胡桃「チョップ!」
悠里「痛い〜。」
櫂「賑やかですね。」
佐倉先生「ええ。」
由紀「みーくんは何かある?怖い話じゃなくて。」
美紀「いいえ、特には。」
由紀「え〜?」
すると美紀に抱き付いた。
由紀「何かあるでしょ〜?ね〜ね〜。」
美紀「肉体スキンシップは結構です・・・」
由紀「え〜?何で〜?」
すると美紀の頭から煙が舞い上がった。
由紀「あれ?みーくん、顔真っ赤?」
胡桃「もう、やめて差し上げろ?」
悠里「うふふ。」
櫂「何やってるんでしょうね先生?ん?」
佐倉先生は寝ていた。櫂が布団を被せた。
櫂「おやすみなさい。」
由紀「じゃあじゃあ恋話しよ?好きな人とか!」
美紀「そう言われても・・・由紀先輩は何かあるんですか?恋話。」
由紀「あるよ!あれ?無いかな?」
美紀「何ですかそれ?」
由紀「あ、胡桃ちゃんは?」
美紀「あ、逃げた。」
由紀「胡桃ちゃんはシャベル大好きだよね?それにかい君も拳銃大好きだよね。」
美紀「それ恋話ですか?」
胡桃「前に、私が失恋した時に、由紀が慰めてくれたんだよな。」
悠里「あ・・・」
由紀「そうだっけ?」
美紀「由紀先輩、そんな器用な事出来るですね。」
由紀「ふっふっふー!」
胡桃「あ〜、やっぱ勘違いかも〜。」
由紀「へ?」
美紀「ですよね。」
由紀「ええええ!?2人共酷いよ〜!」
胡桃と美紀が笑う。
櫂「おい皆、もう遅いから早く寝ろよ?」
由紀「かい君、めぐねえは?」
櫂「もう寝たぞ。お前達も早く寝ろよ。」
4人「は〜い。」
電気を消して4人が布団に入る。
由紀「ねえ、また恋話しようね。」
美紀「またですか?」
悠里「早く寝なさい?」
胡桃「ああ。おやすみ。」
由紀「おやすみ〜。」
美紀「おやすみなさい。」
4人がぐっすり寝る。
櫂「じゃあ、俺も寝るか。」
そして櫂は、ドアの鍵を掛けて布団に入る。
櫂「おやすみ、先生。」
こうして肝試しと恋話は終わった。
「END」
キャスト
丈槍由紀:水瀬いのり
恵飛須沢胡桃:小澤亜李
若狭悠里:M・A・O
直樹美紀:高橋李依
佐倉慈:茅野愛衣
太郎丸:加藤英美里
市川櫂:村瀬歩
女子生徒A:大地葉
女子生徒B:田澤茉純
男子生徒:手塚ヒロミチ
先輩:古川慎
神山昭子:葉山いくみ
「次回予告」
由紀「ねえねえ!何でめぐねえは先生になったの?」
佐倉先生「あら聞きたい?」
由紀「ま、良いか。」
佐倉先生「え!?」
由紀「だって、めぐねえはずっとめぐねえだもん!」
佐倉先生(由紀ちゃん・・・)
由紀・佐倉先生「次回!がっこうぐらし!第4話!えんそく」