胡桃「3年B組!恵飛須沢胡桃!行っきまーす!!」
デッキブラシ持ってプールの床を掃除しながら走る。
由紀「わあああーーーー!!」
太郎丸「ワウーーン!!」
胡桃「ほらー!どうしたどうした!!そんな屁っ放り腰では汚れが落ちんぞ!!」
由紀「だってくるみちゃん・・・この床結構ヌルヌルだよ・・・?」
太郎丸「ワウ〜ン。」
胡桃「バッカモーン!!私の事は軍曹と呼べー!!」
由紀「えー!?何か今日ノリが変だよ・・・?くるみちゃん・・・」
胡桃「だから軍曹だ!!えーい!我に続けーー!!丈槍上等兵!!」
由紀「へ〜い・・・」
胡桃「もっと気張れーー!!」
由紀「らじゃー!うおおおお!!」
胡桃「まだまだー!!」
そんな2人を悠里と佐倉先生と櫂が見ている。
悠里「2人共!足を滑らせないようにねー!」
由紀「了解でありまーーーーーー!?」
胡桃「わああああ止まれ止まれーーー!!!!」
由紀が足を滑らせてしまい、胡桃に激突した。
櫂「言わんこっちゃない。」
悠里「ちょっと!大丈夫!?」
佐倉先生「怪我は無い!?」
由紀「だ、大丈夫・・・」
胡桃「いたた・・・何処に目付けてんだよ・・・」
由紀「だってヌルヌルが・・・」
美紀「元気ですね。2人共。」
そこに水着姿の美紀と圭がやって来た。美紀が着てる水着は由紀の予備だった。
悠里「本当。由紀ちゃんの水着の予備があって良かったわ。良く似合ってるわよ?」
美紀「嬉しくありません・・・」
圭「あれあれ〜美紀?本当は嬉しいんでしょ?」
美紀「ち、違うって!大体、あのショッピングモールから何でこんな物を持って来たんです?他にもっと必要な物が。」
悠里「だって、私達「女の子」だもん。」
櫂「そして俺は男の子だ!」
美紀「でも・・・昨日・・・あんな事があったばかりなのに。本当にこんな事をしてて良いんでしょうか?」
太郎丸が滑ってる。
櫂「気になるのは分かる。今はあんな事を考えずに楽しもうぜ?でしょ?先生。」
佐倉先生「ええ。」
櫂「悠里もそう思うだろ?」
悠里「ええ。だって、折角のプール日和なんだから。」
圭「確かにそうですね!」
美紀「あの、これプールじゃなくて・・・貯水槽ですよね?」
あのマニュアルを読んでから次の日の朝。由紀を除いた全員が眠そうな顔をしていた。
悠里「少しは眠れた?」
胡桃「んな訳ないだろ・・・」
櫂「あんなマニュアルを読んでぐっすり寝れるレベルじゃねえぞ・・・」
悠里「そうよね。」
胡桃「なあ、あの鍵ってさ、めぐねえの名前が書かれてたんだよな?」
佐倉先生「ええ。」
胡桃「それってつまり・・・めぐねえは最初から知ってて・・・」
佐倉先生「ごめんなさい・・・言い出せなかったの・・・」
悠里「何かが起きると分かってて、私達に隠していた・・・と言いたいの?」
胡桃「違う、それは・・・」
美紀「多分ですけど、それは無いと思います。」
圭「え?どう言う事なの?」
美紀「これって、開封指示があるじゃないですか。渡されたのはずっと前かも知れませんけど、中身を読んだとしても。」
悠里「こうなった後。と言う事ね。」
櫂「先生、あのマニュアルを最初に読んだのは先生なんですか?」
佐倉先生「いえ、私の前に読んだ先生も居たわ。」
胡桃「ああもう!!感染とか生物兵器とか頭の中がグチャグチャで考えが纏まんねえ!!」
美紀「でも、面白い事が書かれてますよ。」
櫂「面白い事?」
面白い事が書かれたページを見せる。
胡桃「非常避難区画?」
悠里「地下2階なんてあったのね。」
櫂「こりゃあ面白いページだな。」
美紀「知らなかったと言う事は、先輩方もここにはまだ行ってない事ですよね?」
悠里「ええ。」
圭「先生は地下2階知ってました?」
佐倉先生「知ってたけど、私も行った事なくて。」
胡桃「何か、あるのかな?」
櫂「鼠とか住んでるんじゃねえのか?」
するとそこに由紀が入って来た。全員がマニュアルを隠す。
由紀「皆!お掃除しよう!」
悠里「あ、あら由紀ちゃん!太郎丸の散歩に行ってたんじゃ・・・?」
胡桃「何だよ!いきなり掃除って。」
由紀「これ見てよ!」
太郎丸が藻だらけになってた。
櫂「藻!?」
由紀「屋上で離してあげたら、太郎丸池に飛び込んじゃって。」
胡桃「おいおいまたかよ!」
悠里「由紀ちゃん・・・」
櫂「何で屋上で離すんだよ!」
美紀「もう先輩、気を付けて下さいよ・・・」
由紀「うん・・・ごみん・・・」
すると太郎丸がプルプルして藻を撒き散らした。
圭「わああ!!」
由紀「ね?凄く汚いんだよ?あの池にはお魚も居るし、あのままじゃ可哀想だよ・・・」
悠里「そうね。今日は暖かいし、水槽掃除の水仕事をするには良いかもね。」
胡桃「水遊びになるんじゃないか?」
由紀「そうそう!それも良いよね〜!」
美紀「由紀先輩!ひょっとして自分が遊びたくてわざと太郎丸を!?」
由紀「ち、違うよ!太郎丸が気持ち良さそうに泳いでたから。」
胡桃「自分も遊びたくなったってか?」
佐倉先生「そうなの?由紀ちゃん。」
由紀「ちょびっとだよ?ちょびっと・・・」
櫂「少し本音が発射されたな。」
美紀「先輩、今はそんな事をしてる場合じゃ・・・」
悠里「良い思い付きだわ!由紀ちゃん!」
美紀「ええええ!?」
櫂「悠里!?」
悠里「そうね。今日は貯水槽を洗う事にしましょ?」
由紀「良いの!?りーさん!」
悠里「ええ!この間水着を買って来たばかりだもんね。」
由紀「やったー!!良かったね太郎丸!」
太郎丸「ワンワン!」
美紀「まずはその汚れ何とかしましょうよ!」
由紀「ラジャー!!」
胡桃「良いのか?」
悠里「私達には、少し考えを整理する時間が必要だわ。これからの事も。」
櫂「そうだな。ウジウジ考えてちゃしょうがねえしな。」
全員が水着に着替えて屋上へ向かう。
由紀「くるみちゃん、意外に着痩せするタイプ?」
胡桃「意外言うな・・・」
美紀「ゆ、悠里先輩・・・」
悠里「ん?何?」
美紀「え?ああいえ!何でも・・・」
圭「櫂先輩ってお腹凄いですね。」
櫂「そう?やっぱり親父と爺ちゃんのお陰かもな。先生の方は・・・」
佐倉先生「ん?市川君どうしたの?」
櫂「いえ別に。」
そして屋上のドアを開ける。
由紀「わああ!!凄い青空!!」
悠里「ええ!良いお天気ね!」
美紀「本当ですね!」
圭「眩しい!!」
太郎丸「ワンワン!」
早速胡桃と櫂が貯水槽にモップを入れる。
胡桃「うっへ〜・・・」
櫂「きめえな・・・」
佐倉先生「2人共落ちないように気を付けてね?」
悠里「誰も面倒見なかったからすっかり藻が繁殖しちゃってるわね。」
美紀「砂や埃も結構溜まっちゃってるみたいですね。」
そしてモップを引き上げると藻が大量にくっ付いてた。
由紀「うわぁ・・・」
圭「これはちょっと・・・」
胡桃「何これひっでぇ・・・」
櫂「おまけに臭えな・・・消臭剤ぶちまけてぇ・・・」
美紀「そもそも、この池って何なんですか?」
悠里「ビオトーブって言ってね?水辺の自然の生態系を人口的に再現した貯水槽なの。生物の実習とかでよく使うのよ?」
胡桃「へぇ〜。」
由紀「ねえねえ、どんなお魚が居るの?」
佐倉先生「虹鱒と鮒が居るのよ?」
櫂「虹鱒と鮒か〜。良いですね。刺身にしたら美味そうですな。」
佐倉先生「でも食べちゃダメよ?」
悠里「さ!生き物をバケツに移して。お掃除開始よ。」
由紀・胡桃「おおーー!」
太郎丸「ワン!」
全員が貯水槽を掃除する。網で増殖してる藻を取り除く。魚達を巨大なタライに移す。でかいソファーを持って来た。貯水槽の水を抜いてデッキブラシで掃除する。
これが貯水槽を掃除する切欠となった。
そして掃除する事数分。
胡桃「よっしゃーー!!!」
由紀「プール開きだ!!」
美紀「それはちょっと違うんじゃ・・・」
貯水槽がピカピカになった。水を入れてプールにした。悠里が水加減を調べる。
悠里「本物のプールとは違って剥き出しのコンクリートだから飛び込んだりしたら・・・」
そう言ってる間に胡桃が飛び込んだ。
悠里「ダメなんだからね・・・」
胡桃「ぷはー!私1番乗りー!」
由紀「ああ!くるみちゃんズルい!!」
悠里「だから飛び込んだりしたら・・・」
そう注意してる最中に由紀が飛び込んだ。
悠里「はうぅ・・・」
由紀「わあ!!お、おぼ!溺れる!!」
胡桃「おいおい、何やってんだ?」
貯水槽は浅かった。
由紀「本当だ!足着くよ!」
貯水槽の水を見る。
由紀「あれ?プールの匂いがしないよ?」
胡桃「バカ。あれは消毒用の塩素の匂いだろ?」
由紀「え!?そうなの!?そんなの入れてお魚さん大丈夫なの!?」
美紀「プールでは魚を飼ったりしませんよ?」
由紀「でも、プールでお魚さん飼うってのも良いよね?」
胡桃「一緒に泳ぐとか?」
櫂「お前人魚になるのか?」
由紀「一緒に泳いで、お腹が空いたら・・・」
胡桃「踊り食いか!?」
櫂「ダメじゃん!」
由紀「ぐぅ〜。」
その後も由紀と胡桃が遊ぶ。
美紀「改めて見ると、結構広いんですね。」
櫂「ああ。」
圭「もし家にこんな広いプールがあったら毎日泳ぎたいな〜。」
悠里「お腹丸出し。」
佐倉先生「ええ。可愛い。」
悠里と佐倉先生が仰向けになってる太郎丸のお腹を撫でる。
櫂「太郎丸、幸せそうだな。」
美紀は太郎丸をジッと見て、撫でようと恐る恐る手を伸ばすが、太郎丸が察知して逃げ出した。
櫂「彼奴、何ちゅう体質だ?」
由紀「ねえねえりーさん、めぐねえ、あれ何?」
ソーラーパネルを指差す。
佐倉先生「あれはソーラーパネルよ。」
由紀「ソーラーパネルって?」
悠里「太陽電池の事よ?あの設備のお陰で私達は普通に暮らせてるの。今の所はね・・・」
美紀「浄水設備もありましたよね?」
圭「学校に浄水設備もあるなんて凄いですよね?」
悠里「川の水と組み上げた地下水を濾過する設備もあるわ。」
美紀「詳しいんですね。」
圭「悠里先輩凄いです!」
悠里「園芸部の活動は屋上だから。」
美紀「巡ヶ丘学院高校は一つの町であり、生徒達は町の住人として自給自足を始めとする様々な仕事を営む事が出来ます。」
悠里「学園案内にそう書いてあったわね。」
美紀「何度も読み返したので覚えちゃいました。」
圭「美紀は凄いな〜。」
櫂「まあ俺達は今8人しか居ねえけどな。今頃外では奴らが元気に遊んでるようだな。」
悠里「それにしても一体、何人の人間がこの学校で暮らす事を考えていたのかしらね?」
美紀「本当、何から何まで至れり尽くせりですよね・・・丸で。」
悠里「丸で、何かが起きる事を予期してたみたい。」
櫂「ひょっとしたら学校の中に予知能力者が居たのかもな。」
胡桃「その辺にしとこうぜ?今日は遊ぶって決めたんだからさ。」
悠里「そうね。」
佐倉先生「そうだったわね。」
美紀「でしたね。」
圭「そうでした。」
櫂「すっかり忘れてた。」
由紀「おおお!太郎丸凄い格好良い!!」
太郎丸が水中ゴーグルを装備してた。
美紀「何やってるんですか・・・」
圭「でも太郎丸格好良いよ!」
暗い事を忘れて遊ぶ事になった。美紀がプールに入る。
美紀「あ、冷たい・・・」
圭「わー!冷たーい!」
櫂「ひょー。」
胡桃「美紀!行ったぞ!!」
美紀「え?」
突然ビーチバレーボールが美紀の方に飛んで来た。
美紀「それ!」
しかしトスで返した。
由紀「ナイスレシーブ!」
胡桃「トスだろ!レシーブはこうだ!」
レシーブして由紀にパス。
由紀「それを私が!!」
胡桃「おい!」
美紀「あんまり強く打つと・・・」
櫂「屋上から落っこちるぞ!」
由紀「アタッーーク!!と見せ掛けてトス。」
胡桃「そんなフェイントはいらん!」
美紀「圭!行ったよ!」
圭「任せて!それ!」
トスする。
由紀「それ!」
うっかりしてスパイクする。
胡桃「おい!飛ばし過ぎ!」
美紀「取りまーす!」
華麗にパスした。
胡桃「やるじゃん後輩!」
美紀「やるからには本気で行きますよ!先輩!」
圭「先輩!私も本気で行きますよ!」
胡桃「よっしゃ!行くぞーー!!」
そして悠里は水を顔に掛ける。
悠里「気持ち良い〜!」
櫂「彼奴ら元気だな。」
悠里「ええ。とても楽しそう。」
佐倉先生「気持ち良いわね〜。」
美紀「悠里先輩!櫂先輩!そっち行きますよ!」
スパイクして悠里にパスする。
悠里「大丈夫よ!」
胡桃「何の!」
櫂「楽勝!」
トスしようと由紀と美紀が必死になるが、互いにぶつかった。
由紀「えへへ〜。ごめん・・・」
美紀「もう由紀先輩・・・」
その後も楽しく遊ぶ学園生活部。悠里は圭のCDプレーヤーでラジオを聴こうとするが、何処のチャンネルも入ってない。
悠里「やっぱり入らないわね・・・」
するとそこに太郎丸が近寄って来た。そしてCDプレーヤーを嗅ぐ。
悠里「太郎丸?」
由紀「りーさん!」
悠里「どうしたの?何かあった?」
由紀「りーさん、これ。」
ロッカーの中の段ボールから水鉄砲を取り出した。
悠里「あら。そう言えばそんな物もあったわね。」
由紀「水鉄砲、かな?」
胡桃「へぇ〜。何でそんな所にそんな物が?」
櫂「水鉄砲かぁ。何でここに?」
悠里「前に誰かが持って来たのよ。興味ある?」
その後胡桃と悠里が水鉄砲を装備して睨み合ってる。
胡桃「なあ、最後に一つだけ教えてくれよ。」
悠里「何かしら?」
胡桃「あんた、かなり手慣れのガンマンと見た。2つ名とかあるんじゃないのか?」
悠里「ウフフ。さぁ、どうかしらね?」
すると風が吹き始めた。由紀と美紀と圭と佐倉先生が隠れて見てる。
由紀「あわわわわ・・・」
美紀「何なんですか?この空気・・・」
圭「西部劇かな?あれ?先生、櫂先輩は何処へ?」
佐倉先生「あれ?さっき居たはずなんだけど・・・」
すると胡桃と悠里が走り出りながら水鉄砲で撃ち合いを始めた。
胡桃「何が誰かが持ち込んだおもちゃだってんだ!」
そしてお互い隠れた。
胡桃「大方、自分が持ち込んだ私物って事だろ!」
悠里「ウフフ。ご名答。代わりに良い事を2つ教えてあげる。1つは、あなた随分景気良く連射してたけど、その二丁拳銃の残弾、もう心許ないはずよ?」
胡桃の水鉄砲が弾切れを起こしてしまった。
悠里「もう1つ。私の通り名を教えてあげるわ。「風船爆弾の魔術師」よ。」
すると胡桃の真上から水風船が降って来た。
胡桃「何!?」
気付いた胡桃がすぐに避けた。すると悠里がまた水風船を投げた。
胡桃「何の!!」
すると胡桃がシャベルで水風船を割らす事なく弾いた。
悠里「そんな!水風船を割らずに跳ね返した!?」
由紀「ヤバ!」
跳ね返した水風船が美紀の顔面に直撃した。
すると胡桃と悠里の足元すれすれに水が飛んで来た。
悠里「な!?」
胡桃「誰だ!」
櫂「俺の名は「スティーブン」。お前達の戦いを見て面白そうだから混ぜてくれよ。」
悠里「あら。また敵が増えちゃったわね。」
胡桃「お前のその名前は本名か?」
櫂「いや、俺自身が名付けたコードネームだ。俺を楽しませてくれよ!」
すると水鉄砲2丁を連射した。しかし2人は避けた。
佐倉先生「市川君・・・何時の間に・・・」
圭「かなり乗ってますね・・・」
胡桃「最後の勝負だ!」
悠里「望む所よ!」
櫂「良いだろう!」
すると3人が一気にプールに向かってジャンプしてプールに落ちた。
由紀「りーさん!くるみちゃん!かい君!」
水中から3人が出て来た。
胡桃「まだまだ!」
櫂「これでフィニッシュ!」
3つ巴の戦いの途中に、横から水が噴射されて悠里と胡桃と櫂に直撃した。水を噴射したのは美紀だった。
美紀「先輩方!悪乗りし過ぎです!」
胡桃「ごめ〜ん・・・」
悠里「調子に乗りました・・・」
櫂「今回は美紀さんが漁夫の利を得ましたな・・・」
由紀「りーさん格好良かった!私も魔術師になりたい!どうやったらなれるの!?」
悠里「えっと、まずは悪魔と契約かしらね・・・」
櫂「中二病?」
そんな楽しく遊んでる8人とは裏腹に、1台の車が巡ヶ丘高校の駐車場に停車した。
そんな事を知らない8人は、夕方になってもプールで遊んでる。
胡桃「よーし!取って来い!」
フリスビーを投げた。太郎丸が追い掛ける。
由紀「負けないぞーー!!」
胡桃「え!?」
何故か由紀もフリスビーを追い掛ける。
由紀「待て待てーー!!」
櫂「犬に覚醒したのか由紀は?」
佐倉先生「でも楽しそうね。」
悠里「ウフフフ。」
美紀「あれ?悠里先輩、それ。」
悠里「ん?ああこれ?」
圭「あ!それ私のプレーヤー。」
悠里「圭さんのプレーヤーだったのね。ごめんなさい。ラジオ機能があるから試しに使わせて貰ったわ。」
圭「良いんです。美紀、これ持っててくれたんだね。」
美樹「うん。圭のお気に入りだからね。」
圭「ありがとう美紀。それで何か聴こえました?」
その質問に悠里が首を振る。
悠里「屋上なら電波の入りに良いと思ったんだけど・・・」
圭「そうですか・・・」
櫂「まあ後々聴こえて来るかもだぞ?」
するとそこに太郎丸が近寄った。
圭「太郎丸?」
美紀「どうしたの?」
すると太郎丸がCDプレーヤーを嗅いだ。すると美紀と圭があの頃を思い出した。
それは由紀達と出会う前事だった。圭がCDプレーヤーでラジオを聴こうとしても。
圭『やっぱり、何処のラジオ局も入らないな・・・』
美紀『ねえ、圭。・・・圭!』
圭『ん?』
美紀『ずっとイヤホンでノイズ聴いてたら耳悪くするよ?私の事気にしないでスピーカー機能で聴いたら?』
圭『でも・・・』
美紀『良いから。』
イヤホンを外してスピーカーでラジオを聴く。しかし全部ノイズばかりだった。
太郎丸『クゥ〜ン。』
美紀『ん?クス。』
圭『な、何よいきなり!?』
美紀『あれあれ。』
太郎丸がノイズを聴いてノリノリに踊ってた。
美紀・圭『ウフフフ。』
すると美紀が、笑ってる圭を見詰めた。
そして現在に戻り、太郎丸がCDプレーヤーを嗅ぎ続けてる。
美紀「圭の匂いがするの・・・?」
圭「私の匂い・・・?」
すると美紀が撫でようとリベンジする。恐る恐る手を伸ばしたが、太郎丸は動じる事なかった。そして太郎丸を撫でる事に成功した。
圭「良かったね美紀。」
美紀「うん・・・」
すると太郎丸が逃げ出した。撫でれたのは一瞬だけだった。するとすぐに太郎丸が戻って来た。口にフリスビーを咥えていた。
美紀「太郎丸・・・?」
悠里「きっと、遊んで欲しいのよ。」
櫂「お?太郎丸が素直になったな。」
佐倉先生「直樹さん、太郎丸と遊んであげて?」
美紀「はい!」
フリスビーを取ると、太郎丸が美紀に近寄った。嬉しくなった美紀が太郎丸を優しく抱いた。
圭「美紀・・・良かったね・・・」
そして美紀がフリスビーを投げると、太郎丸が追い掛ける。
由紀「待て待てーー!!」
そして由紀も追い掛ける。
櫂「何で由紀も追い掛けるんだよ。」
胡桃「ふふふ。う・・・」
悠里「風が冷たくなって来たわね。」
寒がってる胡桃に服を被せた。
胡桃「え?あ・・・ありがとう・・・」
櫂「ブエックション!俺の体が寒過ぎるってほざいてやがる・・・」
佐倉先生「そうね。そろそろ秋の季節が来るのね。」
悠里「2人共ー!そろそろ終わりにしましょうかー!」
由紀・美紀「はーい!!」
太郎丸「ワン!」
こうしてプール遊びが終わった。魚を貯水槽に返した。そして蓮の葉を入れてビオトーブに戻した。
胡桃「すっかり綺麗になったな!」
由紀「これで何時太郎丸が落ちても大丈夫だね!」
美紀「落とさないで下さい!」
そして全員がシャワー室で体を洗い流す。櫂は男子用のシャワー室で洗ってる。シャワーを浴びた胡桃は水をがぶ飲みする。
胡桃「ぷはーー!!しみるーー!」
由紀「胡桃ちゃんお爺ちゃんみたい。」
胡桃「美味い物は美味いんだよ!」
由紀「はぁ〜。お風呂に入りたいね〜。」
胡桃「流石に校内に風呂は無かったな〜。」
悠里「部室棟の方には運動部が使ってた風呂もあったと思うけど・・・」
胡桃「風呂の為に彼処まで行くのはちょっとな・・・」
悠里「今日は楽しくなかった?」
美紀「あ!凄く楽しかったです・・・」
圭「私も楽しかったです!」
悠里「良かったわ。」
美紀「楽しかったんですけど・・・」
由紀「みーくんどうしたの?何か心配事でもあるの?」
美紀「そう言う訳じゃなくて・・・」
由紀「そう言う時はね〜、頼ってくれて良いんだからね。先輩なんだし!」
美紀「由紀先輩、あんまり頼れる感じがしません。」
由紀「え〜・・・た!頼りになるよ!頼りにしてよ!」
佐倉先生「由紀ちゃん落ち着いて?」
由紀「何か傷付くな〜。みーくんはあれだよ!先輩に対するケーキが足りないよ!」
美紀「もしかして、敬意ですか?」
由紀「はっ!」
ショックを受けた由紀が隅っこで落ち込んで拗ねてしまった。
由紀「もう良いよ・・・これからはみーくんが先輩で・・・」
美紀「言い過ぎましたから!ああもう・・・拗ねないで下さいよ由紀先輩!」
由紀「もう酷い事言わない・・・?」
美紀「言いませんよ?」
由紀「相談してくれる?」
美紀「分かりました・・・」
すると由紀が元気を取り戻した。
その頃櫂はシャワーをたっぷり浴びてた。
櫂「ヒュ〜。やっぱシャワー良いな〜。浴槽は確か部室棟にあったな。あんな所までハイキングしても奴らの朝飯にされちまうな。ん?」
すると突然櫂が何かを感じた。
櫂(この感じ・・・まさか・・・)
その夜。8人が部室へ戻る。
由紀「じゃあ明日もプールだ!」
櫂「何故?」
美紀「やっぱり先輩は子供っぽいですね。」
櫂「確かに。その考えは子供の発想だよな。」
由紀「にゃにをー!?」
悠里「明日は、地下へ行ってみましょうか。」
胡桃「お!例の避難区域って奴か!?」
美紀「良い物があると良いですね。」
由紀「地下って?」
悠里「後で教えてあげる。」
胡桃「何だかもう・・・このまま寝ちゃいそうな気分だよな・・・」
悠里「あら。ご飯は良いの?」
胡桃「ご飯!そうだ!ご飯があったよ!」
櫂「そうだった!飯がまだだった!」
美紀「皆さん疲れてますし、簡単な物で済ませましょうか。」
胡桃「大和煮の缶詰まだあったよな!」
由紀「えー!?私もそれ欲しいー!」
佐倉先生「幾つもあるから大丈夫よ。」
胡桃「他にもシャケ缶とか鯖缶もな!」
櫂「お!ツナやコンビーフも沢山あるぞ!」
美紀「焼き鳥缶も美味しいですよね!」
圭「後蟹味噌も美味しいですよね!」
由紀「みーくんと圭ちゃん渋い!」
するとその時。櫂が何かの気配を感じた。
櫂「待て。」
悠里「どうしたの?」
櫂「この中に誰か居る。」
胡桃「まさか彼奴らか?」
櫂「胡桃、俺が中を確認する。そのまま待機してくれ。」
胡桃「分かった。」
ベレッタM92とデザートイーグルを取り出して、教室の中に入る。
櫂「出て来い!」
しかし誰も居なかった。
胡桃「どうだ?」
櫂「誰も居なかった、俺の勘違いだったかもな。」
佐倉先生「きゃあ!!」
しかし勘違いでは無かった。1体のゾンビが佐倉先生の腕を掴んでいた。
由紀「めぐねえ!!」
櫂「しまった!」
ゾンビが佐倉先生を噛み付こうとする。
佐倉先生「いや・・・止めて・・・!」
櫂「先生!!」
胡桃「めぐねえを離せ!」
すると何処からか銃声が響いた。
悠里「何!?今の!?」
それと同時に、ゾンビの肩が出血した。
櫂「何だ!?」
由紀「めぐねえ!」
隙を見て佐倉先生が由紀の方へ走った。
???「おい坊主!」
櫂「!?」
後ろに振り向くと、パーカーを被った謎の男がAK47を構えていた。
美紀「誰!?」
櫂「お前は!?」
???「余所見をするな!奴は健在だ!」
後ろには、先程のゾンビが生きてた。
櫂「しつけえな!」
急接近して、キックして後ろに倒した。
櫂「ゆっくりお寝んねしてな。」
デザートイーグルのトリガーを引いて、ゾンビを葬った。
櫂「ふぅ〜・・・先生、怪我はありませんか?」
佐倉先生「え、えぇ・・・」
???「やはり流石だな。」
櫂「あんた誰だ?」
???「久し振りに会えたな。櫂。」
すると謎の人物がパーカーを脱いで正体を明かした。髭を生やしたダンディな男性だった。
櫂「お、親父!?」
7人「ええ!?」
櫂の父親「久し振りだな。櫂。」
その男性の正体は、櫂の父親だった。
その後部室で事情を聞く。
櫂の父親「初めまして。私は市川慶彦です。櫂の父親です。」
名前は「市川慶彦」。櫂の父親で元軍人。
櫂「親父、何でここに?」
慶彦「実はだな、街中でこれを発見しててな。」
櫂「それは!」
見せたのは櫂が書いた手紙だった。
慶彦「生存者を捜索中にこれを見付けたんだ。お前はまだ生きてると確信した私はそのままこの巡ヶ丘高校にやって来たんだ。」
櫂「そうだったのか。」
慶彦「それで、この方達が?」
櫂「そうだ。今生き残ってる全員だ。丈槍由紀、恵飛須沢胡桃、若狭悠里、直樹美紀さん、祠堂圭さん、佐倉慈先生だ。」
慶彦「そうか初めまして先生。何時も息子がお世話になっております。」
佐倉先生「いえ。此方こそお世話になっております。」
胡桃「櫂、お前の親父さんダンディだな。」
櫂「そうか?俺から見たら普通だけどな。」
慶彦「何だと?この野郎め。」
櫂「いやいや親父悪かった。」
慶彦「にしてもお前、完璧に両手に花を持ったな。それともハーレムか?」
櫂「おいいい加減にしろこんちくしょう。」
悠里「あの・・・」
慶彦「ん?何か?」
美紀「慶彦さんは生存者の救出活動をしてるんですよね?」
慶彦「そうだ。」
美紀「今外ではどうなってるんですか?」
慶彦「そうだった。それを今伝えようとしたんだった。皆さん、最新情報です。」
由紀「最新情報?」
慶彦「今現在ゾンビ化した数は生存者より少ないです。そしてゾンビの感染はこの都内だけです。それだけではありません。アメリカの軍隊が救援が来ております。」
櫂「本当か親父!?」
慶彦「本当だ。」
圭「て事はお父さんとお母さんがまだ生きてるって事ですか!?」
慶彦「それはまだ分からない。けど生き残ってるかも知れない。」
美紀「圭・・・」
圭「美紀・・・」
悠里「もしそうだったら慶彦さん達は英雄になれますよ。」
慶彦「いえ、そこまで求めてないよ。」
櫂「親父、俺達今から飯食うけど。」
慶彦「そうだな。お言葉に甘えていただくよ。」
その後飯を食べ終えて、櫂が夜中1人で部室で居た。そこに慶彦が入って来た。
慶彦「櫂。」
櫂「どうした親父?」
慶彦「お前にプレゼントがあるんだ。」
櫂「プレゼント?」
慶彦「これだ。」
机の上に置いたのはあのダンボールサイズのアタッシュケースだった。
櫂「これあのアタッシュケースと同じ?」
そしてケースを開けると入っていたのは、拳銃だった。
櫂「これは!シグザウエルP220!」
慶彦「これをお前に託したいと思って持って来たんだ。中にはシグザウエルのマガジンも入ってる。」
櫂「助かる。ありがたい。」
こうして櫂は新たな武器を入手した。
そしてその真夜中。皆が眠ってる時に太郎丸が目を覚ました。そして何処かへ行こうとするが、首輪のリードで繋げられてた。しかし強引に首輪から脱出した。そしてこっそりドアを開けて廊下へ出た。
太郎丸「ワオーーーーン!!」
廊下で鳴き声を上げた。そして太郎丸が何者かの声を耳にした。バリケードを抜けて向かったのは地下だった。そして地下2階へ通ずる階段の前に止まって威嚇した。
太郎丸「ワンワンワンワン!!」
その太郎丸の目線の先には大量のゾンビ達がフラフラしていた。
「END」
キャスト
丈槍由紀:水瀬いのり
恵飛須沢胡桃:小澤亜李
若狭悠里:M・A・O
直樹美紀:高橋李依
祠堂圭:木村珠莉
佐倉慈:茅野愛衣
太郎丸:加藤英美里
市川櫂:村瀬歩
市川慶彦:竹内良太
「次回」
由紀「りーさんって魔術師なんだよね?」
悠里「通り名よ?」
由紀「良いな〜私も通り名欲しい!」
悠里「そうね・・・地獄のお騒がせ娘でどうかしら?」
由紀「お騒がせ娘?」
由紀・悠里「次回!がっこうぐらし!第10話!あめのひ」
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オリキャラ紹介。
「
誕生日・9月12日
年齢・47歳
血液型・O型
身長・178Cm
体重・67kg
性格・冷静、軽口
モデル・本木雅弘
武器・AK47、FA-MAS、M870
髪型・長髪で黒髪
服装・黒のジャケット、白のシャツ、青のジーンズ、黒のスニーカー
市川櫂の父親で元軍人。
現在は櫂の祖父と一緒に家族の元を離れて農家として平穏な生活を過ごしてる。
しかし突如起こった生物兵器の災害を知って家族と共に生存者救出活動をしている。
そして生存者捜索中に櫂が書いた手紙を発見して巡ヶ丘高校に訪れて櫂達と共闘する。
軍隊に居た頃の階級は中佐であり、誰からも信頼される軍人だった。
愛車・オデッセイ
呼び方
ゆき→由紀さん
くるみ→胡桃さん
みーくん→美紀さん
りーさん→悠里さん
めぐねえ→佐倉先生
イメージキャスト・竹内良太