暗殺教室〜 穢れた少年〜   作:狂骨

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修学旅行の時間 二時間目

渚side

殺せんせーや磯貝君たちの班と合流した僕等はしおりをたよりにようやく不良達を見つける事ができた。

途中で仲間らしき不良が現れたが、殺せんせーが手入れをし…何というかスキンヘッドに瓶底メガネという昔のガリ勉のような姿にしてしまった…。

磯貝「ここです殺せんせー...」

殺せんせー「...では開けてください」

渚「はい」

僕が入り口を開けるとそこにはとんでもない光景が広がっていた。

不良達が一人を除いて倒れていた。そしてその中心に誰かが立っていた。

茅野より小柄な身体

褐色色の肌

ボロボロの衣服

間違いない神威くんだ。

渚「神威くん!」

思わず僕が呼ぶと神威くんはゆっくり振り返ってきた。その時僕は足元に神威くんの眼帯が落ちていたことが分かり僕はそれを拾った。

渚「神威くんこれ落ちてた...え...!?」

殺せんせー「なっ!!」

前原「な...なんだお前その目...」

僕等が見た神威くんの顔は返り血がついていた。そして何より驚いたのが左目だ。その目をよく見ると

 

“ 人間じゃなかった”

 

眼球はドス黒く瞳は赤色で妖しく光っていた。とてもカラーコンタクトでも再現できる色じゃない。

 

 

sideout

 

渚達が来る何十分か前廃墟の中は冷たい空気に満ちていた。その原因は神威が矢田を襲おうとした不良の体に打撃を打ち込んだ音が響いたからである、その直後 神威は不良達を鋭い眼光で見据えた。

「お前ら全員皆殺しだ。そこの奴は瞬殺だったがお前らにはあっさり瞬殺かじわじわ虐殺どっちかを選ばせてやるよ」

残酷な選択肢を出してきた神威に対し不良達は次々に瓶や金属バッドを持ち始める。

 

リュウキ「チ……チビがいきがりやがって!!お前らやっちまえ!!」

 

リュウキというオールバックの不良の指示で瓶やナイフや金属バットなどの武器を持った仲間達が襲いかかり神威を攻撃してきた。

 

神威「見るからに今指示した奴が首謀者か...」

それだけ言うと神威は不良達の攻撃を余裕で躱しその懐へと入り込む。

 

「ふん…!」

その不良の懐に神威の拳が深く突き刺さる。その鋭い拳の一突きはその不良の意識を刈り取った。

「!や…やっちまえ!」

リュウキの合図と共に他の不良達は一斉に便やバッドを持ち神威に向かっていった。

 

「…雑魚が…」

神威は首を向かってくる不良へ向ける。瓶を持つ不良はすぐさま神威へ当てるため大きく振りかぶる。

 

 

「死ねぇぇぇ!!」

「うるせぇ」

バンッ!

 

肋骨が砕ける音と共に叫びながら向かってきた不良の腹に神威の蹴りが炸裂した。

 

「ぐぼぉぇ…!」

その不良は汚物を吐き出しながら見事に吹き飛ばされ廃墟の壁に叩きつけられ気絶した。

 

だが、その隙をバッドを持った不良がついた。

 

「ゔぁぁぁ!!!!!」

 

ゴシャァァァンッ!!

 

 

ヤケクソで放ったそのバッドの大振りが神威の頭へ直撃した。その瞬間 神威の首が大きく横へよじれた。

 

 

その結果

首の骨が折れ 顔が折れた木の枝のように垂れる。

 

「や…やってやったぜ…!!は…ハハハ!!!」

神威を倒した優越感なのか、人を殺した現実から逃れようとしているためなのか、その不良は発狂しながら笑った。

 

「!神威君…!!」

人質に取られていた神崎や矢田達はその光景を見た瞬間 絶句してしまった。

「う…嘘……でしょ…?」

「…!!」

 

矢田だけではない。その場にいた女子たちはその壮絶な光景に声も出せなかった。

 

 

 

 

 

 

だが、次の瞬間

 

 

「ん?一撃 当てられたか」

 

 

『!?』

 

現実にはあり得ない事が起きていた。

 

首を折られたというのに神威がまるでダメージがないかのような表情を浮かべていたのだ。すると、骨が粉々になっていてもおかしくない自分の頭に手を触れた。

 

 

グキ…グキグキ…バキ…!

 

そして その垂れた頭を自力で元の位置に戻したのだ。周りの皆は何が起こったのかさっぱり理解が出来なかった。神威の首の骨の音がその場に響き渡った。

この不可解な光景を目の当たりにしたバッドを持った不良は限界なのか気絶した。

 

「……首を折っても俺は殺せねぇぞ」

神威は残りの不良へ目を向けると殺意を剥き出しにした。不良達は既に後ずさろうとする者もいる。

あんなものを見てしまっては確実に精神が持たないだろう。

だが、神威は逃すほど甘くはない。

 

「来ないなら……いくぞ…?」

 

 

ーーーーーー

ーーーー

ーー

 

 

 

あれから数分後、今まで瓶やバットを持っていた不良達は リーダー格の不良を除いて全て神威によって叩きのめされ気を失っていた。見る限り 全員 必ずどこか一箇所を複雑骨折させられていた。

神威「雑魚が。大勢でこの程度か…」

 

そして神威は首謀者であるリュウキを鋭い目で見据えた

その時

 

ガラガラガラ

 

後方から光が差し込み、扉が開いた。

 

〜現在〜

殺せんせー「これは…神威くん...何があったんですか...?」

殺せんせーは困惑しながら神威に問う。

神威「矢田を襲おうとした奴がいたからソイツをぶちのめした。そして周りの奴らにも同じ事をしてやったよ」

殺せんせー「そうですか…。いや…皆さんが無事でなによりです。さぁ帰りましょう。皆さんお怪我はないですか?」

茅野「なんとか」

神崎「大丈夫です」

殺せんせー「矢田さんも大丈夫です...ってアレ!?矢田さん!?」

殺せんせーが見るとそこに矢田の姿がなかった。その時

リュウキ「テメェらッ!よくも俺たちの邪魔してくれたなぁッ!!」

その叫び声のする方を見ると矢田を人質にしたリュウキが立っていた。

殺せんせー「矢田さん!!」

殺せんせーが助けようとすると

リュウキ「おっとちょっとでも近くとこの女を殺すぜ?」

矢田「...!!」

リュウキが矢田の首筋にナイフを突きつけた。

皆は手出しができなかった。殺せんせーも下手には動けない。いくらマッハとはいえあそこまで近づけられたら流石に間に合わない。

皆が困惑していると、一人 歩いて近づく者がいた。

 

神威「どけ」

 

神威は殺せんせー達を押し退け ゆっくりとリュウキに近づいていた。

リュウキ「な……何近づいてんだよ…!マジで殺すぞっ!!!」

矢田「ッ!!」

リュウキは更に矢田の首元にナイフを近づけた。

 

すると神威は立ち止まった。

 

 

 

…!!!

 

 

その場にいるモノ達は死を予感する。まるで神威の腕が鋭利な鎌と化し、首筋に突きつけられるようだった。

 

離れていた皆が正確な死に方を想像させる程の殺気を神威は放っていた。見ると赤く染まった目が怪しく輝き、首から次々と筋が沸き立っていた。

 

 

神威「手を離せ…!!」

 

遂には首筋だけでなく、額からも筋が沸き出つ。大切な家族を何の理由もなく危険な目に合わすこの高校生に対し、神威は激怒していたのだ。

 

 

リュウキ「な...舐めやがって...だったらマジでぶっ殺してやるよぉぉぉぉぉ!!!」

リュウキが矢田に向かってナイフを大きく振りかぶり矢田の首元目掛けて振った。

 

 

ザシュ…

 

リュウキ 「な……!」

だが、

刺したのは矢田の首ではなく目の前にある神威の腕だった。

矢田「!」

神威「………」

そして神威はナイフの刺さった手で不良の頭を掴むとバーベルのように持ち上げた。

 

「きえろ」

それだけ言い添え投げつけた。

 

ドガァァァァァァンッ!!!!!

 

 

そして投げつけられたリュウキは幸いに破けたソファーの上に落下したが叩きつけられた衝撃で気絶した。

 

神威「骨折で済ましてやったんだ。ありがたく思え...」

そう言い捨てた神威は刺さったナイフを抜き放ると解放された矢田の元にいき手を出した。

神威「大丈夫か?」

矢田「...うん」

矢田は差し出された神威の手を掴みゆっくりと立ち上がった。

 

それと同時に矢田は神威に抱きついた。

矢田「...うぅ...怖かった…………...」

限界なのか矢田は泣いていた。

それに対し神威は突然の出来事に赤面していた。

神威「!やめろ...矢田.…アイツらもいるんだぞ…」

神威の言ったことが聞こえないのか矢田はさらに力強く抱きついてきた。

神威が見回すとカルマと殺せんせーがゲスな笑みで見ていた。

神威「…なんだよ..」

カルマ「いや〜普段いつも無表情の神威がこんな顔するとはねぇ〜」

そう言いながらカルマが神威に自分が赤面した画像を見せた。

神威「今すぐ消せ...」

カルマ「保存完了〜♪」

殺せんせー「さぁ!邪魔者は退散しましょう!!」

神威「ぐぅ…!」

 

 

神威side

その後俺は姉が泣き止むまで抱き着かれたがしばらくしてようやくおさまった。

神威「気は済んだか?」

矢田「うん...ありがとう」

俺達はその廃墟の外にあるベンチに座っていた。

神威「だったら早く旅館に戻るぞ...あとこの目のことは秘密にしとけ….」

矢田「うん…わかった。……その手は…」

姉はナイフで刺された俺の腕を見た。包帯を巻いてあるが出血が酷いためか包帯がもう真っ赤に染まっていた。

「気にするな。ほっとけば治る」

それだけ言った。その後は何も喋らなかった。

その後俺達は立ち上がると皆が待つ場所へと歩いた。

 

 

 


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