暗殺教室〜 穢れた少年〜   作:狂骨

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期末テスト

遂にこの日が来た。

 

「渚〜?どうよ。英語の方は」

「ん〜まぁ…ボチボチってとこかな…」

「しゃきっとしな!アンタなら英語は十分上位狙えるんだから!」

中村さんはそう言いながら自信のない返事をした僕を叱咤してくれる。中村さんや皆のような自信は僕にはそれ程ない。

 

「おやおや〜?E組じゃないですか〜?」

「A組と対決するらしいな〜?ま、せいぜい恥を晒す事をいの…ぶばぁぁ!?」

 

D組の人達の野次に中村さんは臆する事なくサラッと鉛筆を鼻に突き刺した。

 

「さてさて、誰か来てるかな?」

D組の教室を通り過ぎるとE組の教室が見え、誰かいるかな?と思い中を見る。

 

『………え?』

中村さんと声が重なる。映ってきたのは…髪型が律に似てる人だった。

 

 

『誰……あれ…?』

「一般のテストに人工知能を使う事は流石にタブーでな。替え玉で解決した。理事長にも哀れみの目を向けられしまってな…。今の俺の心情…君らに分かるか…?」

『頭が上がりません!!』

あ…気付いたら烏間先生がとてつもなく疲れた顔で立ってた。この人も大変だなぁ…。

 

「律からの伝言と合わせて、俺からも言わせてもらう。頑張れよ」

その軽い笑みと力強い声のエールが僕らを勇気づけてくれた。だから僕と中村さんは元気よく返事をする。

「はい!」「うん!」

 

それからしばらくすると、皆は次々と到着して席へと着いていった。

 

 

 

中間の時とは違う。ここには殺せんせーはいないけれど、僕らは前を向いてテストを受けれる。

 

このテストで示すんだ。自分達で磨いた……“第二の刃”をッ!!!

 

 

ーーーーーーーー

 

 

渚達の前には異形なモノと化した『問題』が立ちはだかっていた。

舞台は教室という名のコロシアム。そこにはE組の皆を始め、AからD組の皆がその問題達と闘いを繰り広げていた。

そして、渚達も次々と参戦し、問題の討伐に取り掛かる

皆が所属するのは『中高一貫校』中学3年生の時点で高校の範囲を学ぶ進学校であるため、問題はかなりの難易度であった。特に傾向が強いのは数学や理科といった理数。理数が苦手な生徒は苦戦するだろう。

 

 

最初の時間は英語だった。

 

迫りくるは記述式の英文。そこではA組の瀬尾が魔法杖を持ち、モンスターと化した問題の目へ杖を立て回答を記入した。だが、三角という文字が現れる。

 

「何でだよ!?満点解答の見本だぞ!?」

戸惑っている瀬尾の上空を中村が飛び、瀬尾が苦戦している問題へ向けて杖を立てる。

 

「よっ!」

その瞬間 その問題は大きく立派な華丸となった。

「な…!?満点……だと!?」

「お堅いねぇ〜!力抜こうぜ?優等生〜」

余裕の表情を浮かべる中村に瀬尾は汗を垂らす。なぜ、A組である上にロサンゼルスに長期間に渡り滞在してコミニュケーションを身につけた自分がこんな奴に負けるのか。それが不思議で仕方が無かった。

いや、考えている暇はない。他の問題へ手を回さねば。 そう思い瀬尾はすぐさま場を離れる。

 

 

次は理科だ。

 

「キシャシャシャシャシャッ!!どうだ!?この化学式なら満点のはずだ!」

不気味な笑みと歯軋りを兼ね合わせた笑い声を上げながら構築させた化学式を当てはめる。だが、問題は倒れず、武器を振り回し小山を薙ぎ払った。

 

「ふぎゃぁ!?なぜだ…!?理論上こうなるはず…!」

すると 近くで地響きが聞こえ、見るともう一体の問題の肩に腰を掛けている奥田がいた。

 

「それでね?」

「ワカル〜♪」

見ると問題と対話していた。

 

「暗記だけではダメなんです。話しかければ話しかける程…この問題凄く喜ぶんです!」

「キャハッ♪」

そう言うと問題は装甲を脱ぎ捨て屈強な肉体を曝け出すと女走りという何とも気持ち悪い足取りで去っていった。その不気味な様子に小山は若干引いていた。

 

次は社会だ。

社会は暗記項目が化学の次に多いため、暗記が苦手な何人かの生徒は次々と倒れていった。五英傑の一人である荒木もその一人だ。普通の中学生よりも社会的知識が備わっている荒木でも予想外な箇所が出されていた。

 

「嘘だろ!?…アフリカ開発会議の回数なんて…!?」

けれども、その問題を切り崩す者がいた。A組でもB組でもない。E組のクラス委員 磯貝だ。

 

「ふぅ…危なかった。一応覚えておいてよかった」

「磯貝!?何故お前が!」

「たまたまだよ。アフリカの均衡に興味を持って調べてたら現地に連れて行かれてさ」

磯貝は試験期間中に一度 殺せんせーに拉致られ興味を持った現地に連れて行かれたのである。

その後 磯貝は次々と問題を倒していった。

 

 

次は国語だ。

 

ここでは神崎が活躍しており、長い黒髪をたなびかせ、まるで詩人であるかのように薙刀を持ちながら古文を一句一句を読み上げていった。

 

「春過ぎて…菜月にけらし白妙の…衣ほすてふ…天の香具山…!」

すると薙刀から一句一句読まれた文が現れ、問題に吸い込まれていき、その瞬間に花が開花する音と共に華丸が現れた。

 

だが、五英傑の国語である柳原もただ立っているだけではない。同じく神崎と同じように次々と華丸を獲得していった。

 

ーーーーー

 

「みんな 目の色変えちゃって〜。勝つっていうのはそういう事じゃないんだよね〜」

一人の少年。彼もまたE組である。皆が懸命に問題を解く中、彼は余裕の表情を浮かべていた。

皆と同じように武器である鉛筆を手に取るとコロシアムへと入っていった。

 

「満点でサラッと勝って完全勝利だ」

彼の横には全国一位の秀才が並び立っていた。

「コイツを生贄に…皆に教えてやるよ」

 

だが、この余裕によって、後に彼は大きな失敗を犯してしまうのだ。

 

ーーーーーーー

〜♪

最後に行われた家庭科のテストの終了のチャイムが鳴る。

 

2日 掛けて行われた期末テスト。

 

長きに渡る闘いに皆は疲労を感じてはいたが、手応えはあったようだ。

果たして、結果はどうなったのだろうか。

 

 

 

 

 

 






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