暗殺教室〜 穢れた少年〜   作:狂骨

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訓練の時間

暗殺訓練 中間報告

 

「視線をきらすな!!次に標的がどう動くか予測しろ!!」

校庭ではいつも通りの日課である暗殺訓練を行っていた。

烏間の中では幾人かの可能性を持つ生徒が出始めていたのだ。

 

磯貝&前原ペア

男子の中でも大きな身体能力を持つこの二人は仲も良く、コンビネーションなどが強力で二人掛かりで烏間にナイフを当てられる確率が増えてきたのだ。

 

岡野&片岡ペア

岡野は元体操部でその軽業師の様な身のこなしと柔軟な動きで意表を突いた攻撃ができる。一方片岡は岡野よりは劣るものの男子並みの体格と運動神経をもち、近接戦では非常に優秀な動きを見せていた。

 

赤羽 業

一見のらりくらりとしているがその目には強い悪戯心が宿っており、決定的な一撃を食らわせ赤っ恥をかかそうと考えている。

 

更に、中には烏間でさえ訓練相手にならない強大な身体能力かつ戦闘能力を持つものがいた。

 

神威

クラス1の小柄だが、人間離れした驚異的な身体能力の持ち主で、クラス1の俊足の木村 正義よりも俊敏で元体操部の岡野 ひなたをも上回る柔軟かつ瞬発力を兼ね備えている。

 

だが、

 

「フンッ」

パシッ

(何故か寺坂グループと同じく…あまり積極的ではない。彼が加われば絶対かつ強力な戦力になるのだが……)

烏間は神威が投げたナイフをキャッチしながら悩んでいた。

 

だが烏間からにしてみれば皆の暗殺能力は格段に向上していた。

 

 

 

中には…

 

シャァァァァァァ…!!!

「!!」

バシッ!

「ふげ!?」

「す…すまん!やりすぎた…」

 

意外な才能を見せるものも。

「あははは大丈夫です…」

 

潮田 渚

男子で二番目に小柄ゆえにすばしこい。特筆すべき身体能力はそれ以外ない温和な生徒だ。

 

(だが……いまの得体の知れない気配は……)

 

ーーーーーー

ーーーー

ーー

 

「では今日の授業は終了」

 

『ありがとうございました』

 

「烏間先生〜!帰り皆でお茶してこーよ!!」

「…あぁ。誘いは嬉しいが、この後は防衛省の連絡待ちでな」

倉橋の誘いを烏間は断ると職員室へと戻っていった。

 

「私生活でも隙がねぇ〜な…」

「うん。それに烏間先生…私たちと一定の距離を保ってるみたいだし」

「厳しいけど優くて私達のこと大切にしてくれてるけど…それってただ任務に過ぎないのかなぁ…」

烏間の後ろ姿を見ながら三村、矢田、倉橋が呟いた。

その言葉を殺せんせーは否定した。

「確かに烏間先生は私を仕留めるために送り込まれた工作員ですが、彼にも素晴らしい教師の血が流れていますよ」

殺せんせーは烏間のほうを見ながらそう言った。

その時、

バタン!

教員室の入り口が勢い良く開けられた。そこにいたのはとても大きな包みや袋を担いだやや太めの体型の男性だった。その男性は烏間と少し話すとこちらへ歩いてきた。

 

「やっ!俺の名前は鷹岡 明!今日から烏間の補佐としてここに働くことになったんだ。よろしくな!」

その男性はにっこりと笑顔を見せながら陽気に挨拶をしてきた。それと同時に持っていた荷物を全部下ろした。

 

「うそ!?これって『ラ・ヘルメス』のエクレアじゃん!しかもこっちは『モンチチ』のロールケーキ!」

「いいんですか?こんな高いの…」

「あぁいいさいいさ!俺の財布を食うつもりでたくさん食べろ!!俺はお前らと早く仲良くなりたいんだ。それだったら皆で囲んで飯を食うのが一番だろ?」

そう言われると皆は鷹岡という男性が持ってきたスイーツを食べ始めた。

だが、不思議にその場にカルマの姿はなかった。

 

「お前も食うか?」

「?」

すると鷹岡はどれにも手をつけない神威にスイーツを差し出した。だが神威はそれを断った。

「………いらん」

「そうか?」

そういうと鷹岡はそのスイーツを自分の口へと運んだ。

鷹岡は皆と意気投合したのかその場で談笑しあった。その中には殺せんせーもスイーツに釣られて混ざっていた。だがその雰囲気の中、神威は誰にも気付かれずにその場を去った。

ーーーーーーー

ーーーーー

ーーー

 

「へぇ〜。随分と虫のいい話ね」

「あぁ」

あの後、施設に戻った神威は善吉が作った夕食と風呂を済ませ、今は今日来た担任である『鷹岡 明』のことについて赫夜に話していた。

 

「ソイツには気をつけた方がいいかもね」

「……どういう意味だ?」

ベットに座り髪をか沸かしながら答える赫夜に神威は質問した。

 

「だいたいそういう人っていうのは裏の顔があるものよ。表では優しいと見せかけて裏では物凄い独裁主義者だったりとかね」

「そうなのか?」

「まぁ私は会ったことないから知らないけど」

「………」

神威が黙り込むと赫夜は電気を消した。

「ま、私だったらそんな表だけの先生なんてまっぴらゴメンね」

そういうと赫夜はベットに潜り込んだ。

「……(取り敢えず……警戒しておくべきか…それにカルマの奴もあいつを見た瞬間に帰っちまったからな…)」

神威はベットの横に敷いた布団に横になり考えると目を閉じて睡眠に入った。

 

因みに神威が眠った瞬間に赫夜がこっそり自分のベットに運んで一緒に寝かしたのは別の話である。

 

 


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