暗殺教室〜 穢れた少年〜   作:狂骨

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悪夢の再来 そして新たなる住居

 

 

 

 

あれから数時間

 

 

義姉と別れた俺は今夜の寝床を探すため山中を散策していた。

ザ…ザ……ザ…

 

何もない。古屋らしきものは見つからず、ただ木 、木、木ばかりだった。

 

「ここら辺で野宿か…」

俺は寝床を探すのを諦め、木をへし折り、次々に並べた。そしてその並べた木を一本一本 一つの場所に円柱を描くように立てた。

 

「まぁこんなもんか…次は飯……か」

俺は少し腹が減り、木の実を探しにそこから離れた。

 

ーーーーーーーー

ーーーーー

ーー

 

それから何時間経ったか分からないが木の実を見つけた頃には辺りは暗闇に包まれていた。

「なんだ…もう夜か…」

空を見上げると葉の間から見える三日月が俺を照らしていた。

「……そろそろ戻るか……」

俺は木の実を見つけたから目的達成ということで自作の住居に戻った。

 

ーーーーーーー

 

住処に戻り木の実を食べ終えた俺は横になった。季節は夏で地面に落ちた葉が布団の代わりをしてくれている。

その葉のフカフカな心地に俺は誘われ、ゆっくりと目を閉じた。

 

 

 

ーーーーーーーー

ーーーーー

ーー

 

 

 

 

“殺せ!!!!”

 

 

「…!!!!」

突然脳内に響いた声に俺は目を覚ました。体は冷汗でびっしょりと濡れていた。

 

「またか……ってここは……?」

見回すと俺が寝ている場所は見知らぬベットの上であった。

 

………?

なんか……重い……

 

見ると俺の右半身に掛かっている布団が膨らんでいた。

(なんだ……これ……?)

恐る恐る俺はその布団をめくってみた……

 

 

 

「すぅ〜…すぅ〜…すぅ〜…

 

 

 

 

 

 

 

 

!!?

 

 

 

 

そこにいたのは俺よりも遥かに身長が高く……軍服を着た女だった。

 

 

 

 

「おや、目が覚めたかの?」

「!」

突然後ろから声を掛けられた。見るとそこには ぐるぐる眼鏡をかけ長い長髪を後ろでまとめた いかにもファンキーな老人が立っていた。

「誰だお前…?ここはどこだ…?」

俺はその女をどけて上半身を起き上がらせた。

「ホッホッホ。ここは椚ヶ丘の街中にある施設じゃよ施設」

「施設…?

俺は周りを見た。意外と広く、窓から光が差し込んできていた。

(椚ヶ丘にこんな施設なんてあったのか…?)じゃ…じゃぁコイツは…?」

俺は一番気になっていた事を聞いた。するとその老人はホホホと笑いながら答えた。

「そ奴はお主と同じ仲間じゃよ」

「仲間……?」

 

すると、

 

「ん…?朝…?」

その女も目を覚ました。

 

「あれ〜?君 目 〜覚めたの?あ!おはよう 博士!」

「ホホホ。おはよう赫夜」

「(博士…?赫夜……?)」」

 

赫夜と呼ばれた女は俺を見ると『博士?』というやつに挨拶し、ベットから起きて隣に座ってきた。よく見ると……コイツも俺と同じ肌が褐色色だった。それに加えまさかの目も片方濁っていた。

 

「では、話すとするかの。お主、名はなんという?」

「…………神威…」

名を聞かれた俺は今の名を名乗った。するとその老人は首を縦に振った。

「ほほほ。そうか…お主 神威というのか」

すると老人はいきなり俺の肩に手を置いてきた。

 

「お主、今日からここに住まんか?」

「は?」

突然の一言に俺は驚いた。

「実はな、お主らをその姿になってしまったのは全てわしの責任なんじゃ…」

「お前が…?どういうことだ…?

「いまから話そう…」

そう言うと老人は肩から手を離すとまた座り込んだ。

「これは10年も前のことじゃ。わしの家は代々陰陽師での。平安の時代の書物がわんさかあるんじゃ。ある日、平安時代の書物をわしが漁っていると、一本の巻物が出てきたのじゃ。そこに記されていたのはなんと、『芦屋 道満』が書き記した式神の生成術じゃった。それを見た途端わしは興味が湧き内容を見た。じゃがその内容は余りにも残酷な方法じゃった。『負の感情』を増幅させることだったのじゃ」

 

「負の感情…?」

「分かりやすく言うと人間が時に生み出す『怒り』や悲しみ』そして『恨み』というマイナスの感情じゃ。それを取り込めば取り込むほど……人を殺せば殺す程、万物を制圧できる力、明晰な頭脳が得られるのじゃ」

「………」

俺は黙っていると老人は話を続けた。

「じゃがその代償として身体の成長が止まり…毎晩 怨念の声に苦しめられるのじゃ。わしはあまりにも危険と判断し、それを大切な保管庫に入れ長屋に封印したのじゃ。じゃが…ある日その書物がある男によって盗まれたのじゃ」

 

「……まさか…」

「そう……『柳沢 誇太郎』じゃ」

「……グゥ……」

柳沢という名を聞いた瞬間神威は顔をしかめつかせた。

 

「奴はその書物を解読し実験方法を編み出したのじゃ。それから9年後…ある一人の少女が行方不明なった。知っておるじゃろ?」

 

神威は老人が聞いてきたその事件に聞き覚えがあった。

「あぁ…確か中学生の女が拉致されたんだっけ…?まさか…」

「そう。その失踪した少女こそがこの赫夜じゃ」

そう言うと神威は赫夜へと目を向けた。赫夜も悲しそうな表情を浮かべていた。

「あの時は地獄だった……何日も渡って死なない程度にいたぶられた。指なんて何本も折られたり千切られたりしたわ」

「東京の街外れの茂みで倒れていたところをわしが保護したのじゃ。それから1年後、また新たなる犠牲者が出たのじゃ…」

「………それがこの俺か……」

「そうじゃ。お主らに辛い思いをさせてしまったのはわしの所為じゃ。すまなかった…」

そう言うと老人は神威に向かって手をつき頭を下げた。

その土下座に神威は表情を変えなかった。

 

「別にいい…それよりも、アンタはどうしてこの施設を?」

「うむ…実験の犠牲となった子供達を引き取るためじゃ。その子達はわしの所為で社会から落ちてしまった。ならばわしはわしが出来る事でその子達を無事に社会に戻したいと思ってね……どうする?ここに住むか?」

老人の質問に神威こと矢田桃矢は迷いなくすぐに答えた。

 

「頼む」

するとその老人はニッコリと笑みを浮かべた。

「よろしくの。わしの名は風上 善吉 じゃ」

「あぁ…」

そう言うと善吉は立ち上がり「もう少し休んでいるといい」と言い部屋を後にした。

 

バタン

 

善吉が出てていくと部屋には神威と赫夜だけが残った。すると赫夜は神威に手を差し出した。

 

「私は赫夜よ。よろしくね」

「俺は神威だ」

手を差し出された神威は自分も手を差し出し、互いに手を交わした。

 

「というか アンタは学校に通ってんの?」

「あぁ…『椚ヶ丘中学校』にな…」

「へぇ〜!私と同じところじゃん!」

まさかの同じ中学のことに神威は驚いた。

「お前もか?」

「そうそう!私いま3年B組なの。神威は?」

「俺は……E組…」

「え!?あのE組!?どうして?」

「……そのことは話せん……」

うっかりと機密事項を話してしまうところで神威は拒否した。

「え〜いいじゃん聞かせてよ〜」

「めんど…」

赫夜がしつこいと思ったのか神威はベットに戻った。すると赫夜もモゾモゾと入ってきた。

 

「なぜ入ってくる…」

「え〜。だって元々私のベットだし〜♪」

「…なに?」

 

バッ!

 

ガシッ!

咄嗟に神威は起きようとした途端 赫夜に後ろから手を回され抱きつかれ阻止された。

 

「〜♪」

「お……おい…離れろ…」

「い〜や〜よ〜♪一目 見たとき気に入っちゃったんだもん!君のこと♪」

「うぅ………(義姉といたときと全く変わらねぇ……)

「この抱き心地最高〜♪」

ムニュゥ

すると赫夜は矢田よりも豊満な胸を押し付けてきた。

 

(うぅ……義姉以上にやばい………………寝る……)

神威はこの状況から逃れるため いち早く睡眠へと移った。

 

 

ーーーーーーーー

ーーーーー

ーー

 

善吉は部屋の扉の隙間からその状況を見ていた。

すると善吉はニコリと笑みを浮かべると その部屋から離れ、一階へと降り、自室へと入っていった。

 

 

 

 

 

 

 




はい!今回でオリヒロ?みたいなのを登場させました!


赫夜
元の名前:不明

容姿
双星の陰陽師の赫夜

15歳
誕生日不明

身長
165

体重
?kg

中学1年の頃に『柳沢 誇太郎』のとある実験の被験体となった。その後、自力でその施設から脱走し、東京の町外れで倒れていたところを『風上 善吉』に拾われる。神威を一目 見た瞬間に気に入り、色々と仕掛けて来る。


風上 善吉

65歳

容姿
双星の陰陽師 の音海 善吉

身長171

眼鏡をかけ 長髪を後ろで束ねた老人で代々陰陽師を務めている。しかしそれは裏であり、表は製薬会社の社長で現在は退職している。道満法師が記した『式神生成』の書物に興味を抱き、その書物を読むがあまりにも残酷な方法と判断し、その書物を長屋に封印する。だが、ある日その書物を何者かによって奪われる。自分の不注意で神威や赫夜を実験体としてしまったため、二人のことをとても気に掛けている。









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