暗殺教室〜 穢れた少年〜   作:狂骨

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我が家との別れ

 

球技大会で男子が野球部に勝ち、勝利を得た。皆は肩を抱き合い喜び歓声を上げていた。

 

だが神威一人だけは喜びの声、ましてや表情も浮かべなかった。

 

すると

「神威くん!ホームランかっこよかったよ!」

 

矢田が駆け寄り神威に抱きついた。いつもなら赤面するも今回はしなかった。表情も変えずただ無言のままの神威を矢田は不思議に思い理由を尋ねた。

 

「どうしたの?」

「……何でもない。それより、話がある」

 

そう言われた矢田は神威と共に静かな場所へと向かった。

 

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ーー

 

「ここなら誰もいないか…」

 

神威は誰もいない事を確認すると矢田に向き合った。

 

「今日限りでお前の家を出てく」

 

突然の告白に矢田は「え!?」と驚いた。

 

「ど…どうしたの急に!?私がなにか悪いこと…」

 

「してない。ただ新しい家を見つけたからだ」

 

そう言われると矢田は「ホッ」とした。

 

「よかったね。新しい家が見つかって、でも私的にはもう少し一緒に居たかったな〜 お父さんとお母さんにも紹介してないし…」

 

「………その辺はスマンと思ってる。ただ…これ以上世話になる訳にはいかないからな」

 

そう言い神威は矢田に謝るも矢田は笑顔で「分かった」と返した。

 

「あ!この後皆で打ち上げするんだけど神威君も行かない?」

すると神威は「悪いが欠席と伝えてくれ…」とだけ言うと矢田に背を向けた。

 

「じゃあな」

そう言うと山の入り口へと歩いて行った。

 

「うん!」

矢田も笑顔で答えると手を振って見送った。そして、神威の姿が見えなくなると矢田は皆の方へと戻っていった。

 

戻ると皆は帰る支度をしていた。

 

「あれれ?桃花ちゃん〜?神威と二人っきりでなにしてたのかな〜?」

「な…!何もしてないよ!」

 

「ホントかな〜?」

「ホントだってば!!」

戻ると矢田は中村やカルマから茶化され頬を赤く染めた。他の男子や女子達は笑いながら見ていた。

 

 

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「なんで……あんなに笑顔なんだ…?」

あの後神威は木に座り木の実を齧りながらE組の様子を見ていた。視界には皆からからかわれるも笑顔を浮かべている矢田の姿が映っていた。

 

(分からん……何故…俺が原因でE組に落ちたというのに…何故恨んでないんだ…?……理解できん…)

 

そう自問しながら見ていた神威は立ち上がると

 

(必ず……この落とし前はつけてやるからな……姉 …いや…義姉…!)

 

そう言い下校する矢田を見るとその場から飛び降り山の中へと消えていった。

 

 

 

ーーーーーーー

 

「え?」

 

下校の途中 一瞬 何かの気配を感じ矢田は旧校舎の方へと振り向いた。

 

「どうしたの?桃花ちゃん」

親友である倉橋から聞かれると矢田は「なんでもない」と言い下校を再開した。

 

(なんだろ…今の感じ…前にもあったような…)

そう思うも気のせい だろうと思い矢田は足を進め家へと向かった。

 

 

 


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