暗殺教室〜 穢れた少年〜   作:狂骨

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球技大会の時間 4時間目

神威が場外ホームランを打ったことにより、周りは沈黙に包まれていた。次のバッターである管谷もどうしたらいいか分からなくなった。

 

 

その後、管谷はアウトとなり野球部の番が回ってきた。するとここで

 

「タイム!!」

 

相手チームが2回目のタイムを出した。

 

 

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現在野球陣営では理事長が厳しい表情を浮かべ、周りにいる野球部は希望を失ったかのような目をしていた。

 

理由は簡単だ。自分たちのエースがホームランを打たれた。唯一の希望が崩れたのだ。

 

すると理事長は口を開いた。

「先程のホームラン……私の読みが甘かった為に起きたこと……すまなかったね」

「え…いや…」

突然の謝罪に進藤は一瞬 驚いた。

 

「ここからは終盤戦……気を抜かないようにね…話は以上だ。あと、進藤君は私のところへ」

「え…?はい…」

それだけ言うと野球部は位置についた。だが理事長は進藤を呼び戻した。

 

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野球部がタイムを取り集合している一方でE組陣営は神威を中心に喜びの嵐が吹いていた。

 

「すげーぞ!神威!」

 

「お前のお陰で4点だぜ!!」

 

「これでラストは耐えるだけだ!!」

先程のホームランで皆は一瞬 動揺したがその後すぐに気持ちを入れ替え勝利を確信したのだ。

 

だが、カルマは喜ぼうとはしなかった。その表情は何かを警戒しているようだった。

「次で最終局面だけど…耐えるのは少し厳しいと思うよ?」

 

カルマがそう言うと皆は野球部のベンチへ顔を向けた。見ると理事長が進藤に更に協力な洗脳を掛けていた。

 

「さっきのホームランを見てさすがの理事長もヤバイと思ったんだろうね。念密に進藤を洗脳してる」

 

「マジかよ!?こりゃヤバくねぇか!?」

前原が驚いていると

 

「大丈夫だ!相手が洗脳であれどうであれ!俺たちはただ勝つ。それだけだ!!」

 

 

ドンッ!!!!!!!

 

((((((な…何かカッコいい…))))))

 

 

突然放たれた杉野のセリフに渚やほかの皆は一瞬 動揺した。

 

 

ズズズ…

(神崎が近くにいるからかっこつけたかっただけだろ)

矢田から貰ったお茶をすすりながら神威は杉野の心情を分析した。

 

「どうだろ…勝てるかな…?」

 

「分からん。だが確率は高い……と言った方がいいか?さっきの俺のホームランでアイツの精神をだいぶ崩したからな。相当の傷を負わせてやった。多分途中で洗脳についていけずダウンだろ」

進藤を見て矢田は恐る恐る神威に聞いた。神威は表情を変えずに答えた。

 

「でも……」

「どうせあと6回耐えればいいだけだ。奴らも十分焦ってるだろうさ」

「そうだね」

 

 

 

すると近くにいたカルマが神威を肘でグイグイと押してきた。

カルマ(さすが神威〜状況整理が上手いね〜♪)

神威(さりげなく心で話しかけてくんな)

 

そして相手のタイムが終わると皆は自分の位置へとついた。

 

 

だが、タイム後の進藤は先ほどよりも強烈で何本もホームランを打たれE組の皆は彼らに三点という得点を許してしまった。そして進藤も調子を取り戻したのかさっきよりも上回るほどの速球を投げた。

 

 

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最終局面、現在4:3でE組がリードしているがこのままでは追いつかれてしまう。皆の焦りが命取りとなり最終局面に限って一気にスリーアウトを取られてしまった。

 

 

3回裏

 

E組は守備につき相手の出方を伺っていた。

 

「橋本君、手本を見せてあげなさい」

「はい!」

 

『プレイ!』

 

合図と同時に杉野が相手にボールを投げた。対する相手は"バント”だ!

 

「なっ…!」

 

『おっとぉー!!!バントだぁー!!今度はE組が地獄を見る番だ!!』

渚達もバントを掛けてくるのは予想外であった。完全にストレート対策しかないと見切られていた。

 

その為か拾うのに苦労をし一塁への侵入を許してしまったのだ。

 

『E組よっ!バントとはこうやるのだ!!』

すると後からバントが続き、遂にはノーアウト満塁となってしまった。

 

『あっという間にノーアウト満塁ー!!一回表E組と全く同じ!!そして最後に迎えるバッターは…我が校のスーパースター進藤君だぁー!!!』

 

遂に相手は進藤をぶつけてきたのだ。見るからに常人ではないほどの雰囲気が漂っていた。

 

すると

 

「ぷはっ!カルマ君、さっきの挑発を活かす時が来ましたよ」

「……成る程ね。お〜い、監督から指令〜」

 

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ーーー

 

 

『つ…次で3回目…ですが…この前進守備は!?』

実況や周りの皆も驚いた。何故なら、バッターの目の前で守備に当たっているからである。

 

「明らかにバッターの集中を乱す位置に立ってるけど、さっきそっちがやった時、審判は注意しなかった」

そう言うとカルマは理事長の方へ首を向けた。

「文句ないよね?理事長」

 

だが、そんな案も理事長にとっては小賢しいものだった。

「ご自由に、選ばれた生徒は守備位置だけで心は乱さない」

 

「なら遠慮なく」

そう言ったと同時にカルマと磯貝は更に接近した。ほぼ零距離だ…!

 

『ち…近い!!ほぼゼロに近い距離!!振れば確実にバットが当たる距離です!!』

 

あまりにも近いのか進藤は目を点にして唖然としていた。

 

「気にせず打てよスーパースター?ピッチャーのボールは邪魔しないから♪」

 

「構わずバットを振りなさい進藤君。骨を砕いても打撃妨害を取られるのはE組の方だ」

二人にそう言われるも洗脳されてるとはいえ『あたったらどうしよ…」という感情に襲われ混乱していた。

 

(い…言われなくても…!)

 

 

スッ…

そう言いバットを振ると、二人は少し下がっただけで横振りを避けた。

 

「な…!?」

 

「ダメだよそんなスイングじゃ〜次はさ〜…殺す気で振らないと…♪」

 

周りから見れば普通の挑発だが進藤にとってはナイフを向けられ脅されるような光景であった…!

この時点で進藤は理事長の洗脳に体がついていけず、杉野が投げたボールが別のものへと見えるようになった。

 

「ひぃ…!」

 

カンッ!

 

打ったものの斜めすぎた為か余り強くは飛ばなかった。

 

「渚君!」

 

その直後にすぐカルマが渚に渡し、三塁へ投げ最後に一塁へと投げた。

 

『ト…トリプルプレー!?な…なんと!E組が野球部に勝ってしまったぁ〜!!!!!』

 

打者ランナーアウト、トリプルプレーとなり見事E組の勝利となった…!

 

「やったー!!!」

 

「男子やる〜!!」

女子達やイリーナは歓声をあげ抱き合いながら喜ぶものもいた。。すると胸糞悪くなったのか本校舎の生徒達は舌打ちをしながら帰っていった。

 

すると杉野は打席で座り込んだ進藤に近寄った。

 

「悪かったなこんな試合になっちまって…でも、やっぱお前、野球選手として俺より全然強ぇ。これで勝ったとは思ってねぇから」

 

「だったら…何でここまでして勝ちに来た…?」

 

「ん〜……渚は俺の変化球練習に付き合ってくれたし、カルマや磯貝の反射神経に神威の場外ホームラン。要するに自慢したかったんだ。俺らの仲間!」

 

すると進藤は「フッ」と笑うと手を差し出し杉野と手を交わした。

 

「次やる時は高校だ…!」

 

「あぁ!」

 

歪んだ感情が消え、今ここで友情として誕生したのだった。

 

 

 

 


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